オーストラリア首都、キャンベラ旅行(観光・グルメ)

オーストラリアの首都であるキャンベラへ2泊3日の週末旅行に行ってきました。

キャンベラは国会議事堂、国立美術館、科学技術館、戦争記念館、国立公園、植物園などがあり、オーストラリアについて学ぶには最適な都市です。シドニーから週末旅行で行ける距離のキャンベラへの行き方、観光、グルメについて今回は書きたいと思います。

キャンベラへの行き方

キャンベラはシドニーから車、バス、飛行機で行くことができます。バスは複数の会社が運行しており、$100以下のことが多く、時間も自分で車で運転していく方法と変わらず3時間半くらいですので、オススメの手法です。Murraysなどで予約することができます。

飛行機の場合ですとフライトは1時間ですが、チケットは$200を超えてくることが多いので、予算とのご相談です。

自家用車またはレンタカーで行く場合は高速のM5号線でまず市内を出て、次にM31、M23と進んでいくと、スムーズに行けば約3時間30分で着くことができます。その場合、シドニー市内のM5のトンネルは特に夕方は混むため、金曜の夕方の帰宅ラッシュ時に出発しようとする場合は渋滞を見込んでおいたほうが良く、できればその時間帯は避けると良いです。

キャンベラ観光 – オーストラリア国会議事堂

キャンベラには新旧2つの国会議事堂があり、どちらも無料で入ることができます。特に新しい国会議事堂では毎日無料のツアーが1-2時間おきに定期的に開催されており、時間を調べて参加するのがおすすめです。国会議事堂がどのような理念で作られたか、オーストラリアの国会のシステム、などを学ぶことができます。

嬉しいことに、新旧どちらの国会議事堂も入場料は無料です。

新国会議事堂の上院

上院と下院はシートの色が違っています。上院は州ごとに国会議員が割り振られ、下院は人口に応じて割り振られます。この仕組みは、人口が集中していない州にも発言権が与えられるよう、州ごとに定数を割り振るアメリカの上院を見習ったそう。

新国会議事堂の下院

旧国会議事堂にも上院、下院がありますが、規模は半分以下です。実際に総理大臣が使っていた部屋まで入ることができます。旧国会議事堂のKid’s Roomは広く、おもちゃもたくさんあるので、幼い子供を持つ方が休憩するにはおすすめです。

旧国会議事堂のキッズルーム

オーストラリア国立美術館 (National Gallery of Australia)

国会から歩いて15分くらいの場所に、オーストラリア国立美術館と科学技術館があります。国立美術館のメインの展示はオーストラリアのアーティストが書いた絵画とアボリジニの芸術作品ですが、様々な特設展示を行なっているようです。僕らが訪れた時にはインドネシアの現代芸術の特設展示とモネの特設展示を行なっていました。

オーストラリア国立美術館の展示

オーストラリア戦争記念館 (Australia War Memorial)

オーストラリア戦争記念館はオーストラリアのために命を捧げた兵士への感謝と彼らの功績を忘れないために作られた記念館です。第一次大戦、第二次大戦に関するスペースが大きく、大戦で実際に使われた戦車、潜水艦、航空機の展示がされているなど、展示がかなり充実しています。キャンベラの国会議事堂があるエリアから北東へ行ったエリアにあり、国会から戦争記念館までの道は遮るものが何もないようにデザインされています。

零戦の展示

また、奥には大スクリーンでの、「第一次大戦時の空戦」動画の上映もあり、子供でも楽しめるような内容になっています

映画のようなスクリーン

日本に関する展示も多いです。オーストラリアまで日本の潜水艦が来ていたことを初めて知るとともに、当時の日本軍がいかに戦線を伸ばしていたのかに驚きました。

日本の侵攻

アメリカのニューオーリンズにある第二次世界大戦博物館(ニューオーリンズ週末旅行(ジャズ、グルメ、観光))と比較してみると、視点はかなり中立的だと感じました。

ニューオーリンズの博物館は連合国と枢軸国の対立軸を明確に描き、アメリカが参戦したからこそ悪である枢軸国の広がりを止めることができた、アメリカが世界に正義をもたらした、というトーンなのに対し、こちらのオーストラリアの戦争記念館はあくまでもオーストラリアに焦点を当て、当時の世界情勢の中でオーストラリアが置かれていた状況、オーストラリアが取った選択肢、中でも実際に戦いに赴いた兵士たちの生活について詳しく述べています。

