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セグメンテーション | なぜ必要か、どうやって行うかを具体例付きで解説

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マーケティングにおけるセグメンテーション(市場細分化)とはお客さんをある軸で分類して、「誰に」商品を提供するのかを決めるためのプロセスです。

この記事では、そもそもどうしてセグメンテーションが必要なのか、セグメンテーションはどう作ればいいのか、を具体例とともに説明をしていきます。

なぜセグメンテーションが必要なのか

セグメンテーションが必要な理由は2つです。

  • 人により異なる好み・価値観を持っていること
  • 世の中に商品やサービスが溢れすぎて、特定のニーズに訴求しない商品では選ばれにくくなっていること

お客さんは一人一人によって求めるものが違うため、ある特定の欲求をもつ人に対して魅力あるものが、他の人に対しても魅力があるとは限りません。

例えば、スターバックスですごく甘いフラペチーノが好きな人もいれば、甘くないブラックコーヒーが好きな人もいるでしょう。この2人は異なる好みを持っています。フラペチーノとコーヒーを足して2で割ったような商品ではどちらのお客さんも満足させることができず、満足してもらうためには違う商品が必要になります。

また、現在はモノ・サービスの選択肢が過剰なほどある世の中のため、お客さんに選んでもらうためには、焦点を絞った訴求をする必要性が高まっています。

ある商品が1種類しかなければお客さんはそれを選ぶしかありませんが、ほとんどの商品の場合、お客さんは違うブランドの製品や代替品を見つけることができます。そのような場合、よりお客さんのニーズに直接訴えることができなければ、手にとってもらうことすらできません。

具体例として、ドラッグストアでのシャンプーのコーナーをみてみましょう。シャンプーだけでも10種類以上あり、「ダメージヘアに悩む方に」、「地肌をケアしたい方に」、「ふんわり弾力を出したい方に」、「敏感肌の方に」、と棚では「こんなお客さんにうちの製品を」とうたっています。

こんな棚に、「うちの商品はみんなにとって魅力的です」という商品を置いても、ダメージヘアで悩む方はダーメージヘア用のシャンプーを手に取るでしょうし、敏感肌で悩む方は「敏感肌の方に」というシャンプーを手に取る可能性が高くなります。

つまり、「みんなを狙う」というのは、誰も狙っていないのと同じなのです。結果として、特定のお客さんを狙った商品に競争で負けたり、お客さんの隠れたニーズに気づけていないことになります。

よりお客さんに寄り添った訴求をするために、セグメンテーションが必要となります。

セグメンテーションの作り方

セグメンテーションを考えるのにわかりすく、かつ実務上もよく使われるのは2つの軸を選ぶことです。

例えば、年齢と性別という軸を取ってみると

  • 18歳未満の男性
  • 18歳未満の女性
  • 18歳-64歳の男性
  • 18歳-64歳の女性
  • 65歳以降の男性
  • 65歳以降の女性

というように、分けられます。これだけでもセグメンテーションの一つの例です。18歳未満の大半は学生、18-65歳は大学または勤労、65歳以降は老後、と多く点で異なるニーズを持っていることが想像できるのではないでしょうか。

セグメンテーションは大きく分けると下記の4種類の軸を使って作ることができます。

  • 人口統計的属性(年齢、性別、世帯規模、職業、所得など)
  • 地理的変数(都市・地方、オフィス街・住宅街)
  • 心理的変数(好み、価値観、ライフスタイル)
  • 行動変数(購買頻度、有無、購買プロセスなど)

人口統計的属性

いわゆる年齢、性別、世帯規模、職業、所得などです。わかりやすく、今でもよく使われる軸です。先ほどの年齢、性別でのセグメンテーションも一つの例でして、街でも多くの事例を見つけることができます。

例えば、映画館のTOHOシネマズでは、一般の1900円の入場料の他に、大学生・高校生・中・小学生、と一般より低い料金を持っています。また、60歳以上はシニア割引ということで1,200円で、レディースデイは女性のみ1,200円です。

