ニューオーリンズ週末旅行(ジャズ・グルメ・観光)

ルイジアナ州にあるニューオーリンズに二泊三日の週末旅行に行ってきました。ニューオーリンズといえば2005年のハリケーンカトリーナで大きな被害を受けたことで日本でも名前が知られるようになった都市かと思いますが、アメリカ国内では洪水前、洪水からの復興後ともに旅行先として人気です。ニューオーリンズ、魅力がたっぷりある街でした。

ジャズ

ニューオーリンズへ来て外せないのはやはりジャズでしょう。ニューオーリンズはジャズの発祥の地と呼ばれるほどジャズの歴史のある都市で、街中に音楽が溢れています。昼にはFrench QuarterにあるJackson Squareの周りでは手相占い、絵描きに加えて音楽を演奏している人がおり、メイン通りであるBourbon Streetでもいつも誰かしらが音楽を演奏しています。また、ニューオーリンズの夜はとても賑やかで、Bourbon Streetを歩くとそこらかしこからライブ音楽が聞こえてきます。

New Orleans Bourbon Street

僕らは初日の夜はMaison Bourbonに行き、二日目の夜はPreservation Hall(ジャズの文化保存を目的とした施設)でライブを聴きました。前者は飲み物一杯(Abita Beer $5)から好きなだけジャズを聴くことができ、バーホッピングをするのにも使いやすいお店です。

Maison Bourbon

後者は、入場料$20で飲み物販売やトイレなどなく、純粋にジャズを聴くためだけの場所で、1時間おきの総入れ替え制。週末ということもあり僕たちは30分前から並んでいましたが、座ることができませんでした。どちらも演奏は良かったのですが、後者ではアドリブで演者同士の掛け合いを見ることができたことと、ドラムのアドリブがとても良かったため、後者がより印象に残りました。

Preservation Hall

Maison Bourbonは深夜まで営業しているため、一泊だけの滞在でも両方訪れることは可能かと思います。

グルメ

アメリカ生活もそろそろ丸3年となり、ピザやハンバーガーも普段の食事となっているのですが、やはり大味な印象が否めないアメリカでの食事。ニューオーリンズではそんなアメリカでの印象を変えてくれるような、美味しい食事に出会えました。

ニューオーリンズ名物といえばスパイシーなケイジャン料理、ややハイソなクレオール料理があります。代表的なのはスープ料理のGumbo、パエリアのようなJambalaya。Gumboにはお米が入っていることも多く、お米が主食の日本人の口にはとても合います。

Gumbo

僕らのお気に入りは630 St Peter St, New Orleans, LA 70116にあるGumbo Shop。ここのGumbo、Jambalayaは滞在中で食べた食事の中でも最も美味しく、二度足を運びました。価格もGumboのカップが$5、ボウルで$10、ジャンバラヤが$15程度と標準的なので、おすすめです。

Gumbo Shop

甘いものが食べたくなった時におすすめなのがCafe Du Mondeのドーナッツ、ベニエ( beignet)。砂糖の粉がドーナッツの上にかかっており、癖になるような甘さ。ここは非常に人気でいつも行列ができているのですが、比較的空いているtake outの列もあるので、時間に余裕がない場合はそちらに行っても良いかもしれません。Cafe Au Laitと一緒にどうぞ。

Cafe Du Monde

高級感のある雰囲気の中で、クレオール料理を楽しみたいのであれば、The Court of Two Sistersで注文した$45の前菜、メイン、デザートのセットも良かったです。メイン一品は$30程度のものが多く、二人で$100を超える可能性が高く、価格帯はやや高め。

第二次世界大戦博物館

今回の旅行の一番の収穫はこの博物館と言っても良いでしょう。ニューオーリンズにある第二次世界大戦博物館はこのためだけにニューオーリンズに来る価値があると言えるほど充実している博物館です。

