DeNA WELQとHBSの教育について

DeNAのWELQの問題について、僕自身、医療系の情報Webサービスをやろうかと考えたこともあったので、僕の考え方を書いてみる。

ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングを用いての安価なコンテンツ作成は、僕が前職でSEOに関わる仕事をしていた2013年に、試したことがある。①ある特定の地域について、②このタイプの事柄について、③自社のサイトのこのページの中にあるキーワードを用いて、書いてほしいという依頼をしていた。僕の場合は記事の内容の品質を保ちたかったので、最初の間口を広くして来るもの拒まずとして、最初に5記事を書いてもらい、その内容の質を元に、良い記事を書くライターの方に次回以降はまとまった数を発注する、という作業をしていた。テーマやキーワードはDeNAのケースと同様にSEOを重視して選んでいた。

この作業、想像してもらえばわかると思うが、結構手間がかかる。依頼したい記事の内容をSEOを元にリストを作り、ライターの方にどう割り振るかを決め、それぞれのライターとのやりとりを行い、彼ら・彼女らの質問に答え、発注、回収、検査、アップロード、を行う。クラウドソーシングで働く人は副業として行なっている人が多いため、短納期であまり大量に受けてくれる人も多くない。そうなると、多くのライターの方々の窓口兼仕事のやりとりをすることになる。これだけで一仕事だ。確かに一記事あたりの価格はかなり抑えられるのだが、僕の裏方作業の工数を考えると、少人数に大量発注する形でないと、あまり割が合わなかった。当時この手法の費用対効果を分析してみたところ、他の手法の方がより効果的だったため、前職ではこの手法をスケールさせることはしなかった。一方でこの手法を使えば記事を大量発行させて、旅行や住宅など、単価が高くアフィリエイトで稼ぎやすいもので個人として副業を立ち上げることはできるな、と感じていた。もし僕がMBAに来ることを選ばなかったら、違う分野で試していたかもしれない。

DeNAはマニュアル化と品質の割り切りでこの課題を解決し、クラウドソーシングをコンテンツ大量作成に用いた。BuzzFeedの報道によると、DeNAは記事の構成や他サイトをコピーして内容をリライトする方法をマニュアル化しており、それを用いてクラウドソーシングで発注していたとのこと。リライトについては、著作権について指摘している人も多いが、SEO対策専門家として入っている辻さんのTwitterからもわかるように、むしろGoogleからコピー割合の多いサイトとしてペナルティをくらわないようにするための対策としていた。また、意図的に引用を避けているのは、これは僕の推測だが、リンクジュースを渡さないようにするため(SEOの世界では、ページからリンクがあると、そのリンク先にサイトの影響力が伝播すると考えられている)だろう。コンテンツのオリジナリティの度合いが低ければ黒に近いグレーではあるが、SEOの観点からは今でもいくつかのビジネスが行っている施策の一つではある。

品質の割り切りについても、ウェブ系企業のロジックで照らし合わせると、自然な対策法だ。そもそもウェブ系の企業は一般的に、品質管理がハードウェア企業に比べるとゆるく、商品を市場に出すまでのサイクルが圧倒的に早い。不良品を出したら回収しなければならず、膨大な費用がかかるハードウェアに比べて、ウェブの場合の改修はサーバー側の修正で済むことが多く、ウェブは業界として品質よりも速度を優先する傾向が強い。WELQに関しても記事数、ページビュー数のKPI達成が重要で、問題が指摘されたらその記事を修正するか引っ込めれば良い、という感覚だったのだろう。

日本のウェブ系企業の人は、「これ、うちもやばいかも」、と感じた人が一定数いるのではないか。「できるだけ早く走り、問題が起きたらその時点で修正する」、という考え方はウェブ系以外の業種からすると危うい慣習にも見えるだろう。今回の場合、医療という、法的に縛られており、社会的にも失敗への許容度が低い業種にウェブと同じようなアプローチで挑んだことが失敗の一因だろう。

視点を変えて、僕がMBAで学んだことと、今回のWELQの件はどう関連付けられるだろうか。

HBSの1年目のLCA (Leadership and Corporate Accountability)の授業では、僕らはビジネスのグレーな領域の判断をするときには、①経済的な観点、②法的な観点、③倫理的な観点、の3点について、少なくとも4つのステークホルダー(顧客、投資家、従業員、社会)について考えるべき、と教わった。このフレームワークにのっとれば、WELQの手法自体は、SEO最適化という点ではビジネスの論理では優れていたと思う。一方で、今回のWELQの件は、著作権に関する法的な側面でリスクをかなりとっていた。倫理的な面でも、キュレーションサイトであるとして責任を逃れようとしながら実質は編集権を持ったメディアであり、責任逃れとも取れる行動をとっていた点、医療に関わる誤った情報を伝えて患者さんがより症状を悪化させてしまう可能性があった点で倫理的な側面の検討が甘かった、もしくは考慮から漏れていたのだろう。

顧客に関しては、ページビューやページ当たり収益といった数値を追い求めて、スクリーンの先に実際の人がいるという意識が希薄になってしまったのではないか。投資家については、訴訟リスクを十分に考慮して事業を運営できていたのだろうか。従業員に対しては、KPIで追い詰めすぎて、手法を問わないような状況になっていなかっただろうか。社会に関しては、医療の情報が社会にもたらす影響についての理解が足りていなかったのではないか。(*補足:DeNA創業者の南場さんもHBS出身(Class of 1990)だが、彼女が学ばれていた時はエンロン事件以前で、HBSの教育方針も今とはだいぶ異なっており、LCAは必修ではなかった。)

