2年生春学期の振り返り

2年生の春学期が終わった。これまでの1年生2年生の秋学期と続いてきて、これがHBSでの最後の学期となる。振り返ってみたい。

学業

春学期は最後の学期ということもあり、先学期より2科目を増やし、”Launching Tech Ventures”、”Scaling Tech Ventures”、”Strategic IQ”、”Designing Competitive Organization”、”General Management Processes and Action”、”U.S. Healthcare Strategy”、”Innovating in Healthcare”の7科目を履修した。また、学期最後の3日間は”Bridges”という卒業後のキャリアや生き方を考えるセッションを履修した。

“Launching Tech Ventures”からはProduct Market Fit(製品がお客さんのニーズに合っており、かつビジネスとして成り立つことが確認できること)を実現するために製品・サービス、成長戦略、営業・マーケティングについて考慮すべき点やCustomer Life Time Value(顧客生涯価値)、Customer Acquisition Cost(顧客獲得コスト)をいかに測定し、改善していくかについて学んだ。”Scaling Tech Ventures”では6S (Staff, Shared Value, System/Structure, Series, Scope, Speed)のフレームワークに基づいて、Product Market Fitを実現したスタートアップをいかに急成長させていくべきかについて学んだ。”Strategic IQ”からは競争力を持続するために、環境に合わせて変化し、実験から学び続ける企業をいかに実現させるかについて学んだ。”Designing Competitive Organization”からは戦略を実行する組織に必要な7つの要素を学んだ。”General Management Processes and Action”からは、いかに経営者として意思決定、組織学習 、変化のプロセスを設計し、実行していくかを学んだ。”U.S. Healthcare Strategy”と”Innovating in Healthcare”からは米国ヘルスケア業界の知識とその中で成功するための条件を学んだ。成績は全て「2」以上でStrategic IQとDesigning Competitive Organizationは「1」だったので、目標達成だ。

授業からも学びが多かったが、最も印象深かったのはBridgesの最終日に聞いた、Clayton Christensen教授のHow will you measure your life?”の講義だった。この講義の中で、教授は企業の戦略・組織の理論を人生にあてはめて、「いかに人生を自分の生きたいように生きるか」、ということを語った。

Clayton Christensenは実務家としても教授としても成功した人だが、彼は自分が最も大切にしてきたのは家族と5人の子供を育てることだと言う。彼は土曜日と日曜日は家族のための時間にすると決め、自分の決意を同僚や上司にも話して土日に仕事が入らないような環境を作り出し、それを実行してきた。彼は、「何を人生において成し遂げたいか、どうやってそれを実現するか、そのために自分の時間という資源をどのように配分するかを考えないと、年収や地位など目に見えやすい成果を追い求めて仕事のみに時間を割いてしまい、結果として本当に得たいものを得られなくなってしまう」と語った。彼の講義は示唆に富み、どのように生きるべきかについて考える良い機会となった。また、脳梗塞など大病を患いながらもリハビリを繰り返して教壇に復帰し、学生に教えることを止めず、教壇に立ち続けるその姿は人知を超えた神々しさすら感じさせ、彼の一言一言が胸に刺さった。 体調悪化のために来年からは講義をさらに縮小するということで、彼の講義を受けることができるうちにHBSに在籍できたことは幸運だったと思う。

友人、課外活動 

春学期は秋学期に引き続き、週に1-2回友人を招いてホームディナーを行った。春学期中はアメリカのトランプ政権の100日間、イギリスのBrexit交渉の進展、フランスではルペンの台頭、と特に西側諸国の政治で大きな変化があったので、それらを話しながらのディナーは楽しいと同時に、そういう見方もあるのか、と視点を広げるきっかけにもなった。また、妻が作る肉じゃがや手巻き寿司は友人たちに好評で、友人たちと仲を深める良い機会となった。

また、Bridgesの期間中は約1年ぶりにセクション(クラス)で集まり、ケースディスカッションを行なったが、まるで地元に帰ったような懐かしさを感じ、HBSはやはりこのセクションの体験がユニークだと感じた。1年間を共に過ごした93人の仲間とは卒業後も大学主導の5年に一度の同窓会でボストンで集まることになる。93人の仲間の進路はまさしく国も業界も様々で、彼らと今後の人生を共に歩んで、時々にお互いの近況報告をし合えると思うとワクワクする。65周年まで同窓会が開かれるということなのでいつまで参加できるかは分からないが、体がついていく限り、できるだけ長く参加したいと思う。

課外活動としては、文科省のスーパーグローバル・ハイスクールに採択されている長野県上田高等学校の生徒17人が高校のプログラムでボストンに来た際に、スタートアップに関する講義をHBSで行った。彼ら・彼女らは非常に熱心に講義を聴いてくれ、質問も活発に出て盛り上がった。僕としても何かを教えることは楽しく、卒業後もこの2年間で学んだものを継続的に社会に還元していきたいと思う。

加えて、今学期もHarvard Business Schoolの公式ブログの管理とこの個人ブログも書き続けて、こちらで学んだことを発信し続けた。2年間続けた個人ブログは今年のHBSの合格者の中でも読んでいた人が多く、HBSやMBAの実情を伝えることに少しでも貢献ができたのではないかと思う。 

