春学期前半の振り返り

春学期も既に半分が経過し、MBAの1年目も残すところ1/4となった。全体を通して、慣れとともに少し緩みが出てしまい、挑戦の度合いが秋学期と比べて少なかったなという反省。MBAでどんなことをしているのかを伝えるためにも、①学業、②友人関係/ネットワーキング、③キャリア、④課外活動、の各項目について、簡単に振り返りたい。

学業

今学期の科目は必修の5科目とFIELDという必修の実習授業。LCA (Leadership and Corporate Accountability)というグレーゾーンの判断をする際にどのように考えるべきかという授業やTEM (The Entrepreneurial Manager)というアントレプレナーシップに焦点を当てた授業など個人的に学びたかったものが多く、楽しんでいる。ただ、ケースの形式にある程度慣れてきたことから、あまり準備をしないで臨むケースが少しあったり、授業中の態度も前期に比べるとそこまで必死になって発言をしようとはしなかった。特にTEMはどのタイミングでどういう発言が求められているのかが分かりにくく、発言回数がやや少なめとなった。

結果として、TEMで初の中間評価で”3″(下位20%)の授業評価をもらってしまった。他の必修4科目は”1″であったので、発言の質はよくなってきていると思うのだが、やはり授業に臨む姿勢がやや緩んできたのが理由だろう。

“3”はややショックではあったが、気合を入れるのが必要な時期であったので、良いメッセージとなった。きっと、「お前はそんなに気を抜いて良いような立場でないよ。一つ一つの授業をもっと大切に受けなさい」という厳しくも愛のあるメッセージだ。

発言については①半分の授業で発言することを意識し、準備の段階でTakeawaysを意識する、②議論の流れに乗せる(同意して追加または反論)、③教授が求めている発言を推測する、④授業に貢献する発言をする(現実論と抽象論、ファクトによるサポート、情熱や感情を入れる)、⑤CREC (claim, reason, example, claim)で話す、ことを意識している。ただ、最近はその徹底が足りていなかったので、授業前に見返すなどして、習慣化することが必要そうだ。

友人関係/ネットワーキング

友人関係については、今学期から始まったEVOLVEという5人組のグループに所属して、人生のゴールは何か、HBSで何を成し遂げたいか、友情とは何か、と2週間に1度かなり突っ込んだ会話をしている。このEVOLVEというのは中で話したことは外には話さないというNorm(規範)があるために詳しくは書けないが、この活動を通じて、同級生が自分とあまり変わらない悩みを持っていたり、外からでは見えないようなことを感じていることが良くわかった。HBSでの人間関係は意識しなければ、広く浅くになりがちなので、こういった深めるグループに所属して、ずっと続くような人間関係を築けるのはとても良い。

また、Discussion Group、FIELD 3のメンバーとも定期的に会っている。これらのグループのメンバーとも卒業後に続く友人関係になりそうだ。

また、今学期は日本人とも飲む頻度が増え、週に1度は飲むようにしている。特に2年生は再来月で卒業であるし、HBSのみならず、HLS (Law School)、HKS (Kennedy School)、HPUH(Public Health)に通う人たちの中で5月でボストンを離れる人たちもいるので、ボストンで気軽に会える間に話したいと思っている。ボストンへ派遣されて学びに来ている人たちは各分野での第一線の人達であることが多く、そういった人たちと話をするのは楽しいし、またボストン留学繋がりというのは今後も仕事をしていく上でお互いに良いネットワークになるのではないかなとも思う。

一方で、HBSのセクションメイトと授業外で過ごす時間は今学期は少なくなってしまった。春学期になるとFIELD 2前後の旅行や春学期に行われるスキーやアイスランドトレック、春休みのキューバやマチュピチュトレックへの参加などで濃い人間関係ができて、そこからそれぞれ小さなグループができて、その中でイベントが行われているように思える。僕は後述するAsia Business ConferenceやNew Venture Competitionの参加で時間を使っていたことから、トレックや旅行を通じてグループに入る機会を逃してしまった。選択の結果とはいえ、セクションですごく仲の良い関係を築く機会を逃してしまったのは、やや残念なところではある。特に1年目の秋学期、春学期の始めは人間関係が構築される時期であるので、積極的に旅行や週末のイベントに一緒に参加するべきだ。

僕は4月、5月は学業とキャリアに主な時間を使う予定なので、セクションメイトとは週1回ディナーをする程度にして、夏休みや来学期にセクションメイトとの仲をもっと深めたいと思う。夏休み以降はアパートに住む予定なので、セクションメイトを家に招待したりして、仲を深めたいと思う。

