海外ビジネススクールでMBAを取得する5つの価値

海外のビジネススクールへ行き、MBAを取得する価値は何でしょうか?

僕なりに整理すると、ビジネスパーソンとしての基盤づくり、人脈・友情、キャリア変更の機会の3つが主な価値で、質の高い時間と学位が付属的な価値かと思います。

ビジネスパーソンとしての基盤づくり(A Good Business Foundation)

経営者として持っておいたほうが良い、ビジネスを構成する各機能についての知識を体系的に身につけられる、というのが一つ目の価値です。

HBSを例に取ると、1年目の必修科目ではビジネスを複数の視点から見れるような科目構成となっています (BGIE, Strategy, Technology and Operations Management (TOM), Marketing, Finance I & II, Financial Reporting and Control (FRC), The Entrepreneurial Manager, Leadership x 2 + FIELD I/II/III)。

具体的には、一学期ではMarketingでいかに価値を創造して獲得するかを学び、TOMでは戦略と整合性の取れたオペレーションを構築し、評価し、改善していくかを学びました。Finance IとFRCでは財務分析、会計分析、投資評価に加え、いかに会計を利用して組織のパフォーマンスを測定し、改善していくか、また資本市場とコーポレートガバナンスについても学びました。これらの科目から導き出された戦略も実行できなければただの絵に描いた餅です。戦略をいかに実行するかについてはLeadershipで学び、それを実践する機会の一つとしてFIELDがありました。

経営者として経営判断をする際に役立つ知識を効率良く身につけることができる、というのが一つ目の価値です。

人脈・友情(Networking/Friendship)

これはHBS一学期まとめ、でも書いていますが、MBAプログラムで最もユニークかつ大きい価値かと思います。世界中から集まった将来のリーダー達と2年間、利害のないフラットな関係で濃密な時間を過ごせるというのは貴重な場です。また、教授陣も世界から集められた非常に優秀な人であり、そういった教授との繋がりも大きな財産となります。

また、一緒に日々を過ごす中で築かれる友情というのはネットワーク以上に人生にとって価値があると僕は思っています。目標を持ち、一緒に切磋琢磨できる人と出会うのは簡単なことではありませんでしたが、ここではそういった人達と出会う機会が多くあります。

ネットワーク、友人の輪を大きく広げられるというのが二つ目の価値です。

キャリア変更の機会(Career Change Opportunity)

キャリアチェンジをしたい、キャリアアップをしたい、と考える人にとってはMBAで得られる時間と機会が価値になります。普段の仕事が忙しく、自分が本当にやりたいことがわからない。あるいは現在の職から違う職に行くのがキャリア的に難しい。そういった人達にとってはMBA取得はキャリアのリセットの役割を果たします。また、投資銀行やPrivate Equityなど昇進にMBA取得が実質的な条件になっているような業界にとっては、キャリアアップのためにMBAの肩書き自体が価値になります。

多くのMBA生が入学と同時に自分とその後の人生について考え、幾つかの企業を受け、夏のインターンシップを今まで勤めてきた業界と違う業界に挑戦し、自分の可能性を探っています。在学中の起業というのも自分の可能性を試す一つの選択肢です。

リスクがない環境の中で自分の可能性を試せる機会、というのが三つ目の価値です。

質の高い時間

以上の三つが主な価値だと思いますが、質の高い時間(”Quality Time”)を4つ目の価値として考える人もいます。特にコンサルティングや投資銀行など長時間労働を長い間にしてきた人としては、人生の夏休み的に旅行や友人と遊ぶ時間を謳歌することが価値になりますし、今まで時間を割けていなかった子供やパートナーと過ごす時間として使う人もいます。MBAで過ごす時間は基本的に自分で時間割を決めるので、時間の自由度自体が価値になります。

