就職・転職-キャリアを選ぶ時に使えるフレームワーク

人生100年時代、一つの会社にずっと勤めるのではなく、複数の会社や個人で働く人も増えてきました。しかし、就職・転職・独立した後に、「こんなはずではなかった。。」という話もよく聞くのではないでしょうか。

今回は、納得でき、かつ期待通りのキャリアを選択できる確率を上げるために役立つフレームワークを紹介します。

ステップ1: 価値判断の軸を決める

価値判断の軸としては、「目的」(Purpose)、「人間関係」(Relationships)、「金銭」(Finance)の3つの軸を用います。

「目的」はどのような仕事をしたいか、将来に繋がるか、などです。人によってはモノを作るのが好きな人もいるでしょうし、誰かを助けるような仕事が好きな人もいるでしょう。あるいは将来やりたい仕事に繋がるためのスキルが学べる、などもここに含まれます。

「人間関係」、は働く先のカルチャー、一緒に働く人、家族、などをさします。仕事が忙しくなって家に帰る時間が遅くなる、などの場合は家族にも影響がでるため、職場だけではなく家庭の人間関係も含めます。

「金銭」は給料に加え、手当なども含みます。

具体例

僕の場合ですと、「目的」については4つありました。

第一に、自分の過去の経験から、病気を抱えた人やその家族・友人が治療法が見つからずに苦しんでいるのが許せず、そのことに対して考えたり動いている時に充実感を感じます。だから、世界中の人が自分の病気の治療法を見つけられるような世界にしたいと思いますし、「その目標に繋がる仕事」というのを第一の項目にしました。

第二に、僕はテクノロジーの力を信じており、テクノロジーを通じてその目標を達成したいと考えているため、「テクノロジーに関わる仕事」という項目も加えました。

第三に、僕は自分でコントロールしたいタイプなので、「事業責任者として動ける」という項目を加えました。

最後の四つ目としては、僕は多様なバックグラウンドを持つ人と働いている時に特に楽しさを感じるため、米国、ロンドン、シンガポールなど「英語圏でかつ世界中から人が集まっている場所で働けること」を項目に加えました。

「目的」としては以上の「病気の人を治療する・もしくは治療法を見つけやすくできるか」、「テクノロジー × ヘルスケア」、「事業責任者か」、「世界で働ける」の4つを評価項目としました。

次に「人間関係」ですが、これも大事な要素だと考えました。まず、働く場所は自分の価値観と合うようなカルチャーにしたい、もしくはそんなカルチャーで働きたいので、「企業カルチャー」を第一の項目として入れました。

次に、「一緒に働く人が尊敬できるか、一緒に働いていて楽しいか」を二つ目の項目にし、三つ目としては、「僕の家族が幸せか」、を入れました。

最後に、生活をする上で必要となる「金銭」も評価軸に入れました。僕の場合、「目的」で4つ、「人間関係」で3つ、「金銭」で1つ、の計8つが評価の軸になりました。

計8つの基準

ステップ2: 価値判断に重み付けをする

次に、それぞれの項目に、合計で100%となるように「重み」をつけます。

僕の場合、「目的」の4つにそれぞれ10%で40%、「人間関係」の3つに40%、「金銭」でに20%の重みをつけました。

価値判断の項目、重み付けの仕方は人により大きく異なりますし、この重み付けは真剣に考えた方が良いと思います。人によっては「一緒に働く環境が一番大事」、とそこに80%を割り振る人もいるでしょうし、「目的が一番大事」とそこに重みの大半を振る人もいるでしょう。

ステップ3: 選択肢を評価する

選択肢のそれぞれについて、それぞれの項目に「1(満たしていない)」から「3(満たしている)」まで数字を入れます。そして、入れた点数に重みをかけます。

例えば、「組織のカルチャーが合うこと」の点数が2で、その重みが10%ならば、その項目の点数は2 x 10% = 0.2になります。

項目の全てで重みをかけて、点数を合計すると、合計点数が出せます(この方法を加重平均と言います)。

進路の選択肢A、B、Cについて具体的に評価してみると下記のようになります。下記の例だと、Aが最も良い選択肢となります。

ステップ4: 再検証

評価軸に抜け漏れダブりがないか、自分の重み付けが適切か、卒業後の選択肢がまだ他にないか、を考えます。

特にStep 4では家族や友人など、色々な人に相談をして、考えが変わらないかのプレッシャーテストをするのが良いと思います。

まとめ

このフレームワークを用いる利点は、キャリアの選択という様々な要素が絡む決断について、ある程度網羅的に、かつ定量的に評価できることです。

人はどうしても目に見えて測れるもので仕事を選びがちですが(給料やポジションなど)、実際に働く時には、自分の働く目的と合っている仕事かどうか、働く環境が自分に合っているかどうか(組織の文化、一緒に働くことになる人と合うか、家族の賛成が得られているか、など)、の方が大事に感じる人も多いです。

このフレームワークを用いることで、ある程度漏れなく必要な項目を考えながら意思決定ができるので、就職・転職後に「こんなはずではなかった・・・」という確率を下げられるのではないかと思います。

この記事がお役に立てたならば嬉しいです。

投稿者: aki

アキ。東京での勤務の後、ハーバードビジネススクール(HBS)へ留学しました。卒業後は、医療の世界で働いています。現在シドニー在住。ご連絡はTwitterまで。

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