2年間のHBS留学生活で得られたもの

HBSの2年間もあっという間に最終学期ということで、「この留学生活で得られた一番のものはなんだっただろうね」、という話をある食事でした。ある人は「友人」と答え、ある人は「広い視野」と答えた。

僕の番になって、僕が答えたのは「自信」だ。「挑戦して失敗しても、最後には成し遂げられる。たとえ失敗したところで、食うには困らない」という自信。これは、「失敗したってなんとかなるのだから、世の中のためになること、自分の好きなことをやろう」という気持ちに繋がる。

HBSで育てられる楽観主義

HBSでの生活の中で、何十、何百という成功または失敗した起業家やビジネスパーソンと話をしたり、経営者の判断をケースで議論していると、楽観主義が湧いてくる。自分が意義あると思うことをやって、成功したら楽しい。失敗しても失敗の仕方を間違えなければ次に繋げられる。失敗を何度繰り返しても、そこから学んで挑戦することで、ある程度の成功まではいける。成功した起業家やビジネスパーソンは別次元の人間ではなく、自分と同じ人。成功と失敗のリアリティを身近で感じられたことは、自分でもやればできる、という自信に繋がった。また、セクションメイトと青臭い話ができたり、教授からフィードバックを受けられるこの理想的な環境も、この楽観主義を育てるのに一役買っている。

HBSが与えてくれるセーフティネット

加えて、「失敗」してもセーフティネットがあるとも感じる。HBSのMBAというのは、学校側の絶え間ないカリキュラムの改善と卒業生たちの功績のおかげで一つの品質の保証となっており、これを取得していることで、日米に限らず、世界中の企業で働く可能性が開ける。

また、卒業生のネットワークもかなり強いため、本当にどうしようもなくなっても、きっと助けてくれる人がいるだろうな、という安心感がある。つまり、MBAがセーフティネットとして機能して、失敗したところで、(よほどひどい失敗の仕方をしなければ)家族が食うに困るということはないだろう。

こういった気持ちの変化があることはMBAに来るまでは予想していなかったが、僕はとても価値ある変化だと思うし、そういう変化をもたらしてくれたHBSでの機会に感謝している。

HBS最終学期開始

1月23日から、いよいよ2年生にとっては最終学期となる、2年目の春学期が始まった。春学期は授業が4月28日までで、間に1週間の春休みが入っているため、HBS生活もあと実質90日を切っている。最後の学期は学業、友人関係に力を入れて、悔いのないように過ごしたいと思う。

学業

卒業後に米国のヘルスケア関連企業に進むことから、春学期はHealth CareとGeneral Managementを中心とした7つの授業を履修する予定だ。

Innovating Health Care (Prof. Regina Herzlinger)

米国のヘルスケア業界の経営研究では知らない人がいないと言われるほど有名なHerzlingerの、いかにヘルスケア業界で新しいビジネスを起こすか、という授業。授業はケーススタディ形式の授業とビジネスプランを作るという最終提案の二本立て。HBSに入学する前から履修したかった授業なので楽しみだ。まだ一度しか受けていないが、ヘルスケア業界のユニークな構造にかなり深く突っ込んでいくため、ケースの内容が非常に専門的。また、参加している生徒のほとんどが元々ヘルスケアのバックグラウンドを持つ人やMD/MBA(医者とMBAのダブルディグリープログラム)のため、生徒の議論も専門性が高い。例えば、Medicare/Medicaidと呼ばれる米国政府が運営している保険がどのようにreimburseするか、という門外漢には分かりづらい点も普通に議論に出てくる。教授がヘルスケア業界にかなりネットワークがあるので、ケースで扱われている経営者が実際に教室に来る機会がそれなりにありそう。ヘルスケア業界初心者の僕にとってはかなりついていくのが大変そうだが、その分得るものも多そうだ。

U.S. Healthcare Strategy (Prof. Leemore Dafny)

ヘルスケア業界に特化して、どのように状況を分析し、企業戦略を立てていくかという授業で、教授はヘルスケア業界のStrategyコースを作ったパイオニアであり、元McKinseyのコンサルタントでもあるDafny。こちらも内容が非常に専門的かつ履修している生徒がヘルスケアバックグラウンドの人ばかりなので議論の内容も深い。教授の説明が非常に明確で分かりやすい点が授業の魅力を高めている。こちらも業界初心者の僕にとってはついていくのが大変だが、得るものがその分多い業界特化の授業。例年の授業評価も高い。

Launching Tech Venture/Scaling Tech Venture (Jeffery F. Rayport, Thomas R. Eisenmann)

テクノロジー業界でいかに新しい企業を立ち上げて、スケールさせていくか、を扱った授業。春学期の前半がLaunchingで後半がScalingの内容となり、教授も変わる。授業履修としては別々だ。Rayportは教授職と起業家の両方を経験しているハイブリッドで、Eisenmannは起業研究の大家かつteachingでの高い評価をコンスタントに得ている教授だ。ほぼ毎回、ケースに登場する登場人物がゲストとして授業に来てくれるため、生の起業家と接することが多い授業だ。似た科目として、Entrepreneurship in Healthcare IT and Servicesという科目も開講されていたのだが、他に取りたい授業と時間が重なっていたことと、こちらのLaunching/Scaling Tech Ventureの方が教授が良いのでこちらにした。ケースメソッドでは教授の良し悪しで得られるものがだいぶ変わってくるので、良い教授を選ぶことが非常に重要だ。あくまで個人的な印象だが、実務経験(特にマネジメント経験)がある教授の方がインサイトのある学びをくれることが多く、僕は実務経験がある教授を選ぶようにしている。

General Management: Process and Action (Prof. Joseph B. Fuller)

世界的なコンサルティングファームであるMonitor Groupの創設メンバーの一人であるFullerが教える、事業責任者 (General Manager)としてどのように戦略を実行(Implementation)するかについての授業。実行に重点を置いており、どのようにプロセスを設計・運営し、どのように動くことでどのような影響力を組織に及ぼすべきか、が学べる。昨年度の授業評価が非常に高く、今季も人気授業の一つ。戦略論については1年目と先学期に履修したが、戦略実行の難しさは立てることよりも実行することにある。より戦略を効果的に実行するためのツールボックスを増やしたいと思い、履修することにした。

Designing Competitive Organization (Robert Simons)

管理系の科目の大家であるSimonsが教える組織設計と運営に関する授業。戦略がすでにある前提で、組織をどのように設計するか。何を成果の指標として測るか。どのようにインセンティブの仕組みを設計するか。やるべきこととやるべきでないことをどのように決めてコミュニケーションし、どのように仕組み化するか、など。僕も日本で働いていた時に組織設計や変更がもたらす正と負の影響のどちらも経験しているので、組織運営においてはどのようなレバーがあり、どのレバーを引くとどうなるか、と知ることは非常に有益だと思う。こちらも戦略の実行について、自分が持てるツールボックスを増やしたいために履修することにした。一つ上の学年のある日本人の先輩が絶賛していたこともあって、同じ時間帯の授業に日本人が6人くらいいる。毎週、ちょっとした同期会だ。

Strategic IQ (John Wells)