こうした法的・倫理的観点は、僕はHBSに来るまではそこまで意識していなかった。もし僕がHBSに来る前に医療メディアの分野で起業をしていたら、DeNAほどアグレッシブにはやっていなかったと思うが、似たような判断をして、DeNAと同じような問題に直面していたかもしれない。

一方で、今は難しい判断をする際には自然とこれらの観点を含めて考えるようになっているので、違うやり方をとるだろう。また、情報が入った時点でおそらくより早く閉鎖の判断をしていただろう。

意思決定の力を鍛えるというと抽象的だが、具体的な事例に当てはめると上記のような違いが出てくる。僕にとっては、HBSで学んだ観点が僕の意思決定に影響を与えており、その価値は大きいと感じている。

3月18日追記:

第三者委員会の調査報告書が公表されました。トラフィックの推移や内部の意思決定プロセスがかなり詳細に書かれています。会社を一面的に批判するのではなくスピードを重視する意思決定の必要性やDeNAの日本におけるIT業界のリーダー的ポジションを考慮しながら建設的に問題点と改善策を指摘した、非常にバランスの取れた報告書という印象です。

DeNAのビジネスを牽引してきた守安さんの重要性を考慮すれば守安さんの辞任は避けたく、守安さんは減給、DeNAの中では比較的新参者の村田さんと中川さんの辞任で幕引きを狙う、というのは投資家の論理としてもDeNAの内側の論理としても理にかなっているのでしょう。南場さんが社長に復帰して二人体制になるのでコンプライアンス的にも強化される、というのもうまいロジックだと思います。

Founders’ Dilemma

HBSでこれまで受けてきた授業の中で視点を広げてくれたり、知識を増やしてくれるものは多かったが、Founders’ Dilemmaほど僕の人生観に影響を与えた授業はなかった。この授業の教授はShikhar Ghoshという2社を上場させ、Forbesの正面をJeff Bezosと飾ったり、インターネット業界で最も革新的な10の企業のCEOに選ばれたような有名な元起業家だ。授業では起業家が直面する様々な課題(例えば、共同創業者の株式の割合はどうすべきか、家族を経営陣に入れることはどのような影響があるか等)について扱った。

授業で得た学びは多く、まだ僕自身消化し切れていないが、彼が最後の授業で残してくれたアドバイスがとても良いと感じたので、共有したい。

僕らが重要だと思うことは、必ずしも重要ではない

僕らは他の人が自分のことをよく見ていて、自分の言ったことを覚えていると思っている。一方、僕らは相手のことをどれくらいよく見ていて、相手が言ったことを覚えているだろう? 僕らが自分のことを考えるように、誰もが皆自分のことを考えている。僕らが恐れるほど、他の人は僕らの失敗に対して構わないし、関心を払ったりしない。他の人にとって、あなたの失敗は大したことはない。

また、僕らは幸せについて考えるとき、今の状態と「こうしていれば」の状態を比べ、差を大きく見積もりすぎる傾向がある。実際には、差はそんなに大きくはない。宝くじで一億円当たった人と、事故にあって障害をおってしまった人の一年後の幸福度の差の研究によると、どちらのケースも幸福度に優位な差はない。

好奇心に従い、人生で来たものにオープンでいたほうが、幸福でいられるだろう。

人間関係を大切にすること

幸福の研究によれば、教育、収入、職業、宗教などは幸福度に影響を与えない。幸福度に影響を与えるのは、人間関係。金銭と異なり客観的に測定できないために見過ごされがちだが、いかに深い人間関係を築けたかが幸福度に影響を与えることを覚えておくべき。

  1. 家族に週に一度は連絡をすること
  2. 兄弟姉妹をサポートすること
  3. 深く、長く続くような友人関係を築くこと
  4. 人と過ごす時、常にその場に意識を集中すること

自分を知り、意義あることに時間を使うこと

医療は人の健康に、法律は正義に貢献する。ではビジネスは何に貢献するのだろう? なぜそのビジネスをやるのか、意義(Purpose)を考えてやったほうが良い。ある人は自分の体験からその意義を見つけるだろうし、ある人はやってみて後から気づくこともあるだろう。人生は思っているよりも短く、成し遂げたいことをするための時間は限られている。自分の限られた時間を何に使うかを決めるべきだ。自分を知り、自分にとって意味があることに、時間を使ったほうが良い。

* * * * *

クラスの最後の授業で、彼は自分の人生について語ってくれた。若くしての経済的・社会的な成功と、その後の様々な苦難。彼のストーリーは、僕らが人生で一体何を成し遂げたいのか、自分にとって何を成功と定義するのか、どうすれば幸福に生きられるのか、について多くの洞察を与えてくれた。

僕は、人からの評価を気にして物事を決めていないだろうか。自分の周囲の人を大切にできているだろうか。意義あることに時間を使えているだろうか。これからの人生、特に人間関係(relationships)と意義(purpose)については自分が自分のなりたい姿に近づけているかどうか、定期的に振り返るようにしたい。

アメリカ大統領選 – トランプの予想外の勝利

HBS(ハーバードビジネススクール)の学生にとっては予想外、という言葉が当てはまる大統領選の結果だった。

マサチューセッツ州は選挙結果にもあるように伝統的に民主党支持の地域であるので、街中で共和党支持の声を聞くことは少なかった。加えて、今年はドナルド・トランプが女性や移民蔑視の発言を繰り返していることから、「あんな人が大統領になれるわけはない」とHBSにおいては90%以上がヒラリー支持であり、ヒラリーで決まりという空気が支配的だった。

僕は8日の選挙当日にはヒラリーの選挙を応援しているセクションメイトの家で選挙の結果を見ていた。当日は前週のFBIの再調査の件や隠れトランプ支持者がいることの可能性を考慮しても、ヒラリーの勝利について皆楽観的だった。