MBAの学位

また、学位自体を5つ目の価値として考える人もいます。米系企業のマネジャー以上のポジションの求人にてMBA PreferredまたはRequiredとなっており、実質的にMBAが必要になっている例も多いです(逆にテック系企業やP&Gのように伝統的に内部昇進の企業ではMBAがあまり評価されない印象です)。

大学院の学位を持っているということも信用を補完する効果があるため(MBAを得ているならば一定レベルのビジネスの知識はあるのだろう、という推定が働く)、それも交渉などの場で役立つかと思います。

以上の5点が主なMBAの価値になるかと思います。加えて、個人的にはこれが最初の海外生活となるため、留学による価値観の広がりや英語によるコミュニケーション能力の向上にも価値を感じています。

MBAの費用対効果

MBAに行くことがコストに見合うか?という話については、僕は「人による」と思います。上記の4点はあくまでも機会があるという話です。その機会を活かしてそれ以上の価値を将来的に出すことができる人もいるでしょうし、自分から動かずに機会を活かすことができなければおそらく日本で2年間働いていた方が良いと思います。

MBAの費用について知りたい方は >> ハーバードMBA留学で実際にかかる費用

また、プログラムを通じて学んだ内容、広がった視野、得られたネットワークは卒業後すぐに役立つというよりは、時が経つにつれて活かせる場が増えていくものだと思いますので、2年間の時間 + 20万ドル近い投資は短期的というよりも長期的な投資かと思います。

「機会を活かして、長期的なリターンを得たい人」にとってはMBAは一つの魅力的なキャリアの選択肢だと思いますし、そうでなければ違う選択肢の方が良いでしょう。

僕個人としては、ここで得られる機会を楽しんでいる方ですので、来て良かったなと思います。価値があるかは主観的なものですので、下記のような他のMBA取得者が書いている記事を見て、比較してみても面白いかと思います。

My Life After Sloan

Chikirinの日記

@Type

Axiom

次のステップ

実際に2年間終えた後にどう考え方が変わったかを知りたい方は、

>> ハーバードビジネススクールMBAの価値

MBAの全体像について知りたい方は

>>海外MBA受験から留学開始までのまとめ

HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)

早いもので、もう今週でHBSのAcademic Termである17週間が終わる。この17週間は濃密で、急激に自分の世界が広がっていく貴重な4ヶ月だった。

授業:

以下の2つを目標として授業を受けていた。

  • リーダーとして正しい判断と行動ができるよう、分析力、決断力、アクション策定能力を磨くこと
  • 自分の価値観、行動の軸を固めること

1学期目は Leadership、Marketing、Technology and Operation Management、Finance、Financial Reporting and Control、FIELDという6科目が必修であった。それぞれの授業からは、その領域において考えるべき論点とそれぞれの論点について考えるプロセスを学べた。

例えばMarketingでは下記のような分析の流れとコンセプトを学んだ。

  • Customer Understanding (Value, DMP, DMU) -> 5C analysis -> STP -> Branding Strategy -> 4P (Product, Price, Place, Promotion) -> Financial/branding impact
    • Product: Product Diffusion Framework 
    • Price: Willingness to Pay, Key success factors (value-based, customized, dynamic, strategic, fair, consistent)
    • Place: Channel’s roles and how to resolve conflicts
    • Promotion: 6M framework (market, mission, message, media, money, measurement), customer’s perception pyramid

僕はProduct ManagerというMarketingに近い仕事をしていたため、上の概念のある程度は知っていたが、包括的にマーケティングのプロセスを見れるほどには知識がなく、また実践に活かせるほど習熟していなかった。今学期では様々な業界のケースを通じて「自分ならどうするか」を考え続けることで、知識をより血肉にすることができた。マーケティングについてより広い視野で、より深く、より速い速度で考えることができるようになったと思う。

自分のリーダーシップのスタイルについては、原理原則を挙げることができるようになった。”Listen well and do not be Judgmental”はそのうちの一つ。来学期にもリーダーシップ関連の科目があるので、引き続き自己認識を深めて、自分なりのリーダーシップの形を作っていきたい。