1年目に必修授業の戦略(Strategy)を僕のクラスに教えていたJohn Wellsが開講する戦略の授業。WellsはPhD取得後にPepsicoで欧州の事業責任者を担うなど実務家と研究者のハイブリッドで、授業は非常にsarcasticかつentertaining。受けていて楽しい教授の一人だ。1年目の必修のStrategyは教授は良かったのだがコースの設計がイマイチで得られたものが少なかったため、今回はWellsの手腕に期待。

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今学期は以上の7科目(そのうちの3科目は前半か後半のみで、他の4科目は通期)を履修予定だ。先学期よりも量が多いのでやや大変だが、これだけ学びに集中できる環境は働き始めたらなかなか得られないと思うことと、HBSの教授のようなそれぞれの分野の第一人者から学べる機会の貴重さに改めて気づいたことから、最後に詰め込んだ。また、今回の科目はU.S. Healthcare StrategyとGeneral Managementの2科目を除く5科目は全てペーパーのため、書くトレーニングにもなるかと思っている。

先学期と同じく、今学期も全科目において半分以上の授業で発言すること、2以上の評価を取ることを目標にしたい。

友人関係

HBS生活も3学期を経ると、だいぶ人間関係も固まってくる。僕の場合、やはり仲が良いのは大きく分けると、①テクノロジー業界に関わるアメリカ人、②セクション内のインターナショナルの学生、③アジア系学生、④Harvardに関わりのある日本人、だ。先学期は妻の協力もあって、平均すると週1回は自宅に友人を呼んでホームディナーができていたので、今学期も週1回のホームディナーは継続し、ホームディナーを含めて週2回は友人関係を深めるためにディナーの機会を利用したい。また、お昼も友人とキャッチアップする良い機会であるので、週4回はランチまたはコーヒーを友人と一緒にするようにしたいと思う。

3学期を通じて、なんだかんだで200人以上とは繋がっており、卒業後も仕事に関するメールのやり取りができるくらいの仲にはなっている。今学期は友人関係を広げるよりも深めて、最終的には人生や仕事について、卒業後にも定期的に話をしていける一生の友人が数人できればいいなと思う。

キャリア

元々はNew Venture Competitionに出る気でいたのだが、米国のヘルスケア関連企業に就職し、卒業後も米国に残ることにしたので(先学期はこの点についてかなり時間を使って考えた。この意思決定については落ち着いたら書く予定)、今年は参加を見送る予定。ビジネスプランについてはInnovating in Healthcareの授業内でチームで書く予定なので、そちらを将来自分でやりたい事業について考える機会にあてる予定だ。

また、特にヘルスケア業界について先学期感じたのだが、この業界では深い業界知識とネットワークがないとビジネスをやることが非常に難しい。僕は業界については完全に素人なので、現状では医者や病院とまともに話ができない。そのため、今学期のゴールは専門家の言っていることが分かり、まともに会話ができるレベルまで達することだ。そのために、2つのヘルスケア関係の授業に加えて、John WellsのStrategic IQなどのペーパーのお題でもヘルスケア業界の企業を選択し、業界の知識やそもそものヘルスケア関連の語彙を増やしていきたいと思う。

時間の使い方

今学期は授業外でもやりたいことが多い。まず、教授から選んでもらったこともあり、FIN2 (Finance 2)という授業のTutorをやる予定だ。TutorはHBSの1年生が分からないことがあったときに1対1のセッションをやる、という2年生による個別指導だ。どれくらいの依頼があるのか分からないが、Tutorをするというのは面白い経験であり、依頼があったら積極的に受けていきたい。今学期は4月末までに10時間はこれに時間を割く予定。

授業外では、Accent Americanという発音・イントネーションに関する10週のプログラムを履修しており、こちらは2月末まで続く予定だ。1日1時間は練習するように、と言われており結構大変だが、良い発音・イントネーションは一生の財産になるため、しっかりとこなして得るものを得たい。

また、米国で卒業後に生活することを考えて、こちらで運転免許を取ろうと思っている。僕自身は日本で免許は持っているがほとんど運転していなかったので、勘を取り戻すことも含めて、教習所通いで時間がややかかりそう。卒業後に行く先は車が必須なので、4月末までにはなんとかして免許を取りたい。

加えて、働き始める前に体力づくりをしたい。先学期は膝をやや痛めて走れなくなってしまい、その後運動不足になり、旅行の前後に風邪をひいたりとかなり体力が落ちてきてしまっているので、運動習慣の改善が必要。体重も約1年半の米国生活で2キロ増えてしまった。今学期は少しずつ運動量を増やして週2回はジムに行き、働き始める7月にはハーフを怪我なく走れるくらいまでもっていきたいと思う。

最後にだが、授業終了から卒業式前までには2週間強の時間がある。引っ越しがあるためにフルに時間を使うことはできないが、MBA中は旅行をして世界を知る良いチャンスでもあるので、その期間にまだ行ったことがない場所へ行き、視野をさらに広げたいと思う。

2年生秋学期の振り返り

すでに春学期が始まってしまっているが、2年生の秋学期を振り返ってみる。

学業 (Academics)

秋学期は”Strategy and Technology”、”Negotiation”、”Entrepreneurial Finance”、”Globalization and Emerging Markets”、”Founders Dilemma”の5科目を履修した。このうち、Entrepreneurial Finance、Globalization and Emerging Markets、Founders Dilemmaは内容と教授も人気の授業。受講した科目はどれも良い科目で、選択授業の良さを実感した。

“Strategy and Technology”ではIntelやMobileyeの社外取締役も務めるDavid Yoffee教授からテクノロジーの業界で特に重要となる戦略の5つの原則、ネットワーク効果、マルチサイドプラットフォーム、柔道・相撲戦術、知的財産、ガバナンスについてどのような点を考慮して戦略を立てるべきかを学んだ。特に5つの原則のうち、”Look forward, Reason back”、未来に世界がどのように変化するかを予想して、そこから逆算して今行うことを考える、というのは技術変化でビジネスがガラリと変わるテクノロジー業界では特に重要だと感じた。

”Negotiation”はMichael Wheeler教授。交渉を分析するフレームワークとその適用方法、信用構築の方法、交渉における学び・適応・影響のサイクル、相手の感情を用いて交渉をいかに有利に進めるかのテクニック、突っ込みすぎた時の対応の仕方、多数のステークホルダーがいる際に有利な状況を作り出すためのプロセスなどを交渉のシミュレーションや優れた交渉人の交渉過程を観察することから学んだ。授業は振り返りや観察からの学びに重点が置かれており、卒業後にも交渉力を高めていくための手法を学べたのが良かった。

”Entrepreneurial Finance”はBain Capitalの創設メンバーであるRobert White教授。起業をする際に「いくら、誰から、どんな条件で」資金調達を行うべきかに加え、近年広がりつつあるベンチャー向けの貸出、クラウドファンディング、売掛金の現金化などの現金調達の手法について学んだ。スタートアップを評価する上で、PDCOフレームワーク(People, Deal, Context, Opportunity)や3 Statge Model (Growth, Profitability, Asset Intensity)は有用だと感じたし、特に資金調達の際の契約書の内容について一つ一つの条項レベルである程度学べたのが良かった(Participation, Anti-dillusion, etc.)。資金調達の際に、どの条項が何にどのようにきいてくるか、を理解していることは必須だと感じたし、将来的によりフェアな条件交渉をするための下地ができたという点で非常に有益だった。実践的には今の市場のスタンダードを知り、良い弁護士を雇うことが大事。