オーストラリアは日本に攻められた側であり、憎しみを感じる対象としても描けたはずですが、日本を憎しみの対象とているのではなく、むしろ厳しい戦いに臨んだオーストラリア人を讃えるような展示になっています。日本の兵士達にも共感を感じられるような展示をしているところは非常に公平だと感じました。

さらに、現代の展示のコーナーからは、オーストラリアが自分たちの立ち位置と中規模の先進国としてどう強国の中で生き残るかをよく理解していることが伝わってきました。例えば、大戦時以降はイギリスがアジアに兵を十分に割けなかったため、アメリカに頼ることで自国の安全保障を確保しました。一方、大国に頼りきりになるのではなく、その後は軍隊を強化し、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、とオーストラリアは小規模ながら兵を派兵し、国際社会に貢献しています。

オーストラリアは2019年現在でも人口2500万人程度の中規模の国であり、派兵できる兵の数もアメリカ、イギリス、フランスといった人口の多い大国と比べて少ないです。ただし、国際社会で連携すべきと判断した際にはきちんと兵を出すことによって、国際社会の中で一定の存在感を示そうとしているように見えます。これは、日本にとってもヒントになる立ち振る舞いかと感じました。

キャンベラでのグルメ

僕らは、トリップアドバイザーの評価が高かったことから、RAKUという日本食料理屋に初日に行きました。場所はCanberra Centreという市内のショッピングセンターのすぐ隣です。開店とほぼ同時に行ったのですが、運よく一席だけ空いていました。ここでTasting Menuというコースを注文しました。

このレストランは期待を裏切らない美味しさでした。創作日本料理はどれも普通の日本料理と一味異なりながら、驚きを与えてくれました。また、特に魚介類の新鮮さには驚かされました。キャンベラは内陸の都市にも関わらず、日本のような新鮮な魚介類を食べることができます。

Rakuでのお刺身

また、店員の方もフレンドリーで、1歳未満の子供連れにも関わらず、優しく対応してくださいました。

Rakuでのデザート。キャベラ、ンが抜けていますが嬉しいおもてなしです。

一緒に来ていた友人にも翌日訪れることをおすすめしたら、お昼に行ったら予約で一杯だった、ということですので、事前に予約をした方が良いかもしれません。

キャンベラ旅行がオススメなのはこんな人

キャンベラは人口的に作られた政治都市ということもあり、街の作り方が非常に整然としているとともに、シドニーやメルボルンといった大都市に比べて人口密度が低く、広々としています。また、とてもアカデミックな街です。

  • オーストラリアの政治・歴史・文化・美術についてより詳しく知りたい
  • 子供に異国の文化を学べる機会を与えたい
  • シドニー以外の都市も1泊2日程度で訪れてみたい

こんな人には、キャンベラまで足を伸ばしてみるのがおすすめです。

ニューオーリンズ週末旅行(ジャズ・グルメ・観光)

ルイジアナ州にあるニューオーリンズに二泊三日の週末旅行に行ってきました。ニューオーリンズといえば2005年のハリケーンカトリーナで大きな被害を受けたことで日本でも名前が知られるようになった都市かと思いますが、アメリカ国内では洪水前、洪水からの復興後ともに旅行先として人気です。ニューオーリンズ、魅力がたっぷりある街でした。

ジャズ

ニューオーリンズへ来て外せないのはやはりジャズでしょう。ニューオーリンズはジャズの発祥の地と呼ばれるほどジャズの歴史のある都市で、街中に音楽が溢れています。昼にはFrench QuarterにあるJackson Squareの周りでは手相占い、絵描きに加えて音楽を演奏している人がおり、メイン通りであるBourbon Streetでもいつも誰かしらが音楽を演奏しています。また、ニューオーリンズの夜はとても賑やかで、Bourbon Streetを歩くとそこらかしこからライブ音楽が聞こえてきます。

