卒業後の進路について

時が経つのは早いもので、本日で授業も終わり。卒業式は5月25日なのだが、僕のHBS生活もあと実質Bridgesという3日間のイベントを残すのみだ。21ヶ月の学生生活は長いなと思っていたが、振り返ってみるとあっという間だ。

僕の卒業後の進路だが、米系医療機器の会社に就職して、米国に残ることにした。卒業後にどうするかは、MBAに来ている人、特にインターナショナル生は行き先の国も含めて悩む話だと思うし、僕もかなり悩んだ。僕の場合、下記のような手順を踏んで考え、意思決定をした。

◆ Step 1: 価値判断の軸を決める

まず卒業後の進路を考えるにあたり、僕は「目的」(Purpose)、「人間関係」(Relationships)、「金銭」(Finance)の三つの軸で考えた。

「目的」は僕がどのように世界に貢献したいかだ。20代の終わりに改めて自分の人生を振り返って気付いたのは、やはり僕は病気を抱えた人やその家族・友人が治療法が見つからずに苦しんでいるのが許せないし、そのことに対して考えたり動いている時に充実感を感じるということだ。だから、世界中の人が自分の病気の治療法を見つけられるような世界にしたいと思うし、「その目標に繋がる仕事」というのを第一の項目として入れた。第二に、僕はテクノロジーの力を信じており、テクノロジーを通じてその目標を達成したいと考えているため、「テクノロジーに関わる仕事」という項目も加えた。第三に、僕は自分でコントロールしたいタイプなので、「事業責任者として動ける」という項目を加えた。最後に、僕は多様なバックグラウンドを持つ人と働いている時に特に楽しさを感じるため、米国、ロンドン、シンガポールなど「英語圏でかつ世界中から人が集まっている場所で働けること」を第四項目に加えた。「目的」としては以上の「病気の人を治療する・もしくは治療法を見つけやすくできるか」、「テクノロジー × ヘルスケアか」、「事業責任者か」、「場所」の4つを評価項目とした。

次に「人間関係」であるが、これも大事な要素だと考えた。まず、働く場所は自分の価値観と合うようなカルチャーにしたい、もしくはそんなカルチャーで働きたいので、「企業カルチャー」を第一の項目として入れた。次に、「一緒に働く人が尊敬できるか、一緒に働いていて楽しいか」を二つ目の項目にした。三つ目としては、「僕の家族が幸せか」、を入れた。

最後に、生活をする上で必要となる「金銭」も評価軸に入れた。僕の場合、「目的」で4つ、「人間関係」で3つ、「金銭」で1つ、の計8つが評価の軸となった。

◆ Step 2: 価値判断に重み付けをする

次にしたことは、それぞれの項目に「重み」をつけることだ。僕の場合、計8つの項目に、合計で100%となるように重みをつけた。具体的には「目的」の4つで40%、「人間関係」の3つで40%、「金銭」で20%の重みをつけた。重み付けの仕方は人により大きく異なると思う。

◆ Step 3: 選択肢を評価する

卒業後の選択肢のそれぞれについて、それぞれの項目に「1(満たしていない)」から「3(満たしている)」まで数字を入れて、点数を洗い出した。すると、合計点数が出てくる。進路の選択肢A、B、Cについて具体的に評価してみると下記のようになる。下記の例だと、Aが最も良い選択肢となる。

※サンプル(数値は例)

◆ Step 4: 再検証

評価軸に抜け漏れダブりがないか、自分の重み付けが適切か、卒業後の選択肢がまだ他にないか、を考えた。

大枠は以上のように考えたが、特にStep 4では妻も含め、色々な人に相談をした。

僕の場合、特に迷ったのは起業という選択肢をどう考えるかだ。

起業する場合、場所の選択肢としてはアメリカか東京の大きく二つを考えた。現状、インターナショナル生でアメリカで卒業後も起業して残る道はあるが、かなり狭い。卒業後にはOPT (Optional Practical Training)という期間が1年間あり、その間に多くの場合は起業家(E2)ビザ取得を目指すことになる。E2ビザ取得には起業家として成功してアメリカに貢献することを示す必要があり、この評価基準は、資金調達、アメリカ人の雇用、ビジネスプランの妥当性などとなる。アメリカは当然のことながら起業家志望も多く、競争も激しいため、言語がネイティブでない、文化が違う、永住権がない、の三つの壁を乗り越えて相当額の資金調達をして雇用を生むのは、かなり細い道。資金調達できなければ、米国登記した会社や開発したものを置いて国外へ出ないといけない。僕の場合、Healthcare Techの経歴があるわけでもなく、これらの壁を乗り越えるだけの自分ならではの強みを見い出すことができなかった。また、自分一人ならば「えいや」で残る手もあったかもしれないが、妻もいるため、そこまでのリスクを取りたくもなかった。他のアジア人の米国での起業家を見ると、米国企業に就職して在住数年→グリーンカードを申請→起業、のパターンが多く、そちらの方が現実的だと感じた。よって、米国ですぐに起業という選択肢は切った。

東京に帰って起業するという選択肢も考えた。こちらは市場の土地勘もあるし、ネットワークもあるし、起業する上では良い環境だ。起業は失敗を繰り返して、それでも諦めずに続けて何度かやってようやく成功するものだと思っているので、卒業後できるだけ早いうちに始めることには大きなメリットがある。一方で、せっかくMBAを出て海外にいるので、もう少し海外で揉まれてチャレンジを続けたいという気持ちも強かった。米国の良いところは競争がより激しく、優秀な人が集まっている上、自分自身が語学、文化、土地勘でハンディキャップを負っており、よりストレッチされる環境であることだ。また、特にHealthcare Techの最先端はやはり米国で、より多くのことが学べるだろうという好奇心もある。妻もまだ昨年に米国に来たばかりでこれから大学院に行く考えもあり、米国でまだ過ごしたいという思いもあった。これらの理由から、卒業後すぐに東京へ戻ることには躊躇があった。

これらを考慮して考えた結果、選択肢Aの米国医療機器企業に就職、が最も点数が高かった。妻の希望もあるが、何よりも僕の好奇心も米国に残りたいと告げていた。就職先が、新商品のProduct Managerという僕がこれまでやってきたことであり、かつ最も情熱を注げる職をオファーしてくれたことが、大きな理由の一つだ。アメリカで、優秀な人たちと働くというのはどんなものなのだろう。最先端のHealthcare × Techはどうなっているのだろう。新しいものを生み出せて、世界中の患者さんに良いインパクトを与えられたら、それはどんなに素晴らしいことだろう。

これらが僕が意思決定をした手順だ。MBAにこれから行く人・在籍中の人にとって少しでも参考になると嬉しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です