7時から始まった集まりも、最初は皆ヒラリーの勝利を祝う準備をしていた。しかし、フロリダ、ペンシルベニア、ノースカロライナが接戦かつトランプの方が若干票数で上回っており、オハイオでトランプが優勢ということが分かってくると、雲行きが怪しくなってきた。

事前予想ではかなり細かったトランプ勝利の道筋がだんだん太くなるに従って、皆の口数が少なくなっていった。上記の州でトランプが優勢であることが報道され、皆もトランプが大統領になる可能性が高いことが明らかになると、部屋は葬式のようなムードになっていった。

廊下や外で一体何が起きているのだ、と叫ぶ人もいた。予定では12時まで部屋にいる予定だったが、皆早めに部屋から離れた。午後11時、まだ結果は出ていなかったが、途中結果の様子からヒラリーが負けたのはほぼ明らかであった。

翌日はクラス全体が暗い雰囲気に包まれていた。僕の最初の授業はミット・ロムニーの選挙戦略を担った、ロバート・ホワイト(Robert White)のEntrepreneurial Financeの授業。

いつもはケースのディスカッションを行う授業であるが、「今日は、まずこの話をさせてほしい」、と選挙についての話から始めた。彼はミット・ロムニー vs バラク・オバマの結果と今回のドナルド・トランプ vs ヒラリー・クリントンの結果を比較し、ポイントを述べた。

一つ目は、ドナルド・トランプがオハイオをはじめとしたラストベルト(Rust Belt: 製造業が盛んであったが、現在は廃れてしまっている地域)に戦略的に注力して票を獲得したこと。二つ目は、前回の選挙が”Which candidate cares me”(私のことを気にかけてくれるか)であったのに対して、今回の選挙が”Change”(変化)がテーマの選挙となり、エスタブリッシュメントの象徴であるヒラリーにとって不利に働いたこと。

その後、クラスで結果を受けたディスカッションが行われた。議題に上がったのは、「ヒラリーは女性だったからガラスの天井に阻まれて、当選できなかったのではないか」、「共和党の内部も割れているが、トランプと共和党はどのように国を運営していくのか」、「どの層がトランプを支持したのか」、など。トランプについては、どのように政権を運営するのかの不確実性が高く、現時点では読めない、というのが結論だった。

次の授業のStrategy and Technologyにおいても、前半は選挙についての議論を行った。Intelの社外取締役でもある教授のDavid Yoffie自身もショックを受けた様子で、不確実性が非常に高まったことを述べた。

クラスメイトの中の一人はオハイオ出身の元軍人で、彼はクラスの雰囲気と彼の地元の比較についてのコメントをした。彼によれば、軍人コミュニティはトランプ支持者が多く、彼らから見れば、「ヒラリーを支持する方が信じられない」、と。

彼らは、「ヒラリーは嘘をつき、権力と共謀して罪をもみ消し、ウォール街から多額のお金を受け取り、軍人を関係もない中東へ派遣する。一方でトランプは他国に対して強い態度を取り、国民の安全を守ることを優先し、軍人をアメリカを守る任務に就かせてくれる。」と感じている、と共有してくれた。

他にも似たコメントがあり、HBSのコミュニティでは見えていない側面がある、ということに気づかせてくれた。

授業外のオフライン、オンラインともに選挙に関する議論が行われた。選挙がもたらす影響についての議論が休み時間や昼休みに行われ、特にインターナショナル生は、大きな関心事であるH1-Bビザ (就労ビザ)やグリーンカードの発給への影響について懸念していた。

また、オンラインでは、友人がいかにエリート層が異なる意見を理解していなかったかを述べた上で、互いに理解しあうことの大切さを促す投稿が目立った。

一方では、冗談半分でカナダ人のクラスメートがFacebook Marketplaceに「私と結婚する権利」(カナダ人であり、結婚するとカナダ人の国籍が手に入る)を出すなど、ユーモアで暗い気持ちを笑い飛ばそうとする行動も見られた。

僕個人としては、今回の選挙で今の場所から見えていないものが多いことに気づかされたと同時に、人の感情がもたらす力についても考える機会となった。

良くも悪くも、HBSは流動的な労働市場でも勝ち残っていける人が多く、より自由かつ世界と繋がった、競争があっても機会の多い社会を好む。一方で、今回の選挙結果のように、世の中は皆が同じように自由貿易の恩恵を得ているわけではなく、そういった人たちはエスタブリッシュメントが作り上げたこのシステムが不公正なものだと感じている。

その感情は、ニューヨーク、ボストンやカリフォルニアのシリコンバレーのようなエスタブリッシュメントが多いところでは見逃されがちだが、今回の結果を見る限り、そういった感情をいだいている人の方が多数なのだろう。

この感情の影響力は、想像以上に強かった。影響力の大きさは、トランプがひっくり返した、

ヒラリーとの最初のスタート時点からの差を考えれば明らかだ。今回の大統領選に向けて、ヒラリーは何年、十数年単位で準備を進めてきた。ファーストレディ、国務長官時代に連邦レベル、州レベルで政治家との関係を築き、政策についての知識や経験を蓄積し、ボランティアやサポートしてくれる企業の開拓も行った。

企業、個人から合わせて$1 billion以上の寄付を集めた。対してトランプはもともと政治家との繋がりも薄く、政策についての知識も深くはなく、共和党からの支持も完全には得られず、メディアからはバッシングを受け、企業、個人からの献金も$500 million程度とヒラリーの半分程度だ。こんな不利な条件をどうやってひっくり返したのか。