今学期は予習・復習に力を入れており、平均して約8時間を毎日割いていたため(クラス含む)、学業から得られるものが非常に多かった。特にリーダーシップ (LEAD)からの学びは新鮮であり、毎回の授業が楽しかった。成績は1月中旬に発表されるということでまだ何とも言えないが、全科目で2以上が取れていれば、満足だ。 “HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)” の続きを読む

HBS Round1合格発表

Final (期末試験)も今週さらに2つが終わり、残りは来週にTOM (Technology and Operation Management)とLEAD (Leadership)の2科目を残すのみとなった。これまでの3科目については致命的な失敗はしていないように思えるので、あと2科目もこの調子で乗り切りたい。

今週はHBSのRound 1の合格発表があり、合格者が分かった。同日にHBSの有志で合格者電話会というのがあり、それに参加をした。合格発表がこちらの時間のお昼で、電話をした時間はこちらの時間で午後5時から6時(日本時間の午前7時から8時)。電話を受けた合格者の方はとても嬉しそうで、僕も昨年、先輩に電話をもらって嬉しかったことを思い出した。してもらって嬉しかったことを、する。こうやって、いい伝統が続いていくと良いと思う。

一方で、合格者の中に今年受けていた友人の名前がないことにもショックを受けた。とてもユニークかつスマートな友人であり、僕の感覚としてはHBSにフィットするだろうなという印象があっただけに、非常に残念。きっと同程度に魅力的な大学から合格通知をもらえるだろうから、友人のRound 2での成功を祈りたい。

また、金曜日にはHolidazzleというHBS全体でのパーティがあった。こちらは初めてのタキシードを着ての参加。今学期あまり話せなかったセクションメイトの一人とディナーで長く話せて仲良くなれたり、他のセクションメイトともワイワイやったりと、楽しい時間を過ごせた。大勢でのパーティよりも少人数の方が好きだけれど、セクションメイトとであればこういうパーティも悪くない。今学期ではセクションメイトの名前、出身地、興味くらいは分かり、20名程度とは個人的な話もそれなりにできる程度に仲良くなれた。ベースは作れたと思うので、来学期にはより仲良くなりたい人とそのベースを深めていきたい。

What the “F”? – Section F

MarketingのFinal(期末試験)が金曜日に終わり、ほっと一息。4時間と長いように聞こえる試験だが、ケースの中で論点が非常に多く、4時間でギリギリだった。アメリカ人のセクションメイトの殆ども最後まで残っていたので、ケースが複雑だったのだと思う。あとFinalは4つ。

Finalの軽い打ち上げで昨日はセクションメイトとSmall dinnerへ行き、その後にセクションでバーへ行き、HBSに戻ってからはセクションメイトの一人の家に4人で集まり、ホットチョコレートを飲みながら様々な話をした。インド出身のセクションメイトが言う。

「インドの貧困層は本当に貧しい。彼らは言葉通り食べるものに困っている。ただ、インドは農業国であり、生産量は国民全員が食べる以上にあり、輸出もしている。問題なのは流通過程が極めて複雑になっており、倉庫の中で穀物が腐るなど、非常に非効率。加えて、インドは貧困層も非常に多いが、中間層の数も多いために、貧困層の問題に目が行きにくい。世界が見ているインドは、インドの中の中間から上でしかない。一方、アフリカはインドと比較すると中間層の数がまだ少ないから、メディアでもアフリカというと貧困層に注目しているように見える」

それに対して、ジンバブエ出身のセクションメイトが言う。

「インドと比較すれば中間層の数が少ないのはそうだと思う。もう一つの違いとしては、貧困層の定義がある。アフリカの貧困層は貧しいが、$1以下の生活を貧困層と定義したとしても、農村部のようなコミュニティで成り立っている社会では15セントで暮らせたりする。また、アフリカでも貧困層をどう引き上げるかは大きなテーマだ。Dictatorを肯定するわけではないが、中国やシンガポールのようなBenevolent dictatorshipは必要なのではないかと時々考える」

