HBSでは友人からの学びが多い、というのは何回か書いているトピックだが、今週も友人から新しい事を学んだ週であった。特にBGIE (Business, Government, International Economy)が始まった今学期は、経済、政治、文化、歴史、教育について話すことも自然となり、それぞれの国の学生との会話を楽しんでいる。
例えば、ドイツからの留学生の友人とは歴史について話した。僕が、「ドイツでは第二次世界大戦、特にナチス政権についてどう教えているのか。ナチス政権が生まれる土壌となったのは第一次世界大戦後のイギリス、フランスからの多額の損害賠償の重荷と世界恐慌の影響から経済が悪化し、社会的な不安が高まったことが背景にあると思っている。ナチスが生まれる土壌作りとしてイギリス、フランスにも戦争を引き起こした原因があるというように学校では教えているのか?」と聞くと、
「その分析は正しく、実際に第一次世界大戦の反省から第二次世界大戦後にはイギリスもフランスも損害賠償をドイツに課してはいない。ただ、教育に関してはドイツではナチスについては基本的には100%自国が悪かったと教えている。おそらく責任転嫁の余地を残さないため」
と返ってくる。その他にも第二次世界大戦後の戦後処理(ドイツが4分割された)、その後の統合の過程、1989年以降の経済的、政治的な統合(通貨統合、西から東ドイツへの投資、現在にも続く経済格差)、メルケル首相についての評価、などを話した。どの話も面白かったのだが、メルケル首相は「女性であること、東ドイツ出身であること」を全く利用していない、というのが意外で面白かった。アメリカではクリントンが女性であること、ビルクリントンの旦那であることをうまく利用して選挙を戦っているのとは対照的だ。
また、同じく別のアメリカ人のクラスメイトとは家庭での教育について話した。話して印象的だったのは、その育てられ方。
- 親族も含めて役員のため、小さい頃から家の中が取締役会のようだった
- 今日の予定は、と聞くと1日のスケジュールからどうしてそれが必要なのかを説明してくれて、何をしているのかの透明性がとてもあった
- 質問や意見をするとそれにきちんと答えてくれ、小さい頃から一人の大人として扱ってくれた
- 継がせようという姿勢はなく、好きに何でもやらせてもらえた
- 母親を通じて情報を得て、私にとって大事なイベントがある日には父親が必ず一緒にいてくれた
こういった小さい頃から経営者としての視点を育ませるような育て方は非常に効果的だなと感じた。アメリカでは良い家系の子女が良い教育を受けて、家族のネットワークを使ってさらに大きなことを成し遂げていく、という方程式が一定レベル以上の層には広まっているように見える。HBSには一定数以上財閥や大企業社長の息子や娘がいるため、在学中に彼ら・彼女らがどんな教育を受けてきたのか、知りたいところだ。