MBAは全員がお互いを知らない状態から始まる、という人間関係を考える上ではかなり面白い実験だと思うが、その実験から一定のパターンが見えてきた。僕が見る限り、①全体イベントを通じて薄く広い繋がりが築かれていく、②旅行など宿泊を伴う短い期間のイベントや数回のスモールグループディナーで数人と仲が少し深まる、③スポーツの機会やプロジェクトを通じて一定期間お互いに共通の目的に向かって動き、仲がより深まる、④気軽に誘い合ったり、深い話を話すことでさらに仲が深まる、というようなプロセスで進むように見える。このプロセスを意識することで、より効果的に人間関係を広げて、深めていくことができるのではないかと思う。

キャリア

3月に応募したNew Venture Competitionは残念ながら予選落ちとなった。色々なものを同時並行しており、アイデアやビジネスプランの詰めが甘かったのが理由なので、悔しさがあまりないのが悔しい。特に「なぜこのチームなのか」、「どうやって実行するつもりか」という競争優位性と実行可能性の詰めが甘かった。悔しいと感じれるレベルまで、もっとタイムマネジメントを工夫して力を注ぐべきであった。ただし、何が求められているのかを知る上で良い勉強となった。来年こそは勝ち残りたい。

一方、良いニュースとしては、Rock Summer Fellowsという起業を目指す人または小さいベンチャーでインターンをする人向けのプログラムには受かることができた。こちらは夏の間、自分のアイデアに取り組む人を金銭的にサポートしてくれるというプログラム(週$600)。金銭だけではなく、メンタリングを受けることができたり、Rock Centerのネットワークに入ることができる。受かることができたのは今学期の一つの成果であり、4月から夏にかけてこの機会を活かして新しいビジネスの可能性を探り、プロトタイプ作成までいきたい。

課外活動

Asia Business Conferenceを2月28日(日)に運営した。こちらは人数は想定以上となり、RCのSki Tripと重なるなどかなり時期が悪かった条件では、成功の部類に入ったかと思う。一方で感じたのは、一部をやるのはやはり面白くないということ。せっかくやるのであれば、代表となり、運営を自分で回した方が充実感もあり、より楽しいと思う。

5月に行う予定のJapan Trek運営も順調に進んでいる。僕は主にテクノロジー面、集客、トレッカーとのコミュニケーションを担っている。Japan Trekは運営陣含めて120人と近年では最大の人数であり、Harvardの学生に日本を感じ、知ってもらう良い機会となるため、良い体験を提供したいと考えている。また、一緒に運営をしている日本人も優秀かつそれぞれに強みを持っており、それぞれから学ばせてもらっている。特に商社や金融出身者がゴリゴリと交渉して良い条件を引き出す姿はおおー、と思わせられることが多く、営業経験のあるなしがもたらす価値の大きさを実感している。

その他、個人的には運動をすること、英語力を強化すること、が課題なのだがこちらはうまく仕組み化できておらず、忙しくなると止まる、ということが続いている。一方で、HBS生の多くは運動を定期的に行っており、しっかりとした生活を送っている。特にアメリカ社会では定期的に運動をすることがエグゼクティブの当たり前となっているので、その習慣を自分も身につけたい。

Speaker Series – Michael Porter

Michael Porterの特別講演があったので参加をしてきた。内容は”The New Competitive Advantage: Creating Shared Value”という、社会の問題(教育、ヘルスケア、水、職場の労働環境など)に対してビジネスの手法でアプローチしよう、というもの。要約すると、「フィランソロフィー、CSRと企業が社会問題に取り組んできたけれど、それは企業の評判のリスクを減らしたり、高めたりする程度の効果で、本質的に社会問題をスケーラブルに解決することまでは至っていない。満たされていない社会のニーズにビジネスの手法でアプローチし、利益を上げながら、拡大し、そのニーズを解決していくべきだ」というもの。その切り口として、Value ChainやIndustrial Clusterといった彼の理論を用いている。

その通りだなと思うと同時に、Michael Porterは研究者として生き残るのがうまいなとも思う。同じ理論を異なり、かつ注目されている分野に当てはめることで、彼の過去の業績を再度表舞台に乗せている。すぐれた戦略家は自身のキャリアについても戦略的ということだろうか。

