アメリカ中西部(ミネソタ州ミネアポリス)の生活費の実績

アメリカの生活費は日本よりも高いと言われますが、いったいどれくらい高いのでしょうか?

一つの目安として、ミネアポリス都市部に住む二人暮らしの生活のコストが月当たりどれくらいするのかを書いてみます。

家賃・光熱費

$1,950 (2ベッドルーム, ミネソタ大学近く)

Minneapolis(ミネアポリス)はNew York、San FranciscoといったTier 1都市と比べれば家賃ははるかに安いです。

妻が大学院に通うため僕らは大学へのアクセスを重視し、仕事・勉強部屋をベッドルーム以外に持つことにして、ミネソタ大学近くのアパートメントの2ベッドルームに住みましたが、それでも月$1,810かかりました。

2人の単身者がルームシェアすると、月$900ですみます。

最も家賃が高い都市ではないボストンでは大学のアパートでルームシェアをしても月$1,300くらいはかかっていたので(ただし光熱費・ガス代・水道代は込み)、ミネアポリスは20%は安い印象です。サンフランシスコの友人は1ベッドで月$3,000を払っているということでした。

中西部など田舎の都市に住めば、Tier 1の都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ボストンなど)よりは家賃は2割以上抑えられると思います。

$1,800はかなり良い物件の方なので、ミネアポリスでしたら郊外に住めばおそらく$1,000台前半で2ベッドルームが見つかります。

光熱費は2ベッドルームでだいたい$150くらいです(インターネット、水道、ガス、電気、ゴミ)。エネチェンジの情報が正しいとすると、日本は水道代、ガス代、電気代だけで二人暮らしで月平均20,000円ということですので、光熱費はおそらく日本より安いです。

交通

ガレージ付駐車場 $150、リース$450、自動車保険$200、ガソリン $50

中西部の都市で働く場合、シカゴ以外ではほとんどのケースで車は必需品です。

ただそれを反映してか駐車場の料金もいわゆるTier 1都市よりは安いです。

僕は冬場も暖房が入っている駐車場を借りたのでミネアポリスの中では比較的高い料金($150)を支払いました。普通は$100くらいが相場ですが、ただし$100では路上駐車や屋根だけで暖房なしの場合もあり、冬に雪かきをしたり凍えるような思いをして車まで行かないといけないこともあるらしいので、個人的には$150でも必要経費かなと思います。

車は中古を購入することも考えましたが、売り買いの手間やメンテナンス費用がかかることと、1年で違う都市に移る可能性が高いため、結局1年間のリース契約にしました。

車は2015年発売のHonda Fit。購入すると$16,000+Auto Tax 6.5%で、1年後に価値が$14,000まで落ちて、売却価格が価値の70%になると仮定すると、だいたい1年間の利用価値が$7,000ほど。

なんだかんだでメンテナンスで$1,000くらいかかることもあります。だったら$450を月々支払ってしまった方が、$6,000/年、なので安い。

2年以上いる前提や売却先の目処が立っているのであれば購入が良いと思いますが、短期滞在の場合ではリースは有力な選択肢なのではないかと思います。

保険料は正直結構高いです。理由は僕がアメリカでの自動車保険をこれまで持っておらず、しかも自動車保険に入っていなかったためです、

万が一を考えて補償を厚めにしているから。アメリカの自動車保険は日本と異なり、対人無制限が一般的ではなく、普通に対人賠償$100,000からが一般的な見積もりとして出てくる。訴訟大国アメリカでこれだけの補償だと正直、保険にならないので、僕は基本契約を$500,000までの補償にして、加えて$1,000,000までの補償を行ってくれるumbrella insuranceにも加入した。American Familyで申し込んで、基本契約の方が月々$250ほどでumbrellaの方が月々$15ほど。この金額は運転免許が届くまでの国際免許で運転している今月のみの数字で、届いた後は1ヶ月あたり約$170とかなりディスカウントされた。それだけ国際免許の人は事故を起こしやすいということか。

ディスカウントされても月々の車の保険料は$150を超え、これは同じ地区に住むアメリカ人と比較するとやや高い数字(僕の住む地域の平均は$130)。これはアメリカでのヒストリーのないインターナショナル生にとってはどうしようもない話で、結局最初は高めの月々のプレミアムを支払って、信用を積み重ねて、ディスカウントをもらうしかない。クレジットヒストリーもそうだが、この国はヒストリーが仕組みの中に組み込まれているために、良いヒストリーを戦略的に蓄積させていくことが非常に大事だ。