トランプは人々の強い感情に訴えた。彼は人に強い感情を抱かせる、事実に基づかない言動を繰り返し、怒り、不安、恐怖、不信、を強調した。

同時に自分がアウトサイダーであり、強く、批判にもたじろがない、一貫したリーダーであることも示した。強い思いをいだいたトランプの支持者は草の根で支持を広げていき、

選挙当日にもヒラリー支持者よりもより積極的に投票場に足を運び、結果的に選挙では勝利をした(国民投票全体ではヒラリーの方が得票数が上だった)。一貫性や自信の示し方など、トランプからリーダーが学べることもあると感じた。

ただし、過度に感情に訴える手法のダウンサイドが出てくるのは、これからだとも思う。

支持者の感情は、トランプの勝利という9日に最高潮を迎えて、ここから理性による判断が入ってくる。選挙は言葉による約束だが、現実の政権運営ではその約束を実行し、人々の期待値を満たせるかが鍵となる。

トランプは人々の期待値を上げた点で、それを満たす行動をしようとしたならば、既存の仕組みと対立し、通常の安定した政権運営を取ることが難しいだろう。具体的には、トランプほどの変化を望んでいないであろう共和党との折り合いをどうつけていくか。

トランプは、議会の反対により自身の公約を満たせなかった時に、どう人々に説明するのか。人々が期待したレベルのChangeをもたらせなかった時にどうするのか。期待が高いが故に、反発のリスクも大きいと思う。

良くも悪くも、政権移行は行われる。アメリカに住んでいる一人として、どのように移行が行われるかに継続的に注目したい。

HBS Japan Trekの情報発信・決済で利用したツール

インバウンドの増加により、ツアー運営者にとって日本のホテルがどんどん予約を取りにくくなっている。今年の運営では伊勢志摩サミットの時期と重なったこともあり、特に名古屋がホテルを取ることが難しかったが、名古屋のオプションが少ないのは今年も同じようだ。100人規模で来年の春に開催するならば、今年中にはホテルを予約したいところ。

さて、今回は集客ツールの話をしたい。今年のJapan Trekでは、情報発信チャネルとしてFacebookを、申し込みや振込管理としてはWeTravelというツールを用いた。こちらは友人のZakyが共同創業者となって一昨年ローンチしたサービスで、簡単に旅程情報を含めたページが作成できるので、特に集客時に役立った。他のトレックではPayPalで友人宛として振り込む方法や、Tiltを用いる方法が採用されていたが、PayPalは別途シートを作って参加者を管理しなければいけず、Tiltでは旅程に関する情報を伝えにくいという問題点がTrek管理ではあるので、その点はWeTravelの方がワンストップでできる点が優れている。一方、WeTravelは決済プラットフォームとしてはStripeを使っているのだが、こちらは銀行振込だと入金や返金に週単位の時間がかかり、「まだ返金されていないのだけれど」という問い合わせが入るなどして、決済プラットフォームとしてはPayPalやTiltの方が優れているように思えた。もう一つの候補としてEventbriteがあるが、こちらは手数料がかかり、Trekの金額だとばかにならない金額となるので避けた方が良い。(Paypal、Tiltはやり方によって無料にでき、WeTravelはもともと無料だ。)

一長一短ではあるが、WeTravelはTrekを企画するならば検討の余地があるツールだ。僕らが120人で試して普通に使えたので、一応テスト済みだ。

※ Kelloggの例

また、資産を残すという観点では、WordPressなどのブログサービスでサイトを作って例年引き継いでいくというやり方もあるが、そちらはお好みで。

ご参考まで。

 

EC (Elective Curriculum)が始まって変わったこと

EC (Elective Curriculum、HBSの2年生)も2週間が過ぎ、だいぶリズムがつかめてきました。1年目と比べると下記のような変化がありました。

授業に使う時間がまた増えた

僕が要求の多い授業を多く取っているからかもしれませんが、1年目の内容が前提になっているより専門的な内容を扱っており、全体的に予習で読む量も長くなっています。ReflectionなどAssignmentの量も多く、結果として一つ一つのケースに2時間は最小でかかっているため、3ケースある日の前は机にいる時間が長くなっています。現状、9月は1日の28%の時間(約7時間)を授業と予復習で使っており、これは一番の誤算。

家族・友人と過ごす時間が増えた

妻がボストンに来たこと、HBSも2年目となって最後の1年なことから、家族・友人と過ごす時間が増えました。特に夏にSoldiers Field Parkというアパートに寮から引っ越したので友人を家に呼ぶことができるようになりました。授業後に買い物して、友人を家に呼んで、妻と料理を作って、飲みながら話をして、としているとあっという間に夜です。その後にケースを読む、という生活を週に1、2日しています。9月の1日の平均は家族・友人で16%で約4時間とまあまあ。

キャリアに使う時間が増えた

卒業後はアメリカのTech業界にいたいと思っているので、知識をより深めるべく、一般紙に加えて業界のニュースも追うようになりました。この業界、変化が激しい上に広いために毎日読むだけでも時間がかかっています。今はTech Crunch (US)、News Picks (JP)でTech業界を追って、Financial Times、日経新聞で一般のニュースを読んでいますが、ブログなどの更新と合わせて毎日1時間くらい使っているので、もう少し効率化したいところ。本当はTwitterなどでも追った方が良い人がいるのは知っているのですが、なかなか手が回っていません。また、製品開発を通じて自分のcodingスキルも高めたいと思っていますが、こちらもまだまだ。