また、最終授業から卒業式の間の5月中旬にHKS (Harvard Kennedy School)主催のIsrael Trekに妻と参加し、こちらも多くの学びと新しい繋がりを与えてくれた。旅行でもアイスランドとベリーズへ行ったりと、今学期はかなり見聞を広めることができたと思う。

キャリア

今学期は”Innovating in Healthcare”という授業の一環でBoston Children’s HospitalのBioinformaticsチームの依頼を受け、同級生2人とともにSMARTというIT Platformのビジネスプランを策定した。SMARTは互換性が低い米国の病院・クリニック向けのEMR (Electronic Medical Records)向けに互換性のあるソフトウェアを提供するためのプラットフォームという位置付けで、米国保健局(National Institutes of Health)からも支援を受けているNPOが運営している。

SMART: https://smarthealthit.org/

このプロジェクトを選んだ理由は、「病院・クリニック間の情報共有を促進させることで、効果的かつ効率的に患者さんに適した治療法を見つけやすくする」という点で、僕の将来のテーマに繋がると考えたからだ。

このプロジェクトを通じ、米国のITシステム業界がどのようになっているのかについてや、病院・クリニックの購買の意思決定者や意思決定プロセスについての理解が深まった。米国のITシステム業界は広く、統一された規格がないため、各企業が独立した規格を用いてソフトウェアのベンダーを抱え込んでいるため、結果として病院間で用いているソフトの互換性がなく、ヘルスケアのシステムとして非効率な状態となっている上、新たに参入する企業にとっても各ベンダーに合わせた仕様を作らなければならず、コスト高に繋がっている。また、病院・クリニックの購買はIT担当だけでなく、実際に診療を行う診療部門やグループ病院との調整が必要で、提案から成約までの期間が1年から2年と長く、この意思決定の長さがスタートアップがヘルスケア業界に入る際の障壁となっている。このプロジェクトを通じて、ヘルスケアで新しいビジネスを起こす際にどのような壁を乗り越えるべきかを認識できた。

同級生の2人が特に優秀だったこともあり、プロジェクトの成果はクライアント、教授ともに高い評価をいただけた。今回のアウトプットはSMARTを運営するNPOが5月末に申請する補助金の土台となる予定だ。


全体を通じて、今学期は忙しい学期だった。通常5科目選択のところを、最後だから学べるだけ学ぼうと7科目選択したのだが、やはり結構多かった。加えてヘルスケア系の授業は新鮮で学ぶことが多い一方、僕は前提知識がないためにかなりそこに時間を使った。その分学ぶことが多かった上、ヘルスケア系のクラスメイトともより多くの繋がりを築けたという点で非常に実りが多かった。

HBSの学生とも定期的にホームディナーを行って仲を深められたと同時に、HKSのIsrael Trekに参加してHKSやHLSとの繋がりも夫婦で広げることができたのは非常に良かった。

もう少しできたか、と問われれば、できたこともあるのかもしれないが、得られたものには満足をしている。7月からは久方ぶりの仕事をする生活だ。新しい挑戦に、ワクワクしている。

2年間でHBSから得られたもの

HBSでの最後の授業、Bridgesが終わった。Bridgesは3日間のいわゆる締めのプログラムで、地域・業界別のネットワーキングができたり、職務別のアドバイス、今後のキャリアに関するアドバイスを得られる機会だ。期間中、1年間を同じ教室で過ごしたセクションメイトと久方ぶりに同じ教室で再会し、近況を話し合い、その後に授業で再びケースを議論した。まるで1年前に戻ったようで、自分がいかにこの空間を好きだったか、を改めて感じた。また、Bridgesを通じて、自分がこの2年間で何を得たのか、がよりクリアになった。

昨年「MBA受験-ビジネススクールで得られるもの」、でMBAの価値として「A Good Business Foundation」、「Networking」、「Career Change Opportunity」の3つが主要な価値で、「Quality Time」、「Brand」の2つを加えた計5つが価値と述べた。それらが得られたというのはそうなのだが、最初の3つについては得られたものについてより具体的に表現できるようになったことと、少し感じ方が変わってきたので、今回続編を書いてみようと思う。内容はMBA一般というよりも、僕がHBSで得られたものについて、だ。

Personal Development

最も大きな成果は人としての成長だと思う。HBSでは1年目、2年目ともに人生の価値観について考えさせられる機会があり、その機会を経て、人生についての理解が深まった。

BSSE (Building Successful and Sustainable Enterprise)でClayton Christensenが行う最後の講義の”How will you measure your life?”もその一つだ。彼は実務家としても、教授としても成功した教授だが、彼が最も大事にしているのは妻と5人の子供を育てることだと言う。そのためにも、彼は土曜日と日曜日は家族のためにあてる時間としてコミットして、BCGで働いていた時から土日は働いていなかった。何を人生において成し遂げたいか、そのためにどのように自分の時間という資源を配分しているか、それをどうやって実現するか、という彼の講義は非常に示唆に富んでおり、彼の講義を受けることができたのは幸運だったと思う。同じテーマでFounders’ DilemmaのShikhar Ghoshも「幸せに最も影響を与えるのはどのような質のRelationshipsを築けているか」であり、”Relationships trump everything”ということを教えてくれた。人生における自分なりの成功の定義は何か、それを実現するために日々どう行動するべきか、について、HBSは自分なりの答えを見つけるための機会をくれた。