National WWII Museum

博物館では、アメリカの視点から、第二次世界大戦がどうして起きたか、どう進展していったのか、アメリカがどうして参戦を決めたのか、各戦場で何が起き、連合国がどのように意思決定をして、どのように戦況が変わっていったのか、が詳細に展示されています。この博物館が特に優れていると感じた理由は3つあります。

1つ目は内容の深さと広さです。第二次世界大戦を戦略、戦術レベルで詳細に記述した博物館はおそらく世界で唯一なのではないかと思います。僕自身、東京の靖国神社、広島の原爆ドームや長崎の原爆資料館、韓国の戦争記念館、イスラエルのホロコースト記念館など第二次世界大戦に関わる博物館を訪れてきましたが、どれもその国・民族や被害者に焦点を当てたものが多く、戦争がどのように起きて、どのように進展していったかを世界のレベルで解説したものはなかったように思います。

National WWII Museum Display

この第二次世界大戦博物館はD-Day(ノルマンディー上陸作戦)やMidwayでの海戦がどうして戦争のターニングポイントになったのか、その裏でどのような外交上の駆け引きや準備が行われていたのか、についてかなり詳しく触れられており、マクロのレベルでの情勢を学ぶことができます 。

加えて、ミクロのレベルでも各国の意思決定の様子についても触れており 、例えば山本五十六がアメリカとの戦争は長期戦では生産力の違いから負けると考えていたことや、沖縄が奪われた後も日本の首脳部は九州で巻き返しを図って講和の条件を良くしようと考えていたことなど、意思決定がどのようにされていたかについても学びがあると思います 。

2つ目は展示方法です。多くの博物館が展示物とその説明のボードで構成されているのに対して、この博物館は映像、音声、展示物が豊富で、その組み合わせも優れています。一例をあげると、各ブロックにはほぼ確実に当時の映像や解説映像が流されており、展示物を見ずとも、歩いて映像だけを見るだけでも概要が分かるようになっています。来館者は皆が皆展示物を全てじっくり見る訳ではないので、これは良い工夫。また、音声や映像は人の注目を引くため、子供も含めた来館者の関心を引きやすく、飽きさせないという点でも優れています。

3つ目は併設された映画施設です。現在、この博物館では4Dの映画を二本上映しており、その品質が非常に高い。メガネなし3Dの映像に加え、椅子は振動で震えますし、上映中に飛行機の一部が上から降りてきたり、舞台下から当時使われていた軍事用物資が上がってきたりと臨場感たっぷり。ストーリーもアメリカ人の心を震わせるような、ピンチから一転、愛国心で国民が団結して悪の枢軸をやっつける、というハリウッド映画の王道展開に沿って作られており、なかなか楽しませてくれます。長さも40分と時間の限られた観光客にとってもちょうどいい分量です。

以上のようにコンテンツの量・質ともに高く、魅せ方も革新的で、加えて良い出来の4D映画館までついているというこの博物館。トリップアドバイザーの世界博物館ランキングでも世界第2位に選ばれるのも納得です。

日本からはるばるニューオーリンズ目当てに行く人はあまり多くはないかもしれませんが、魅力溢れる街ですので、おすすめです。

HBS 1 Year Reunion (1年後の同窓会)

昨日、一昨日とボストンへ行き、HBSの1 Year Reunion(卒業生の同期会)に妻と参加してきました。HBSを卒業すると5年に一度Reunionが行われるのですが、最近は卒業後の関係を強めるためなのか、卒業1年後にもReunionが行われています。Class of 2017の出席率は70%超と高めで、アジアや中南米からもそれなりの同級生がReunion参加のためにボストンへ来ていました。

コンテンツ自体は卒業後に起業した人の話やそれぞれの近況報告とあまり内容が濃いものではなかったです。一方で、同級生と久方ぶりに会い、話すことは想像以上に価値がありました。以下、気づいた点です。