あとはトレーニングを始めました。HBSでは定期的にトレーニングをしている人が多く、「トレーニングをしてないとProfessionalでない」、というようなpeer pressureを個人的に感じています(特に仲の良い友人が定期手にトレーニングをしてたくましい体をしている場合)。トレーニングをして健康的かつたくましい肉体を持っていることで良い印象を与えるならばそれはやった方が良いことなので、筋骨隆々、まではなれなくとも、他人から見てきちんとfitな体格だと思われるレベルまでは体を持っていこうとしています。HBSではShadというジムがあり、定期的に運動のクラスもあるためにそれをうまく利用しようかと。

そんな感じでRC(1年目)は機会に対応しているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいましたが、2年目になって、自分の時間をより学業、人間関係、キャリアと自分の割り振りたいように割り振れるようになってきています。睡眠も7.5時間を平均的に取れているので理想的。

MBAの忙しさは、学校によるのはもちろん(HBSは2年制の中では学校からのrequirementがかなり多い方に属します)、時間が経つにつれて変わっていく印象です。1年目の特に最初の方はあっぷあっぷになるかもしれませんが、時が過ぎると自分でコントロールできる割合が増える傾向があると思いますので、在校生・受験される方もそれに合わせて2年間の過ごし方を計画すると良いかもしれません。

EC (Elective Curriculum)スタート

今週よりEC (Elective Curriculum)の年がスタートした。昨年はHBS1年目ということでこれからどんな機会が待っているのだろう、どんな人と出会うのだろう、と初めて尽くしでドキドキ緊張していたが、2年目となるとHBSにどんな機会があるのかも大体分かっているし、同学年も約900人のうち200人程度とはなんだかんだで友人になっているので、新しい人たちの中に入るというよりは、むしろ居心地の良い場所に帰るという感覚だ。

それでも居心地の良い場所だからゆっくり、ともならないのがHBSでの生活。火曜日はEC WelcomeというSectionで集まって夏の振り返りと2年目をどう過ごすのかについて話す会があった。夏ぶりということで、久方ぶりのセクションメイトに会った皆は大盛り上がり。いたるところで、”How was your summer?”から会話が始まり、それぞれが夏の思い出を語り合った。うちのセクションはもともと93人であったが、1人がLaw Schoolとのdual degreeのために2年目はLawで過ごすことと、3人が休学から戻ってECから入ってきたため結果的に95人に増えた。”How was your summer”の会話を94人とするイメージだ。授業後もSpangler Lawnという芝生に出て会話が続き、その後も17:00-19:00でFelipe’sというレストランでセクションで会話を続けた。それでも95人とは話せるわけではないので、徐々に話をしていく感じになると思う。

水曜日からはElective(選択科目)の授業がスタートした。選択科目はXスケジュールと呼ばれる月、火に行われる枠とYスケジュールと呼ばれる木、金のどれかに2回行われる枠に大きく分かれており、Xから何科目、Yから何科目、と取ることになる。月や金が休みの時には、水曜日はその日の代わりとして使われる。Xだけ、Yだけ、に寄せるには、IPと呼ばれるIndependent Study、1月のFieldプログラムの選択、他学部聴講などの方法を基本的には2つ取る必要がある。つまりHBSのメッセージは「2年目も毎日学校に来なさい」だ。このElectiveの科目もビッドして取れるかどうかのシステムとなっており、きちんと考えない、または運が悪いと取りたい科目が取れない、ということになる。

僕は幸いにも取りたい科目を取ることができた。Xスケジュールで”Globalization and Emerging Markets” (GEM)と”Founders Dilemma” (FD)の2科目を取り、Yスケジュールで”Entrepreneurial Finance”、”Strategy and Technology”、”Negotiation”の3科目を取る予定だ。

GEMはBGIE (Business Government and International Economy)という1年目の必修科目の続きのBGIE2といったかんじ。BGIEが米国、中国、日本、ドイツなど先進国がメインだったのに対して、GEMは新興国に焦点を当てる。最初のケースがPakistanで、次がAngoraといえばどのくらいのサイズの国か大体イメージがつくかと思う。教授はReinertで昨年の授業評価が高く期待していたが、初回の授業は期待通りの手腕で授業をリードしてくれ、これから楽しみだ。

FDはおそらく今年のECで最も人気の授業の一つで、第一希望にした人も取れていない人がいるというくらいの人気だ。内容がEntrepreneurshipという人気のテーマに加え、1クラスの開講と人数が限られており、かつ教授がGhoshという非常に有名な元起業家であることも大きい。初回の授業の内容もかなり面白く、今学期で最も楽しみな授業の一つだ。

Entrepreneurial Financeも非常に人気の高い授業の一つだ。内容は、誰から、どのくらい、どのような条項で資金調達をするか、など起業におけるファイナンスを扱う。僕がとったのはBob WhiteというBain Capitalのfounding partnersの教授で、この授業も抜群に面白い。内容が僕の興味関心にあっていることに加えて、教授の進め方がうまく、そこに参加しているクラスメイトがVC、PE、Startup経験者が多く、ディスカッションも深くなる。学べるものが多そうな授業だ。

Strategy and Technologyはテクノロジー業界にかなり特化した科目だ。教授はDavid Yoffieというbrowserからsemiconductorまでどっぷりと研究を行っている人でacademicの第一人者であることに加え、Intel、Tivo、Mobileyeの社外取締役を行っており、実務的な話もできる。初回はテクノロジー予測の資料を読ませた上で、「今後テクノロジー業界でどんな変化が起こるのか、それでどのような機会が生まれるのか、どのプレイヤーがどんな戦略でそれにアプローチしているのか」、について議論させるなどHBSのケース方式と違った教え方をする人で、新鮮だ。クラスメイトもテック系のバックグラウンドがある人が多く、彼らとのつながりも楽しい。