人との関わりを通じて、リスクについての考え方も変わった。HBSには本当に多くのゲストが来る。起業家もいるし、大企業の役員もいるし、政治家もいるし、訪れるゲストの幅が広い。彼らの生き方を聞き、彼らと話していて気づくのは、別に彼らが僕らと別次元に住んでいる人ではないということだ。いわゆる自分の人生を生きている人とそれ以外の人の違いは、リスクを取っているかどうか。彼らが口々に言うのは、「リスクを取らないことがリスクだ」、と。多くの教授もその見方を後押しする。一度や二度ではなく、2年間毎日のようにそういった話を聞いていると、自分もやれるという自信が生まれてくる。挑戦をしての失敗は僕を強くしてくれる。HBSは僕に「やればできないことはない」という自信をくれた。

HBSはBusinessについて学ぶ場かと思っていたが、実は人生について学ぶ場だった。自分の本当にやりたいことは何なのだろうか。何を自分の人生において大切にするべきであろうか。21ヶ月という比較的長い時間があったため、そういった質問を自分に問いかけ、考え、妻や友人や教授と議論する時間が持てた。これにより、自分がこの先の人生を生きる上での土台を作ることができたように思える。僕自身は、実はHBSに来る前にはもう自分の価値観はある程度固まっていてそこまで変化はないかと思っていたのだが、振り返ってみるとかなりの変化があったように思える。これは予想していなかったが、得られたものの中で最も大きかったものの一つだ。

A Good Business Foundation

ビジネスについては、幅広い視点を身に付けることができたと思う。特にLEAD (Leadership)の授業が素晴らしく、リーダーシップについては一生使えるような考え方を学べた。

HBSの1年目の必修科目はよく練られており、ケースメソッドでビジネスを包括的に学べるようになっていた。大きく分けると、マクロ経済・グローバライゼーション(BGIE、FIELD 2)、リーダーシップ(LEAD, LCA, FIELD 1)、ファンクション(STRAT, MKT, FIN1/2, FRC, TOM)、アントレプレナーシップ(TEM, FIELD 3)の計4つ。ケースメソッドでは様々な経営の場面において、①何が起きているのかを分析し、②何をするべきかを立案し、③どう実行すれば良いのかのアクションプランを立て、④実行の際の障害やリスクとそれらを解決または減らす方法も立案する、ということをひたすら行うため、「どういう場面で、何を、どのように考えれば良いのか」、が思考のプロセスとして築かれる。この思考のプロセスが、より成功確率が高い意思決定をするために役立つと感じる。

一方、2年目は全て選択科目で、自分の伸ばしたい分野について学ぶことができた。僕の場合、戦略(Strategy and Technology、Strategic IQ)、組織(General Management Process and Actions、Designing Competitive Organizations)、ヘルスケア(U.S. Healthcare Strategy、Innovating in Healthcare)、アントレプレナーシップ(Founders’ Dilemma, Launching/Scaling Tech Ventures)、ネゴシエーション (Negotiation)、ファイナンス(Entrepreneurial Finance)、マクロ系(Globalization and Emerging Markets)と幅広く履修した。

得られたものの一例は、戦略的な思考がある。こちらに来て学び始めて、僕の場合、プロダクトマネジャーとしてプロダクトレベルの「戦術」や「アイデア」は考えていたが、事業レベルの「戦略」についてきちんと考えることができていなかったことに気づいた。僕は新しい機能やデザインでの商品の差別化など、プロダクトマネジャーとして単年度で結果を出すような施策は考えて実行してきたが、中長期でどのように持続可能性のある競争優位性を築いていくか、そのためには組織に対して影響をどのように与えていくべきか、という観点が抜けてた。あの時の僕が今と同じように考えられたら、より戦略的な提言と実行ができたと感じる。

もう一つの例は、リーダーシップだ。僕は前職での経験を通じて、人に動いてもらうためには「情熱、論理、思いやり」が必要であり、そのためには自分が最もお客さんや商品、技術を理解して、チームを動かしていく必要がある、と考えてた。今でもその考え方は残っているが、今ではチームをどうやってデザインし、立ち上げ、マネージするかについて、より多くの要素があることを知っている。前職で初めて人のマネジメントを経験した時にはマネジメントについて「何を、どう考えれば良いのか」、が全て手探りで一つずつ自分の使える道具を探していく感じだったが、今では以前は知らなかった道具があることを知っているので、その道具を使って、より良いリーダーシップがとれる気がしている。

MBAに来るまでは、学習から「知識」がつくのかと思っていたが、実際には様々な状況における「思考方法」や「視点」を学んだという方が近い。この学びがどの程度役に立つのかは卒業後試してみないと分からないが、少なくとも僕は自分の思考の広さと深さが広がったことには十分の価値があったと思う。思考の広さと深さは一生磨き続けていくべきもので、MBAはそのベースを作ることを助けてくれた。