HBSを卒業した人の進路

卒業後には就職を選択し、コンサルティング、ヘッジファンド、プライベートエクイティ比率が高い

HBSの統計にも出ているのですが、卒業後の進路は上記の三つがやはり多いです。僕のセクションではReunionで60人程度が集まったのですが、その中でもMcKinsey、BCG、Bainで15人程度いましたし、ヘッジファンドやプライベートエクイティも約10人いました。

一方、スタートアップを卒業後にしていた人もいます。上手くいっている人もいれば、あまり軌道に乗らずに一旦は就職したりで、今回来ていた人の中で今も起業を続けているセクションメイトは2人。

4年後再び会う時にはもっとばらけているのかと思いますが、やはり一旦は高い給料が稼げる職について借金を返し、その後に好きなことをしよう、という考えが多いように思います。

中西部と東・西海岸の価値観は異なる

HBSに戻ってきて改めて感じたのは、東・西海岸のキャリア重視の価値観の違いです。ミネソタは家族との時間を平日にもしっかりとり、週末には親族と時間を過ごしたりと密な親族関係を大事にしているのに対して、ニューヨークやサンフランシスコなどの沿岸部の大都市に住んでいる友人たち(つまり多くのHBS生)は平日はほぼ仕事、家族は違う都市に住んでいるから会うのは年に数回など、よりキャリアを重視しているように思います。

どちらの価値観も良いと思いますし、人生のステージによって大事にするものも変わっていくものだと思いますが、ミネソタでの生活を10ヶ月近くしてきた自分がどれだけミネソタの価値観に影響を受けてきたかに気づき、「ああ、これだけの価値観や生活習慣の違いがあるのだな」と改めて感じました。

HBSの平均卒業年齢は27歳と若く、家庭をもっている人の方がまだ少数派のため、卒業はキャリアに全力投球する人が多いように思います。

HBSのネットワークは本当に貴重

同級生と話していてあらためて気づいたのは、彼らの議論に対する感度の良さ。ある話題を振った時に、それに対して自分はこう思うとか、自分だったらこうする、ということを簡潔かつ理由も含めてすぐに言える人が多いことです。

例えば、「自分が幸せだと感じているとしたら、これ以上何を望むべきなのか」という点について議論をした時には、「家族を大切にして、家族に何かを残すというのも立派な生き方だと思う。ただ、それ以上に社会に何かを残したいという想いがあるのであれば、社会に対してのインパクトを追い求めても良いのではないか。例えば僕の場合では〜〜〜」、という意見がパッと出てくるなど、授業さながらの議論が普通の会話の中に出てきました。

それぞれが自分自身の価値観や軸を理解した上で議論をする力があるので、一緒に話をしていると楽しいです。議論をする力や自分自身の軸を見つけることはまさしくHBSでトレーニングしてきたこと。HBSにいた時には当たり前過ぎて気づかなかったのですが、卒業後の今は、そういう友人と会話ができることは貴重な機会だと感じます。

世界中に共通の価値観を持った友人がいるということのありがたさ

今回のReunionで改めて感じたのは、世界中に様々な分野で挑戦をしている友人がいるということ。僕の次の行き先であるオーストラリアにも同級生がいますし、7月に参加する予定のロンドンでの結婚式でもアメリカ、欧州から集まった同級生と会う機会があります。

政治コンサルティングをしているフランス人の同級生と最近のアメリカ情勢について話をしたり、Google本社に勤めているアメリカ人の同級生と各国選挙に関するGoogleの新しいサーチ機能について話をしたり。

HBSは一学年に900人以上いるマンモス校なので、それだけネットワークは広いというのは入学前にも認識はしていましたが、卒業して皆がそれぞれの分野に進んだ今、改めてそれが事実だと感じます。これは仕事の面、個人の面のどちらの繋がりという点でもありがたく、この繋がりだけでも価値があると感じました。