そこからBenevolent dictatorshipについての話で盛り上がった。夜も遅くなったので、続きはまた来週、となったが、4人ともこういった会話が非常に刺激的だというところで一致していた。

Section Fというのが僕のセクションなのだが、僕は自分のセクションが非常に好きだ。みんな優しく、知的で、それぞれの魅力に溢れている。「まだ出会って3か月だけれど、このセクションの94名であれば、卒業後にも誰に対しても躊躇なく電話できそうだ」と一人が言っていたけれど、僕も同感。セクションはそれぞれのカラーがあるというけれど、僕は自分に 合うカラーのセクションでラッキーだったな、と思う。

 

Thanksgiving Holidays

Thanksgiving Holidayということで、今週は水、木、金がお休み。休みを利用して木、金とニューヨークへ一泊二日の旅行に行ってきた。目的は①教授に呼んでもらったThanksgivingディナーに参加することと、②MoMAを見学すること、③冬物を購入すること。ニューヨークはMegabusというバス会社を使い、片道それぞれ$35、$45程度で4時間半程度だった。

Thanksgivingディナー

教授の厚意で、International Studentを彼女の家のThanksgiving dinnerへ呼んでくれた。場所はBrooklynの地下鉄Fライン沿い。常に人、車、工事機械が動いているマンハッタンとは異なり、閑静な住宅街で、こんなところに住めたら良いなと思える場所だった。

教授はクラスみんなに呼びかけていたのだが、嬉しいのか嬉しくないのか、結局教授の家に行ったのは僕一人だった。おかげで計10人の参加者のうち、家族 + 親族 + 僕、という状況に。例えるならば、日本のお正月で家族と親族で集まっている時に、一人だけ生徒が混じる感じ。最初はさすがにヒヤヒヤしたが、みんな暖かく迎えてくれたおかげで、楽しい時間を過ごせた。

印象に残ったのは、テーブルでの会話の内容。教授と旦那が弁護士ということもあり、ケースの内容や近年の出来事に対する見方などが会話に出る。子供は高校生や大学を卒業したばかりだったりするのだが、その話を普通に聞いて、自分なりの見方を述べる。こう会話を小さいときからしていれば、世の中の見方がかなり広がるのだろうな、と思う。大きい方の息子はHarvardを卒業したばかりということだが、それも納得。食事の際にもこういったインフォーマルな教育が行われ、上流階級の家庭の子供が良い大学に行くようになり、さらに発展していく。メカニズムの一端を垣間見えたようで興味深かった。

MoMA (Museum of Modern Art)

二日目はMoMAを見学してきた。Modern Artはこれまでよくわからなかったのだが、この美術館を見学して、Modern Artが自分の中で少し言語化されたような気がする。Modern Artというのは、① 世の中をどう違ったように見るか (How do I see the world differently?)、②その見方をどう表現するか (How do I express my view?)、を伝えるためのものなのではないか。

例えば、Cubismは世界を目で見る世界ではなく、抽象化した視点で見ている。表現方法としては平面の図形の組み合わせで立体的なものを表現しており、世の中をこのように見ることもできる、というように提示している。

Productに関わる人としては、この②のところから学べることが多かった。例えば、Gridの組み合わせで立体的に見えるようなものからはUI的な見せ方を学ぶことができたし、光と影の陰影の使い方や敢えて一部分をカットする見せ方からは目立たせたい部分を強調する技法を学ぶことができた。

美術館は創造性を刺激するいい場所だと改めて感じ、四半期に一度は行こうと思った。

UNIQLO

Thanksgivingの翌日はBlack Fridayということで、ほとんどの小売で大幅な値下げが行われる。僕も冬物を調達するためにNYのUNIQLO旗艦店へ行ってきた。