”Globalization and Emerging Markets”はSophus Reinert教授の人気授業だ。新興国が国の発展のために用いている戦略とその国がどのような産業構造になっているのかをフレームワークで分析する手法を学び、それぞれの国でどのような仕組み(institutions)が欠けており、どのステークホルダーがその欠けている仕組みを活かしており、そのような環境へどのように進出するのが良いのか、という企業の進出戦略についても学んだ。例えば、キューバやロシアでinstitutional void(欠けている部分)を活かして事業をする例からは、新興国では機会もあるが、obsoleting bargaining powerのリスク(最初は政府に必要とされて進出しても、徐々に政府がノウハウを吸収して、会社ごと国有化されるなど、必要とされなくなるリスク)があるため、政府とかなりデリケートな関係を築かなければいけないことを学んだ(例えば、こちらを刺したら国際社会から相手も刺されるような状況を作り出すなど)。

これらの授業を履修したことで、①戦略を立て、②多数のステークホルダーと交渉し、③事業提携や資金調達を行い、④新興国までサービスを広げる、という点についてより失敗のリスクを減らし、成功の可能性を高められるようになったと思う。

5つ目のSkikhar Ghosh教授の”Founders’ Dilemma”は僕にとって特に思い出に残る授業となった。秋学期のその他の4つの授業を含めてHBSでこれまで受けてきた授業の中にはビジネスをする上での視点を広げてくれたり、知識を増やしてくれるものは多かったが、”Founders’ Dilemma”は自分の人生観にまで影響を与える授業だった。Hard choiceをいかに行うか、いかに公平さを互いに感じるようなプロセスを築くか、採用と解雇の手法、建設的な失敗の仕方、など、学びは多かったのだが、特に印象深かった授業は、「成功とは何か、失敗とは何か、幸せは何で決まるか」についてだ。端的に言えば、幸せはquality of relationships=どれくらい深い人間関係を築けたか、で決まるというのが主な学びだが、彼が自分の人生のストーリーを交えて語ってくれたその教えは心に残った。

彼の講義は、自分自身を振り返る良い機会となると同時に、行動を変えるきっかけとなった。彼の授業を履修して以降、人からの評価を気にして物事を決めていないだろうか、自分の周囲の人を大切にできているだろうか、意義あることに時間を使えているだろうか、を定期的に振り返るようになった。また、より頻繁に家族と連絡を取るようになり、留学以降やや離れてしまっていた日本の友人と連絡を取る頻度も増えた。これらの行動の変化は、人間関係という点で数年、数十年単位で人生をより良い方向に導いてくれると思う。彼の授業を受けられたことは、幸運だ。

成績は、特に好きな授業であったFounders DilemmaとNegotiationが「1 (優)」で残り3つが「2 (良)」だった。成績は全てが「2」以上取れれば良いと思っているので、目標達成。また、「1」の割合が先学期よりも増えたのも英語での学習環境に慣れてきたということで良い傾向。そのうち一つの授業では教授からも「Final(期末テスト)がとても良かった」と褒められ、嬉しかった。

友人、課外活動

先学期より妻がボストンへ来て、単身用の寮からキャンパス内のアパートへ引越しを行ったため、自宅に友人を呼ぶことができるようになった。そのため、平均して週に一度は2〜4人程度の友人を家に呼んで日本食をふるまうという小さなホームディナーをした。

ディナーの席では話題も様々で、キャリアや家庭といったプライベートな話から、学校生活、国際政治や歴史の話まで及び、話が尽きることがない。ホームディナーでは時間を気にせずゆっくり話せるし、集団ではなかなかしにくい突っ込んだ話もできるので、非常に良い。昨年はアメリカ大統領選挙の年ということもあり政治関連の話を多くした。これらの話を通じて、世界の政治に関する自分の感度がより高くなったように感じる。

一方、昨年の同時期はハーバード日本人会やボーゲル塾に参加していたが、2年目の秋学期はキャリアに集中するため、あまり参加しなかった。

キャリア

卒業後にどうするか、についてじっくりと考え、行動し、人と話す期間だった。ビジネスプランについて投資家と話し、同時に就職活動も行い、米国企業からオファーももらった。MBA卒でもインターナショナル生が米国でのオファーをもらうのはかなり狭き門なため(H1Bビザの関門が大きく、99%の企業は永住権のないインターナショナル生が応募しても門前払い)、自信に繋がったという点でも良かった。色々と考えたが、いくつかの選択肢の中から米国に残る選択肢を選んだ。卒業後に新しいチャレンジが待っていると考えると、ワクワクする。

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2年生の秋学期は特に過ぎるのが早かったという印象だ。特に大きな活動があったわけではないが、卒業後の進路を決めるため、9月、10月はキャリア関係に使っている時間が多かった。リサーチや受け答えの練習など、想像以上に時間がかかった。11月、12月は課題とレポートに追われていてあっという間だった。また、友人とも1年生の時以上に会っていたので、その点でも時間を使っていた。秋学期は英語やトレーニングなどの自己研鑽を怠ってしまったが、学問、友人関係、キャリアで目標はある程度達成していたため、点数をつけるならば70点というところだ。もう少し自分への目標を高く設定しておいても良かったかもしれない。

最後の学期である2年生の春学期は、振り返りをより仕組み化して、悔いのないような学期にしたいと思う。

HBS生の冬休みの過ごし方

冬休みも今週で終わりで、来週の月曜日(1/23)から授業が始まる。たいていのHBSの2年生は12/14くらいまでに試験とレポートをほぼ終わらせているので、冬休みは約6週間だ。2年目は1年目にあったような全員参加のFIELDという海外での授業がないため、冬休みの過ごし方は人それぞれだが、大きく分けて5パターンがある。

  1. 実家へ帰り、その後にトレックまたはIFC(冬休み期間を利用してボストン以外の各地で行われる2-3週間程度の授業)に参加して、そのまま旅行
    ほとんどのアメリカ人はクリスマスを実家で過ごすため、試験終了後は実家に帰って、クリスマスまで2週間程度のんびりしていることが多い。その後に、多くが2週間から3週間程度のトレック(ニュージーランド、オーストラリア、中東、キリマンジャロ、など)またはIFCという1年目のFIELDのような実践型の授業プログラムに参加する。IFCはロンドン、ハリウッド、アフリカ、中国、日本、などの行き先がある。トレックやIFCの前後に旅行の予定を入れて、長い旅程にする人が多い。アメリカ人の大半がこのパターンで、感覚的には全体でも半分以上の学生がこのパターンに属する。また、このパターンを行う学生は既に卒業後の就職先が決まっていることが多い。
  2. 実家帰り+就職活動+旅行
    一つ目のパターンに就職活動が加わる場合、フルに旅行や授業に参加するというよりも、コネクション作りや面接に時間を使う。西海岸の企業はテック系をはじめとして採用時期が春となるため、西海岸へ卒業後に行きたい人、またはインターナショナル生で自国に帰って職を得ようとしている人に多いのがこのパターン。
  3. 友人とひたすら旅行
    実家にも帰らず、就職活動もなく、ひたすら旅行するというパターン。気の合う仲間同士の小規模グループでの旅行が多い。
  4. ビジネスを継続する
    数としては多くないが(僕の知る限りでは十数人)、夏または先学期に起業してビジネスを回している学生もいる。インターナショナルの学生の多くはビザの問題でアメリカでの起業をやめた人が先学期に多く、アメリカでビジネスを続けているこのパターンに属するのはアメリカ人が大半。彼らは一時的に実家に帰った後、ボストンへ帰ってきてビジネスを続けていることが多い。
  5. 家族とボストンで過ごす
    数としては多くないが、子供が生まれる、または子供がとても小さいという理由でボストンに残って家族でゆったりとした時間を過ごす人もいる。

