EC (Elective Curriculum)が始まって変わったこと

EC (Elective Curriculum、HBSの2年生)も2週間が過ぎ、だいぶリズムがつかめてきました。1年目と比べると下記のような変化がありました。

授業に使う時間がまた増えた

僕が要求の多い授業を多く取っているからかもしれませんが、1年目の内容が前提になっているより専門的な内容を扱っており、全体的に予習で読む量も長くなっています。ReflectionなどAssignmentの量も多く、結果として一つ一つのケースに2時間は最小でかかっているため、3ケースある日の前は机にいる時間が長くなっています。現状、9月は1日の28%の時間(約7時間)を授業と予復習で使っており、これは一番の誤算。

家族・友人と過ごす時間が増えた

妻がボストンに来たこと、HBSも2年目となって最後の1年なことから、家族・友人と過ごす時間が増えました。特に夏にSoldiers Field Parkというアパートに寮から引っ越したので友人を家に呼ぶことができるようになりました。授業後に買い物して、友人を家に呼んで、妻と料理を作って、飲みながら話をして、としているとあっという間に夜です。その後にケースを読む、という生活を週に1、2日しています。9月の1日の平均は家族・友人で16%で約4時間とまあまあ。

キャリアに使う時間が増えた

卒業後はアメリカのTech業界にいたいと思っているので、知識をより深めるべく、一般紙に加えて業界のニュースも追うようになりました。この業界、変化が激しい上に広いために毎日読むだけでも時間がかかっています。今はTech Crunch (US)、News Picks (JP)でTech業界を追って、Financial Times、日経新聞で一般のニュースを読んでいますが、ブログなどの更新と合わせて毎日1時間くらい使っているので、もう少し効率化したいところ。本当はTwitterなどでも追った方が良い人がいるのは知っているのですが、なかなか手が回っていません。また、製品開発を通じて自分のcodingスキルも高めたいと思っていますが、こちらもまだまだ。

あとはトレーニングを始めました。HBSでは定期的にトレーニングをしている人が多く、「トレーニングをしてないとProfessionalでない」、というようなpeer pressureを個人的に感じています(特に仲の良い友人が定期手にトレーニングをしてたくましい体をしている場合)。トレーニングをして健康的かつたくましい肉体を持っていることで良い印象を与えるならばそれはやった方が良いことなので、筋骨隆々、まではなれなくとも、他人から見てきちんとfitな体格だと思われるレベルまでは体を持っていこうとしています。HBSではShadというジムがあり、定期的に運動のクラスもあるためにそれをうまく利用しようかと。

そんな感じでRC(1年目)は機会に対応しているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいましたが、2年目になって、自分の時間をより学業、人間関係、キャリアと自分の割り振りたいように割り振れるようになってきています。睡眠も7.5時間を平均的に取れているので理想的。

MBAの忙しさは、学校によるのはもちろん(HBSは2年制の中では学校からのrequirementがかなり多い方に属します)、時間が経つにつれて変わっていく印象です。1年目の特に最初の方はあっぷあっぷになるかもしれませんが、時が過ぎると自分でコントロールできる割合が増える傾向があると思いますので、在校生・受験される方もそれに合わせて2年間の過ごし方を計画すると良いかもしれません。

EC (Elective Curriculum)スタート

今週よりEC (Elective Curriculum)の年がスタートした。昨年はHBS1年目ということでこれからどんな機会が待っているのだろう、どんな人と出会うのだろう、と初めて尽くしでドキドキ緊張していたが、2年目となるとHBSにどんな機会があるのかも大体分かっているし、同学年も約900人のうち200人程度とはなんだかんだで友人になっているので、新しい人たちの中に入るというよりは、むしろ居心地の良い場所に帰るという感覚だ。

それでも居心地の良い場所だからゆっくり、ともならないのがHBSでの生活。火曜日はEC WelcomeというSectionで集まって夏の振り返りと2年目をどう過ごすのかについて話す会があった。夏ぶりということで、久方ぶりのセクションメイトに会った皆は大盛り上がり。いたるところで、”How was your summer?”から会話が始まり、それぞれが夏の思い出を語り合った。うちのセクションはもともと93人であったが、1人がLaw Schoolとのdual degreeのために2年目はLawで過ごすことと、3人が休学から戻ってECから入ってきたため結果的に95人に増えた。”How was your summer”の会話を94人とするイメージだ。授業後もSpangler Lawnという芝生に出て会話が続き、その後も17:00-19:00でFelipe’sというレストランでセクションで会話を続けた。それでも95人とは話せるわけではないので、徐々に話をしていく感じになると思う。