New Orleans Bourbon Street

僕らは初日の夜はMaison Bourbonに行き、二日目の夜はPreservation Hall(ジャズの文化保存を目的とした施設)でライブを聴きました。前者は飲み物一杯(Abita Beer $5)から好きなだけジャズを聴くことができ、バーホッピングをするのにも使いやすいお店です。

Maison Bourbon

後者は、入場料$20で飲み物販売やトイレなどなく、純粋にジャズを聴くためだけの場所で、1時間おきの総入れ替え制。週末ということもあり僕たちは30分前から並んでいましたが、座ることができませんでした。どちらも演奏は良かったのですが、後者ではアドリブで演者同士の掛け合いを見ることができたことと、ドラムのアドリブがとても良かったため、後者がより印象に残りました。

Preservation Hall

Maison Bourbonは深夜まで営業しているため、一泊だけの滞在でも両方訪れることは可能かと思います。

グルメ

アメリカ生活もそろそろ丸3年となり、ピザやハンバーガーも普段の食事となっているのですが、やはり大味な印象が否めないアメリカでの食事。ニューオーリンズではそんなアメリカでの印象を変えてくれるような、美味しい食事に出会えました。

ニューオーリンズ名物といえばスパイシーなケイジャン料理、ややハイソなクレオール料理があります。代表的なのはスープ料理のGumbo、パエリアのようなJambalaya。Gumboにはお米が入っていることも多く、お米が主食の日本人の口にはとても合います。

Gumbo

僕らのお気に入りは630 St Peter St, New Orleans, LA 70116にあるGumbo Shop。ここのGumbo、Jambalayaは滞在中で食べた食事の中でも最も美味しく、二度足を運びました。価格もGumboのカップが$5、ボウルで$10、ジャンバラヤが$15程度と標準的なので、おすすめです。

Gumbo Shop

甘いものが食べたくなった時におすすめなのがCafe Du Mondeのドーナッツ、ベニエ( beignet)。砂糖の粉がドーナッツの上にかかっており、癖になるような甘さ。ここは非常に人気でいつも行列ができているのですが、比較的空いているtake outの列もあるので、時間に余裕がない場合はそちらに行っても良いかもしれません。Cafe Au Laitと一緒にどうぞ。

Cafe Du Monde

高級感のある雰囲気の中で、クレオール料理を楽しみたいのであれば、The Court of Two Sistersで注文した$45の前菜、メイン、デザートのセットも良かったです。メイン一品は$30程度のものが多く、二人で$100を超える可能性が高く、価格帯はやや高め。

第二次世界大戦博物館

今回の旅行の一番の収穫はこの博物館と言っても良いでしょう。ニューオーリンズにある第二次世界大戦博物館はこのためだけにニューオーリンズに来る価値があると言えるほど充実している博物館です。

National WWII Museum

博物館では、アメリカの視点から、第二次世界大戦がどうして起きたか、どう進展していったのか、アメリカがどうして参戦を決めたのか、各戦場で何が起き、連合国がどのように意思決定をして、どのように戦況が変わっていったのか、が詳細に展示されています。この博物館が特に優れていると感じた理由は3つあります。

1つ目は内容の深さと広さです。第二次世界大戦を戦略、戦術レベルで詳細に記述した博物館はおそらく世界で唯一なのではないかと思います。僕自身、東京の靖国神社、広島の原爆ドームや長崎の原爆資料館、韓国の戦争記念館、イスラエルのホロコースト記念館など第二次世界大戦に関わる博物館を訪れてきましたが、どれもその国・民族や被害者に焦点を当てたものが多く、戦争がどのように起きて、どのように進展していったかを世界のレベルで解説したものはなかったように思います。

National WWII Museum Display

この第二次世界大戦博物館はD-Day(ノルマンディー上陸作戦)やMidwayでの海戦がどうして戦争のターニングポイントになったのか、その裏でどのような外交上の駆け引きや準備が行われていたのか、についてかなり詳しく触れられており、マクロのレベルでの情勢を学ぶことができます 。

加えて、ミクロのレベルでも各国の意思決定の様子についても触れており 、例えば山本五十六がアメリカとの戦争は長期戦では生産力の違いから負けると考えていたことや、沖縄が奪われた後も日本の首脳部は九州で巻き返しを図って講和の条件を良くしようと考えていたことなど、意思決定がどのようにされていたかについても学びがあると思います 。

