HBS最終学期開始

Harvard Eye Catch

1月23日から、いよいよ2年生にとっては最終学期となる、2年目の春学期が始まった。春学期は授業が4月28日までで、間に1週間の春休みが入っているため、HBS生活もあと実質90日を切っている。最後の学期は学業、友人関係に力を入れて、悔いのないように過ごしたいと思う。

学業

卒業後に米国のヘルスケア関連企業に進むことから、春学期はHealth CareとGeneral Managementを中心とした7つの授業を履修する予定だ。

Innovating Health Care (Prof. Regina Herzlinger)

米国のヘルスケア業界の経営研究では知らない人がいないと言われるほど有名なHerzlingerの、いかにヘルスケア業界で新しいビジネスを起こすか、という授業。授業はケーススタディ形式の授業とビジネスプランを作るという最終提案の二本立て。HBSに入学する前から履修したかった授業なので楽しみだ。まだ一度しか受けていないが、ヘルスケア業界のユニークな構造にかなり深く突っ込んでいくため、ケースの内容が非常に専門的。また、参加している生徒のほとんどが元々ヘルスケアのバックグラウンドを持つ人やMD/MBA(医者とMBAのダブルディグリープログラム)のため、生徒の議論も専門性が高い。例えば、Medicare/Medicaidと呼ばれる米国政府が運営している保険がどのようにreimburseするか、という門外漢には分かりづらい点も普通に議論に出てくる。教授がヘルスケア業界にかなりネットワークがあるので、ケースで扱われている経営者が実際に教室に来る機会がそれなりにありそう。ヘルスケア業界初心者の僕にとってはかなりついていくのが大変そうだが、その分得るものも多そうだ。

U.S. Healthcare Strategy (Prof. Leemore Dafny)

ヘルスケア業界に特化して、どのように状況を分析し、企業戦略を立てていくかという授業で、教授はヘルスケア業界のStrategyコースを作ったパイオニアであり、元McKinseyのコンサルタントでもあるDafny。こちらも内容が非常に専門的かつ履修している生徒がヘルスケアバックグラウンドの人ばかりなので議論の内容も深い。教授の説明が非常に明確で分かりやすい点が授業の魅力を高めている。こちらも業界初心者の僕にとってはついていくのが大変だが、得るものがその分多い業界特化の授業。例年の授業評価も高い。

Launching Tech Venture/Scaling Tech Venture (Jeffery F. Rayport, Thomas R. Eisenmann)

テクノロジー業界でいかに新しい企業を立ち上げて、スケールさせていくか、を扱った授業。春学期の前半がLaunchingで後半がScalingの内容となり、教授も変わる。授業履修としては別々だ。Rayportは教授職と起業家の両方を経験しているハイブリッドで、Eisenmannは起業研究の大家かつteachingでの高い評価をコンスタントに得ている教授だ。ほぼ毎回、ケースに登場する登場人物がゲストとして授業に来てくれるため、生の起業家と接することが多い授業だ。似た科目として、Entrepreneurship in Healthcare IT and Servicesという科目も開講されていたのだが、他に取りたい授業と時間が重なっていたことと、こちらのLaunching/Scaling Tech Ventureの方が教授が良いのでこちらにした。ケースメソッドでは教授の良し悪しで得られるものがだいぶ変わってくるので、良い教授を選ぶことが非常に重要だ。あくまで個人的な印象だが、実務経験(特にマネジメント経験)がある教授の方がインサイトのある学びをくれることが多く、僕は実務経験がある教授を選ぶようにしている。

General Management: Process and Action (Prof. Joseph B. Fuller)

世界的なコンサルティングファームであるMonitor Groupの創設メンバーの一人であるFullerが教える、事業責任者 (General Manager)としてどのように戦略を実行(Implementation)するかについての授業。実行に重点を置いており、どのようにプロセスを設計・運営し、どのように動くことでどのような影響力を組織に及ぼすべきか、が学べる。昨年度の授業評価が非常に高く、今季も人気授業の一つ。戦略論については1年目と先学期に履修したが、戦略実行の難しさは立てることよりも実行することにある。より戦略を効果的に実行するためのツールボックスを増やしたいと思い、履修することにした。

Designing Competitive Organization (Robert Simons)

管理系の科目の大家であるSimonsが教える組織設計と運営に関する授業。戦略がすでにある前提で、組織をどのように設計するか。何を成果の指標として測るか。どのようにインセンティブの仕組みを設計するか。やるべきこととやるべきでないことをどのように決めてコミュニケーションし、どのように仕組み化するか、など。僕も日本で働いていた時に組織設計や変更がもたらす正と負の影響のどちらも経験しているので、組織運営においてはどのようなレバーがあり、どのレバーを引くとどうなるか、と知ることは非常に有益だと思う。こちらも戦略の実行について、自分が持てるツールボックスを増やしたいために履修することにした。一つ上の学年のある日本人の先輩が絶賛していたこともあって、同じ時間帯の授業に日本人が6人くらいいる。毎週、ちょっとした同期会だ。

Strategic IQ (John Wells)