水曜日からはElective(選択科目)の授業がスタートした。選択科目はXスケジュールと呼ばれる月、火に行われる枠とYスケジュールと呼ばれる木、金のどれかに2回行われる枠に大きく分かれており、Xから何科目、Yから何科目、と取ることになる。月や金が休みの時には、水曜日はその日の代わりとして使われる。Xだけ、Yだけ、に寄せるには、IPと呼ばれるIndependent Study、1月のFieldプログラムの選択、他学部聴講などの方法を基本的には2つ取る必要がある。つまりHBSのメッセージは「2年目も毎日学校に来なさい」だ。このElectiveの科目もビッドして取れるかどうかのシステムとなっており、きちんと考えない、または運が悪いと取りたい科目が取れない、ということになる。

僕は幸いにも取りたい科目を取ることができた。Xスケジュールで”Globalization and Emerging Markets” (GEM)と”Founders Dilemma” (FD)の2科目を取り、Yスケジュールで”Entrepreneurial Finance”、”Strategy and Technology”、”Negotiation”の3科目を取る予定だ。

GEMはBGIE (Business Government and International Economy)という1年目の必修科目の続きのBGIE2といったかんじ。BGIEが米国、中国、日本、ドイツなど先進国がメインだったのに対して、GEMは新興国に焦点を当てる。最初のケースがPakistanで、次がAngoraといえばどのくらいのサイズの国か大体イメージがつくかと思う。教授はReinertで昨年の授業評価が高く期待していたが、初回の授業は期待通りの手腕で授業をリードしてくれ、これから楽しみだ。

FDはおそらく今年のECで最も人気の授業の一つで、第一希望にした人も取れていない人がいるというくらいの人気だ。内容がEntrepreneurshipという人気のテーマに加え、1クラスの開講と人数が限られており、かつ教授がGhoshという非常に有名な元起業家であることも大きい。初回の授業の内容もかなり面白く、今学期で最も楽しみな授業の一つだ。

Entrepreneurial Financeも非常に人気の高い授業の一つだ。内容は、誰から、どのくらい、どのような条項で資金調達をするか、など起業におけるファイナンスを扱う。僕がとったのはBob WhiteというBain Capitalのfounding partnersの教授で、この授業も抜群に面白い。内容が僕の興味関心にあっていることに加えて、教授の進め方がうまく、そこに参加しているクラスメイトがVC、PE、Startup経験者が多く、ディスカッションも深くなる。学べるものが多そうな授業だ。

Strategy and Technologyはテクノロジー業界にかなり特化した科目だ。教授はDavid Yoffieというbrowserからsemiconductorまでどっぷりと研究を行っている人でacademicの第一人者であることに加え、Intel、Tivo、Mobileyeの社外取締役を行っており、実務的な話もできる。初回はテクノロジー予測の資料を読ませた上で、「今後テクノロジー業界でどんな変化が起こるのか、それでどのような機会が生まれるのか、どのプレイヤーがどんな戦略でそれにアプローチしているのか」、について議論させるなどHBSのケース方式と違った教え方をする人で、新鮮だ。クラスメイトもテック系のバックグラウンドがある人が多く、彼らとのつながりも楽しい。

NegotiationはHBSの選択科目の中でも準必修のような位置付けで、授業開講数も多く、ほとんどの人が取る。教授の選択が重要となるのだが、僕は他の授業の時間割の関係で希望していた教授の授業を取ることができなかった。僕の教授はMichael Wheelerというとても学者肌の人で特別良くはないが悪くもない印象。最初の2回の内容はとても面白く、実践的であり、学びが多そうな授業だ。

まだ1、2回しか受けていないが、僕が選択したECの授業はRCよりも課題の量が多くなっていると感じる。1年目はケースを読めばよかったのが、2年目の授業はそれ以外のrequired readingやreflectionなど+αがついているという感じだ。1年目で学んだ内容がベースになっており、2年目はより専門的になっているためかもしれない。しっかり学ばせてくれようというHBSの親心なのかもしれないが、予想よりもアカデミックに時間をかけなければいけなさそうだ。

並行して、クラスメイトとも適宜キャッチアップをしている。一緒にランチを食べたり、お茶をしたり、と。2年目は授業がそれぞれの学期で11月、4月に終わるため、実質クラスメイトの多くがキャンパスにいるのは9月-11月、2月-4月の6ヶ月程度であり、実はそんなに日がない。HBSに来た目標の一つは世界的な人的ネットワークと卒業後も頻繁に連絡を取るような仲間を作ることであり、それに向けて定期的に友人と会っていきたい。