一言で言うと、ものすごい賑わい。店内も銀座店のようなデジタルとアナログを融合させた展示であり、おもちゃ箱のようで飽きない。コンセプトもLife Wareととてもシンプルで、世界のどこでもヒットするような普遍性を持っている。同級生に聞いてもブランド名を知っている人が多く、USでも知名度を得てきており、このまま順調に伸びていきそうな印象を受けた。

UNIQLOのビジネスからは、年月を経てここまで洗練されてきたのだな、という職人芸のような印象を受ける。UNIQLOではフリース、Tシャツ、ジーンズ、ヒートテック、そしてアウターと年ごとに確実に商品のラインナップが魅力的なものになってきている。そして価格の表示方法、プロモーション商品の見せ方など、店舗のオペレーションも着実に改善を積み重ねていっているように見える。

やはり柳井さんはすごい。多くのことを、来年の1ヶ月のUNIQLOでのインターンから学びたい。

アメリカMBAプログラムの比較

アメリカのMBAプログラム(MIT, Wharton, Kellogg, Haas, HBS)を比較してみるとHBSの1年目はかなりはっきりとした特徴を持っているということがあらためて分かる。

学業:ケーススタディと意思決定( “Case Method” / “Decision Making”)

HBSの一年目ではいわゆるレクチャーという形式はほぼない。各学期で6科目中の5つの授業はケース形式やシミュレーションでの授業で、残りの1つはFIELDというチームを組んでのグループディスカッション、コンサルティングプロジェクト、起業プロジェクトといった実践系の授業になる。

ケース形式の総本山ということもあり、このケース形式の教え方の割合は他のUSの大学と比べて圧倒的に高い。学生は1学期で約140本のケースを読んで、”お前なら何をどうするか”と問われ続けるので、意思決定をするための現状の分析力とアクションプランを策定する力がかなり高くなる。また、発言が成績の50%なので、発言の方法や内容にも気を配るようになる。

一方、WhartonやMITなどは科目によりケース、レクチャー、グループワークを組み合わせるなどバランスを取っている印象を持った。また、”Decision Making”のみならず、自分で手を動かしてテクニカルな統計分析ができるようにしたりと、マネジメントとしての視点と現場レベルでのスキルの両方をバランスよく身につけさせようとしている印象。

人脈形成:(Networking – “Section Experience”)

HBSではSectionというクラスのくくりで一年間過ごし、一年目は全ての授業が必修であるために、同じSectionの93-94人とはかなり強い絆が生まれる。ケースの授業では他の生徒の発言を一年間聞き続けるため、Sectionmateの性格や価値観もわかっていく。

イベントも多くがSection単位で行われること、Sectionだけでも90人以上いるためにそこが自分の居場所になる。卒業後に5年毎にReunionがBostonで開かれる時もSectionが単位で、HBSのコミュニティに属する限り、まさしく一生付き合う仲となる。

一方で、他の大学では必修もWaiveができたり、選択必修であったりと、常にクラス全員が教室に集まるわけではない。運動会などでClass等のくくりはあるものの、Classなどに対する帰属感はそこまで強いものではなさそう。グループワークやクラブの機会を活かして、気の合う仲間とグループをいくつか作って、そのグループで仲が深まっている印象だ。

クラブ活動:Career/Club – “Intensive Program”

HBSは月曜日から金曜日まで授業があるのに対して、他の2年制のアメリカMBAプログラムはほとんど月から木曜まで。Thanksgivingがある週もHBSは月、火と3ケースの授業があるのに対して、他の大学は一週間休みのところも多い。

HBSはintensive programであるということを、あらためて感じた。これは得られるものが多い一方、大学のカリキュラムに時間を使う必要がよりある。他の大学に行っている人の方が就職活動、起業準備、クラブなどの学外で自由に時間を使っている印象を持った。