マーケティングの観点からは、TOHOシネマズが年齢、性別を用いたセグメンテーションを行なっていることがみて取れます。

地理的変数

どの国、都市、市町村に住んでいるのか、などです。特に国が異なれば好み・価値観が異なることが多く、ある国でうまくいくセグメンテーションが他の国ではうまくいかない、ということは特に消費財の世界では往々にしてあります。

インターネットが発達して情報が入手しやすくなったこと、通販を利用して居住地に関わらず商品を購入できるようになったことから、都市や市町村といった区切りでセグメンテーションする機会は減少してきているかもしれません。

心理的変数

好み、価値観、ライフスタイルなどの感情的な変数です。機能的な価値で差別化がしにくくなり、より感情的な価値に訴えることが重要になってきたため、心理的変数を用いてのセグメンテーションは消費者を相手にするB2Cマーケティング(Business to Consumers)ではよく使われます。

カメラの具体例でいえば、「最高の高画質で写真を撮って残したい、というプロ志向の強い人と、「気軽に撮ってシェアしやすいことが重要」、という人では求める商品が異なります。前者は一眼レフやミラーレスカメラのお客さんとなり得ますが、後者の多くはスマートフォンで満足でしょう。

行動変数

購買の頻度や有無、購買プロセスなどの購買行動に関わる変数です。売り上げを計画するのによく使われる軸でもあります。

例えば、観光庁が2018年に出した2017年の「訪日外国人の旅行者の訪日回数と消費動向の分析について」では初めて日本を訪れる人とリピーターの割合は約4:6でリピーターの方が多いと述べています。これは「新規のお客さんか、それとも既存のお客さんか」という一つの軸です。

また、同報告書では日本滞在中にそれぞれの国の観光客がどのように行動したか、も分析しています。ショッピング、観光・体験、食事、などどの行動を重点的に行なったか、を軸にしても行動変数でセグメンテーションすることができます。

セグメンテーションの具体例:携帯電話の通話プラン

商品を見ることによって、どのようにセグメンテーションが行われているかを推測することができます。身近な携帯電話の通話プランで見てみましょう。

携帯電話の大手3社のプラン(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)を見てみると、2019年9月14日現在、料金体系は以下の4種類になっています

  • スマホ向けデータ大容量プラン(ギガホ、auデータMaxプラン、データプラン50GB+):定額でデータ通信を30GB以上利用できるプラン
  • スマホ向けデータ従量課金プラン(ギガライト、auピタットプラン、データプランミニ):データ通信の量によって料金が変わるプラン
  • スマホ向け特定のサービスとの組み合わせ(auフラットプラン25 Netflixパック、auフラットワン7プラス):Netflix、Twitter、Instagramなど特定のサービスをデータ使用量から免除したプラン
  • フィーチャーフォン向け料金プラン

このプランをみる限り、大手三社はセグメンテーションの軸として1. データを使う量2. スマホかフィーチャーフォンか、の2軸の行動変数を用いて、それぞれのお客さんに向けた料金プランを出していることがわかります。

また、各社ともに割引では違うセグメントの切り方をしています。割引では、家族割、学割、他のサービスとのセット割(ドコモ光セット割、auスマートバリューなど)、継続割引、スマホへの移行割引、などがあります。

これは、お客さんを1. 世帯数(家族がいるかどうか)2. 学生かどうかという人口統計的属性に加えたセグメント、3. 他のグループ会社のサービスを利用しているか4. 自社のサービスをどれだけ長く使ってくれているかという行動変数を用いたセグメントを用いていると推測されます。

この携帯電話のデータプラン例のように、セグメンテーションの方法は一つではありません。複数の切り口からマーケティングの打ち手を考えていくことが重要です。

次のステップ

セグメンテーションでお客さんを分類することができました。次のステップは、「どのお客さんを狙うか」を決める「ターゲティング」です。ターゲティングはなぜ行う必要があり、どうやって行えば良いのか、そして具体例はどのようなものがあるのでしょうか。

次の記事ではターゲティングについて説明します。

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