また、キャリアについても今学期はより時間を使う予定だ。日本に一時帰国して感じたが、やはり日本は生活面や家族・友人がいるという点でとても居心地がよく、しかも起業する上でも競争が米国ほど激しくないため、機会もありそうだ。一方、アメリカは生活コストが高く、生活面で不便も多く、人材が集まっているために競争も激しい。米国労働ビザが抽選であるという不安定性も課題だ。日本人MBA生の90%以上が日本に帰るというのは自然な選択だと思う。

ただ、アメリカの方がビジネスの速度が速く、競争が激しいからこそ僕は面白いかと思う。ネイティブでない国で働くのはきっとしんどい。だけれどそれは、自分が成長する余地が大きいということだ。また、テクノロジーの業界ではシリコンバレーが今でも変化を生み出す中心だ。せっかくだったら、変化が起こせる人たち、一番すごいやつらがいるところで自分がどこまでやれるのか試してみたい。多分、その挑戦が、後から振り返った時につながるはず。だから、卒業後にテクノロジーの業界でアメリカに残ることを第一の目標にして、今学期は動いていきたいと思う。

F1ビザでのアメリカの税金

アメリカの税制制度は日本以上に複雑。F1ビザ保有者として、僕がこれまで米国の税に関して行ったことを書いてみた。正確でない可能性も高いが、日本語での情報が極端に少ないので、同じように悩む人のガイドラインとして。

米国内で収入がないときのF1ビザでの税金

2016年度はアメリカに来た年であり、米国国内からの収入もなかったため、僕は①銀行では口座開設時にW8-BENを、②Tax SeasonにIRSへForm 8843を提出した。税金はresident alienであれば全世界ベースの収入に、non-resident alienであれば米国内での収入に税金がかかる。

通常はresidentかどうかはSubstantial Test(過去数年の滞在日数までさかのぼって判定される)で判定されるが、Fビザの留学生の場合はForm 8843を提出することでresident認定を免除できる。つまり、米国国内で収入がない場合は、Form 8843のみの提出だけで済む。

米国内で収入があるときのF1ビザでの税金

しかし、2017年にはCPT (Curricular Practical Training)を行って米国内で収入を得ることと、税と紐付けがされるSocial Security Numberを手に入れたことで、やや複雑になった。

銀行にSocial Security Numberを登録したせいか、銀行からは再度の手続きが必要とW8-BENに加えてW-9 Formというresident alien向けの書類が送られてきた。Form 8843で税法上はnon-resident alienということでW8-BENで済むはずだと調べて、結局W8-BENのみを記載した。

Ruby on Rails Dev 1

ボストンに帰宅してから、暖めていたサービスの開発を進めている。コードのベースは前々職からの友人の有吉が創業者のWOZ Incに依頼して作ってもらい、僕はそのベースから開発を進めている。サービス名はCareLingo。違う国にいて病気になった時にどうしたら良いかわからない移民や海外旅行者を対象に、適切な医療機関や薬を見つけることを助けるサービスだ。

CareLingo

Herokuにアップロードするのはそんなに難しくないかと思っていたのだが、環境整備含めて、想像以上に大変だった。。。

  1. Rubyを2.2.4へアップデートできない
    • rbenvを使っていたのだが、ダウンロードしたのが昨年と遅く、rbenv -versionsでも2.2.4がない。よってrbenvのアップデートが必要
    • MacでHomebrewを使っているのでbrew updateしようとしても、更新されたOSとの相性が悪いようで、Homebrewによる更新できない
    • 解決:最終的にはGitHubの下記のコードで解決
      sudo chown -R $(whoami):admin /usr/local
      cd $(brew --prefix) && git fetch origin && git reset --hard origin/master
  2. HerokuにはGitを使うのだが、Gitの使い方わからない
    • Bitbucketからファイルを手動でダウンロードして、git initして、add、commit、pushして、といじってみる。使い方わからず、自分でコードアップデートしてからこれどうすれば良いの、という感じ。
    • Git初心者用サイトを見て学ぶ。ようやくadd, commit, push, fetch, merge, pullのロジックがわかるようになる。
    • Bitbucketのmasterをcloneして進めた方が良いということに気づき、cloneしてHerokuにアップロードする
  3. Localサーバー上でデータベースの内容が反映されていない。なぜ?
    • 原因:そもそもテーブルが作られておらず、データも流し込まれていなかったから。
    • 解決:rails rake db:migrate、rake db:seedを行いました。
  4. Herokuにつなごうとするとエラーが出る。なぜ?
    • 原因:gemfileのRubyのversionを2.2.4に指定していなかったから。また、DBの本番環境用設定をしていなかったから。
    • 解決:database.ymlファイルでPostgreを入れ、gemfileのRuby versionを修正して、一応サーバー上で見れるように。
  5. Herokuで2ページ目以降に行くとエラーが出る。どうして?
    • 原因:データベースをheroku上で作っていなかったからでした。。
    • 解決:heroku run rake db:migrate、heroku run rake db:seedをすることでデータを入れることに成功
  6. rake db:seedを二回行って、重複するデータを登録してしまう
    • 原因:rake db:seedは重複したものも追加することを知らず、同じseedを二度行ってしまう。roll backもできないことを知りませんでした。。
    • 解決: rails db consoleから、.tablesでテーブルの名前を確かめ、地道に全てのテーブルから重複行を DELETE FROM [tablename] WHERE id >= xで削除。追加すべきデータはrails consoleからmodel.newとmodel.saveで追加しました。

