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ユーザーの感情に訴えるユーザビリティデザインの6つのポイント

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ユーザビリティ設計はWebサービスやアプリを作る時に、最も大事な項目の一つです。他のサービスと比較してユーザビリティが悪いと、ユーザーはすぐに離脱・アンインストールしてしまいます。ユーザビリティは商品だけの話ではなく、プロモーションの一貫でキャンペーンサイトを作るときにも重要となります。

どうすればユーザーの満足度を高めて、継続的に使ってもらえるユーザビリティを実現できるでしょうか。感情に訴えて、ユーザーの利用頻度を高める6つのポイントを紹介いたします。

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1. 達成可能な小さな目標を与え続ける

人に行動を促したいなら、太刀打ちできない大きな目標ではなく、具体的でチャレンジしやすい小さな目標を与える方が有効なのだ。進歩している実感に励まさせれるし、ゴールラインが見えている方が前に進みやすい。

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 1677

人は目標を達成するのが好きで、目標を達成することに喜びを感じます。目標を達成したときに次の目標が見えていて、かつ少しの努力で達成可能だと感じれば、次の目標に向かう傾向があります。

この傾向を利用しているのが、多くのアプリの更新通知です。LINE、FacebookやTwitterのアイコンに表示される更新数、メールボックスの未読数は、「数字を0にする」という目標をユーザーに与えます。

数字を放置することもできますが、「未達成」のままにしておくことにユーザーは気持ち悪さを感じます。目標を達成するためには一定間隔でアプリを確認し続けないといけないため、結果的に利用頻度を増やすことに繋がっています。

異なる方法としては、定期的に進捗を伝えることを通じて、ユーザー自身に目標を設定させる例があります。

例えば、フィットビットなどのウェアラブルデバイスはユーザーがどのくらい運動したかを伝えます。人は見えるものを改善したがる傾向があるので、今日は15分走った、明日は15分以上走ろう、とユーザー自身が目標を設定するようになります。結果として、フィットビットは運動の実績を示すことで、継続してウェアラブルをつけて運動することを促しています。

2. ささいなことでもフィードバックを与える

子どもはボタンを押すのが大好きだ。しかもそれが光るボタンとなれば、是非とも全部押して確かめなくてはならない。人間には幼い頃から探究心があるが、実際に何かを調べて見るときは、目の前の環境からできるだけ即座に反応が返ってくることを望んでいる

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 2124

人は自分がした行動に対する反応(フィードバック)が返ってきたとき、喜びを感じます。さらに、脳科学的に、人は「予測可能な」報酬よりも「予測不可能なランダム性」のある報酬により喜びを感じるということがわかっています。そのため、ある程度のランダム性があるフィードバックが効果的です。

Twitterの例を見てみましょう。他のユーザーからのコメントや「いいね!」はフィードバックであり、かつどれくらいの反応があるかは予測できないため、予測不可能なランダム性のある報酬です。、投稿がTwitterやまとめサイトの中で話題になる、いわゆる「バズる」ことはさらにランダムな出来事で、大きな喜びを与えます。バズることは、ユーザーの承認欲求を満たし、ユーザーのサービスの利用を活発化させる効果があります。

ヒットしているソーシャルゲームやパチンコなどのギャンブルはこの設計が非常に巧みです。ガチャのランダム性と当たりの光と音の演出など、毎回毎回の操作に小さなフィードバックを入れることで、ユーザーを楽しませる仕組みがつまっています。

3. 進歩を実感させる

試験と、その試験をちょうどぎりぎりで克服する能力、その2つが組み合わさった貴重な状況で、人は強烈で持続的な幸福感を感じるのである

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 3110

人は進歩を実感しているとき、特に少しがんばって課題を解決できたときに、自己肯定感を感じ、心地よくなります。

例としては、航空会社のステータスプログラムがあります。航空会社のマイレージプログラムはブロンズ、プラチナ、ダイヤモンド、などどれくらい1年間の間にポイントを集めたかによってステータスが得られるようになっており、飛べば飛ぶほど高いステータスになるようになっています。