1 Year Reunionは参加するべきイベントか

全体を通して、1年後のReunionは、友人から刺激をもらえ、かつ旧交を温めることができるという点で、多くの友人と離れてしまっている人にとっては良いイベントではないかと思いました。特に僕のようにニューヨーク、ボストン、サンフランシスコといったHBS卒業生が多く集まる都市から離れて暮らしている人にとっては、良い機会となり、参加するべき価値が十分にあったと思います。

アメリカMBA留学後に海外で就職することにしました

あけましておめでとうございます。米国でも新年を迎えました。

卒業後の進路

就職したこともあり、どこまで書こうかと考えているうちにあっという間に時が過ぎてしまいました。2017年は、HBSを卒業して、アメリカ中西部に移り住み、米国企業の本社で働く、という新しい挑戦が始まった年になりました。

妻もミネソタ大学の大学院生となり大学院生活を始め、友人が増えるなど、夫婦揃って米国での地盤が固まりました。「HBSで学んだことが活きていますか?」と聞かれることもあるので、その観点から振り返ってみます。

ミネソタ州ミネアポリスでの生活

米国生活は想像以上に恵まれたものになっています。友人関係でいえば、HBS時代の友人のうち何人かもミネアポリスで働き始めたため、そもそもの友人のベースがあります。飛行機で2時間以内には中西部大都市のシカゴがあるため、シカゴにも友人がそれなりの数います。

昨年は一度シカゴで友人たちと再会しました。加えて、会社の同期がとても良い友人となり定期的に家で会ったり、妻の友人が僕の友人になったり、ミネソタで新たに入ったコミュニティでできた友人がいるなど、週末に過ごす相手には困まりません。

こうやって新しい場所でもすでに友人のベースがあることと、新しい場所でもスムーズに友人ができるようになったのは、やはりHBSでの2年間があったからだと思いますし、留学当初はできなかったことが今はできるようになっていると思います。

MBAで得たものは活かせているか

仕事の面でも順調で、良いスタートが切れたという印象です。最初の3ヶ月は成果を出して信頼を勝ち取ろうと、自分の強みである分析、戦略戦術策定にフォーカスして仕事をこなしました。

幸いにも高い評価をいただけ、信頼を得ることができ、その後の3ヶ月は様々な仕事を任せてもらえるようになりました。HBSにて約500ケースをこなして磨かれた分析と戦略・戦術策定の力と多面的に物事を見る視点は、成果を出す上で役立っていると感じています。

また、最初の数ヶ月はチームの中で人間関係を築くことにまずは力を注ぐべしという教えを守ったためか、スムーズにチームに溶け込むことがでました。この点もHBSで学んだ中で有益だった点です。

ハーバードビジネススクールMBAの価値」で”Good Business Foundation”、”Network”、”Career Change Opportunity”が得られると以前書きましたが、まさしくそれが活きた2017年でした。

今後のキャリアの方向性

また、もう少し長いスパンで振り返ると、大学時代に「10年後までに、世界のどこでも、多くの人を巻き込んで、新しいビジネス・商品を生み出せる人になる」と決めてから、2018年で約10年となります。

今、海外でそういう仕事についているというのは、目標を持って一歩ずつ進んでいったことの成果なのかもしれません。

2018年は中頃に米国生活に一区切りをつけ、海外赴任で今度はオーストラリアへ行く予定です。これまでプロダクトマネジャーとして大きな戦略を描き、製品をゼロから生み出すことに注力してきましたが、将来的に経営者となるためには実際に販売の現場に近いところで日々の数字を達成する経験が必要だと考えるからです。

世界のどこでも働けるようになるため、米国以外でも自分を試してみたいと思っており、今回はそのための機会となります。

僕自身、様々なチャレンジを常にしていた方が活き活きとしていられますし、”a rolling stone gathers no moss”のような生き方が好きなのかもしれません。さあ、新たな挑戦の一年です。