広大な土地を有するアメリカでは、一部の都市部を除いては車があることが前提の生活になっており、住居の次に確保する必要があるのが車。これがまた予想以上に大変だった。僕にとってはHBSでの試験より正直大変だった気がする。
目次
ボストンでの生活
僕の場合、日本ではずっと東京に住んでいたため車を持つ必要がなく、免許は持っているけれど完全なペーパードライバー。教習所後に運転したのも片手で数えるほどしかない、という状態でアメリカに来た。その後もボストンでは妻との二人暮らしで子供の送り迎えなども必要なく、徒歩圏内でスーパーやレストランもあり、少し離れた目的地にはUberやLyftといったライドシェアのサービスを使って行っていたため、ボストンでは車がなくとも全く困らなかった。
車社会のミネアポリス
一方、卒業後に来たミネアポリスは中西部らしい車社会。Light Railという路面電車は使い勝手が悪くはないが、なにぶん駅の近くにスーパーがあるわけではないし、そもそも勤務先付近まで駅は伸びていない。一応バスもあるが、こちらもほとんど都市部内だけの移動手段なので、車がないと僕の場合は会社にすら行けない。つまり、運転ができないと働くことすらできない。
もう車に乗るしかない、と決めて練習してから約1.5ヶ月。先日ようやく免許を取得することができた。筆記試験は覚えれば良いだけなので一発ですんなりと合格。続く実技試験場(Eaganというミネアポリスの南の場所)へは以後2-3週間おきに計3回も行くことになった
免許試験場1回目
1回目は路上試験前の準備段階で”Defroster”の場所を知らなかったことで試験を受けさせてもらえなかった。ミネソタではDefrosterが重要なのでこれは致命的。残念ながら再度予約することに。
路上試験1回目
試験官は優しそうな女性。最初のうちは順調で、縦列駐車と90度パーキングはこなすも、次右折、次左折、と次々に言われて、それをこなしているうちに、日本で学んだことの癖か、右折時に大回りして反対車線に入ってしまう。これで一発アウト。アメリカの実技試験ではCritical Errorといういわゆるレッドカードがあり、反対車線に入ってしまうのはこのエラーに当たる。確かに実際の道路でやったら危ないから納得なのだが、一発アウトというのは結構シビア。次の試験の予約は2週間後以降しかできないため、2週間後の試験を予約。
路上試験2回目
教官は若くて割としっかりとした男性。今回は練習してきたためいけるだろうと思って気合を入れるが、緊張していたためか90度パーキングでポールに後ろを当ててしまう。これもCritical Errorでレッドカード。それ以外にも一方通行の道路に入る際に入るレーンを間違えたのでレッドカード2枚目。これはさすがに落ち込んだ。次の試験の予約は2週間後と言われたが、夏は予約が取りにくく、次の予約の最短は8週間後の9月だと言われ、かなり焦る。すでに試験を受けてから1ヶ月が経過してしまっていたため、次が8週間後の試験だと問題になる。
なぜかというと、ミネソタは法律上、ミネソタに着いてから60日以内に運転免許を取らないと運転ができなくなるからだ。つまり通常は1年間有効なはずの国際免許証がこの州では60日間までで、それを過ぎると国際免許証で運転していても無免許運転状態になってしまう。僕の場合、1ヶ月+8週間、だと60日間を超えるので、車に乗れなくなってしまう。乗るというリスクを取ることも考えたが、労働ビザで来ていて無免許運転で捕まって強制送還はシャレにならない。
何とか他の場所で受けられないか、どうしたら良いのだ、と粘ってみると、「毎日朝8時に新しいスポットが空くかもしれないからここに電話しろ」と言われ、窓口ではにべもない対応。これがアメリカの悪名高きDMVか、と感じながら、翌日以降朝に電話をかける日々が始まる。まるでコンサートのチケットを取るようだったが、幸いにも翌々日には2.5週間後の予約を取ることができた。
予約が取れた喜びもつかの間、ミネソタ州は4回試験に落ちると6時間の教習所研修を受けてからでないと再試験が受けられず、とても面倒なことになる。そのため、次の試験は何としてでも負けられない戦いとなった。
個人インストラクターを雇う
もうこれは誰かに頼るしかない、と個人インストラクターのPaulを雇って4時間トレーニングした。トレーニングの内容自体も良かったものの、それ以上に良かったのはPaulが試験で何が問われるか、何が見られているか、を教えてくれた点。何も書いていない道路は「両側2車線ずつの4車線だと思って走れ」、とか「信号のない交差点でもスピードを落として首を思いっきり右左に回して確認していることを見せろ」とか正直、誰かに聞かないとどうにもならない暗黙の前提があったため、これは必要だったと思う。
そして3回目の試験に
路上試験3回目の試験官はラテン系の若い男性。始まる前に今日は良い日になると良いね、と言ってくれたりとかなり感じの良い人。試験内容自体は前2回とほぼ変わらず、さすがにこちらも慣れているのでほぼパーフェクト。試験は10分ほどで終了し、合格、と言われた。今回も落ちて無免許状態になりたくないというプレッシャーが強かったため、相当しんどい2週間だったが、無事に合格することができた。練習中は夢にまで縦列駐車をしている自分の姿を見た。TOEFLと同様にもう2度と受けたくない試験だ。
日本からアメリカに来るペーパードライバーの方へのアドバイス
日本からアメリカに来るペーパードライバーの方へのアドバイス。
- インストラクターを雇おう。地域にもよるかと思うが、6時間$300くらいで個人レッスンを受けられるはず。実技試験は知らないと一発で引っかかる点があるため、実技で失敗して学ぶ時間を考えると、インストラクターに教えてもらってから受けた方が良い。
- 早朝または夜の駐車場などでコーンを立てて、縦列駐車と90度パーキングの練習をしよう。アメリカの車は日本の中型車と比べても大きい。ここまで行けるという車体感覚が結構違うと思うので、甘く見ずに練習した方が良い。
- DefrosterやLightを確認しよう。レンタカーの場合、どこにあるか分からないことがある。僕はこれで1回分無駄にしてしまったので(まさかdefrosterの場所が分からないだけで路上試験を受けられないなんてことがあるとは思ってもみなかった・・・)、気をつけよう。
- DMVは夏、月末は混むのでタイミングを気をつけよう。並ぶだけで結構時間がかかるし、次の予約は8週間後以降です、などと平気で言われるので。。。
実技試験は簡単という人もいるが、一発アウトの落とし穴は結構ハマりやすく、非アメリカ人の僕の友人にも試験に複数回落ちている人が何人かいるので、運転経験が少ない人は甘く見ずに対策した方が良いと思う。良いアメリカ生活を!