すごく初歩的な話だと思いますが、解決するまでに3日かかってます。特に最初のRubyのHomebrew -> rbenvは今までただ単にダウンロードしていたもので、これらがどんな役割を果たしているのかをあまり理解していなかったため、その理解も含めて相当時間かかりました。中身のわからないものをダウンロードして使うのは、使えているうちは良いのですが、何かトラブルがあった時に修正方法が分からず困る、というのを身を持って痛感。

ともあれ、ようやく自分で開発して、それをアップデートしていく、という環境が整いました。テクノロジー系で経営をするのであれば、自分もエンジニアリングができた方が良いというのもありますが、そもそもゼロからサービスを作っていくのは楽しい。構想から形にするところまでできる経営者になれるよう、卒業までコツコツとやっていきたいと思います。

クレジットカードとクレジットスコア

アメリカで生活する上で、なくてはならないクレジットカード。日本ではクレジットカードは現金を持ちあるかなくとも済む、ポイントがつくので現金支払いよりも得、というメリットはあるが、アメリカではその人個人の信用度に関わってくる問題で、持っていないとローンすら組めない。クレジットスコアという、この人がどのくらいお金に関して信頼度できるスコアがクレジットカードの所有と利用を通して築かれるからだ。

クレジットスコア

クレジットスコア大国のこの国では、その人がお金を貸す際にどれくらい信頼できるかというこの指標が車や住宅ローンを組む時のみならず、就職の際にも参照されるということで、良いクレジットヒストリーを築くことが社会的に有利になる。

僕は幸いにも1年目の渡米直後でBank of AmericaのCash Rewardsというクレジットカードを作ることができ、つい先日2枚目のTravel Rewardsカードを作ることにした。妻用のクレジットカードが必要だったことが主な理由だったが、2枚目のカードを持つことは、Bank of Americaの人の説明によると、①複数のカードをマネージできる、②トータルの限度額が上がる、ということでクレジットスコアにとってプラスになるとのこと。

気になって調べてみたところ、「クレジットスコアを高く維持するには」にたどり着いた。このサイトによれば、クレジットスコアを高く維持するには下記が必要とのこと。

  1. 期限通りに毎月きちんと支払う
  2. 複数枚のカードを持ち、使う。理想は限度額に対して利用額が少ない状態。限度額ギリギリまで使わない。限度額の50%程度まで使ったら支払う。
  3. 古いアカウントも破棄せずに適度に使う。長く使っているカードがあるほど、平均利用年数が伸びてスコアに好影響。
  4. 銀行や車メーカーが直接取り扱っている良いローン先からローンを組む(12ヶ月間利子のみの支払いで良いなどのサブプライム向けのローンを組まない)
  5. 新規にカードを作りすぎない。事業者からクレジットスコアの問い合わせがある際に、クレジットスコアが下がる可能性がある

新しいクレジットカードを作るのは②にとってプラスになる。①は当たり前だが、②の特に複数枚持った方が良い、限度額まで使い切る前に返した方が良い、というのは知っているのと知らないのだとかなり差が出ると感じた。

クレジットスコア次第で、将来的に車や住宅ローンを組むときに、笑えないくらいの差が出てくる。例えば、30年住宅ローンで、クレジットスコアが760以上であれば年利3.145%に対して、サブプライムに近いとみなされる620程度であると4.73%まで跳ね上がる。この差は3000万円借りると年間48万円くらいの違いになってくるので、これはかなり大きい。