Spring Break – Canada/Boston

先週一週間はSpring Break。セクションメイトの多くはキューバ、マチュピチュ、インドなど様々な国に9日間フルに旅行していたようで、今週は「Spring Breakをどう過ごした?」が定番の話題だ。僕はというと、妻がアメリカに来る予定だったので、カナダで落ち合って数日過ごし、残りはボストンで過ごすことにした。

カナダはトロントとナイアガラを訪れた。トロントはミニニューヨークという印象。チャイナタウン、リトルイタリーなど各移民が移民街を形成しており、街の中に違う国がいくつもあるような印象だ。また、道も碁盤のように縦横に走っているので、どこにいるのかがわかりやすい。地下鉄もそこそこ便利かつシンプルなので、観光する分には困らなかった。食事についてはセクションメイトが言うには、「カナダにユニークな料理はほとんどないけど、Maple Syrupがある」、らしくカナダ料理らしいカナダ料理は確かに味わえなかった。ただし、移民街で食べた中華や韓国料理が美味しかったので、個人的には満足。また、Maple Syrupはお土産に最適だった。観光についてはトロントではすごく感動するような体験はなかったが、CNタワーの展望台のガラス床から見た地面の遠さが楽しかった。

ナイアガラは定番の滝に加え、ナイアガラ観光コンプレックスで見たシアターが面白かった。シアターは映画館と4D体験ができる別室の2本立てで、別室では雨合羽を着て、水をかぶるような体験をした。これはなかなか新鮮な体験で、おすすめ。アメリカ側に回りはしなかったが、カナダ側からの方が迫力はありそうだった。

ボストンでは妻と一緒に日本人のRC (1年生)、EC (2年生)とそのパートナー達、そしてセクションメイトとご飯やお茶をした。妻はゲストとして授業にも参加したのだが、恒例のスタンディングオベーションでの出迎えや僕がコメントした時の拍手喝采など、セクションの暖かい雰囲気に驚いたと同時に、HBSでの滞在を楽しんだようだ。HBSでの生活の一端を楽しんでもらえたのは、嬉しい。

Spring Breakが終わって気付けば、もう春学期も後半戦。早いもので、MBAの1年目も3/4が終了だ。春学期の前半戦は慣れのため、挑戦の度合いが少なかったので、後半戦はまた気合いを入れ直して自分をストレッチしていきたい。

戦略シミュレーション

今日は戦略シミュレーションの日だった。5人のチーム5組での対抗で、一番利益を多く稼いだチームが勝ち、というシミュレーション。僕のチームは、僕はかなり事前に準備をしていて楽しみにしていたのだが、様々な要因が重なって圧倒的な最下位で、破産するという、ある意味で貴重な経験をした。以下が敗因。

  • チームメイトをBuy-inできなかった。チームメイトのほとんどが事前のシミュレーションの課題をほとんどやっておらず、仕組みを理解していなく、どうすればゲームに勝てるのかの話なのに、現実のマーケティングではこうなるはず、という話でオプションを選ぼうとするので、ゲームの戦略として正しくない選択肢を議論する時間が長かった (-> チームの事前の準備の度合いで他チームと比べて負けていた)
  • その一方で、なぜゲーム上でそうするのかの理由を聞いてもきちんとしたロジックがない。そのロジックがない二人を僕が説得仕切れず、チームでコンセンサスを作って、勝つ戦略への意思決定ができなかった。というか、5人中の3人がロジックのないロジックに賛成した時点で、僕がもう諦めて、どうせシミュレーションだから失敗から学べば良いと、それでいいよ、とした (-> 諦めた)
  • 結果的に最初の2ラウンドでぼろ負けして、1チームが非常に上手くやったため、先手アドバンテージの大きい仕組みのこのシミューレーションではもう勝ち目がなくなった。あとの5ラウンドは消化試合で、もうどうしようにもならず、そのタイミングでロジックのない戦略判断をした2人が諦めて、ケースを読み始めるなどし始めたため、チームとして一体感を保てなくなった。僕もあまりの対応に不機嫌になり、その二人を巻き込もうとしなくなった (-> ポジティブな空気を保とうとするリーダーシップが足りなかった)

結果として、僕は結構楽しみにしていたゲームだったのだが、戦略について学ぶというよりはチームワークについて学ぶシミュレーションとなった。次にもし同じことをしたならば、①チームローンチをきちんと行う(シミュレーションの間は集中する、最低限の予習はしてくる、などのNormを決める)、②質問をして、相手が自分で気づくようにする、③どんな状況でもポジティブに、周りを巻き込みリードする、④戦略を実行するときには選ぶものと捨てるものを極端にする、ことを意識するようにしようと思う。