2つ目は展示方法です。多くの博物館が展示物とその説明のボードで構成されているのに対して、この博物館は映像、音声、展示物が豊富で、その組み合わせも優れています。一例をあげると、各ブロックにはほぼ確実に当時の映像や解説映像が流されており、展示物を見ずとも、歩いて映像だけを見るだけでも概要が分かるようになっています。来館者は皆が皆展示物を全てじっくり見る訳ではないので、これは良い工夫。また、音声や映像は人の注目を引くため、子供も含めた来館者の関心を引きやすく、飽きさせないという点でも優れています。

3つ目は併設された映画施設です。現在、この博物館では4Dの映画を二本上映しており、その品質が非常に高い。メガネなし3Dの映像に加え、椅子は振動で震えますし、上映中に飛行機の一部が上から降りてきたり、舞台下から当時使われていた軍事用物資が上がってきたりと臨場感たっぷり。ストーリーもアメリカ人の心を震わせるような、ピンチから一転、愛国心で国民が団結して悪の枢軸をやっつける、というハリウッド映画の王道展開に沿って作られており、なかなか楽しませてくれます。長さも40分と時間の限られた観光客にとってもちょうどいい分量です。

以上のようにコンテンツの量・質ともに高く、魅せ方も革新的で、加えて良い出来の4D映画館までついているというこの博物館。トリップアドバイザーの世界博物館ランキングでも世界第2位に選ばれるのも納得です。

日本からはるばるニューオーリンズ目当てに行く人はあまり多くはないかもしれませんが、魅力溢れる街ですので、おすすめです。

アイスランド旅行(観光・教育・経済)

アイスランドへ旅行に行ってきました。日本からは遠いですが、オーロラや氷の洞窟をはじめとした豊かな自然で有名なアイスランド。

一度は訪れてみたいアイスランドの観光について書いていきます。

人気の行き先のアイスランド

HBS生の人気の行き先はボストンから直行便が出ており、かつ比較的近いアイスランドだ。同学年の5人に1人以上はアイスランドへ行っている印象だ。僕も春休みの1週間を利用して、4泊5日でアイスランドへ妻と行ってきた。

アイスランドでは観光がBalance of Paymentを見ても一大輸出産業なのだが、それを裏付けるように観光面で非常に整備された国だと感じた。

アイスランドの自然

まず、アイスランドの目玉は何といっても大自然だ。メインの空港であるケフラヴィーク国際空港からバスで20-30分ほどで行けるBlue Lagoonは、何もない場所にある天然温泉の施設で、ぬるめの温泉の中に浸かっているのはとても気持ちよかった。

ブルーラグーン

総称してGolden Circleと呼ばれるシンクヴェトリル国立公園、滝、間欠泉、火口湖も見応えがあった。氷河を掘って人工的に作られたIce Caveも不思議な空間で、氷河についての関心と理解がさらに増した。冬なので寒かったが、どの光景も雪や氷で覆われており、まさしくIceland、氷の国だった。

ゴールデンサークル

自然という観光資源を活かすためのインフラも整っており、Reykjavik Excursionsをはじめとした観光会社が日帰りツアーを運営しており、ツアーに参加すればレンタカーをしなくても効率的に回ることができる。

氷の洞窟の中

首都レイキャビック

レイキャビック(Reykjavik)の街もコンパクトで観光客フレンドリーだ。街のカフェやレストランのいたるところにFree WiFiがあり、観光バスですらWiFiがついている。また、訪れたすべてのお店でクレジットカードが利用でき、結局、僕は現金を一度も使っていない。

レイキャビックのみならば、クレジットカードがあれば両替しなくても生活できるだろう。英語がどこでも通じるため、言葉の面でも苦労がない。道路もそれぞれにわかりやすい位置に通り名が書いてあり、加えて各家に番地を表す数字がついているため、住所とマップさえあれば比較的容易に目的地に到着できる。メイン通りが歩行者天国になっているなど車通りもそこまでは多くないため、街を歩いていて、寒いことを除けばストレスを感じることが少なかった。この街の造りは、インバウンドを伸ばしたい日本の自治体にとって参考になることが多いだろう。