Source: MyFICO

クレジットカードの特典

クレジットスコアに加え、クレジットカードの特典の使い分けでも無視できない差が出る。Cash Rewardsは生鮮食品が2%、ガソリンで3%、その他で1%のポイントがつく一方、Travel Rewardsの方はどの支払いでも1.5%のRewardsとなる。そのため、生鮮食品とガソリンはCash Rewards、それ以外はTravel Rewardsとした方が、得になりそうだ。

生活必需品のクレジットカードと人生について回るクレジットスコア。アメリカで暮らす上ではどちらも理解していた方が有利なため、このゲームのルールに従ってうまく生活したい。

Summer in NY – 2

New Yorkでの4週間のインターンも今週で終わり、ボストンへ戻る。インターンはそれ自体から学ぶ事があったのはもちろん、働いて何かしらの価値を生んでいる感覚は久しぶりで、心地よかった。

今回は日系企業の米国支社でのインターンだったが、これまで自分が経験してきた日系企業の本社、外資系企業の日本支社の経験と比べてみるとなかなか面白い。CPT (Curricular Practical Training)としてインターンについてのレポートを書かないといけないので、その下書きをここに書いてみる。

まず、マネジメントスタイルについては以下のように感じる。

  • 創業者がマネジメントにいる企業は、創業者がカルチャーを作っている。創業者が細かく、数字にこだわり、透明性を重視して、現場に良く足を運び、ハードワーカーであれば、その他の人も創業者に習い、細かく、数字にこだわり、透明性を重視して、現場に良く足を運び、ハードワーカーになるようになっていく。創業者は企業の文化を作ると同時にロールモデルとなる。そして強い企業文化を持つ企業は、働き方に対して、国の文化よりも強い影響力を持つ。
  • 企業の成長速度は創業者、マネジメントの意思決定の早さに比例する。僕の米系と日系の創業者と接した経験では、どちらも意思決定が早く、大胆だった。「Aという問題があってBをしたら良いと思う」、とこちらがいうと「すぐやれ」なのか「それはCという理由で違う。Dのはずだ。(数字を見せられて)ほら、Dだろう」のように返ってくるか、のどちらかだ。創業者が細部まで理解しているので、話が圧倒的に早い。僕が働いた企業では創業者との関わりで、「それではそれを持って帰って審議する」、というパターンにはなったことがない。2社の事例なので普遍性はないが、創業者のそのスピード感や物事のさばき方は企業の成長速度を高めていると感じる
  • 本社か、本社でない場所で働くかによって、マネジメント層に入れるかどうかの機会が大きく異なる。どの企業でもやはり一定レベル以上の方針や人事を決めるのは本社であり、本社の方が強い力関係を持っている。日系であれ米系であれ、本社との人的なつながりが日々の仕事と中長期的なキャリアパスの両方の鍵となるのは共通している印象。言語や文化の面で、本社のマネジメント層と共通項のあるような企業に入った人の方が、評価されやすい印象。
  • 本社が強すぎる場合、支社で働く人はモチベーションを失ってしまうことがしばしばある。本社勤務の方がより大きな責任範囲が用意されることも多い。企業が急成長していて機会が豊富にある新興企業か、支社から本社へのルートが整備されている大企業でないと、支社で優秀な人材をリクルートして、保つのは難しいだろう。

同時に、日米の働き方の違いについては、以下のように感じた。

  • アメリカで働く人の方が専門性への意識が高い。日本で働く人は総合職がローテーションしていくのが一般的なのに対し、こちらでは専門性が重視される。特にニューヨークやボストンで働く若い世代は専門性を磨いてキャリアを築いていくという意識が強く、仕事と並行して違う職を持っていたり、独立のための準備をしていたり、大学院に通う人も一定割合いる。アメリカ人のキャリアへの関心が強い層に関しては競争が激しい分、目の前の仕事に追われがちな日本人よりキャリアに関して真剣に考えている印象。専門性を磨くために、同じ職種で違う企業へ転職してステップアップしていくのが一般的なこともあり、社外の機会に関してもアンテナをきちんと張っている。
  • アメリカの方が新陳代謝が早い。できる人は早いプロモーションを期待するし、実際に早くプロモーションされていく。プロモーションが見送られる理由で辞める人の割合も20代、30代では日本より多い印象。一方で、パフォーマンスを上げられない人は日本はクビにするのが難しいために閑職に追いやるなどの方法をとるが、こちらでは日本よりは解雇が容易なためにクビにする(しかし、訴えられるという法的リスクがあるために、ある程度以上の規模の企業ではきちんと評価プロセスを踏んで解雇しているという印象)。5年、10年というスパンで人を見ていく日本の企業よりも評価の期間が短く、アメリカ人の方がみな毎回のパフォーマンス評価に対して真剣な印象。
  • ネットワーキングが重要。このポジション空いているのだのような話は、公開される前に、コミュニティの中でぽっと出てきたりする。コミュニティは卒業した大学、専門性、人種、などに分かれており、定期的に集まっている場合も多い。この大学コミュニティは日本と比べるとかなり強い。

