Healthcare Conferenceに参加してきた。HealthcareはUSでもGDPの17.5%を占める*巨大な産業で、プレイヤーの数も多く、業界の構造も日本と異なるのでなかなか分かりにくい。今回のConferenceではConsumer HealthとDigital Healthのセッションに参加した。以下がTake-aways
- USのヘルスケアの品質は上がり続けているが、同時にコストも上がり続けており、政府の予算を圧迫している。ヘルスケアの予算が増え続け、軍事、教育、公共施設などその他の予算が影響を受けて減らされている。企業にとってもヘルスケア関係のコストの負担が大きく、競争力を減らす要因になっている。ヘルスケアのコストをいかに抑えるかは政府、企業が直面する共通の大きな課題。
- 特に糖尿病などの慢性的な病気がコストを増加させている。
- そのトレンドに乗り、最近出てきているDigital healthの製品については、payerやemployerを対象にして、コストを抑えるものがメイン。ビジネスモデルの典型例は、健康増進のプログラム(coaching、behaviral health、medicationなど)をオンラインで提供して従業員の病気を予防する、または糖尿病などの慢性的な病気の症状を緩和させることでそこから得られた経済的利益のうちの一部を受け取る、というもの。具体例はCast Light Health、Omada Health、Twine Health。
- Consumerへダイレクトに訴求しようとしているのがLyra Health。彼らはmental healthcareに特化しており、diabetesなどを対象としている他のconsumer facing digital healthと比べるとエッジが効いている。
- Utilizationを上げるDigital Healthのサービスももう一つのモデルとしてあり、順調に拡大している。例えば、Zoc Docは医者のアポイントメントを仲介するサービスだが、医者の空き時間を埋めるという経済的な価値を生んでおり、そこから収益を得られている。TelemedicineサービスのAmerican Wellも同じく遠隔地の患者を紹介することで医者のUtilizationを上げるという経済的な価値を生んでいる。
- Retailの巨人であるWalmartもHealthcareに力を入れている。Walmart clinicsというbasic primary careを提供する施設を、特にprimary careへのアクセスが悪い地域を主に展開。同時に、Healthyな食品にHealthyだということを表すマークをつけて、消費者にわかりやすくしている。Payerに働きかけて、Healthyマークの付いた製品へのディスカウントを要求しているとのこと。予想だが、CVSやWalgreenも追随する可能性あり。健康な食品が保険からのディスカウントが効いて不健康な食品よりも安くなる時代が来るかもしれない。
- Retailもdigitalを顧客との関係を深めるツールとして使っている。例えば、BayerがClaritinの販売訴求のために、hygieneに関するコンテンツマーケティングをしているなど。ただ、まだどこもベストプラクティスを模索している段階のようだ。
こういったカンファレンスに参加することは新しいプレイヤーを知ったり、主要なプレイヤーがどう動いているのかを知るのに役立つ。また、新しいアイデアを思いつく源泉となる。今学期はもっと積極的にスピーカーセッションやカンファレンスへ参加したい。
* CMS.gov