アイスランドの物価

一方、旅をしていて物価の高さには驚かされた。僕はアメリカの中でも物価が高い地域であるボストンに住んでおり、日本の1.5倍くらいの物価には慣れているのだが、アイスランドはボストンと比べてもかなり高い。普通のスーパーで買うアボガド・チキンサンドイッチが990クローネ (約1,000円)くらいするし、レストランへ行けば前菜が1,500クローネ (1,560円)、メインメニューが4,000クローネ (4,160円)くらいする。食事は美味しいのだが、量は日本と同じくらいの量で、米国の量に慣れるとやや少なく感じる。

感覚的には日本の2から3倍くらいの価格だ。あまりの物価の高さに、僕らはBonusという安売りスーパーやベジタリアン向けのスーパーで食材を買って、なるべく滞在先(Airbnbとアパートメントタイプのホテル)で食べるようにしていた。

アイスランドの教育

観光という点を除いても、アイスランドは興味深い点が多い。まずは教育。Human Development Indexが示すように、国民のほとんどが英語を話し、教育水準も高そうな印象だ。ガイドの人曰く、アイスランド語はアルファベットの数が多く、英語、ロシア語の音が理解しやすいとのこと。また、アイルランド語を守ることへの意識が高く、外来語も英語をそのまま使うのではなく、アイルランド語に訳したものを使うとのことだ。自国だけではビジネスとして規模が小さすぎるアイスランドにとっては、英語を使えることが必須でありながら、同時に自国の言葉も守ろうとする姿勢は、小国のみならず日本のような比較的大きな国も学べることが多いと思う。

アイスランドの経済

経済という点でも興味深い点がいくつかあった。アイスランドは国が小さく、人口はそもそも30万人超と宮崎市よりも少ない。そのように小さく、かつ他の国から離れている市場のため、おそらく進出の優先度が低く、グローバルブランドが少ない。街中を歩いていてもZARAやH&Mといったヨーロッパでメジャーなブランドは見当たらないし、チェーンもDunkin Dounutを見かける程度でStarbucksやMcDonaldも見当たらない。首都でこれほどグローバルブランドが見当たらないというのも珍しい。

色々なことに気づかせてくれるという点で、旅行はやはり楽しいし、学びになる。MBA生活も残り2ヶ月を切ったが、修了までにあと数ヶ国訪れたいと思う。

モロッコ旅行(観光、グルメ、文化)

モロッコは僕にとって、初めてのアフリカ大陸の国であり、かつ20ヶ国目です。その中でも自然の雄大さと食事の美味しさでは上位に入る国だと感じました。

体験することの価値

特に沙漠の体験は想像以上だった。サハラ沙漠をラクダで移動し、沙漠の砂丘の上に敷物を敷いて朝日が出るのを待ち、朝日が昇るのを見る。言葉で書くと簡単だけど、沙漠を踏みしめた時のやわらかな感触、ラクダの動きに合わせてバランスを保つ行動、満天の星空を眺めながら暗闇を移動する時に感じる興奮、朝日が出るまでの寒さと朝日が出た時の暖かさ、朝日により空がグラデーションのようになる美しさ、朝日が沙漠を照らした時に、沙漠が赤かったことを知った時の驚き、といった感覚や感情の動きは、実際に行ってみないとわからないものだ。

トリップアドバイザーなどのインターネットでいろいろなものを見て知った気にはなるけれど、やはり知るのと体験するのでは次元の違う情報量だとあらためて感じた。サハラ沙漠での宿泊は全身で自然の雄大さを感じることができるためオススメだ。

素材を活かしたモロッコのグルメ

毎日いわゆるモロッコ料理を食べていたが、これがまた素材の味をうまく活かしていて美味しい。前菜としてのハリヤというスープはお腹に優しい味で、トマトやキュウリを使ったモロッコサラダは健康的。メインのタジンという蒸した鍋料理は肉または野菜料理で、スパイスの味と素材の旨味がギュッと詰まっている。小魚の素揚げのような料理があるなど、全体的モロッコ料理は日本人の口に合うのではないかと思う。食後にはオレンジなどの季節のフルーツが出てきて、これがまたみずみずしい。パスティラ(Pastilla)という焼き餅の中に具材が入ったものもお菓子のような感覚で美味しい。僕の妻はタジンとオレンジジュースが気に入ったようで、オレンジジュースを日に何杯も飲んでいた。