NegotiationはHBSの選択科目の中でも準必修のような位置付けで、授業開講数も多く、ほとんどの人が取る。教授の選択が重要となるのだが、僕は他の授業の時間割の関係で希望していた教授の授業を取ることができなかった。僕の教授はMichael Wheelerというとても学者肌の人で特別良くはないが悪くもない印象。最初の2回の内容はとても面白く、実践的であり、学びが多そうな授業だ。

まだ1、2回しか受けていないが、僕が選択したECの授業はRCよりも課題の量が多くなっていると感じる。1年目はケースを読めばよかったのが、2年目の授業はそれ以外のrequired readingやreflectionなど+αがついているという感じだ。1年目で学んだ内容がベースになっており、2年目はより専門的になっているためかもしれない。しっかり学ばせてくれようというHBSの親心なのかもしれないが、予想よりもアカデミックに時間をかけなければいけなさそうだ。

並行して、クラスメイトとも適宜キャッチアップをしている。一緒にランチを食べたり、お茶をしたり、と。2年目は授業がそれぞれの学期で11月、4月に終わるため、実質クラスメイトの多くがキャンパスにいるのは9月-11月、2月-4月の6ヶ月程度であり、実はそんなに日がない。HBSに来た目標の一つは世界的な人的ネットワークと卒業後も頻繁に連絡を取るような仲間を作ることであり、それに向けて定期的に友人と会っていきたい。

また、キャリアについても今学期はより時間を使う予定だ。日本に一時帰国して感じたが、やはり日本は生活面や家族・友人がいるという点でとても居心地がよく、しかも起業する上でも競争が米国ほど激しくないため、機会もありそうだ。一方、アメリカは生活コストが高く、生活面で不便も多く、人材が集まっているために競争も激しい。米国労働ビザが抽選であるという不安定性も課題だ。日本人MBA生の90%以上が日本に帰るというのは自然な選択だと思う。

ただ、アメリカの方がビジネスの速度が速く、競争が激しいからこそ僕は面白いかと思う。ネイティブでない国で働くのはきっとしんどい。だけれどそれは、自分が成長する余地が大きいということだ。また、テクノロジーの業界ではシリコンバレーが今でも変化を生み出す中心だ。せっかくだったら、変化が起こせる人たち、一番すごいやつらがいるところで自分がどこまでやれるのか試してみたい。多分、その挑戦が、後から振り返った時につながるはず。だから、卒業後にテクノロジーの業界でアメリカに残ることを第一の目標にして、今学期は動いていきたいと思う。

Ruby on Rails Dev 1

ボストンに帰宅してから、暖めていたサービスの開発を進めている。コードのベースは前々職からの友人の有吉が創業者のWOZ Incに依頼して作ってもらい、僕はそのベースから開発を進めている。サービス名はCareLingo。違う国にいて病気になった時にどうしたら良いかわからない移民や海外旅行者を対象に、適切な医療機関や薬を見つけることを助けるサービスだ。

CareLingo

Herokuにアップロードするのはそんなに難しくないかと思っていたのだが、環境整備含めて、想像以上に大変だった。。。

  1. Rubyを2.2.4へアップデートできない
    • rbenvを使っていたのだが、ダウンロードしたのが昨年と遅く、rbenv -versionsでも2.2.4がない。よってrbenvのアップデートが必要
    • MacでHomebrewを使っているのでbrew updateしようとしても、更新されたOSとの相性が悪いようで、Homebrewによる更新できない
    • 解決:最終的にはGitHubの下記のコードで解決
      sudo chown -R $(whoami):admin /usr/local
      cd $(brew --prefix) && git fetch origin && git reset --hard origin/master
  2. HerokuにはGitを使うのだが、Gitの使い方わからない
    • Bitbucketからファイルを手動でダウンロードして、git initして、add、commit、pushして、といじってみる。使い方わからず、自分でコードアップデートしてからこれどうすれば良いの、という感じ。
    • Git初心者用サイトを見て学ぶ。ようやくadd, commit, push, fetch, merge, pullのロジックがわかるようになる。
    • Bitbucketのmasterをcloneして進めた方が良いということに気づき、cloneしてHerokuにアップロードする
  3. Localサーバー上でデータベースの内容が反映されていない。なぜ?
    • 原因:そもそもテーブルが作られておらず、データも流し込まれていなかったから。
    • 解決:rails rake db:migrate、rake db:seedを行いました。
  4. Herokuにつなごうとするとエラーが出る。なぜ?
    • 原因:gemfileのRubyのversionを2.2.4に指定していなかったから。また、DBの本番環境用設定をしていなかったから。
    • 解決:database.ymlファイルでPostgreを入れ、gemfileのRuby versionを修正して、一応サーバー上で見れるように。
  5. Herokuで2ページ目以降に行くとエラーが出る。どうして?
    • 原因:データベースをheroku上で作っていなかったからでした。。
    • 解決:heroku run rake db:migrate、heroku run rake db:seedをすることでデータを入れることに成功
  6. rake db:seedを二回行って、重複するデータを登録してしまう
    • 原因:rake db:seedは重複したものも追加することを知らず、同じseedを二度行ってしまう。roll backもできないことを知りませんでした。。
    • 解決: rails db consoleから、.tablesでテーブルの名前を確かめ、地道に全てのテーブルから重複行を DELETE FROM [tablename] WHERE id >= xで削除。追加すべきデータはrails consoleからmodel.newとmodel.saveで追加しました。

すごく初歩的な話だと思いますが、解決するまでに3日かかってます。特に最初のRubyのHomebrew -> rbenvは今までただ単にダウンロードしていたもので、これらがどんな役割を果たしているのかをあまり理解していなかったため、その理解も含めて相当時間かかりました。中身のわからないものをダウンロードして使うのは、使えているうちは良いのですが、何かトラブルがあった時に修正方法が分からず困る、というのを身を持って痛感。