冬休みや夏休みなどの長い休みは「自由な時間」というMBAの価値の一つだ。多くが旅行をするのは、楽しむためということもあるが、世の中をより知るために旅行している人も多い。旅行で見られる世界は断片的なものではあるが、それでも知らない世界を見て、異なった世界を感じることで、少しだけ広い視点を持てるようになる。広い視点は他者の視点をより理解できることに繋がり、それはビジネスを行う上でも価値がある。また、子供がいる家庭にとっては、子供と一緒に過ごす時間が仕事をしている時よりもたっぷり取れるというのは、大きいメリットのように感じる。

僕の過ごし方はというと、パターン3と5を組み合わせた感じだ。12/25まではボストンで本を読んだり前学期のまとめをしたりとゆっくりと過ごし、12/26から1/15までの約3週間はペルーとアルゼンチンを妻と旅した。1/16からは妻と友人とキューバへ行く予定だ。本当はアフリカでのIFCや中東のトレックに参加したかったのだが、運悪く、IFCは抽選で漏れ、中東のトレックも20名という少人数枠に入ることができなかった。トレックに参加できなかったのは残念な一方、ペルーではリマ、クスコ、マチュピチュを1週間で、アルゼンチンではブエノスアイレス、イグアス、エルカラファテ、エルチャンテン、ウシュアイア、と2週間で回ることができ、行きたい場所で好きなように時間を使えたのがとても良かった。

マチュピチュでは人類が築いた偉大な遺跡を堪能し、イグアスでの滝へ突っ込むツアーでは滝の雄大さに、パタゴニアのペリトモレノ氷河を歩くツアーでは氷河の大きさに圧倒された。同じくパタゴニアのエルチャンテンでのハイキングでは大自然を感じ、環境団体がどうして自然を守ることに情熱を注ぐのか、どうしてパタゴニアの創業者がパタゴニアのマークをフィッツロイ山からとったのかが分かったような気がした。南米大陸最南端の町と言われるウシュアイアでは南極にほど近いビーグル水道をめぐるツアーに参加し、野生のペンギンを間近で見るという滅多にない体験もできた。政治という点でも、アルゼンチンの物価の値上がり具合(1年間でどの価格もアルゼンチンペソベースで50%以上値上がりしていた)から、政策がどれだけ人々の生活に影響を与えるのか、を体感した。そんな中でも物価の値上がりを乗り切り、音楽と踊り(アルゼンチンはタンゴ発祥の地)を楽しみ、肉とワインを楽しむアルゼンチンの人々の生活からは、人生をしなやかに楽しむ方法を学んだ。また、旅の中で、旅に必要な初級のスペイン語も学ぶことができた。こうした学びはボストンに留まっていたのでは得られないもので、時間とお金を使う価値があったのではないかと思う。

フライトが遅延・キャンセルとなったらどうするか

せっかくの旅行なのに、フライトの遅延、キャンセルになると慌てますし、どうしたら良いかわからなくなりますよね。

旅をする中で、悲しいことですが空港近くでの宿泊を4回経験して、そろそろ慣れてきましたので、対応のコツをまとめてみます。

遅延・フライトキャンセルの具体例

LATAM at Buenos Aires (AEP) – ブエノスアイレスからイグアスまで行く際に、前日にストライキがあったらしく、100人を超える乗客が待つ中でカウンターを2つ程度しか開けず、チェックインカウンターの前で2時間待つことに。

乗客は不満続出で、夏休み中の晴天のディズニーランドのスプラッシュマウンテンくらいの列に。出発直前だから優先してくれと交渉してようやくチェックイン。当然飛行機は1時間ほど遅延。

Aerolineas Argentinas at Iguazu (IGR) – イグアスからブエノスアイレス経由でエルカラファテへ行く際に、イグアスからブエノスアイレスまでの便が霧の理由で2-3時間遅れることに。

ただ、アルゼンチン航空側の配慮もあり(接続便もその分遅らせてくれた)、ブエノスアイレスでの乗り継ぎはスムーズでエルカラファテへはその日のうちに到着できた。

LATAM at El Calafate (FTE) – エルカラファテからウシュアイアへ行く際に、LATAM航空による謎の予定変更で飛行機の出発が4時間遅れることに。

おかげで1日しか予定していなかったウシュアイアでの滞在時間が減った。

LATAM at Lima (LIM) – 23:40発予定のニューヨーク行きの飛行機に乗客が全員乗り込んだ後、1時間ほど飛ばず、どうしたのかと思っていた矢先に突然のキャンセルに。夜の便であったため、次の便は翌日13時になるということで、1晩空港近くのホテルで泊まることに。

航空会社側のオペレーションが最悪で、混乱する乗客に「分かり次第情報を出します」と、結局空港で2時間程度待たされた挙句、ホテルへの輸送、ホテルでのチェックインも時間がかなりかかり、結局チェックインできたのは朝の4時。おまけに、ニューヨークからボストンまでの代替便として提示されたのがニューヨークでさらに1泊する必要のある翌々朝の便で、ますます憤慨。

LATAM at Lima (LIM) – さらなる余計な宿泊は避けたかったため個別でリサーチしたところ、翌日13時にリマ発の便が定刻通りに飛べばデルタのニューヨーク->ボストンの最終便に接続でき、当日中にボストンに帰れる可能性を見つけ、そのデルタのフライトを予約(ニューヨークJFKにて2時間の接続時間)。LATAM空港側で手配されたニューヨーク->ボストン便は後ほど返金してもらことを前提に。

しかし、代替便にもまさかの2時間の遅れが生じ、ニューヨークでのデルタ便への接続が不可能に。結局ニューヨークでさらにもう1泊することに。当然購入したデルタ便のチケット代(2人で約250USD)も無駄に・・・。この時のJFKでのLATAM航空によるホテル手配のオペレーションも段取りが非常に悪く、空港で1時間以上待たされた上、ホテルの部屋に着いたのは24時過ぎの状況。

結局、リマとニューヨークの空港近くのホテルでそれぞれ1泊してから帰国することになった。

予約時に気をつけること

定時発着率が低い航空会社が定時出発する前提で予定を組まない

FlightStatsのランキングは一つの指標になります。LATAM航空は定時発着率が80%と低い航空会社です。1/5の確率で遅れることを前提にして旅行を計画した方が良いです。特に旅行シーズンの夏には2時間は遅れる可能性があると想定した方が良いと思います。そもそもそういう航空会社を選ばないのも一つの手ですが、チリ、ペルーあたりですとLATAM便に乗らないと選択肢がかなり限られますので、選ばざるを得ないケースが多いかもしれません。

乗り換え回数をできるだけ1回に押さえる

基本ですが、乗り換え回数が多くなれば多くなるほど遅れた時の対応が面倒になります。特に夜に出発するフライトですと、次の便が翌日となり、翌日以降の予定に影響が出ます。

南米はアジア、北米、欧州ほど遅延が起きた際に他に選べる移動手段が多くないので、乗り換えはできるだけ少なくしましょう。KayakやTripAdvisorで価格比較をする際に、乗り継ぎ回数でもフィルターがかけられます。