モロッコは小規模農家やレストランが多いということ、流通があまり発達していないということで、必然的に地産地消がされるようになっているとガイドの人より聞いた。地元で採れた魚や野菜を素材の味を活かして調理する、というのは昔は当たり前にあったのだろうが、輸入食材やセントラルキッチンで調理された素材を使うのが当たり前のレストランが多いアメリカや日本などの先進国では都市部でそういうレストランを見つけるのは難しい。どちらが健康に良いか、と問われればおそらく前者の方法だろう。様々な点で先進国の方が効率的な仕組みになっているとは思うが、食に関してはどちらが進むべ道なのだろう、とあり方を考えさせられた。

チップのカルチャーについて

フランスの影響下にあったこともあり、モロッコではチップのカルチャーが浸透している。相場についてはいろいろな議論があると思うが、僕らは100 dhs(約$10、または約1,200円)を各都市で3時間程度ガイドしてくれた人に渡し、70 dhsを2時間程度ガイドしてくれた人に渡した。また、7日間ドライブをしてくれたドライバーには計$140 (1日$20)を渡した。これはツアー会社から「だいたいこれくらいをチップとして渡してほしい」、という額であり、現地でモロッコ人と結婚して生活している日本人の方からすると上限レベルの額だ。満足するサービスを提供してくれたので、相場に則った。

チップという慣習は、僕のように日本で育った人からすると、契約外で追加に生じる費用のように感じて、最初は嫌な感じがすると思う。例えば、アメリカの東海岸、ボストンやニューヨークのレストランでは17-8%くらいが標準で、15%くらいが下限、20%が良いサービス、くらいでhbsの友人はチップをつけていると聞く。つまり、メニューに描かれている額にチップが加わり、それに8%弱の税金が加わるので、実際の請求書の額はメニューの額の25%増くらいになる。25%は結構ばかにできない額だ。

アメリカでの生活と今回のモロッコでの体験を通じて、僕はチップは慣習ではなく、政府を介していない税金のようなものだと感じた。チップという制度にもメリットがある。雇用者にとっては被雇用者へ支払う賃金を下げることの正当化と固定費を変動費化するというメリットがある。被雇用者はより良いサービスを提供することでより稼げるチャンスとなり、かつチップは領収書に残らないお金なので、被雇用者にとっても便益がある。チップを払う側は、メニューの額は必ず支払わなければならないが、チップについては「いくら払うかは自分が決める」という決断の自由を持てる。ただし、実質的にはチップは慣習で決まった水準はあるため、額を多少下げることは可能でも「払わない」ことを続ける選択の余地はあまり残されていない(レストランの場合は従業員とのトラブルに遭うリスクがある)。このように、個人の自由と責任を重視するならば、チップという制度にはメリットがある(ただし、チップの額を決める、誰に帰属するのかを把握する、分配する、課税する、という点でより労力が必要となり、社会的にはコスト高)

支払いがほぼ義務付けられていること、そのお金が最低賃金以下で働いている人にいくことを考えると、その意味で、役割的には所得移転の役割を持った税金に近い。

チップは気持ちの分だけ支払えば良い、と言われるが、これは言葉通りの意味ではなく、チップがある社会の暗黙の了解は「チップは気持ちの分だけ『上乗せして』支払えば良い」というのが実態なのではないかと思う。郷に入れば、郷に従えだ。

今回の旅は妻と二人で回ったのだが、リラックスでき、想像以上に楽しいものだった。頭のモードがまだ旅になっているので、月曜日からのFIELD 2のコンサルティングプロジェクトでは、ギアを切り替えていきたい。

スペイン旅行(バルセロナ、アルヘシラス)

ハネムーンという名の旅行に行ってきた。FIELD2というコンサルティングプロジェクトが4日(月)より始まるため、その前にスペインのバルセロナ、アルヘシラスで計3泊し、ジブラルタル海峡をフェリーで越えて、モロッコのタンジェMED、シェフシャウエン、フェズ、メルガザード(サハラ沙漠)、アインベンハッドゥ(世界遺産)、マラケシュ、を6泊7日で回るというなかなか忙しいプラン。どの場所も期待以上でとても楽しい旅になった。