Networking/Friendship

HBSは仕組みに優れた大学であり、その最たるものが「セクション」という仕組みだ。HBSの場合、セクションと呼ばれる93-94人のクラスで1年目を過ごし、同じ教室で、授業を一緒に受ける。授業の大半がケースディスカッションのため、だんだんとその人の価値観や人となりも分かってきて、不思議な親近感を抱くようになる。1年目は何をするにもセクションが主な単位となるので、自然と独自のカルチャーができてくる。セクションごとに卒業後も5年ごとに集まるReunionという機会が用意されているため、この友人関係は(HBSと関わり続ける限り)一生続くものとなる。卒業した時点で誰もが93-94人の一定以上の深さを有する友人を持て、かつ5年後も彼らと会うために戻って来ようと思わせるような帰属感を持たせるこのセクションという仕組みは、とてもよくできている。

加えて、セクションが全てではなく、1年目はディスカッショングループやFIELD 2という新興国のコンサルティング・プロジェクトでセクションを跨いだ人間関係が築け、2年目の授業でさらに人間関係が広がる。Trekの運営や参加、カンファレンス運営、その他クラブ活動等々で、何だかんだでHBSだけで2年間で300人は友人・知り合いと呼べる人はできると思う。ボストン自体も他の大学の学生や研究者の人たちとの出会いの機会が豊富で、出会える人の幅も広い。僕の場合、この2年間でFacebookで新たに繋がった人の数は400人だった。

また、HBSはAlumniとの結びつきも強く、驚くぐらい卒業生が後輩をサポートしてくれる。こちらも卒業後に出会うことができる人の幅を大きく広げてくれる。

世界中に、助け・助けられ、共に刺激し合える友人がいるというのはとても幸せなことだ。この幅広さと深さの人間関係は、僕の一生の財産になるだろうし、全員とは難しくとも、特に仲の良い友人とは今後も定期的に連絡を取り合うことで、より関係を深められるようにしたいと思う。

Career Change Opportunity

HBSを出たことによって、就労の機会が大きく広がった、というのは実感としてある。僕自身、地域と業界を変えて米国で就職することにしたが、これはMBAを経なければほぼ無理であっただろう。

一方で、友人と話していて、見えていなかった現実もあるなと感じた。一つには、インターナショナル生にとってのMBA後の米国就労の厳しさ。米国で就労するためには、企業にH1-Bビザという抽選で取得するビザの申請をしてもらわなければならず、このビザサポートをしている企業が本当に少ない。いわゆるスタートアップ系企業はほぼビザサポートをしないと思っていた方が良い。中規模くらいの会社でも就労のための門がそもそも空いておらず、文字通り門前払いだし、大企業でも人気のあるところは競争が厳しい。ネットワーキングで門をこじ開ける方法もあるが、狭い道だ。科学技術の学位取得者に関しては(特にコンピューターサイエンス)より門が開いているので、単に米国での就労が目的なのであれば、エンジニアリングの専門で大学院に行った方がずっと良いだろう。

二つ目は、年齢が上がってから来ると、納得いくポジションが見つかるとは限らないことだ。米国MBAの平均入学年齢は約28歳で、卒業が30歳前後となる。いわゆるMBA採用をしている企業では、入社時点が実務経験3年+MBA2年の28歳と、実務経験7年+MBA2年の32歳を同じMBA卒として同じポジションで採用することが多いため、実務経験が長い人ほどキャリアアップというよりも、キャリアの横滑りの可能性が高くなる(前者がスタッフ→MBA→マネジャーなのに対して後者はマネジャー→MBA→マネジャー、など)。特に欧州から来る学生はやや年齢が上のことが多いので、この点でオファーを受けるべきかどうかで悩む学生が多いようだ。

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全てをひっくるめて、僕がHBSに来て良かったかと聞かれれば、間違いなく良かったと思う。21ヶ月の機会費用や計24万ドル以上のコストは非常に高いが(奨学金がなければ本当に苦しかった。。。)、生き方、友人、仕事の土台を築けたし、今後の人生をサポートしてくれるようなネットワークへのアクセスや「HBS卒」という一定の信頼を得ることもできた。

MBAを考える人は、検討しているプログラムの学業の内容だけでなく、卒業生が何を得ているかを上記のような観点で検討してみると良いのではないかと思う。

2年生秋学期の振り返り

すでに春学期が始まってしまっているが、2年生の秋学期を振り返ってみる。

学業 (Academics)

秋学期は”Strategy and Technology”、”Negotiation”、”Entrepreneurial Finance”、”Globalization and Emerging Markets”、”Founders Dilemma”の5科目を履修した。このうち、Entrepreneurial Finance、Globalization and Emerging Markets、Founders Dilemmaは内容と教授も人気の授業。受講した科目はどれも良い科目で、選択授業の良さを実感した。

“Strategy and Technology”ではIntelやMobileyeの社外取締役も務めるDavid Yoffee教授からテクノロジーの業界で特に重要となる戦略の5つの原則、ネットワーク効果、マルチサイドプラットフォーム、柔道・相撲戦術、知的財産、ガバナンスについてどのような点を考慮して戦略を立てるべきかを学んだ。特に5つの原則のうち、”Look forward, Reason back”、未来に世界がどのように変化するかを予想して、そこから逆算して今行うことを考える、というのは技術変化でビジネスがガラリと変わるテクノロジー業界では特に重要だと感じた。