$100-$200程度の航空券価格の違いであれば、遅延やキャンセルが起きれば無駄になったホテル代などですぐに吹き飛んでしまうことを考慮に入れましょう。

遅延、キャンセルが起きやすい時期を知る

例えば冬のヒースローの積雪、夏のイグアスの霧や大雨など、天候の状況でフライトの遅れが起きやすい時期があります。

それらの時期に旅行する際には、リスクを織り込んで考えるか、もし可能であれば違うトランジット先を探すとリスクを減らせます。

遅延やキャンセルが起きた場合

コンスタントに従業員へ話をして、最新情報を得ること

遅延が起きた際には従業員に乗客が殺到します。いつ出発するのか、代替便の手配はあるのか、など。なるべく早く動いて情報を得ましょう。

そして、定期的に最新の状況を聞きましょう。たいていの場合、ある程度時間が経ってから航空会社側も対応方針を決めるため、一番最初の時点で従業員が情報を持っていなくても、彼らの中で情報がアップデートされていきます。

アップデートに関してはアナウンスが必ずしもあるわけではないので、定期的に聞きましょう(30分または1時間ごと、など)。早く動けば、乗り継ぎ便の確保やチケットの再発行がそれだけスムーズにできます。

仲間を作ること

同じようにフライトの遅延やキャンセルの影響を受けた乗客がいるはずです。特に行き先が同じ仲間は貴重。彼らと話をして、彼らに自分の持っている情報を提供しましょう。

お返しにではないですが、彼らも最新情報を得た時に教えてくれることがあり、助かります。実際に僕らはイグアスの空港にて、いつ頃からチケット再発行が始まるか、乗り継ぎ便が何時になりそうか、という最新情報を教えてもらえ、チケットの再発行がかなりスムーズにできました。

代替案を用意して、提示すること

特にフライトの遅れやキャンセルのために代替便が翌日になった場合ですが、航空会社側は行き先に応じて顧客をまとめていて、対応を一括に行ないます。

すると、本来では個々人にとってはより望ましい代替便・ルートでの席が数席空いていたとしても、その数よりも対応しなければならない乗客の数が多い場合、航空会社はそのルートでないルートを確保しようとします。

結果として、代替便が翌日の午後以降になることも多いです。具体例としては、僕らがリマにて突然のフライトキャンセルにあった際、その曜日で飛ぶボストン行きの便を調べたところ、リマ->ニューヨーク->ボストンの場合だとリマとニューヨークで宿泊する必要がありましたが、リマ->マイアミ->ボストンですとリマのみの宿泊で済むルートがありました。

後者だと今回は1席しか空きがなかったのでそちらのルートではいけませんでしたが、こちらにとってより都合の良い代替案をこちらから提示した後で初めて向こうが検討してくれました。

ただし、こちらは時間がかかる個別のプロセスなので、他の乗客と離れたカウンターで行うのが良いと思います。

トランジットホテルに向かうバスにはなるべく前に座ること

団体でのホテルでのチェックインとなる場合、チェックインが非常に混み、時間がかかることが多いです。やや利己主義ですが、もし子供と共に旅行しているなどの場合、なるべく早くチェックインできるようバスの前に座っていた方が、ホテルのカウンターで待つ時間を減らすことができます。

朝食代だけでなく、夕飯や昼食代も請求してみる

航空会社側に本来義務はありませんが、強く要求することで得られる場合があります。必要であれば、リクエストした方が良いと思います。

フライトのキャンセルや遅れは頻繁に飛ぶ人にとっては避けられないと思いますが、リスクは予約時に減らすことができ、遅延やキャンセルが起きた際には上記のポイントに注意して行動することによって、ストレスを少しでも減らすことができます。良い旅を!

DeNA WELQとHBSの教育について

DeNAのWELQの問題について、僕自身、医療系の情報Webサービスをやろうかと考えたこともあったので、僕の考え方を書いてみる。

ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングを用いての安価なコンテンツ作成は、僕が前職でSEOに関わる仕事をしていた2013年に、試したことがある。①ある特定の地域について、②このタイプの事柄について、③自社のサイトのこのページの中にあるキーワードを用いて、書いてほしいという依頼をしていた。僕の場合は記事の内容の品質を保ちたかったので、最初の間口を広くして来るもの拒まずとして、最初に5記事を書いてもらい、その内容の質を元に、良い記事を書くライターの方に次回以降はまとまった数を発注する、という作業をしていた。テーマやキーワードはDeNAのケースと同様にSEOを重視して選んでいた。

この作業、想像してもらえばわかると思うが、結構手間がかかる。依頼したい記事の内容をSEOを元にリストを作り、ライターの方にどう割り振るかを決め、それぞれのライターとのやりとりを行い、彼ら・彼女らの質問に答え、発注、回収、検査、アップロード、を行う。クラウドソーシングで働く人は副業として行なっている人が多いため、短納期であまり大量に受けてくれる人も多くない。そうなると、多くのライターの方々の窓口兼仕事のやりとりをすることになる。これだけで一仕事だ。確かに一記事あたりの価格はかなり抑えられるのだが、僕の裏方作業の工数を考えると、少人数に大量発注する形でないと、あまり割が合わなかった。当時この手法の費用対効果を分析してみたところ、他の手法の方がより効果的だったため、前職ではこの手法をスケールさせることはしなかった。一方でこの手法を使えば記事を大量発行させて、旅行や住宅など、単価が高くアフィリエイトで稼ぎやすいもので個人として副業を立ち上げることはできるな、と感じていた。もし僕がMBAに来ることを選ばなかったら、違う分野で試していたかもしれない。

DeNAはマニュアル化と品質の割り切りでこの課題を解決し、クラウドソーシングをコンテンツ大量作成に用いた。BuzzFeedの報道によると、DeNAは記事の構成や他サイトをコピーして内容をリライトする方法をマニュアル化しており、それを用いてクラウドソーシングで発注していたとのこと。リライトについては、著作権について指摘している人も多いが、SEO対策専門家として入っている辻さんのTwitterからもわかるように、むしろGoogleからコピー割合の多いサイトとしてペナルティをくらわないようにするための対策としていた。また、意図的に引用を避けているのは、これは僕の推測だが、リンクジュースを渡さないようにするため(SEOの世界では、ページからリンクがあると、そのリンク先にサイトの影響力が伝播すると考えられている)だろう。コンテンツのオリジナリティの度合いが低ければ黒に近いグレーではあるが、SEOの観点からは今でもいくつかのビジネスが行っている施策の一つではある。

品質の割り切りについても、ウェブ系企業のロジックで照らし合わせると、自然な対策法だ。そもそもウェブ系の企業は一般的に、品質管理がハードウェア企業に比べるとゆるく、商品を市場に出すまでのサイクルが圧倒的に早い。不良品を出したら回収しなければならず、膨大な費用がかかるハードウェアに比べて、ウェブの場合の改修はサーバー側の修正で済むことが多く、ウェブは業界として品質よりも速度を優先する傾向が強い。WELQに関しても記事数、ページビュー数のKPI達成が重要で、問題が指摘されたらその記事を修正するか引っ込めれば良い、という感覚だったのだろう。