総合的に見て、僕は米国の専門性と効率性を重視した企業カルチャーは好きだ。常に努力し続けないとポジションが保障されないという点で全ての人にとって優しいカルチャーだとは思わないが、パフォーマンスを上げていればより早く機会が得やすいという点が良い。また、様々な専門性を持った人たちと会話するのも楽しい。

MBAで学んだことが役立ったかという点については、今回の仕事が前職で行っていた業務の一部とかなり近いものであったこともあり、授業で学んだことというよりは前職での経験や同級生と接する中で身につけたコミュニケーションスキルの方が役立ったという印象だ。僕にとっては留学が初めての海外生活であったため、仕事をする前の1年間、こちらの文化やコミュニケーションのスタイルを経験したことによって、職場でもコミュニケーションがよりスムーズにできるようになったと思う。きっとMBAで学んだ内容の効果は、マネジメントポジションについてからより感じるのだろう。

今回のインターンを通じて、あらためて自分は何か小さくてもビジネスを生み出し、経営したいと感じた。創業者を見ていて思うのは、ビジネスが子供のようで、長時間働いていても全く苦ではなさそうなこと。毎日毎日、「好きなこと」を続けられるというのは幸せであり、そんな生活にしたい。

また、仕事の内容としても、僕はやはり何か新しいものを生み出すこと、新しい挑戦を続けること、が好きだと感じた。今回の4週間は分析、提案作成、プレゼンテーションが主で、それはそれで得るものが多かったが、やはり自分でやってみて、結果まで見ていないので気持ち悪さが残る。自分の考えが世の中でどう受け止められるのか、実際にやってうまくいかせたいと思うし、そこまでやらないと僕自身は仕事の価値をあまり感じることができない。また、小さくても良いので、広い範囲を見れて、週ごと、月ごとくらいにやることが変わるような、そういう常に自分が新しいものにチャレンジできるような仕事の方が、僕は向上心と好奇心が満たされて良いと感じた(楽しかった瞬間を思い返すと、部署が変わった後、転職した後、HBSへ来た後、と自分が伸ばされた時、そして伸びた場所で結果を出せた時だ)。

今回のインターンシップを通じて、自分のなりたい姿はより明確になったように思える。僕は常に変化し続け、挑戦的な場で、新しいものやサービスを生み出して、それを世界的な規模で展開していたい。それを果たすためにも、MBA、プロダクトマネジメントの経験、あとはプログラミングのスキルは役立つだろう。8月はコーディングをして、自分でサービスをローンチするところまでやりたい。

Summer in NY

6月終わりからNYでの4週間のインターンが始まって、1週間が経過した。業界はアパレルで初めての業界ということもあり、毎日学ぶことが多くて楽しい。

いくつか気付いたこと。

  • サプライチェーンマネジメントが非常に重要。アパレルはパターン x サイズ x 色と掛け算で商品点数が増える上にシーズンがあり、売れる時期が限定されている。売り逃がし(stockout)しないように生産、物流を行い店頭または店頭近くの倉庫で在庫を持つ必要があるが、在庫を持ちすぎるとシーズン中に売れずに、値引き率を高くするか場合によっては廃棄しなければならなくなる。このあたりが商品点数が比較的限定されており、販売できる期間が比較的長いエレクトロニクスの製品よりも難しい(エレクトロニクスは部品点数が多くサプライチェーンが複雑になりやすいなどそれ相応の難しさもあるが)
  • コントロールできない天候の影響が大きい。雨が降る、暖冬、などでお客様の流れが大きく変わる。先々の天候まで読むのが難しいので、予想の精度を上げるのに苦労する。
  • 店頭でのオペレーションが勝負。サービス業のマーケティングを考えるときには4P (Product, Price, Place, Promotion)に加えてPeople、Processの2つを加えた6Pというフレームワークがあるが、アパレルの場合は特にPeopleが重要と感じた。店頭を綺麗、整頓されてかつ在庫がある状態に保つのはProductを見せる上で基本だが、それを行うのはPeopleだ。アパレルはお客様が商品を試すため、放っておくと商品があっちこっちに行ったり、店頭がごちゃごちゃになりやすい。Peopleへのオペレーションの原則をいかに徹底できるかで店頭の実力が出ると感じた。Product、Place、Peopleの3つの要素がリテールで特に重要。