バルセロナ (Barcelona)

ガウディの作品であるサグラダファミリアやグエル公園を見学し、夜はバルでピンチョスやパエリアを食べて飲むという幸せな生活。以下の点で、バルセロナは観光都市として非常に優れていると感じた。

キラーコンテンツであるガウディの遺産:

世界史を学んだ者ならば誰もが知るガウディの作品。街にガウディの作品が調和しており、かつ徒歩でもある程度の数を見て回ることができるほど集中している。絶対的なキラーコンテンツを持っているという点で強い。

本場のスペイン料理:

世界中にスペイン料理の店があるように、スペインの食事もワインも美味しい。加えておつまみをつまみながらお酒を飲み、友人と話して、次のバルに移る、というバル巡りはそれだけで一つのアトラクションだ。しかも今はユーロがドルや円に対して相対的に弱くなっているため、食事が安く感じる。また、コーヒーも美味しい。安くて美味しい本場のスペイン料理はそれだけで魅力的だ。

人の温かさ・陽気さ:

土地柄なのか、店員の人も道行く人もみんな元気だ。海岸沿いを歩くと、砂で様々な形を作り、アートの展示をしてチップを集めている人がいる。街中で歌を歌っている人がいる。お店では片言のスペイン語でも笑いながら聞いてくれ、旅人としても肩の力を抜いて楽しめる。街を歩いているだけで楽しくしてくれる地元の人は、魅力的な街を作る一つの要因だ。

優れた公共交通機関と誘導:

空港から市内まではバスで10ユーロ程度で来れるし、市内の移動では地下鉄が非常に便利。地下鉄は色分けされており、わかりやすく、かつ地下鉄の中では自分がどこにいるのか路線図で示してくれるため、間違ったところで降りる可能性も少ない。またタクシーも比較的つかまりやすく、メーターで走ってくれるため、安心。

バルセロナ自体がコンパクトなこともあり、英語ができるか、または片言のスペイン語が話せれば十分市内を回ることができる。

ホテルの選択肢が広い:

宿泊のオプションが広いのもBarcelonaの特徴。僕らが泊まったホテルは1泊1万2000円程度だったが、非常に快適な部屋だった。

サグラダファミリアは完成にまだ10年かかるようだ。Barcelona自体の体験も非常に良く、完成したら、またこの街に来たいと感じた。

アルヘシラス (Algeciras)

この街はモロッコのTanger MEDに行くまでのフェリーへ乗るために宿泊した。港町で、アラブ系の人が多く、スペインというよりはアラブの国の街に近い雰囲気。夜は暗く、道に人通りも少ないため、やや怖さを感じた。

Tanger MEDまではTrasmediterraneaというフェリー会社を利用。これがモロッコ入国の洗礼になるとは思いもよらなかった。8:00発の予定が、フェリー搭乗までの荷物検査、出国審査がカオスとなり、結局出発したのは9:30以降。荷物検査の機械が一つしかないのに対して、並ぶ人数が多すぎて、捌ききれていない。しかも列に普通にみんな横入りするので、カオス状態。僕らもそれに習って横入りをしたり、他の人が周りに横入りできないようにブロックしたりして、なるべく早く入ろうとしたが、それでも搭乗まで1時間半以上かかった。その間、ずっと荷物と一緒にすし詰めの列の中で並んでいた。

しかしそれで終わらないのが、このフェリー。フェリー搭乗後もカオスは続く。フェリーの中にいる間にモロッコへの入国審査をしてもらわなければならないが、そこにも入国審査官が一人。入国審査は荷物検査よりも時間がかかる。結果、起きるのはまた同じくの大行列。ジブラルタル海峡をのんびりと渡る暇もなく、結果1時間強の船内もほとんど列で並んで過ごすことになった。フェリーから出る時もカオスであったのは言うまでもなし。現地時間の8時半に着く予定が(スペインの方がモロッコよりも1時間早い)、結局着いたのは現地時間で10時半を過ぎており、2時間以上遅れることとなった。

ジブラルタル海峡を渡ることもできたし、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の両方の大陸を目にするのは気持ちの良い体験だった。ただ、スムーズに渡ろうとする方は、ぜひフェリー会社と時期を真剣に選んだ方が良いと思う。