HBSは仕組みの大学

比較を通じて感じたのは、HBSは仕組みの大学だということ。Case Methodで全ての必修基礎科目をこなすことで、Leaderとして幅広い視野を持ちDecision Makingを行うスキルを集中的に鍛えるような仕組みになっている。

また、Section単位で授業やイベント活動を一年間行うことでSectionとして一体感を持ち、誰もがHBSで幅広いバックグラウンドの90人以上と一定以上の深さを持ったNetworkを持ち、かつCommunityに帰属感を持てるような仕組みになっている。まさしく、Leaderを育成するということにFocusしたカリキュラムだ。

一年目の自由度は他の大学に比べると少ないが、二年目は他の大学のように全て選択科目となり、自由度がはるかに増す。学生は一年目と二年目で全く違った体験をすることとなる。幅広い視野とセクションを中心としたHBSネットワークを一年目で得て、二年目に好きなことをする、というのが基本的な流れだ。

どんな人にHBSの仕組みは向いているか

僕はというと、この仕組みに満足している。やはりこのintensiveなプログラムをこなすからこそ得られる自信があるし、90人を超える学生と深い関係を完全に自由な環境で築くのは言語や文化の問題でなかなか厳しいので、この仕組みはありがたい。また、Case MethodでLeaderとしてのDecision making skillを集中的に磨くというのは元々の目的なので、これも僕にとっては非常に価値がある。二年目から自由度が増す、というのは僕にとっては遅くはない。

一方で、この仕組みは一年目から自由に時間を使いたい人やもう少しゆったりと時間を過ごしたい人には向いていないと思う。例えば、何かの分野に特化して一年目から学びたい人、すでに起業のアイデアがあって一年目から起業に時間を使いたい人、にとってはHBSの一年目の仕組み化された自由度が相対的に少ないカリキュラムは辛いだろう。

また、それなりに必修の課題などに追われるので、ゆったり過ごしたい人には向いていない。そういう人にとっては、MITやWhartonのような一学期目から選択の余地が大きく、授業の負担も軽減しようと思えばできるプログラムの方が向いていると思う。

僕自身、HBSに満足しているために多少バイアスがかかっている可能性もあるが、今感じて居る印象は上記のような感じだ。MBAプログラムについては受験生の時に調べていた時はどれも似たものに見えたが、実際に入ってみると大学ごとに仕組みに特徴があるのに気づいた。

①どんな教え方か、②学生がどこで人間関係を築いているか、③どれくらいプログラムがintensiveか、④どの場所にあるか、というのは学校選びの時に見ると良いポイントかと思う。

HBSが本気になってきた

Week12に入り、学生も大学に慣れてきて、リクルーティングやクラブ活動にも時間が割けるようになってきた頃、それに待ったをかけるようにHBSは授業で牙を剥き始めてきた。

今週の月火はFIELD 2のDash!という実践型授業。内容は、あるビジネスに対して、ターゲット顧客にインタビューして、その顧客が抱える課題を見つけ、課題を絞り込み、それに対する解決策を考え、プロトタイプを作り、テストする、というもの。常識的に考えると時間が足りなすぎるので、おそらく相当簡易なものにせざるをえないけれど、それにしてもスケジュールが異常に厳しい。

加えて今週の木、金、そして来週は1日3ケースの日々が続く。ケースもだんだん長くなってきていて、慣れてきて読むのが早くなってきた分を削っていく。一方でクラブの活動も動き出してきて、そのための時間も割かなければいけない。

12月4日が最初の試験であることも含めて、学生を忙しくさせる仕組みとしては、スケジュールを含めてよくできているなと思う。11月、睡眠時間をある程度確保できるように頑張ろう。