”Negotiation”はMichael Wheeler教授。交渉を分析するフレームワークとその適用方法、信用構築の方法、交渉における学び・適応・影響のサイクル、相手の感情を用いて交渉をいかに有利に進めるかのテクニック、突っ込みすぎた時の対応の仕方、多数のステークホルダーがいる際に有利な状況を作り出すためのプロセスなどを交渉のシミュレーションや優れた交渉人の交渉過程を観察することから学んだ。授業は振り返りや観察からの学びに重点が置かれており、卒業後にも交渉力を高めていくための手法を学べたのが良かった。

”Entrepreneurial Finance”はBain Capitalの創設メンバーであるRobert White教授。起業をする際に「いくら、誰から、どんな条件で」資金調達を行うべきかに加え、近年広がりつつあるベンチャー向けの貸出、クラウドファンディング、売掛金の現金化などの現金調達の手法について学んだ。スタートアップを評価する上で、PDCOフレームワーク(People, Deal, Context, Opportunity)や3 Statge Model (Growth, Profitability, Asset Intensity)は有用だと感じたし、特に資金調達の際の契約書の内容について一つ一つの条項レベルである程度学べたのが良かった(Participation, Anti-dillusion, etc.)。資金調達の際に、どの条項が何にどのようにきいてくるか、を理解していることは必須だと感じたし、将来的によりフェアな条件交渉をするための下地ができたという点で非常に有益だった。実践的には今の市場のスタンダードを知り、良い弁護士を雇うことが大事。

”Globalization and Emerging Markets”はSophus Reinert教授の人気授業だ。新興国が国の発展のために用いている戦略とその国がどのような産業構造になっているのかをフレームワークで分析する手法を学び、それぞれの国でどのような仕組み(institutions)が欠けており、どのステークホルダーがその欠けている仕組みを活かしており、そのような環境へどのように進出するのが良いのか、という企業の進出戦略についても学んだ。例えば、キューバやロシアでinstitutional void(欠けている部分)を活かして事業をする例からは、新興国では機会もあるが、obsoleting bargaining powerのリスク(最初は政府に必要とされて進出しても、徐々に政府がノウハウを吸収して、会社ごと国有化されるなど、必要とされなくなるリスク)があるため、政府とかなりデリケートな関係を築かなければいけないことを学んだ(例えば、こちらを刺したら国際社会から相手も刺されるような状況を作り出すなど)。

これらの授業を履修したことで、①戦略を立て、②多数のステークホルダーと交渉し、③事業提携や資金調達を行い、④新興国までサービスを広げる、という点についてより失敗のリスクを減らし、成功の可能性を高められるようになったと思う。

5つ目のSkikhar Ghosh教授の”Founders’ Dilemma”は僕にとって特に思い出に残る授業となった。秋学期のその他の4つの授業を含めてHBSでこれまで受けてきた授業の中にはビジネスをする上での視点を広げてくれたり、知識を増やしてくれるものは多かったが、”Founders’ Dilemma”は自分の人生観にまで影響を与える授業だった。Hard choiceをいかに行うか、いかに公平さを互いに感じるようなプロセスを築くか、採用と解雇の手法、建設的な失敗の仕方、など、学びは多かったのだが、特に印象深かった授業は、「成功とは何か、失敗とは何か、幸せは何で決まるか」についてだ。端的に言えば、幸せはquality of relationships=どれくらい深い人間関係を築けたか、で決まるというのが主な学びだが、彼が自分の人生のストーリーを交えて語ってくれたその教えは心に残った。

彼の講義は、自分自身を振り返る良い機会となると同時に、行動を変えるきっかけとなった。彼の授業を履修して以降、人からの評価を気にして物事を決めていないだろうか、自分の周囲の人を大切にできているだろうか、意義あることに時間を使えているだろうか、を定期的に振り返るようになった。また、より頻繁に家族と連絡を取るようになり、留学以降やや離れてしまっていた日本の友人と連絡を取る頻度も増えた。これらの行動の変化は、人間関係という点で数年、数十年単位で人生をより良い方向に導いてくれると思う。彼の授業を受けられたことは、幸運だ。

成績は、特に好きな授業であったFounders DilemmaとNegotiationが「1 (優)」で残り3つが「2 (良)」だった。成績は全てが「2」以上取れれば良いと思っているので、目標達成。また、「1」の割合が先学期よりも増えたのも英語での学習環境に慣れてきたということで良い傾向。そのうち一つの授業では教授からも「Final(期末テスト)がとても良かった」と褒められ、嬉しかった。

友人、課外活動

先学期より妻がボストンへ来て、単身用の寮からキャンパス内のアパートへ引越しを行ったため、自宅に友人を呼ぶことができるようになった。そのため、平均して週に一度は2〜4人程度の友人を家に呼んで日本食をふるまうという小さなホームディナーをした。

ディナーの席では話題も様々で、キャリアや家庭といったプライベートな話から、学校生活、国際政治や歴史の話まで及び、話が尽きることがない。ホームディナーでは時間を気にせずゆっくり話せるし、集団ではなかなかしにくい突っ込んだ話もできるので、非常に良い。昨年はアメリカ大統領選挙の年ということもあり政治関連の話を多くした。これらの話を通じて、世界の政治に関する自分の感度がより高くなったように感じる。

