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ファイブフォース(5 forces)分析 | 解説と具体例

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ファイブフォーシーズ(5 forces)分析はマイケルポーターが提唱した、業界を分析するフレームワークの一つです。業界の利益率に影響を与える5つの要素を分析し、その業界が魅力的なのかどうかを判断するのに使われます。

ファイブフォーシーズは下記の5つの要素から構成されています。

  • 企業同士の競争の激しさ (Rivalry among existing competitors)
    買い手の交渉力 (Bargaining power of buyers)
    売り手の交渉力(Bargaining power of suppliers)
    新規参入の脅威 (Threat of new entrants)
    代替品の脅威 (Threat of substituting products)

競争が激しくなく、買い手と売り手の交渉力が弱く、代替されにくく、新規参入されにくい、のであれば最高の業界です。コンビニの例をもとに、説明していきます。

競争の激しさ

競争が激しければ激しいほど、利益率は低下します。そして、競争の激しさは、下記のような場合により激しくなります。

  1. 競争する企業の数が多い
  2. シェアがばらけている
  3. 価格競争が価値パターンだという業界の認識がある
  4. 商品がコモディティである(商品間に差がないこと)
  5. 買い手が価格の変化に敏感である
  6. 顧客が移動しやすい(スイッチングコストが低い)

コンビニの例を見てみましょう。

コンビニは大手三社でシェア90%以上を占める寡占業界です(セブン、ファミリーマート、ローソンが大手3社。ミニストップが第4位)。大手3社は激しく競争しており、首都圏では200mおきにコンビニが1つあるような状態です。価格競争はお互いに避けており、賞味期限が近づいてきた商品であっても値引きは出来るだけ避けています。

セブンが商品開発力で頭一つ抜けていると言われますが、他2社も追いついてきており、扱っている商品も似通ってきています。また、お客さんが違うコンビニに行って買い物するときになんの障害もないため、お客さんも移りやすいと言えます。

特に商品の差別化が少なくなりつつあることと、大手3社の出店競争が激しいことから、競争環境としては厳しいと言えます。

買い手の交渉力

買い手の交渉力が高ければ高いほど、売る側としては値下げを飲まなければならない場面が増え、利益率が低くなります。買い手の交渉力は、下記のような場合により大きくなります。

  1. 買い手の数が少ない
  2. 一度の注文の量・額が大きい
  3. 代替品へ移りやすい
  4. 買い手が売り手の商品について正確な情報を持っている

コンビニの例では、買い手は私たちのような一般消費者となります。

お客さんは数が多く、一度の注文の量も多くなく、そもそも価格交渉をコンビニではしないので、買い手の交渉力としては弱いです。

代替品(スーパーマーケットなど)を選ぶことはできますが、コンビニの商品の豊富さと立地、24時間営業からくる利便性は多くのお客さんにとって、なかなか完全な代替が難しいです。

よって、買い手の交渉力は弱く、これはコンビニにとっては良い環境であると言えます。

売り手の交渉力

売り手の交渉力が高ければ高いほど、買い手としては高い価格で買わなければならず、利益率が低くなります。売り手の交渉力は下記のような場合に高くなります。

  1. 売り手の数が少ない
  2. 売り手の規模が大きい
  3. 売り手が買い手についての正確な情報を持っている
  4. 売り手の商品の代替が難しい

コンビニの例では、売り手はメーカーになります(飲料メーカー、お菓子メーカー、食品メーカーなど)。日本はメーカー大国でコンビニの棚を確保したいというメーカーが多い上、コンビニの規模と比べると小さいメーカーも多いため、売り手の数・規模からすると交渉力が低いです。

また、コンビニは今やプライベートブランドを幅広い商品で展開しているために、各製品を製造するといくらくらいかかるのかの情報を持っている上、メーカーに対してうちは代替品を用意できると主張できます。プライベートブランドの存在により、売り手の交渉力は低いです。

よって、大手三社に限れば、売り手の交渉力も弱く、良い環境であると言えます。

新規参入の脅威

業界に入りやすければ入りやすいほど、新規参入が増えて、競争が激しくなり、利益率が低くなります。新規参入の脅威は以下のような場合に高くなります。

  • 規制などがない、必要な設備投資の額が少ないなど、参入障壁が低い
  • 規模の経済がきかず、サイズが小さい事が不利益になりにくい
  • 買い手のブランドへの愛着が低く、新規参入の企業でもシェアを得やすい
  • ビジネスをするのに必要な流通にアクセスしやすい

コンビニの例を考えてみましょう。新しく企業がコンビニ事業に参入する場合、

  • 24時間体制の流通を始めとしたサプライチェーンの構築や店舗に大きな設備投資が必要
  • 規模が小さいため、供給業社への交渉力が弱く、仕入れ値が大手と比べて高くなる
  • 大手はプライベートブランドを多く扱っており、新規参入は商品面で劣りやすい
  • 良い場所についてはすでに大手3社が確保していることが多く、新規では良い場所を確保するのが難しい

以上の点から、新規参入のハードルが高いことがわかります。よって、新規参入してくる企業の脅威は低く、これは大手3社にとっては良い環境であると言えます。

代替品の脅威

商品が代替されやすければされるほど、代替品との競争にさらされて、利益率が低くなります。代替品の脅威は下記のような場合に高くなります。

  • 代替品の数が多い場合
  • 商品と代替品の差が少ない場合
  • 代替品の方が商品よりも相対的に安い場合
  • 買い手が代替品を選ぶのに障害が少ない場合

コンビニの例ですと、代替品としてはスーパーマーケットがあり、カフェとしてのコンビニの代替品としてはカフェが、食事を買う場所としてのコンビニの代替品としてはレストランやファーストフード店が、お金を下ろす場所としてはATMが代替品となります。

コンビニの一部の機能を代替するものは数多く存在しますが、「多様な商品とサービスを近くで、ワンストップで、買える」、というコンビニの機能は完全には代替されにくいです。よって、代替品の脅威はそこまで高くないと言えます。

ファイブフォース分析のまとめ

ファイブフォース分析は下記の5点から、業界の魅力度を評価します。

  • 企業同士の競争の激しさ (Rivalry among existing competitors)
  • 買い手の交渉力 (Bargaining power of buyers)
  • 売り手の交渉力(Bargaining power of suppliers)
  • 新規参入の脅威 (Threat of new entrants)
  • 代替品の脅威 (Threat of substituting products)

コンビニの例ですと、業界内では競争が激しいですが、買い手・売り手の交渉力は低く、コンビニが買い手、売り手の両方に対して強い交渉力を持っています。また、新規参入、代替品の脅威も低く、コンビニにとっては良い環境です。

よって、コンビニは大手3社に限って言えば、業界としては良い環境にあると言えます。

実際、コンビニの利益率はスーパーマーケットやデパートなど他の小売と比較しても高く、これは、業界自体が魅力的であるというファイブフォース分析と整合的です。

しかし、大手3社をみてみると、セブンイレブンが利益率で突出しています。つまり、業界だけが利益率を決めるのではなく、企業のとっている戦略が利益率に影響を与えるということです。次回は、より詳しく競争環境を分析する、3C分析のフレームワークについて、解説いたします。

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