日本のウェブ系企業の人は、「これ、うちもやばいかも」、と感じた人が一定数いるのではないか。「できるだけ早く走り、問題が起きたらその時点で修正する」、という考え方はウェブ系以外の業種からすると危うい慣習にも見えるだろう。今回の場合、医療という、法的に縛られており、社会的にも失敗への許容度が低い業種にウェブと同じようなアプローチで挑んだことが失敗の一因だろう。

視点を変えて、僕がMBAで学んだことと、今回のWELQの件はどう関連付けられるだろうか。

HBSの1年目のLCA (Leadership and Corporate Accountability)の授業では、僕らはビジネスのグレーな領域の判断をするときには、①経済的な観点、②法的な観点、③倫理的な観点、の3点について、少なくとも4つのステークホルダー(顧客、投資家、従業員、社会)について考えるべき、と教わった。このフレームワークにのっとれば、WELQの手法自体は、SEO最適化という点ではビジネスの論理では優れていたと思う。一方で、今回のWELQの件は、著作権に関する法的な側面でリスクをかなりとっていた。倫理的な面でも、キュレーションサイトであるとして責任を逃れようとしながら実質は編集権を持ったメディアであり、責任逃れとも取れる行動をとっていた点、医療に関わる誤った情報を伝えて患者さんがより症状を悪化させてしまう可能性があった点で倫理的な側面の検討が甘かった、もしくは考慮から漏れていたのだろう。

顧客に関しては、ページビューやページ当たり収益といった数値を追い求めて、スクリーンの先に実際の人がいるという意識が希薄になってしまったのではないか。投資家については、訴訟リスクを十分に考慮して事業を運営できていたのだろうか。従業員に対しては、KPIで追い詰めすぎて、手法を問わないような状況になっていなかっただろうか。社会に関しては、医療の情報が社会にもたらす影響についての理解が足りていなかったのではないか。(*補足:DeNA創業者の南場さんもHBS出身(Class of 1990)だが、彼女が学ばれていた時はエンロン事件以前で、HBSの教育方針も今とはだいぶ異なっており、LCAは必修ではなかった。)

こうした法的・倫理的観点は、僕はHBSに来るまではそこまで意識していなかった。もし僕がHBSに来る前に医療メディアの分野で起業をしていたら、DeNAほどアグレッシブにはやっていなかったと思うが、似たような判断をして、DeNAと同じような問題に直面していたかもしれない。

一方で、今は難しい判断をする際には自然とこれらの観点を含めて考えるようになっているので、違うやり方をとるだろう。また、情報が入った時点でおそらくより早く閉鎖の判断をしていただろう。

意思決定の力を鍛えるというと抽象的だが、具体的な事例に当てはめると上記のような違いが出てくる。僕にとっては、HBSで学んだ観点が僕の意思決定に影響を与えており、その価値は大きいと感じている。

3月18日追記:

第三者委員会の調査報告書が公表されました。トラフィックの推移や内部の意思決定プロセスがかなり詳細に書かれています。会社を一面的に批判するのではなくスピードを重視する意思決定の必要性やDeNAの日本におけるIT業界のリーダー的ポジションを考慮しながら建設的に問題点と改善策を指摘した、非常にバランスの取れた報告書という印象です。

DeNAのビジネスを牽引してきた守安さんの重要性を考慮すれば守安さんの辞任は避けたく、守安さんは減給、DeNAの中では比較的新参者の村田さんと中川さんの辞任で幕引きを狙う、というのは投資家の論理としてもDeNAの内側の論理としても理にかなっているのでしょう。南場さんが社長に復帰して二人体制になるのでコンプライアンス的にも強化される、というのもうまいロジックだと思います。

Founders’ Dilemma

HBSでこれまで受けてきた授業の中で視点を広げてくれたり、知識を増やしてくれるものは多かったが、Founders’ Dilemmaほど僕の人生観に影響を与えた授業はなかった。この授業の教授はShikhar Ghoshという2社を上場させ、Forbesの正面をJeff Bezosと飾ったり、インターネット業界で最も革新的な10の企業のCEOに選ばれたような有名な元起業家だ。授業では起業家が直面する様々な課題(例えば、共同創業者の株式の割合はどうすべきか、家族を経営陣に入れることはどのような影響があるか等)について扱った。

授業で得た学びは多く、まだ僕自身消化し切れていないが、彼が最後の授業で残してくれたアドバイスがとても良いと感じたので、共有したい。

僕らが重要だと思うことは、必ずしも重要ではない

僕らは他の人が自分のことをよく見ていて、自分の言ったことを覚えていると思っている。一方、僕らは相手のことをどれくらいよく見ていて、相手が言ったことを覚えているだろう? 僕らが自分のことを考えるように、誰もが皆自分のことを考えている。僕らが恐れるほど、他の人は僕らの失敗に対して構わないし、関心を払ったりしない。他の人にとって、あなたの失敗は大したことはない。

また、僕らは幸せについて考えるとき、今の状態と「こうしていれば」の状態を比べ、差を大きく見積もりすぎる傾向がある。実際には、差はそんなに大きくはない。宝くじで一億円当たった人と、事故にあって障害をおってしまった人の一年後の幸福度の差の研究によると、どちらのケースも幸福度に優位な差はない。

好奇心に従い、人生で来たものにオープンでいたほうが、幸福でいられるだろう。

人間関係を大切にすること

幸福の研究によれば、教育、収入、職業、宗教などは幸福度に影響を与えない。幸福度に影響を与えるのは、人間関係。金銭と異なり客観的に測定できないために見過ごされがちだが、いかに深い人間関係を築けたかが幸福度に影響を与えることを覚えておくべき。

  1. 家族に週に一度は連絡をすること
  2. 兄弟姉妹をサポートすること
  3. 深く、長く続くような友人関係を築くこと
  4. 人と過ごす時、常にその場に意識を集中すること

自分を知り、意義あることに時間を使うこと

医療は人の健康に、法律は正義に貢献する。ではビジネスは何に貢献するのだろう? なぜそのビジネスをやるのか、意義(Purpose)を考えてやったほうが良い。ある人は自分の体験からその意義を見つけるだろうし、ある人はやってみて後から気づくこともあるだろう。人生は思っているよりも短く、成し遂げたいことをするための時間は限られている。自分の限られた時間を何に使うかを決めるべきだ。自分を知り、自分にとって意味があることに、時間を使ったほうが良い。

* * * * *

クラスの最後の授業で、彼は自分の人生について語ってくれた。若くしての経済的・社会的な成功と、その後の様々な苦難。彼のストーリーは、僕らが人生で一体何を成し遂げたいのか、自分にとって何を成功と定義するのか、どうすれば幸福に生きられるのか、について多くの洞察を与えてくれた。

僕は、人からの評価を気にして物事を決めていないだろうか。自分の周囲の人を大切にできているだろうか。意義あることに時間を使えているだろうか。これからの人生、特に人間関係(relationships)と意義(purpose)については自分が自分のなりたい姿に近づけているかどうか、定期的に振り返るようにしたい。

アメリカ大統領選 – トランプの予想外の勝利

HBS(ハーバードビジネススクール)の学生にとっては予想外、という言葉が当てはまる大統領選の結果だった。

マサチューセッツ州は選挙結果にもあるように伝統的に民主党支持の地域であるので、街中で共和党支持の声を聞くことは少なかった。加えて、今年はドナルド・トランプが女性や移民蔑視の発言を繰り返していることから、「あんな人が大統領になれるわけはない」とHBSにおいては90%以上がヒラリー支持であり、ヒラリーで決まりという空気が支配的だった。