一方、昨年の同時期はハーバード日本人会やボーゲル塾に参加していたが、2年目の秋学期はキャリアに集中するため、あまり参加しなかった。

キャリア

卒業後にどうするか、についてじっくりと考え、行動し、人と話す期間だった。ビジネスプランについて投資家と話し、同時に就職活動も行い、米国企業からオファーももらった。MBA卒でもインターナショナル生が米国でのオファーをもらうのはかなり狭き門なため(H1Bビザの関門が大きく、99%の企業は永住権のないインターナショナル生が応募しても門前払い)、自信に繋がったという点でも良かった。色々と考えたが、いくつかの選択肢の中から米国に残る選択肢を選んだ。卒業後に新しいチャレンジが待っていると考えると、ワクワクする。

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2年生の秋学期は特に過ぎるのが早かったという印象だ。特に大きな活動があったわけではないが、卒業後の進路を決めるため、9月、10月はキャリア関係に使っている時間が多かった。リサーチや受け答えの練習など、想像以上に時間がかかった。11月、12月は課題とレポートに追われていてあっという間だった。また、友人とも1年生の時以上に会っていたので、その点でも時間を使っていた。秋学期は英語やトレーニングなどの自己研鑽を怠ってしまったが、学問、友人関係、キャリアで目標はある程度達成していたため、点数をつけるならば70点というところだ。もう少し自分への目標を高く設定しておいても良かったかもしれない。

最後の学期である2年生の春学期は、振り返りをより仕組み化して、悔いのないような学期にしたいと思う。

HBS1年目を終えて

HBSでの1年目が終了した。僕がMBAで何を得ようとして、結果として何を得たかについて、全体、学業、友人関係・ネットワーキング、課外活動、キャリアの順に振り返ってみたい。

1年目の感想

MBAは”transformational experience”、とMBAのadmissionは言う。”transformational experience”の定義にもよるが、文字通りの「人生が変わる体験」と定義すると、僕にとってはそうだったな、と思う。

変わったものでいうと、ビジネスを見る視点は広く、深くなったと思う。入学前は前職のプロダクトマネジャーの視点から物事を見ていたのに対して、この1年でビジネスに関しては他の機能(ファイナンスやオペレーション等)やリーダーの視点でも物事を見ることができるようになった。政治、経済については世界で起きていることを抽象化して見れるようになった。決断の際に、経済的な視点だけでなく、法的や倫理的な面も含めて考えるようになった。こうした視点の変化は、250以上のケースディスカッションを通じて徐々に培われたものであり、より良い意思決定に繋がる。

次に、友人のネットワークが圧倒的に広がった。これまで僕は日本で生まれ、学び、働いてきたので、大学や社内で出会った海外の友人もそれなりにはいたが、ネットワークは圧倒的に日本が中心だった。一方、今は国籍ベースで言えば本当に世界各地に友人がいるようになった。HBSの「仕組み化された」ネットワーキングのおかげで、今は40ヶ国籍以上の友人がいるし、国名を聞くと友人の顔がパッと出てきて、それぞれの国を近く感じる。このネットワークや世界の近さの感覚は期待以上のものであったし、僕の将来の可能性を広げてくれた。

また、知らない世界で挑戦してもなんとかなるという自信が生まれた。渡米前は、海外と主に仕事をしていたと言っても、ディスカッションでうまく貢献できなかったり、日常会話で苦労したりと、英語圏で仕事をするには力不足と感じることが多かった。渡米後の今でも英語と話題は今でも課題があり(ドラマ、映画、音楽、スポーツ、本、ニューヨークのローカル話題、どれも分からない。。) 、この課題の克服にはおそらくあと5年くらいかかると思うが、9ヶ月かけて少しずつ状況は改善されてきた。また、足りていない能力でもここまで学業と友人関係の実績を築き上げてこれたというのが自信になった。加えて、先人達のおかげでHBSというブランドもあるので、ビザの問題を除けば、卒業できれば おそらく就職することはでき、食うに困ることはないかなと思う。自信とセーフティネットを得たことで、より挑戦する意思が強まった。

一方で、変わらないことを確認したものもある。それは自分のコアな価値観であったり、性格だ。HBSの1年目はLGBTの活動、米国内経済的格差、モロッコでの体験、セクションメイトから聞く話、から自分が知らなかった世界を知る機会が多く、それらを通じて自分の視野は広がった。10代や20代前半であれば、もっと価値観に影響を受けたのかもしれない。ただ、僕ももう30代で、自分がどんな価値観を持っており、何が好きで、どんな時に幸せを感じるのかは、渡米前にだいたいわかっていた(僕が好きなのは、挑戦すること、慌てず・焦らず・諦めず前に進むこと、挑戦から新しいものを学ぶこと、情報を集め、分析し、戦略を立てて実行すること、アイデアを出すこと、人と一緒に新しいものを生み出すこと、人を成長させること、人を受け入れること、世の中にとって自分が良いと思うことをすること、等)。僕にとっては、この1年を通じて、そうした自分のコアな部分が変わることはなかった。

まとめると、HBSの1年目が”transformational experience”だったか、という問いには、僕にとっては人生の可能性を広げてくれたという点でそうだった。また、同時に僕にとってコアな部分は変わらないことも確認できた。HBSでは4つの分野 (学業、友人関係、課外活動、キャリア)に分けて物事を進めてきたので、それぞれについて振り返りたい。

学業 (Academics)