Asia Business Conference at HBS

2月28日(日)はAsia Business Conferenceであり、運営側として参加した。1週間前まではチケットの売れ行きが予想を下回っていてやや焦ったが、アメリカもしくは学生の特徴なのか、最後の1週間で売り上げが急激に伸び、売れたチケット数は目標以上となった。CTO (Chief Technology Officer)としては嬉しいことだ。キーノートスピーカーやパネリストからはアジアについて、興味深いインサイトが得られた。

  • 中国のGoldmanのVice ChairmanであるJiming Haからは、マクロ経済から見た中国の今について学べた。中国はGDPに占める投資の割合が高く、投資が自国内の貯蓄よりも大きく上回っている。現在は海外投資家が中国のリスクを意識して資金を引き揚げており、為替は弱くなる方向に動いている。現状は政府が保有しているドルを売って為替を支えているが、本質的な解決策にはなっていない。どこかの段階で資本の移動の規制を行うか、為替をfloatingに切り替えるのではないか。高齢化の加速など、リスク要因が多く、中国へのexposureは減らしたほうが良い、とのこと。
  • YTL Communications CEOであるWing Leeからは今後の通信技術の発展について学べた。5Gの規格が策定されるのが2019年で商業化は2020年目処とのこと。東京オリンピックの時には、5Gを使えるようになっている可能性が高い。通信の高速化、低コスト化もあるが、本命はIoT (Internet of Things)。バッテリーが進化をすれば、あらゆるものが繋がる世界が見えてくる。Smart Home、Smart Cityなど、コンセプトとしては既にあるものだが、5Gがそのコンセプトを普及させるきっかけになるかもしれない。
  • ヘルスケアのパネルからも、面白い示唆が得られた。ヘルスケアのシステムは国や文化により異なり、ローカライズが必要(例えば中国ではヘルスケアシステムに対する信頼性が低く、信頼性に対するニーズが強い)。ローカライズの例で言うと、PillPackというビジネスが急速に伸びている。これはオンラインでの処方箋やRefillができるアメリカでできるモデルだが、日本では規制の問題でできないであろう。また、ヘルスケアのビジネスで医者を巻き込むものは、特に中高年の医者が変化を嫌うのでなかなか浸透の速度が遅い、というのも面白いポイントだった。

また、ConferenceではYTL CommunicationsのWing Leeさん、Globis Capitalの高宮さんやAlpacaの横川さんともゆっくり話すことができた。それぞれの分野で活躍している人と知り合え、刺激をもらえたのが良かった。

全体的には満足だったのだが、運営側としては幾つかの点でもう少しやれたな、と思うことがある。

  • CTOとしてだが、結局ウェブサイトのモバイル対応をしなかった。モバイルの画面のデザインするところからやり直さなければいけなく、単純にそこまで時間を割けなかったからなのだが、その点はずっと引っかかっていた
  • 朝食、昼食を出すことを考慮せず(値付け時点でオペレーションサイドと連携が取れていなかった)、チケットの値付けを安くしすぎたのと、Early Birdの期間を長くしすぎた。Early Bird Student $20、Regular Student $40、Professional Early Bird $40、Professional Regular $60で出したが、Early birdは一ヶ月前までで、StudentのEarly Birdは$30でよかったと思う。また、discount codeの対象でないのに何らかの形でコードを知って使う人たちへの対策を取り切れなかった
  • Facebookではイベントとして作るべきところを、最初に他の人が団体ページとして作っていたために、結局団体ページとイベントページの二つを運用することになった。これは混乱を生むので、イベントページに早い段階で一本化するべきだった
  • もっと動いてもよかった。他の学校からのインプットや協力が必要なときに、基本的にはHBSのCo-chairに依頼する形で進めた。これは指揮命令系統としては正しかったと思うが、”get things done”の精神から言えば、もっと積極的に入っていってよかったかもしれない
  • 時期が悪かった、のはくじ運だから仕方がないが、特にConferenceがあった3連休は1年生のほとんどがスキーや旅行に行っている時期だったので、RCが殆ど参加していなかった。これだけで数十人から数百人のインパクトが出るので、痛い

以上が簡単な反省だが、こういったカンファレンスの運営に関わったのは良い経験となった。

カンファレンスは学びが大きい。来年もTech、Entrepreneurship、Healthcare、Asiaの4つのカンファレンスには参加しようかと思う。