FIELD 3 – ビジネスを立ち上げる

Harvard Eye Catch

本日はFIELD 3というビジネスを立ち上げる授業の発表会。各セクションで18チームがプレゼンテーションを行い、15週間で作り上げたビジネスを発表した。僕らのチームはLOCALSというローカルな体験をしたい旅行者と旅行者をガイドして収入を得たい地元の人のマッチングサービス(Airbnbの旅行ガイド版のようなもの)を立ち上げ、その結果をプレゼンテーションした。

コンセプトとしては良いと思っていたが、実際にやってみると想定外のことが多く、立ち上げるのにかなり苦労した。具体的には

  • ガイドしても良いという地元の人がなかなか見つからない
  • 見つかっても、そのガイドの質が低く、お金を取れるほどのサービスにならない。
  • 質の確認がオンラインだけでは難しい
  • ガイドが集まらないと、ユーザーをサイトに呼んできても購入してくれないので、立ち上がりが遅くなる(いわゆる2 sided-marketの立ち上げの際の卵と鶏の問題にぶち当たった)
  • ガイドが空いている時間とユーザーのガイドしてほしい時間が合わない(2 sided-marketの需要と需要をすり合わせる問題)
  • 結果として顧客獲得コスト (Customer Acquisition Cost)が生涯顧客価値 (Customer Lifetime Value)を上回り、ビジネスにならない

という問題にあたった。ガイド側の需要の刺激、品質コントロール、2 sided marketの問題、は数週間という短い期間で片手間に動いていてもなかなか解決が難しく、結局収益をあまりあげることはできなかった。

最終的な審査員であるVCからの評価はセクションで真ん中くらいで、「経験の価値が大きくなっている今、将来的に大きくなる可能性のあるビジネスだと思う。ただし、ガイドの品質コントロールが難しく、スケールに時間がかかる」というもの。結局、1都市ずつ攻めていかなければならないので、そこでかかる時間が一定期間の間で大きなリターンを狙うVCにとってネックになったようだ。また、僕らが調べた限りでは見つからなかったが、どうやらHBSの卒業生で2000年代に同様のサービスを始めて、今ではそれなりに大きくなっているサービスもあるようで、そこと競合するとも指摘された。これらの指摘はもっともであると思うし、最終的な評価については納得だ。

FIELD3は2 sided marketをやってみることで気づくことも多く、プラットフォームビジネスを立ち上げる際に気をつけることを学べたことが良かった。また、パキスタンのエンジニアと一緒に動いたのだが、彼らに支払った金額に対してのアウトプットの品質に驚いた。MVP (Minimal Viable Product)レベルであれば、十分に作れるという印象。スタートアップでエンジニアリングをアウトソースしなければならない状況であっても、かなりのところまではできると学べたのも大きな収穫だった。

また、友人作りという意味でもとても良かった。Sabrina、Terrance、Alex、Samというアメリカ人4人と組んだのだが、この15週間を通じて彼らのことをより深く知ることができた。FIELD3まではそこまで深く話したことのなかった彼らと一緒にプロジェクトを行い、達成感と友人関係を得ることができたのは、非常に大きな財産だ。

FIELD 3の他のチームの結果であるが、うちのセクションの優勝チームはカメラのライティング用器具が風で飛ばないようにするという製品で、1年生全体の優勝チームはヘルメットに取り付ける脳震盪を防ぐための器具だった。両方ともかなり絞ったニーズに対して技術で挑み、今日までにそれなりの売り上げを上げ、特許を申請するなど、かなり本格的なチームだった。両方のチームとも、プレゼンを聞くと優勝が納得の出来。ビジネススクールの学生のみで組んだチームでありながら、技術をチーム内で開発して売り上げを上げるところまでもっていったというのが驚き。エンジニアとして働いてからビジネススクールに来る学生も一定数おり、それだけのタレントが揃っているのが、HBSの層の厚さなのだな、とあらためて感じた。

投稿者: aki

アキ。東京での勤務の後、ハーバードビジネススクール(HBS)へ留学しました。卒業後は、医療の世界で働いています。現在シドニー在住。ご連絡はTwitterまで。

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