ANAマイレージプログラム

あるランクを達成したときにお祝いを送るなどすることで、次の目標を達成しようというモチベーションを与えることができます。

4. やめては勿体無いと思わせる

数分、もしくは数時間もどっぷり没頭してしまったなら、ラスボスが強いからと行って投げ出すなんて考えられない。せっかくがんばってきたのだから、ここで負けるわけには行かないのだ。喪失や敗北に対する拒否感に押されて、あと1回、あと1回と課金せずにはいられなくなる。

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 2749

人は時間や労力を費やした分だけ、これまで費やしてしまったものを途中でやめてしまうのは勿体無い、と感じます。そして、今まで費やしてしまった時間や労力を価値あるものとみなして、続けるようになります。

ほとんどのソーシャルゲームがこの仕組みを入れています。

初めて数分で「レベル」が上がり、その後も初めて数時間はレベルがすぐに上がりつつけてサクサク進み、ストレスを感じさせない作りになっています。一定以上進むと、スタミナが尽きたり、敵が強くなったりして、進めないようにする壁が出てくるのですが、その頃には時間も労力も費やしているので、やめるという選択肢を取りにくくなっています。

5. クリフハンガー(「引き」)を入れる

人間は完了した体験よりも、完了していない体験のほうに、強く心を奪われる。これが「ツァイガルニク効果」と呼ばれる現象だ

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 3396

人は「未解決」の状態を気持ち悪いと感じ、その状態を解決しようとする傾向があります。それを利用したのが、クリフハンガーと呼ばれる、結末を見せずに終了させる手法です。

この手法をうまく用いているのがNetflixのビデオ再生です。Netflixは自動で次の動画を再生するようにしているため、アメリカのドラマを見ていると一話一話の終わりに「引き」があるので、ユーザーを常に続きが気になる状態にさせ、サービスの利用時間を伸ばしています。

また、テレビCMで昔使われていた、CMを気になるところで切り、「続きはWEBで」と表示して終わるのも、クリフハンガーを利用した宣伝の例です。これもあえて結末を見せないことで視聴者を続きが気になる状態にさせ、より豊富な情報を見せやすいWEBへと導いています。

6. 社会的相互作用(帰属・承認欲求)を利用する

自分の格付けがみんなの格付けと一致していることが確認できるというのは、自分の集団帰属を確認する行為だ。仲間も物事を同じように見ているとわかって安心する。しかしこうした安心感は短期間しか続かないので、常に確認していなければならない。

「僕らはそれに抵抗できない 『依存症ビジネスのつくられ方』」アダム・オルター ダイヤモンド社(2019) Loc 3948

人はどこかに帰属を求め、帰属することで安心を感じ、承認を得ることで喜びを感じます。

Facebook、Instagramの「いいね!」は人のこの性質を利用した例です。投稿したとき、「いいね!」というフィードバックを他の人からもらえることでユーザーは承認欲求が満たされます。承認欲求が満たされたユーザーは、さらに多くの「いいね」をもらうことを求めてサービスの利用を増やすことに繋がっています。

また、ランキングを導入して、ユーザー間の競争を煽るのも社会相互作用を利用した例です。ユーザーは他のユーザーに負けたくないという気持ちから、利用を増やして、それがコミュニティの活性化に繋がることもあります(一方、「負ける」ことでやる気を失うユーザーもいるため、ランキングはもろ刃の剣になり得ます)。

ユーザビリティデザインの6つのポイント

まとめると、ユーザビリティデザインでユーザーの利用頻度を高める6つのポイントは、下記のようになります。

  • 達成可能な小さな目標を与え続ける
  • ささいなことにもフィードバックを与える
  • 進歩を実感させる
  • 今やめては勿体無いと思わせる
  • 「引き」を入れる
  • 社会的相互作用(帰属・承認欲求)を入れる

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