ともあれ、ようやく自分で開発して、それをアップデートしていく、という環境が整いました。テクノロジー系で経営をするのであれば、自分もエンジニアリングができた方が良いというのもありますが、そもそもゼロからサービスを作っていくのは楽しい。構想から形にするところまでできる経営者になれるよう、卒業までコツコツとやっていきたいと思います。

Summer in NY – 2

New Yorkでの4週間のインターンも今週で終わり、ボストンへ戻る。インターンはそれ自体から学ぶ事があったのはもちろん、働いて何かしらの価値を生んでいる感覚は久しぶりで、心地よかった。

今回は日系企業の米国支社でのインターンだったが、これまで自分が経験してきた日系企業の本社、外資系企業の日本支社の経験と比べてみるとなかなか面白い。CPT (Curricular Practical Training)としてインターンについてのレポートを書かないといけないので、その下書きをここに書いてみる。

まず、マネジメントスタイルについては以下のように感じる。

  • 創業者がマネジメントにいる企業は、創業者がカルチャーを作っている。創業者が細かく、数字にこだわり、透明性を重視して、現場に良く足を運び、ハードワーカーであれば、その他の人も創業者に習い、細かく、数字にこだわり、透明性を重視して、現場に良く足を運び、ハードワーカーになるようになっていく。創業者は企業の文化を作ると同時にロールモデルとなる。そして強い企業文化を持つ企業は、働き方に対して、国の文化よりも強い影響力を持つ。
  • 企業の成長速度は創業者、マネジメントの意思決定の早さに比例する。僕の米系と日系の創業者と接した経験では、どちらも意思決定が早く、大胆だった。「Aという問題があってBをしたら良いと思う」、とこちらがいうと「すぐやれ」なのか「それはCという理由で違う。Dのはずだ。(数字を見せられて)ほら、Dだろう」のように返ってくるか、のどちらかだ。創業者が細部まで理解しているので、話が圧倒的に早い。僕が働いた企業では創業者との関わりで、「それではそれを持って帰って審議する」、というパターンにはなったことがない。2社の事例なので普遍性はないが、創業者のそのスピード感や物事のさばき方は企業の成長速度を高めていると感じる
  • 本社か、本社でない場所で働くかによって、マネジメント層に入れるかどうかの機会が大きく異なる。どの企業でもやはり一定レベル以上の方針や人事を決めるのは本社であり、本社の方が強い力関係を持っている。日系であれ米系であれ、本社との人的なつながりが日々の仕事と中長期的なキャリアパスの両方の鍵となるのは共通している印象。言語や文化の面で、本社のマネジメント層と共通項のあるような企業に入った人の方が、評価されやすい印象。
  • 本社が強すぎる場合、支社で働く人はモチベーションを失ってしまうことがしばしばある。本社勤務の方がより大きな責任範囲が用意されることも多い。企業が急成長していて機会が豊富にある新興企業か、支社から本社へのルートが整備されている大企業でないと、支社で優秀な人材をリクルートして、保つのは難しいだろう。

同時に、日米の働き方の違いについては、以下のように感じた。

  • アメリカで働く人の方が専門性への意識が高い。日本で働く人は総合職がローテーションしていくのが一般的なのに対し、こちらでは専門性が重視される。特にニューヨークやボストンで働く若い世代は専門性を磨いてキャリアを築いていくという意識が強く、仕事と並行して違う職を持っていたり、独立のための準備をしていたり、大学院に通う人も一定割合いる。アメリカ人のキャリアへの関心が強い層に関しては競争が激しい分、目の前の仕事に追われがちな日本人よりキャリアに関して真剣に考えている印象。専門性を磨くために、同じ職種で違う企業へ転職してステップアップしていくのが一般的なこともあり、社外の機会に関してもアンテナをきちんと張っている。
  • アメリカの方が新陳代謝が早い。できる人は早いプロモーションを期待するし、実際に早くプロモーションされていく。プロモーションが見送られる理由で辞める人の割合も20代、30代では日本より多い印象。一方で、パフォーマンスを上げられない人は日本はクビにするのが難しいために閑職に追いやるなどの方法をとるが、こちらでは日本よりは解雇が容易なためにクビにする(しかし、訴えられるという法的リスクがあるために、ある程度以上の規模の企業ではきちんと評価プロセスを踏んで解雇しているという印象)。5年、10年というスパンで人を見ていく日本の企業よりも評価の期間が短く、アメリカ人の方がみな毎回のパフォーマンス評価に対して真剣な印象。
  • ネットワーキングが重要。このポジション空いているのだのような話は、公開される前に、コミュニティの中でぽっと出てきたりする。コミュニティは卒業した大学、専門性、人種、などに分かれており、定期的に集まっている場合も多い。この大学コミュニティは日本と比べるとかなり強い。

総合的に見て、僕は米国の専門性と効率性を重視した企業カルチャーは好きだ。常に努力し続けないとポジションが保障されないという点で全ての人にとって優しいカルチャーだとは思わないが、パフォーマンスを上げていればより早く機会が得やすいという点が良い。また、様々な専門性を持った人たちと会話するのも楽しい。

MBAで学んだことが役立ったかという点については、今回の仕事が前職で行っていた業務の一部とかなり近いものであったこともあり、授業で学んだことというよりは前職での経験や同級生と接する中で身につけたコミュニケーションスキルの方が役立ったという印象だ。僕にとっては留学が初めての海外生活であったため、仕事をする前の1年間、こちらの文化やコミュニケーションのスタイルを経験したことによって、職場でもコミュニケーションがよりスムーズにできるようになったと思う。きっとMBAで学んだ内容の効果は、マネジメントポジションについてからより感じるのだろう。