僕は8日の選挙当日にはヒラリーの選挙を応援しているセクションメイトの家で選挙の結果を見ていた。当日は前週のFBIの再調査の件や隠れトランプ支持者がいることの可能性を考慮しても、ヒラリーの勝利について皆楽観的だった。

7時から始まった集まりも、最初は皆ヒラリーの勝利を祝う準備をしていた。しかし、フロリダ、ペンシルベニア、ノースカロライナが接戦かつトランプの方が若干票数で上回っており、オハイオでトランプが優勢ということが分かってくると、雲行きが怪しくなってきた。

事前予想ではかなり細かったトランプ勝利の道筋がだんだん太くなるに従って、皆の口数が少なくなっていった。上記の州でトランプが優勢であることが報道され、皆もトランプが大統領になる可能性が高いことが明らかになると、部屋は葬式のようなムードになっていった。

廊下や外で一体何が起きているのだ、と叫ぶ人もいた。予定では12時まで部屋にいる予定だったが、皆早めに部屋から離れた。午後11時、まだ結果は出ていなかったが、途中結果の様子からヒラリーが負けたのはほぼ明らかであった。

翌日はクラス全体が暗い雰囲気に包まれていた。僕の最初の授業はミット・ロムニーの選挙戦略を担った、ロバート・ホワイト(Robert White)のEntrepreneurial Financeの授業。

いつもはケースのディスカッションを行う授業であるが、「今日は、まずこの話をさせてほしい」、と選挙についての話から始めた。彼はミット・ロムニー vs バラク・オバマの結果と今回のドナルド・トランプ vs ヒラリー・クリントンの結果を比較し、ポイントを述べた。

一つ目は、ドナルド・トランプがオハイオをはじめとしたラストベルト(Rust Belt: 製造業が盛んであったが、現在は廃れてしまっている地域)に戦略的に注力して票を獲得したこと。二つ目は、前回の選挙が”Which candidate cares me”(私のことを気にかけてくれるか)であったのに対して、今回の選挙が”Change”(変化)がテーマの選挙となり、エスタブリッシュメントの象徴であるヒラリーにとって不利に働いたこと。

その後、クラスで結果を受けたディスカッションが行われた。議題に上がったのは、「ヒラリーは女性だったからガラスの天井に阻まれて、当選できなかったのではないか」、「共和党の内部も割れているが、トランプと共和党はどのように国を運営していくのか」、「どの層がトランプを支持したのか」、など。トランプについては、どのように政権を運営するのかの不確実性が高く、現時点では読めない、というのが結論だった。

次の授業のStrategy and Technologyにおいても、前半は選挙についての議論を行った。Intelの社外取締役でもある教授のDavid Yoffie自身もショックを受けた様子で、不確実性が非常に高まったことを述べた。

クラスメイトの中の一人はオハイオ出身の元軍人で、彼はクラスの雰囲気と彼の地元の比較についてのコメントをした。彼によれば、軍人コミュニティはトランプ支持者が多く、彼らから見れば、「ヒラリーを支持する方が信じられない」、と。

彼らは、「ヒラリーは嘘をつき、権力と共謀して罪をもみ消し、ウォール街から多額のお金を受け取り、軍人を関係もない中東へ派遣する。一方でトランプは他国に対して強い態度を取り、国民の安全を守ることを優先し、軍人をアメリカを守る任務に就かせてくれる。」と感じている、と共有してくれた。

他にも似たコメントがあり、HBSのコミュニティでは見えていない側面がある、ということに気づかせてくれた。

授業外のオフライン、オンラインともに選挙に関する議論が行われた。選挙がもたらす影響についての議論が休み時間や昼休みに行われ、特にインターナショナル生は、大きな関心事であるH1-Bビザ (就労ビザ)やグリーンカードの発給への影響について懸念していた。

また、オンラインでは、友人がいかにエリート層が異なる意見を理解していなかったかを述べた上で、互いに理解しあうことの大切さを促す投稿が目立った。

一方では、冗談半分でカナダ人のクラスメートがFacebook Marketplaceに「私と結婚する権利」(カナダ人であり、結婚するとカナダ人の国籍が手に入る)を出すなど、ユーモアで暗い気持ちを笑い飛ばそうとする行動も見られた。

僕個人としては、今回の選挙で今の場所から見えていないものが多いことに気づかされたと同時に、人の感情がもたらす力についても考える機会となった。

良くも悪くも、HBSは流動的な労働市場でも勝ち残っていける人が多く、より自由かつ世界と繋がった、競争があっても機会の多い社会を好む。一方で、今回の選挙結果のように、世の中は皆が同じように自由貿易の恩恵を得ているわけではなく、そういった人たちはエスタブリッシュメントが作り上げたこのシステムが不公正なものだと感じている。

その感情は、ニューヨーク、ボストンやカリフォルニアのシリコンバレーのようなエスタブリッシュメントが多いところでは見逃されがちだが、今回の結果を見る限り、そういった感情をいだいている人の方が多数なのだろう。

この感情の影響力は、想像以上に強かった。影響力の大きさは、トランプがひっくり返した、

ヒラリーとの最初のスタート時点からの差を考えれば明らかだ。今回の大統領選に向けて、ヒラリーは何年、十数年単位で準備を進めてきた。ファーストレディ、国務長官時代に連邦レベル、州レベルで政治家との関係を築き、政策についての知識や経験を蓄積し、ボランティアやサポートしてくれる企業の開拓も行った。

企業、個人から合わせて$1 billion以上の寄付を集めた。対してトランプはもともと政治家との繋がりも薄く、政策についての知識も深くはなく、共和党からの支持も完全には得られず、メディアからはバッシングを受け、企業、個人からの献金も$500 million程度とヒラリーの半分程度だ。こんな不利な条件をどうやってひっくり返したのか。

トランプは人々の強い感情に訴えた。彼は人に強い感情を抱かせる、事実に基づかない言動を繰り返し、怒り、不安、恐怖、不信、を強調した。

同時に自分がアウトサイダーであり、強く、批判にもたじろがない、一貫したリーダーであることも示した。強い思いをいだいたトランプの支持者は草の根で支持を広げていき、

選挙当日にもヒラリー支持者よりもより積極的に投票場に足を運び、結果的に選挙では勝利をした(国民投票全体ではヒラリーの方が得票数が上だった)。一貫性や自信の示し方など、トランプからリーダーが学べることもあると感じた。

ただし、過度に感情に訴える手法のダウンサイドが出てくるのは、これからだとも思う。

支持者の感情は、トランプの勝利という9日に最高潮を迎えて、ここから理性による判断が入ってくる。選挙は言葉による約束だが、現実の政権運営ではその約束を実行し、人々の期待値を満たせるかが鍵となる。

トランプは人々の期待値を上げた点で、それを満たす行動をしようとしたならば、既存の仕組みと対立し、通常の安定した政権運営を取ることが難しいだろう。具体的には、トランプほどの変化を望んでいないであろう共和党との折り合いをどうつけていくか。

トランプは、議会の反対により自身の公約を満たせなかった時に、どう人々に説明するのか。人々が期待したレベルのChangeをもたらせなかった時にどうするのか。期待が高いが故に、反発のリスクも大きいと思う。