ガソリン代は移動距離によって大きく異なるが、10マイル(約16km)離れた場所に毎日通勤して休日も同じくらい移動して、1ガロンあたり40 mile走るとすると(これはかなり燃費の悪い車や渋滞の場所を走ることが多い前提で、新しい車ならばもっと燃費が良い)、 10 × 2 × 30 ÷ 40=15 gallon。よって、1 gallonn当たり$2.5くらいなので多めに見積もってもだいたい$50だ。僕は実際に今月、先月ともにより少なかった。

健康保険

 $400

日本は国民皆保険で、労使折半の場合、基本的には年収の約5%が健康保険料として取られるかと思うが、こちらではどのプランに申し込むかによって価格が異なり、年収比例ではない。保険の仕組みは民間、政府、病院の仲介機関がそれぞれ複雑怪奇に絡み合っていてこれだけで1冊の本が書けるくらい複雑な国なので、ここでは詳しくは書かないが、僕は会社が提供するPPOという比較的自由度が高く、補償の割合も高いプランに申し込んでいて、妻は大学が提供しているプランに申し込んでいる。会社または大学が一部を支払ってくれているため、内容の割に保険料は結構抑えられている。

これが個人で同じような内容で申し込むとすると、おそらく2倍はかかるだろう。そういう点で、どこにも属していない人に厳しい社会だなと思う。

通信費

$100

Verizonで2人分の回線+月々4GBまで。Verizonは高いのだが、HBS特典で安かったのと、郊外での通信品質も一番高いという評価なので、使い続けている。Sprintに切り替えると$70でさらにデータ上限も上がるらしいのだけれど、これも価格よりも品質を取っている。

インフラ系合計

$3,300

以上をまとめると、食費や日常品購入費などの変動費を除く、削りにくいインフラ系だけで計$3,300だ。日本の物価水準からしたら高いが、こちらの物価水準(ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコなど)からすると、特に家賃がかなり安く、友人の話を聞いていると感覚的にはおそらく20%以上安い。僕はconvenienceとrisk transferをかなり優先しているが、本当にコストにこだわれば郊外に住んだり、保険を削ったりすればあと$800くらいは減らせるだろう(ただその分、不便になったりいざという時の支払いリスクに自分と家族を晒すことになるというトレードオフがある)。ということで、日本人夫婦の二人暮らしの生活コストとしては、ミネアポリスでは食費を除いても$3,000は見ておいた方が良い気がする。一人暮らしでルームシェアをする場合は、家賃が$800くらいで済んだりと、もちろんもっと安くなる。

ミネアポリスに住む際の参考になれば!

アメリカで免許を取得する(ミネソタで3度目の正直)

広大な土地を有するアメリカでは、一部の都市部を除いては車があることが前提の生活になっており、住居の次に確保する必要があるのが車。これがまた予想以上に大変だった。僕にとってはHBSでの試験より正直大変だった気がする。

ボストンでの生活

僕の場合、日本ではずっと東京に住んでいたため車を持つ必要がなく、免許は持っているけれど完全なペーパードライバー。教習所後に運転したのも片手で数えるほどしかない、という状態でアメリカに来た。その後もボストンでは妻との二人暮らしで子供の送り迎えなども必要なく、徒歩圏内でスーパーやレストランもあり、少し離れた目的地にはUberやLyftといったライドシェアのサービスを使って行っていたため、ボストンでは車がなくとも全く困らなかった。

車社会のミネアポリス

一方、卒業後に来たミネアポリスは中西部らしい車社会。Light Railという路面電車は使い勝手が悪くはないが、なにぶん駅の近くにスーパーがあるわけではないし、そもそも勤務先付近まで駅は伸びていない。一応バスもあるが、こちらもほとんど都市部内だけの移動手段なので、車がないと僕の場合は会社にすら行けない。つまり、運転ができないと働くことすらできない。

もう車に乗るしかない、と決めて練習してから約1.5ヶ月。先日ようやく免許を取得することができた。筆記試験は覚えれば良いだけなので一発ですんなりと合格。続く実技試験場(Eaganというミネアポリスの南の場所)へは以後2-3週間おきに計3回も行くことになった

免許試験場1回目

1回目は路上試験前の準備段階で”Defroster”の場所を知らなかったことで試験を受けさせてもらえなかった。ミネソタではDefrosterが重要なのでこれは致命的。残念ながら再度予約することに。

路上試験1回目

試験官は優しそうな女性。最初のうちは順調で、縦列駐車と90度パーキングはこなすも、次右折、次左折、と次々に言われて、それをこなしているうちに、日本で学んだことの癖か、右折時に大回りして反対車線に入ってしまう。これで一発アウト。アメリカの実技試験ではCritical Errorといういわゆるレッドカードがあり、反対車線に入ってしまうのはこのエラーに当たる。確かに実際の道路でやったら危ないから納得なのだが、一発アウトというのは結構シビア。次の試験の予約は2週間後以降しかできないため、2週間後の試験を予約。