今回のインターンを通じて、あらためて自分は何か小さくてもビジネスを生み出し、経営したいと感じた。創業者を見ていて思うのは、ビジネスが子供のようで、長時間働いていても全く苦ではなさそうなこと。毎日毎日、「好きなこと」を続けられるというのは幸せであり、そんな生活にしたい。

また、仕事の内容としても、僕はやはり何か新しいものを生み出すこと、新しい挑戦を続けること、が好きだと感じた。今回の4週間は分析、提案作成、プレゼンテーションが主で、それはそれで得るものが多かったが、やはり自分でやってみて、結果まで見ていないので気持ち悪さが残る。自分の考えが世の中でどう受け止められるのか、実際にやってうまくいかせたいと思うし、そこまでやらないと僕自身は仕事の価値をあまり感じることができない。また、小さくても良いので、広い範囲を見れて、週ごと、月ごとくらいにやることが変わるような、そういう常に自分が新しいものにチャレンジできるような仕事の方が、僕は向上心と好奇心が満たされて良いと感じた(楽しかった瞬間を思い返すと、部署が変わった後、転職した後、HBSへ来た後、と自分が伸ばされた時、そして伸びた場所で結果を出せた時だ)。

今回のインターンシップを通じて、自分のなりたい姿はより明確になったように思える。僕は常に変化し続け、挑戦的な場で、新しいものやサービスを生み出して、それを世界的な規模で展開していたい。それを果たすためにも、MBA、プロダクトマネジメントの経験、あとはプログラミングのスキルは役立つだろう。8月はコーディングをして、自分でサービスをローンチするところまでやりたい。

Summer in NY

6月終わりからNYでの4週間のインターンが始まって、1週間が経過した。業界はアパレルで初めての業界ということもあり、毎日学ぶことが多くて楽しい。

いくつか気付いたこと。

  • サプライチェーンマネジメントが非常に重要。アパレルはパターン x サイズ x 色と掛け算で商品点数が増える上にシーズンがあり、売れる時期が限定されている。売り逃がし(stockout)しないように生産、物流を行い店頭または店頭近くの倉庫で在庫を持つ必要があるが、在庫を持ちすぎるとシーズン中に売れずに、値引き率を高くするか場合によっては廃棄しなければならなくなる。このあたりが商品点数が比較的限定されており、販売できる期間が比較的長いエレクトロニクスの製品よりも難しい(エレクトロニクスは部品点数が多くサプライチェーンが複雑になりやすいなどそれ相応の難しさもあるが)
  • コントロールできない天候の影響が大きい。雨が降る、暖冬、などでお客様の流れが大きく変わる。先々の天候まで読むのが難しいので、予想の精度を上げるのに苦労する。
  • 店頭でのオペレーションが勝負。サービス業のマーケティングを考えるときには4P (Product, Price, Place, Promotion)に加えてPeople、Processの2つを加えた6Pというフレームワークがあるが、アパレルの場合は特にPeopleが重要と感じた。店頭を綺麗、整頓されてかつ在庫がある状態に保つのはProductを見せる上で基本だが、それを行うのはPeopleだ。アパレルはお客様が商品を試すため、放っておくと商品があっちこっちに行ったり、店頭がごちゃごちゃになりやすい。Peopleへのオペレーションの原則をいかに徹底できるかで店頭の実力が出ると感じた。Product、Place、Peopleの3つの要素がリテールで特に重要。

同時に、ニューヨークでの生活も、博物館やブロードウェイのショーを観に行く、Citi Bikeで街中を回るなど楽しんでいる。あと3週間、せっかくのニューヨークなので楽しみたい。

病気になりにくい生活とは

新しいサービスを考える過程で、病気になりにくい生活を実現するにはどうしたら良いかをリサーチしています。簡単にまとめましたので、共有します。食事、睡眠、運動、その他の生活習慣を見直すことで、病気のリスクを下げることができます。

食事

健康に良いと科学的に証明されているものを摂るようにし、健康に悪いと証明されているものを置き換えていく*1, *2

健康に良い食物:(1)オリーブオイル、(2)ナッツ類、(3)魚、(4)野菜と果物(フルーツジュースは逆に健康に悪い)、(5)食物繊維を多く含む雑穀類(全粒粉含む)。

健康に悪い食物:(1)赤い肉(牛肉や豚肉。ハムやソーセージなどの加工肉は特に悪い。鶏肉は問題無い)、(2)炭水化物・糖質

睡眠

7.5 – 8.5時間/日の睡眠をとること。寝る時間、起きる時間の習慣を一定にすること。寝る前の激しい運動を避けること、カフェインやアルコールなど刺激物を避けることで、眠りの質を上げることができる。*3

運動

1日30分以上早足で歩くなど、適度な身体運動を行うこと。身体運動は徒歩通勤など生活の中で体を使うこととランニングなどの運動の2つがあり、生活の中で体を使うことによっても身体運動を行うことができる。*4

その他の生活習慣

リラックスできる習慣を取り入れる。ヨガや瞑想はストレスを減らす効果がある。

また、人との繋がりが多いことも病気のリスクを減らす。*5

行動を変えるためには、良い行動を行う可能性を高める要因を特定し、増やし、逆を減らすべき*6

参考

*1 科学的根拠に基づく、「本当に体に良い食事」とは?

*2 「難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!」水上治

*3 Get Sleep (Harvard Medical School Website)

*4 Harvard T.H. Chan School of Public Health

*5 「命の格差は止められるか ハーバド日本人教授の、世界が注目する授業」 イチロー・カワチ

*6 健康行動をさまたげるもの (厚生労働省)