良くも悪くも、政権移行は行われる。アメリカに住んでいる一人として、どのように移行が行われるかに継続的に注目したい。

HBS Japan Trekの情報発信・決済で利用したツール

インバウンドの増加により、ツアー運営者にとって日本のホテルがどんどん予約を取りにくくなっている。今年の運営では伊勢志摩サミットの時期と重なったこともあり、特に名古屋がホテルを取ることが難しかったが、名古屋のオプションが少ないのは今年も同じようだ。100人規模で来年の春に開催するならば、今年中にはホテルを予約したいところ。

さて、今回は集客ツールの話をしたい。今年のJapan Trekでは、情報発信チャネルとしてFacebookを、申し込みや振込管理としてはWeTravelというツールを用いた。こちらは友人のZakyが共同創業者となって一昨年ローンチしたサービスで、簡単に旅程情報を含めたページが作成できるので、特に集客時に役立った。他のトレックではPayPalで友人宛として振り込む方法や、Tiltを用いる方法が採用されていたが、PayPalは別途シートを作って参加者を管理しなければいけず、Tiltでは旅程に関する情報を伝えにくいという問題点がTrek管理ではあるので、その点はWeTravelの方がワンストップでできる点が優れている。一方、WeTravelは決済プラットフォームとしてはStripeを使っているのだが、こちらは銀行振込だと入金や返金に週単位の時間がかかり、「まだ返金されていないのだけれど」という問い合わせが入るなどして、決済プラットフォームとしてはPayPalやTiltの方が優れているように思えた。もう一つの候補としてEventbriteがあるが、こちらは手数料がかかり、Trekの金額だとばかにならない金額となるので避けた方が良い。(Paypal、Tiltはやり方によって無料にでき、WeTravelはもともと無料だ。)

一長一短ではあるが、WeTravelはTrekを企画するならば検討の余地があるツールだ。僕らが120人で試して普通に使えたので、一応テスト済みだ。

※ Kelloggの例

また、資産を残すという観点では、WordPressなどのブログサービスでサイトを作って例年引き継いでいくというやり方もあるが、そちらはお好みで。

ご参考まで。

 

MBA受験 -HBS訪問でのキャンパスの回り方

Round 1が近いためか、10月は日本から訪問される方が多い月です。在校生にコンタクトされている方は在校生が案内する場合が多いかと思いますが、特にアポイントなしで来られた時のHBSについての回り方について書いてみます。前提はTaxi、UberやLyftでOne Western Avenue側に着いたことを想定しています。地図はこちら

そもそもキャンパスビジットをどのように行うのが効率が良いかは「MBA受験 – キャンパスビジット (Campus Visit)」をご覧ください。

HBS定番観光コース (約50分)

    1. iLab/Batten Hall (10-15分): Harvardの学生を対象とした起業推進のための施設で、One Western Avenue側にあります。ビジネスアイデアとチームを申請して、承認されると無料のコワーキングスペースとして使えます。無料の飲み物やスナック、壁一面をホワイトボードとして書ける会議室、仕切りや決まった席のないレイアウト、などアメリカのコワーキングスペースらしい特徴を持った施設です。起業の際の法律やコーディングなどに関するレクチャーも月に2度くらいのペースで行われ、参加することができます。iLabの見学が終わったら、北のSpanglerへ移動してみましょう。
    2. Spangler Lawn (5分): Spangler前の芝生です。9月などまた暖かいうちは朝に1年生がグループでディスカッションをしている姿が見れます。晴れた日のお昼には食事をしていたり、ケースを読んでいる人が多いです。夕方にハッピーアワーが開かれたり、アイスクリームが配布されたりとHBS生がセクションを越えて集まる場所になっています。芝生はよく手入れされており、夏、秋はいつもみずみずしい緑の芝生があり、過ごしていて気持ち良いです。12月以降は雪に覆われていることが多く、寒さに震えながらHBS生は春を待ち望むことになります。ベンチに座って少しのんびりしたらSpanglerへ入ってみましょう。
    3. Spangler (10-15分): Spanglerは教室棟のAldrichに並んでHBS生活のメインとなる棟です。1FにはSpangler Diningという食堂があり、ビュッフェ形式の食事に加え、その場で調理してくれるサンドイッチ、アジア系、日替わりのメニュー、カフェなどがあります。学生の多くがお昼はここで食事を買って、食堂内の席や外で友人と食べます。食堂以外の1Fはロビーになっており、ケースを読んだり、PCを操作していたり、会話を楽しんでいるHBS生の様子が見えます。ロビーはかなり豪華で、ホテルのロビーのよう。Diningが空いていればコーヒーを買って、ロビーで休んでも良いかもしれません。地下に行くと、Spangler Grillというもう一つの食堂やケースを受け取るためのポスト、郵便局のUPSSや生協があります。地下から地下通路を通ってAldrichという教室棟に移動してみましょう。
    4. Aldrich(10分): Aldrichは教室棟です。教室には010、011などと番号が付いています。1年生は同じ教室で授業を受けるため、1年生の教室には常に名札が置いてあり、どの教室が1年生の教室かわかります。HBSはケースディスカッションが主な教授法のため、教室はすり鉢型になっており、どの席からでも議論に参加しやすいようになっています。一番上の段の席は教室全体が見渡せるためにSkydeckと呼ばれ、多くのセクションではSkydeckがその週に起こった面白い出来事や面白い発言を金曜日に発表したりします。授業中でなく、教室が空いていれば、様子を見ても良いかもしれません。
    5. Baker Library (10分) : Aldrichの教室を見終わったら、1Fに上がる、もしくはAldrichから地下通路を使って、Baker Libraryに向かいましょう。Baker Libraryは1Fがロビー、3FがLibraryになっています。3FのLibraryは学生証がないと入れないですが、入り口から中は見えるので覗いてみましょう。机がいくつもあり、時間帯によってはケースを読んでいるHBS生が見えるかと思います。Libraryもかなり綺麗な造りで、ホテルのようです。中の見学が終わったら、正面から出て、チャールズ川の方へ向かいましょう。振り返ると、米国旗とHBSの旗が風ではためいている裏にBaker Libraryが立つという、なかなか絵になる光景が見れます。写真を撮るのも良いかもしれません

Harvard Squareから川を渡って来られた方であれば、順序としては逆になります。

他にもジムのShad、学生寮のChase、Morris、家族用のアパートであるOne Western AvenueやSoldiers Field Park、Executive用の近代的で立派な施設であるChaoやTataなどもありますが、基本的には学生か居住者しか入れないために、個人で見て回るには上記の5施設が基本的にはメインとなるかと思います。春、夏は外が気持ち良いので回るのにはオススメですが、冬も地下通路があるのでSpangler、Aldrich、Baker Libraryがあるので学内を回るのはそこまで大変ではありません。

参考になれば!

Skydeckで取り上げられた一例

一例を挙げると、僕は汚職に関する授業で、教授が「汚職の定義は公的機関に勤める人に金銭・あるいはそれに相当するものを渡して自分に便宜を図ってもらうようにすること」と言った時に、「アメリカではdonationとして政治家にお金を渡して、ロビー活動を行い、自分に便宜を図ってもらうようにしているけれど、それと汚職はどう違うのか?」、と質問したらクラスから笑いが起きて(シニカルな見方を直接的に質問したからでしょうか)、それがSkydeckになったりしました。