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ノヴァヴァックス(NVAX)の株価はどうして30%近く急騰したか?

ノヴァヴァックス(Novavax)がアメリカの「オペレーション・ワープスピード」に採択されたことにより、株価はプレマーケットで30%近く上昇しています。

今回の記事を読むと、オペレーション・ワープスピード、ノヴァヴァックス、他のワクチン銘柄への影響についてわかります。

オペレーション・ワープスピード

オペレーション・ワープスピード(Operation Warp Speed)は「2021年1月までに3億人分の新型コロナ向けワクチンを生産する」ことを目指した米政府のプロジェクトです。

米政府はワクチンの開発、生産、流通企業に対して投資と有形無形のサポートを行うことで、この目標を達成しようとしています。主要な政府機関が一丸となったプロジェクトであり、一言で言えば、新型コロナに対するアメリカの「総力戦」プロジェクトです

OWS is a partnership among components of the Department of Health and Human Services (HHS), including the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), the Food and Drug Administration (FDA), the National Institutes of Health (NIH), and the Biomedical Advanced Research and Development Authority (BARDA), and the Department of Defense (DoD). (HHSホームページより。要は総力戦)

予算総額は$10b (1兆1000億円)と巨額の国家プロジェクトです。そのうち、$6.5bはBARDAを通じてのワクチン・治療薬の開発・生産に、$3bはNIHに割り振られています。

これまでオペレーション・ワープスピードでは、ワクチンの「開発」には3社に対しての支援が発表されていました。その3社とはJ&J、モデルナ(Moderna)、アストラゼネカ(AstraZeneca)です。Novavaxは4社目となります。

支援額 (m$) 7/7現在の進捗 メモ
J&J $ 456 フェーズ1/2準備中
2021年に10億本生産予定
Moderna $ 483 フェーズ3準備中
FDAの優先審査付。フェーズ3は7月後半より
AstraZeneca $ 1,200 フェーズ3進行中
3億本のワクチン供給含む。フェーズ3は8000人登録済み
Novavax $ 1,600 フェーズ1/2進行中
1億本のワクチン供給含む。フェーズ3は秋を予定
合計 $ 3,739

製造ではEmergent Biosolutionsが選ばれており、ワクチンの製造能力拡大のため、$628mの支援を受けています。

この他にもワクチン開発企業としては、Pfizer(ファイザー)/BioNtech(バイオンテック)、Sanofi(サノフィ)・グラクソスミスクラインなどがありますが、これらの企業が今後選ばれるかはわかりません。

これまでに発表された支援の合計がまだ$4.4bであり、予算の$10bの半分すら消化されていないため、今後も他の企業が支援を受ける可能性は十分あります

ノヴァヴァックス

ノヴァヴァックスは研究開発段階の製薬会社です。

インフルエンザワクチンをはじめとした5つの製品に対して、6つの治験が走っています。そのうち、2つのワクチンはすでにフェーズ3の試験を行っています。

Novavax pipeline

モデルナ、バイオンテックと同じく、まだ承認された製品がありません。

株価は新型コロナ向けワクチンへの期待によって大きく上昇しています。

Novavax Stock Price

今年の初めから考えると$7から$70超えとすでに10倍株でしたが、今回の発表を受けて、さらに株価は上昇し、15倍株になろうとしています。

ノヴァヴァックスのワクチン候補(NVX-CoV2373)は5月より健康な18-59歳の男女130人を対象に、フェーズ1/2を行っています。中間結果が7月末までに発表される予定です。

結果をみるまではこのワクチンが有望かどうかはまだわかりませんが、「オペレーション・ワープスピード」に採択されたことから、現在までの結果は悪くないのでしょう。

ノヴァヴァックスは秋に30,000人を対象としたフェーズ3の試験を行う予定です。こちらは先頭を走るアストラゼネカ、モデルナ、ファイザー・バイオンテックと比べると2-3ヶ月後に結果が出ることになります。

他の銘柄への影響

ワクチン業界は、メルク、サノフィ、グラクソスミスクライン 、ファイザーの4社のほぼ寡占状態であり、これらの企業が豊富な経験と製造技術を保有しています。

一方、ノヴァヴァックスはこれまでにワクチンを商業化させた実績のない企業です。オペレーション・ワープスピードに採択されたことは大きな成功ですが、臨床的な成功とは無関係です。ワクチンに有効性、安全性が求められる以上、結局は「フェーズ3の結果がどれだけ良いか」が鍵を握ります。

現在、10を超えるワクチンの臨床試験が走っており、どの企業も国からの支援を受け、数億本の生産能力を事前に確保しようとしています。

つまり、フェーズ3の結果が良い企業が複数出てきた時には、人類にとっては望ましいことですが、他の銘柄にも影響を及ぼします。特に臨床試験の進捗で先頭を走るアストラゼネカは少なくとも最初の20億本はほぼ無利益でワクチンを提供することを決めているので、市場に悪影響を与える可能性が高いです。

フェーズ3が7月に開始し、進捗が発表されるのは最速でも8月以降からと想定されるため、8月はワクチン関連のニュースがテレビ・新聞を賑わしそうです。

mRNAベースのワクチンを開発している他の企業、モデルナ(Moderna)とバイオンテック(BioNTech)についてより知りたい方はこちらをどうぞ。

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