1年目に必修授業の戦略(Strategy)を僕のクラスに教えていたJohn Wellsが開講する戦略の授業。WellsはPhD取得後にPepsicoで欧州の事業責任者を担うなど実務家と研究者のハイブリッドで、授業は非常にsarcasticかつentertaining。受けていて楽しい教授の一人だ。1年目の必修のStrategyは教授は良かったのだがコースの設計がイマイチで得られたものが少なかったため、今回はWellsの手腕に期待。

* * * * *

今学期は以上の7科目(そのうちの3科目は前半か後半のみで、他の4科目は通期)を履修予定だ。先学期よりも量が多いのでやや大変だが、これだけ学びに集中できる環境は働き始めたらなかなか得られないと思うことと、HBSの教授のようなそれぞれの分野の第一人者から学べる機会の貴重さに改めて気づいたことから、最後に詰め込んだ。また、今回の科目はU.S. Healthcare StrategyとGeneral Managementの2科目を除く5科目は全てペーパーのため、書くトレーニングにもなるかと思っている。

先学期と同じく、今学期も全科目において半分以上の授業で発言すること、2以上の評価を取ることを目標にしたい。

友人関係

HBS生活も3学期を経ると、だいぶ人間関係も固まってくる。僕の場合、やはり仲が良いのは大きく分けると、①テクノロジー業界に関わるアメリカ人、②セクション内のインターナショナルの学生、③アジア系学生、④Harvardに関わりのある日本人、だ。先学期は妻の協力もあって、平均すると週1回は自宅に友人を呼んでホームディナーができていたので、今学期も週1回のホームディナーは継続し、ホームディナーを含めて週2回は友人関係を深めるためにディナーの機会を利用したい。また、お昼も友人とキャッチアップする良い機会であるので、週4回はランチまたはコーヒーを友人と一緒にするようにしたいと思う。

3学期を通じて、なんだかんだで200人以上とは繋がっており、卒業後も仕事に関するメールのやり取りができるくらいの仲にはなっている。今学期は友人関係を広げるよりも深めて、最終的には人生や仕事について、卒業後にも定期的に話をしていける一生の友人が数人できればいいなと思う。

キャリア

元々はNew Venture Competitionに出る気でいたのだが、米国のヘルスケア関連企業に就職し、卒業後も米国に残ることにしたので(先学期はこの点についてかなり時間を使って考えた。この意思決定については落ち着いたら書く予定)、今年は参加を見送る予定。ビジネスプランについてはInnovating in Healthcareの授業内でチームで書く予定なので、そちらを将来自分でやりたい事業について考える機会にあてる予定だ。

また、特にヘルスケア業界について先学期感じたのだが、この業界では深い業界知識とネットワークがないとビジネスをやることが非常に難しい。僕は業界については完全に素人なので、現状では医者や病院とまともに話ができない。そのため、今学期のゴールは専門家の言っていることが分かり、まともに会話ができるレベルまで達することだ。そのために、2つのヘルスケア関係の授業に加えて、John WellsのStrategic IQなどのペーパーのお題でもヘルスケア業界の企業を選択し、業界の知識やそもそものヘルスケア関連の語彙を増やしていきたいと思う。

時間の使い方

今学期は授業外でもやりたいことが多い。まず、教授から選んでもらったこともあり、FIN2 (Finance 2)という授業のTutorをやる予定だ。TutorはHBSの1年生が分からないことがあったときに1対1のセッションをやる、という2年生による個別指導だ。どれくらいの依頼があるのか分からないが、Tutorをするというのは面白い経験であり、依頼があったら積極的に受けていきたい。今学期は4月末までに10時間はこれに時間を割く予定。

授業外では、Accent Americanという発音・イントネーションに関する10週のプログラムを履修しており、こちらは2月末まで続く予定だ。1日1時間は練習するように、と言われており結構大変だが、良い発音・イントネーションは一生の財産になるため、しっかりとこなして得るものを得たい。

また、米国で卒業後に生活することを考えて、こちらで運転免許を取ろうと思っている。僕自身は日本で免許は持っているがほとんど運転していなかったので、勘を取り戻すことも含めて、教習所通いで時間がややかかりそう。卒業後に行く先は車が必須なので、4月末までにはなんとかして免許を取りたい。

加えて、働き始める前に体力づくりをしたい。先学期は膝をやや痛めて走れなくなってしまい、その後運動不足になり、旅行の前後に風邪をひいたりとかなり体力が落ちてきてしまっているので、運動習慣の改善が必要。体重も約1年半の米国生活で2キロ増えてしまった。今学期は少しずつ運動量を増やして週2回はジムに行き、働き始める7月にはハーフを怪我なく走れるくらいまでもっていきたいと思う。

最後にだが、授業終了から卒業式前までには2週間強の時間がある。引っ越しがあるためにフルに時間を使うことはできないが、MBA中は旅行をして世界を知る良いチャンスでもあるので、その期間にまだ行ったことがない場所へ行き、視野をさらに広げたいと思う。

投稿者: aki

アキ。東京での勤務の後、ハーバードビジネススクール(HBS)へ留学しました。卒業後は、医療の世界で働いています。現在シドニー在住。ご連絡はTwitterまで。

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