同時に、ニューヨークでの生活も、博物館やブロードウェイのショーを観に行く、Citi Bikeで街中を回るなど楽しんでいる。あと3週間、せっかくのニューヨークなので楽しみたい。

病気になりにくい生活とは

新しいサービスを考える過程で、病気になりにくい生活を実現するにはどうしたら良いかをリサーチしています。簡単にまとめましたので、共有します。食事、睡眠、運動、その他の生活習慣を見直すことで、病気のリスクを下げることができます。

食事

健康に良いと科学的に証明されているものを摂るようにし、健康に悪いと証明されているものを置き換えていく*1, *2

健康に良い食物:(1)オリーブオイル、(2)ナッツ類、(3)魚、(4)野菜と果物(フルーツジュースは逆に健康に悪い)、(5)食物繊維を多く含む雑穀類(全粒粉含む)。

健康に悪い食物:(1)赤い肉(牛肉や豚肉。ハムやソーセージなどの加工肉は特に悪い。鶏肉は問題無い)、(2)炭水化物・糖質

睡眠

7.5 – 8.5時間/日の睡眠をとること。寝る時間、起きる時間の習慣を一定にすること。寝る前の激しい運動を避けること、カフェインやアルコールなど刺激物を避けることで、眠りの質を上げることができる。*3

運動

1日30分以上早足で歩くなど、適度な身体運動を行うこと。身体運動は徒歩通勤など生活の中で体を使うこととランニングなどの運動の2つがあり、生活の中で体を使うことによっても身体運動を行うことができる。*4

その他の生活習慣

リラックスできる習慣を取り入れる。ヨガや瞑想はストレスを減らす効果がある。

また、人との繋がりが多いことも病気のリスクを減らす。*5

行動を変えるためには、良い行動を行う可能性を高める要因を特定し、増やし、逆を減らすべき*6

参考

*1 科学的根拠に基づく、「本当に体に良い食事」とは?

*2 「難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!」水上治

*3 Get Sleep (Harvard Medical School Website)

*4 Harvard T.H. Chan School of Public Health

*5 「命の格差は止められるか ハーバド日本人教授の、世界が注目する授業」 イチロー・カワチ

*6 健康行動をさまたげるもの (厚生労働省) 

【読書】学力の経済学 – 中室牧子

 

教育効果を経済学的手法を用いて分析した本。主張は「教育はエビデンスベースで議論されるべき」とシンプルであり、教育経済学の研究成果からどのように教育を行うのが費用対効果が高いかを紹介している。

家庭での教育について

  • 教育生産関数(インプット・アウトプットアプローチ)で費用対効果を測定する
  • テストの成績と勉強時間のどちらに対してご褒美をあげるべきか?
    • 成績(アウトプット)よりも勉強の仕方(インプット)の方にインセンティブを与えるべき
    • なぜならば、アウトプットにインセンティブがあっても、それを改善するための方法がわからなければ(勉強方法がわからなければ)効果が出にくいから。
    • また、人は近い将来のインセンティブのほうが割引率が低い(魅力的に感じる)ので、よりモチベーションを上げやすい
      • 遠い将来は近い将来よりも割引率が高くなることを双曲割引と呼ぶ
    • 金銭以外のインセンティブもある。トロフィーなど
  • 成果を上げてほめる時には能力ではなく、努力を褒めるべき。
    • 特に悪い成績を褒めると、自尊心を満たしてしまい、反省の機会を奪う
  • 勉強時間を増やさせたいならば人が関与するべき
    • 勉強しなさいと言うよりも、隣で見ていたり同じ空間にいる方が学ぶ時間が増える
  • 男の子ならば父親が、女の子ならば母親が関わった方が成果が高くなる
  •  人的資本への投資はとにかく小さいうちに行うべき
    • 子供が母の体内にいる時、就学前の幼児教育が最も費用対効果が良い
    • 特に幼児期に非認知能力を育成することが重要
    • 非認知能力とは自己認識、意欲、忍耐力、自制心、メタ認知ストラテジー、社会的適性、回復力と対処能力、創造性、性格的な特性
    • 非認知能力が高い生徒はその後の人生において、テストの点数、卒業率、就職率、収入などの項目で非認知能力が低い生徒よりも勝っている