路上試験2回目

教官は若くて割としっかりとした男性。今回は練習してきたためいけるだろうと思って気合を入れるが、緊張していたためか90度パーキングでポールに後ろを当ててしまう。これもCritical Errorでレッドカード。それ以外にも一方通行の道路に入る際に入るレーンを間違えたのでレッドカード2枚目。これはさすがに落ち込んだ。次の試験の予約は2週間後と言われたが、夏は予約が取りにくく、次の予約の最短は8週間後の9月だと言われ、かなり焦る。すでに試験を受けてから1ヶ月が経過してしまっていたため、次が8週間後の試験だと問題になる。

なぜかというと、ミネソタは法律上、ミネソタに着いてから60日以内に運転免許を取らないと運転ができなくなるからだ。つまり通常は1年間有効なはずの国際免許証がこの州では60日間までで、それを過ぎると国際免許証で運転していても無免許運転状態になってしまう。僕の場合、1ヶ月+8週間、だと60日間を超えるので、車に乗れなくなってしまう。乗るというリスクを取ることも考えたが、労働ビザで来ていて無免許運転で捕まって強制送還はシャレにならない。

何とか他の場所で受けられないか、どうしたら良いのだ、と粘ってみると、「毎日朝8時に新しいスポットが空くかもしれないからここに電話しろ」と言われ、窓口ではにべもない対応。これがアメリカの悪名高きDMVか、と感じながら、翌日以降朝に電話をかける日々が始まる。まるでコンサートのチケットを取るようだったが、幸いにも翌々日には2.5週間後の予約を取ることができた。

予約が取れた喜びもつかの間、ミネソタ州は4回試験に落ちると6時間の教習所研修を受けてからでないと再試験が受けられず、とても面倒なことになる。そのため、次の試験は何としてでも負けられない戦いとなった。

個人インストラクターを雇う

もうこれは誰かに頼るしかない、と個人インストラクターのPaulを雇って4時間トレーニングした。トレーニングの内容自体も良かったものの、それ以上に良かったのはPaulが試験で何が問われるか、何が見られているか、を教えてくれた点。何も書いていない道路は「両側2車線ずつの4車線だと思って走れ」、とか「信号のない交差点でもスピードを落として首を思いっきり右左に回して確認していることを見せろ」とか正直、誰かに聞かないとどうにもならない暗黙の前提があったため、これは必要だったと思う。

そして3回目の試験に

路上試験3回目の試験官はラテン系の若い男性。始まる前に今日は良い日になると良いね、と言ってくれたりとかなり感じの良い人。試験内容自体は前2回とほぼ変わらず、さすがにこちらも慣れているのでほぼパーフェクト。試験は10分ほどで終了し、合格、と言われた。今回も落ちて無免許状態になりたくないというプレッシャーが強かったため、相当しんどい2週間だったが、無事に合格することができた。練習中は夢にまで縦列駐車をしている自分の姿を見た。TOEFLと同様にもう2度と受けたくない試験だ。

日本からアメリカに来るペーパードライバーの方へのアドバイス

日本からアメリカに来るペーパードライバーの方へのアドバイス。

  1. インストラクターを雇おう。地域にもよるかと思うが、6時間$300くらいで個人レッスンを受けられるはず。実技試験は知らないと一発で引っかかる点があるため、実技で失敗して学ぶ時間を考えると、インストラクターに教えてもらってから受けた方が良い。
  2. 早朝または夜の駐車場などでコーンを立てて、縦列駐車と90度パーキングの練習をしよう。アメリカの車は日本の中型車と比べても大きい。ここまで行けるという車体感覚が結構違うと思うので、甘く見ずに練習した方が良い。
  3. DefrosterやLightを確認しよう。レンタカーの場合、どこにあるか分からないことがある。僕はこれで1回分無駄にしてしまったので(まさかdefrosterの場所が分からないだけで路上試験を受けられないなんてことがあるとは思ってもみなかった・・・)、気をつけよう。
  4. DMVは夏、月末は混むのでタイミングを気をつけよう。並ぶだけで結構時間がかかるし、次の予約は8週間後以降です、などと平気で言われるので。。。

実技試験は簡単という人もいるが、一発アウトの落とし穴は結構ハマりやすく、非アメリカ人の僕の友人にも試験に複数回落ちている人が何人かいるので、運転経験が少ない人は甘く見ずに対策した方が良いと思う。良いアメリカ生活を!