挑戦と失敗と

昔からB’zが好きで、気持ちが気持ちが落ちた時にはよく聞く。特に”Run”や”スイマーよ”、は何百回聴いたかわからない。当たり前だけれど、挑戦をすればうまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。10月は割とうまくやれたと思うけれど、11月に入ってはコミュニケーションで小さい失敗続き。英語でのコミュニケーションを納得できるレベルまで引き上げるまでは、遠い。そんな時に、「荒野を走れ、傷ついても」や「全ての失敗を成功に」といった歌を聴くと、失敗し続けてもやるしかないじゃないか、という気持ちにさせてくれる。

B’z Run

ストレッチされているからこそ、伸びる。そして、焦る必要はない。慌てず、焦らず、諦めず、前に進んでいけば、きっと道は開けると信じている。

10月の時間の使い方

昨日の11月1日にDaylight saving timeが終了し、日本との時差がまた14時間になった。こちらの朝7時に対して東京は夜9時で、こちらの夜6時が東京の朝8時。昨日は1時間得をした気分になったのだけれど、きっと来年には1時間損した気分になるのだろう。

HBS生活も2ヶ月が経過して、少し慣れてきた。9月と10月の時間の使い方を分析してみた結果は以下。

  • 睡眠: 31% -> 30%
  • 勉強: 24% -> 20%
  • 授業: 13% -> 11%
  • イベント: 6% -> 11%
  • 友人: 7% -> 6%
  • スタートアップ: 1% -> 4%
  • その他: 19% -> 18%

9月と比べると睡眠、勉強、友人との時間がやや減り、その分をイベントとスタートアップに使っている。割合は人により異なると思うが、10月は学業、ソーシャル、キャリア、家族・友人とバランスが取れており、個人的には良いバランスになってきたきがする。10月は風邪をひいている期間が多く運動があまりできなかったので、運動する時間をもう少し増やすのが11月の課題。

11月は11/11のVeterans’ Dayと11/25-27のThanks Givingで計4日の休みがあるので、これまでに読みたかった本や参考資料を読むには良い月だが、FIELD2も忙しくなるので、スタートアップに使える時間もそこまで多くはなさそう。試験も12月前半にあるので、10月のようにバランスをとりながら挑戦していきたい。

昔話

明日から3日間はiLabのScrambleというイベントに参加する。チームを組んで、ビジネスプランを作るというこの企画。とても挑戦的で楽しみだという気持ちと同時に、どうすればinternationalの自分がアメリカ人をチームに誘ってうまくいかせられるか、という点で悩みもある。そういえば何回かこういう心境あったな、とキャンパスの周りを歩きながら、昔を思い出した。

大学2年生の時に、英語ディベートの世界大会に参加した。世界大会の形式のディベートを始めてまだ半年くらいで、しかもネイティブが早口で話す中で英語もろくにできないまま参加するのは他の人から見れば無謀もいいところなのだろうけど、その時はとにかくてっぺんに挑戦してみたかった。Harvardのチームと戦った時には本当に相手の言っていることが早すぎてほとんど聞き取れず、議論になっているのかわからないままとにかく話していたのを覚えている。そんな中でも試合を進めていくうちに慣れも出てきて、終わってみれば予選突破まであと一歩の当時の日本人チームの中では2番目に良い成績だった(1番のチームは先輩たちで、世界大会初の日本チームのESL予選突破だった)。あと少し英語ができれば、という悔しさもありながらも、自分の中では実力以上のことに挑戦して、世界が広がった良い思い出になっている。

今の自分の心境は、あの時に似ている。アメリカでスタートアップに挑戦するというのは、今自分が考える選択肢の中でも最も難しい選択肢の一つで、最初のうちの失敗が見えている。自分の力不足に情けなくなると思う。物事が思うようにいかずにしんどいことも続くと思う。それでも、この挑戦をあきらめずに続けていけば、また違う景色が見えてきて、最終的には自分のやりたいことに到達できるのではないか、また一段階成長した自分になれるのではないか、というのを心のどこかで信じている。

挑戦してみよう。世の中に良い影響を与えれる人になるのは、きっととても楽しい。