学校での教育について

  • “Peer effect”(周囲からの影響)を利用する。良い学習環境に子供を入れる
    • クラスの平均的な学力が高いと、クラス全体に正の影響を与える
    • 優秀な生徒の存在は他の優秀な生徒に良い影響を受けるが、平均より劣った生徒に対してはむしろマイナスの影響を与える
    • 問題児の存在はクラス全体に負の影響を与える。学校は早急に対応すべき。
    • 周囲から悪影響を受けている場合は、子供のために環境を変えることが一つの解決策となる
  • 質の高い教員のいる場所を選ぶ
    • 質の高い教員(付加価値の高い教員)との出会いは遺伝や家庭環境の要因での不利を覆すほどの影響力を持つ

教育の政策について

  • 実験と効果測定を行い、費用対効果が高い施策を選んで展開する必要がある
  • 最も費用対効果が高いのは、教育を受けることが将来の収入にもたらす経済的価値を伝えること
    • 費用は低いが、教育への投資意欲を高める上で効果的で費用対効果が高い
  • 少人数学級や子ども手当の支給はコストが高い割に効果が低く、費用対効果の悪い施策
  • 習熟度別学習は効果が高いが、学力の階層を作ってしまうリスクがある
    • 最初に高い習熟度の生徒はどんどん先に進み、低い生徒との差が開いていく
  • 教員へインセンティブを与えること、研修を行うことの効果は大きくない
  • 教員免許は付加価値の向上に繋がっていない。教員免許を廃止して、優れた能力を持つ人が教師になれるようにした方がより良い教育になるのではないか
    • Teach for Americaの教員の付加価値は教員免許を持つ教員と同じかそれ以上であった。しかもばらつきが少なかった
    • 教員免許を持つ教師のうち付加価値が低い人達を教員免許を持たないが付加価値が高い人に入れ替えることで平均が上がる
  • 教育に科学的アプローチを用いることが重要。施策の実験、効果の測定、分析。

教育の効果を科学的に分析するというのは非常に興味深い。子供の教育に関しては、①家庭内での学習を幼児から行う(一緒について勉強してあげるまたは幼稚園、塾や家庭教師などを利用する、インセンティブ設計をうまく行う、非認知能力を伸ばすようにする)、②良い学校教育環境を選んで与える、ことで子供の未来の可能性を伸ばしたいと感じた。

 

 

東京での時間の過ごし方

Japan Trekが終わり、早10日。この期間は家族と久方ぶりにゆっくり3日過ごし、それ以外は友人や医者、エンジニアなど様々な人と会い、本を読み、新しいアイデアを考える日々だ。デジタル x ヘルスケアの分野でいくつか考えていること。

  • 人工知能を用いた機械と人とのコミュニケーションはこれから面白くなる。特にBotは進化が早く面白い。現在は人工「無能」のBotが主だが、特定用途での人工「知能」のBotは今後2、3年でかなり発展し、普及するだろう。おそらく最初はサポート業務やECの購買サポートあたりから始まるのではないか。FacebookのWit.aiを始めとしたプラットフォームも使い勝手がより上昇して、より多様なリクエストに応えられるBot作成を加速させるようになるのだろう。
  • ただし、問い合わせ対応以上のコミュニケーション用途に人工知能を実用レベルで使うまでにはまだまだ課題が多そう。自然言語解釈、表現の揺れへの対応、など。スタートアップでやるためには用途特化してできるだけシンプルにする必要があるか。
  • どうすれば健康に長生きできるか、という課題はPublic Healthの研究レベルでわかっていることと人が実際に行動していることの間にかなり溝がある。人は病気、例えば糖尿病や痛風、になってから始めて健康の大切さに気づき、生活を変えるが、差し迫った害やインセンティブがないとなかなか行動変容を起こさない。生活習慣を評価するようなシステムを作り、見える化することで行動変容を促すことはできるか。

それ以外に、Agosの横山さんやHLABの小林さんなど、過去1週間は教育関係者の人と会い、繋がることが多かった。HLABなど、日本の高校生に海外の学生と触れ合う機会を提供して、日本の大学に行く、就職する以外の選択肢を増やすという考え方に僕は賛成だ。HLABではないが、その他の団体よりボストンに来た中高生に話をしてくれないかという依頼があったため、HBS2年目には、中高生の短期留学生に対して講演する機会がありそうだ。