1年目は計10の必修授業とFIELDという実践授業を受けた。授業は以下のようになる。

  • 政治、経済を扱う授業
    • BGIE (Business Government and International Economy)
  • 企業の中の特定の機能を扱う授業
    • Strategy、TOM (Technology and Operations Management)、Marketing、Finance 1、Finance 2、FRC (Financial Reporting and Control)
  • リーダーシップを扱う授業
    • LEAD (Leadership)、LCA (Leadership and Corporate Accountability)
  • アントレプレナーシップを扱う授業
    • TEM (The Entrepreneurial Manager)
  • 学んだことを実践に移す場・チームワーク
    • FIELD1/2/3

この中でも僕が最も学びが多いと感じたのが1学期目のLEADと2学期目のBGIEだ。LEADではリーダーの行動と決断のケースから、いかにチームをマネージするか、効果的な人間関係を築くか、いかに組織を作り上げるか、いかに組織を変えるか、について学んだ。こちらは授業でのtake-away(学んだこと)で目から鱗のことが多く、加えて教授のMukundaの議論のファシリテーションの仕方が素晴らしかったため、非常に学びが多い授業だった。楽天の英語化のケースを扱ったのもこの授業だ。この授業を受ける前と後で、自分のチームや組織に対する見方が変わり、マネジメントの仕方も確実に変わったと思う。

BGIEは世界に対する見方を変えてくれる科目だった。大半の授業では国のケースを扱い、それぞれのトピックに関連する事柄に分析の焦点が当てられる。例えばインドを扱ったケースでは、「多民族国家で収入格差が非常に大きく、教育水準も高くないインドではどうして独立以降民主主義が生き残っているのか」、という問いについて議論した。その中では、カーストの文化により、人々が自分の社会的ポジションに納得するような構造となっている(人々が自分の置かれている社会的ポジションに納得いかなくなった時、暴動が起きたり、社会が不安定化する)という観点が出たりする。また、その一方で、人々が民族や言語別によって投票するようになり、統一的な政策が打ち出しにくいという問題点も議論されたりする。今までにぼんやりとしていた、国家とは何か、民主主義とは何か、それらが成り立つために必要な条件は何か、を要素として話せるようになった。この授業を通じて、国レベルで、どのような政治的な目的があり、それを達成するためのツールとして何があり、実行に際しての制約に何があるか、を経済的、政治的に考えて議論するための下地を作れた。この下地はビジネスの機会の分析において有用なだけでなく、社交の場での会話の種にもなり、今後の人生を豊かにしてくれると思う。

その他の授業からも各領域について、自分が意思決定をする際に、どのような枠組みで分析を行い、打ち手のオプションを考え、それを評価するか、についてのプロセスを学ぶことができた。よく言われることではあるが、何せほぼ毎日、異なる状況のケースを分析して自分だったら何をするかを考える、というプロセスを行っているので、分析をする際の広さと深さは増したと思う。

また、これは最近感じた想定外のメリットだったが、250以上のケースを議論することによって、他の業界の人と話す時の知識のベースを作ることができた 。例えば、以前製薬企業の人と当局との折衝について話をした時だ。僕は渡米前は製薬企業の開発やマーケティングのプロセスを殆ど知らなかったが、製薬企業のケースを複数扱った経験から、治験のどの段階でどういう折衝が行われるのか、という話をより突っ込んで質問して、話すことができた。業界についての知識はケースを読む主目的ではないが、副次的に得られるメリットでもあった。

身につけた考え方のプロセスを実践で活かすのがFIELDという実践授業だ。個人的にはFIELDはチームワークの経験としては良かったが、学業という観点での学びはさほど大きくなかった。新興国へ行きコンサルティングプロジェクトを行うFIELD2は違う文化の国を体験するという点では良いが、現地滞在は1週間強なのでインプットもアウトプットのレベルも限定される 。スタートアップ体験をするFIELD3もチームワークの体験やスタートアップを行う大変さを味わえたという点は悪くはなかったが、学びという意味では他の授業と比べるとやや落ちた。僕としては、実践を通じて学ぶ機会は、夏のインターンシップが主になりそうだ。

友人関係・ネットワーキング

僕にとってHBSで最も大きな財産となるのが、この友人関係・ネットワーキングだ。1年間の授業を同じ教室で過ごしたセクションFの93人とは卒業後も5年に一度、同窓会で会う生涯の仲間だ。チームワークで1学期間を共に過ごしたディスカッショングループの5人、FIELD 2のチームの5人、FIELD 3のチームの4人、EVOLVEという少人数の人生についてディスカッションを1学期間かけて行うプログラムのチームの4人とは話す機会も多く、仲良くなった。寮での生活、Asia Business Conferenceの運営、スタートアップ関連のイベントでも良い友人ができた。HBSは人数が多く、HBSカルチャーで繋がり 、しかも活躍する人が多いので、友人として人生を一緒に 過ごす喜びだけでなく、プロフェッショナルとしてもこのネットワークは役立つものだと思う。

また、日本人の友人にも恵まれた。HBSで1年生の13人、2年生の7人は皆個性があり、仲が良く、一緒にいて居心地が良い。HKS (Kennedy School)、HLS (Law School)やPublic Healthにも友人がおり、数回飲んだりとHarvard内でもいい友人関係を築けたと思う。冬の飲み会はかなりカオスで、楽しい写真が結構撮れた。加えて、MIT、Wharton、Kellogg、DukeのMBAの友人たちやボーゲル塾を通じて知りあった国際政治分科会の人たち、ヘルスケア勉強会の人たちとも一緒に様々なことを語り合えて、良かった。特に中国の経済成長、中東情勢、移民などの国際政治における議題に対して、日本はどうするべきか、を官庁、自衛官、マスコミ、アカデミアの方々とボーゲル塾で毎回語るのはとても有意義で、学びが多かった。

人間関係を大幅に広げることができるというのはMBAの特権なのかなと思う。 様々な背景を持つ人がいて、時間があり、お互いに利害関係のない状態で話ができる。話をしてお互いの知らないことを共有し合うと共に、学生でないと出会わない人たちが出会うことで、新しい化学反応が生まれる。友人関係・ネットワーキングで得られるものは想像以上に大きかった。

課外活動

1年目はHarvard日本人会のHBS代表、ボーゲル塾国際分科会への所属、Asia Business ConferenceのCTO、Japan Trek運営という活動を行った。これは他のHBS生と比べるとおそらく平均よりは多い活動であり、活動の選択についても満足している。

入学する前にはわからなかったが、HBSの1年目は学業、ネットワーキング、キャリアが忙しく、クラブや課外活動に時間を注ぐ人はそんなに多くない。僕の知る限り、HBS以外の米国2年制MBAは金曜日が休みだが、HBSは金曜に授業があり、学業での負担が結構重い。セクションという仕組みで93人の新しい友人と1年過ごすので、クラスメイト全員と話そうと思えばかなり時間がかかる。キャリアは人生の一大事なので、企業派遣で来ていたり、家業を継ぐ人以外にとって最優先になる。こうした理由から、優先順位をつけていくと低くなるのがクラブや課外活動となる。

僕としては、やりたい経験はできたと思う。Harvard日本人会、Asia Business ConferenceではHarvard内の繋がりを、ボーゲル塾ではボストンでの日本人の繋がりを広げることができた。そして、Japan Trekでは日本人内の運営団で 一つのものを作り上げている。これから始まるJapan Trekでの他セクションの人と仲良くなるチャンスも楽しみだ 。

キャリア

1学期目は学業と友人関係・ネットワーキングで結構手一杯で、iLab Scrambleというスタートアップのイベントに参加したり、iLabで不定期に開かれるイベントへの参加がメインだった。2学期目はNew Venture CompetitionというビジネスコンテストにHMS (Harvard Medical School)の学生と組んで出場し、応募まではそれなりに時間を使っていたが、上位16チームには選ばれず。一方、Rock Summer Fellowsという起業を考えている、あるいはスタートアップで働きたい人向けの夏の支援プログラムには選ばれることができた。1年目にやりたかったことはやったが、キャリアに関してはもう少し時間を使ってリサーチを進めたり、インタビューをしたり、アイデアを考えることに時間を使いたかったな、というのが本音だ。

今はというと、デジタルヘルスの領域で新しいビジネスのアイデアを考えたいと試行錯誤していて、まだ”これだ”、というアイデアを思いつけていないのが現状。Tele Medicineは将来的により普及する業界だと思うが、スタートアップでやるには既に大きいプレイヤーがいて勝てる道筋が描けない(規制の動向次第だが)。ある一定の患者へのAIの医療行為への適用もビジネスアイデアとして考えたが(New Venture Competitionに出したのはこれ系のアイデア)、liabilityの問題、monetization、処方箋のロジをどうするかが課題でこれを解決できていない。Omada Health的な医療費削減分を企業に請求するB to B to CのビジネスやCastlight Healthのような医療費最適化のB to B to Cの提案サービスも面白いと思うが、公的保険の範囲が限られている米国ならではのサービスだし、ここも今から勝負しても難しいな、という感じ。IoTを使った診断革新系のサービスはリサーチ不足でまだ面白い技術を見つけられていない。

今はより健康的な行動ができるよう、行動変容を促すB to Cビジネスを考えており、夏はそのアイデアを深掘りして検証しようと思っているが、まだまだ生煮え。2学期の後半にややダレてしまったところがあるので、その時間を使ってもう少しキャリアに時間を使えばよかったと反省。

2年目について

1年目は学業、友人関係、課外活動、キャリアともに計画したことの多くは達成できて、70点くらいだ。反省点としては、ややダレてしまった時間があるので、それを運動と英語の勉強にあてられたらより良かった。

2年目は1年目をベースにして、さらに積み重ねていく予定だ。学業では将来ビジネスを行う上で必要となるファイナンス、組織論などの科目を履修する予定だ(Entrepreneurship Finance、Negotiation、Managing, organizing, and motivating for value、Designing competitive organizations等)。友人関係では友人を定期的に自宅へ招待して、仲良くなり、卒業後ずっと仕事や人生について相談できる8人程度のboard memberを作りたい。課外活動としてはマラソン大会に向けてトレーニングし、ボストンでのハーフや、シカゴのフルマラソンに出場する予定だ。キャリアについてはNew Venture Competitionなどのビジネスコンテストで勝てるだけのチーム、ビジネスプラン、商品、実績を2年目に作りたい。

MBAは21ヶ月間の、今後の人生のベースを作る期間。精一杯活かしたい。