HBS1年生春学期

新学期が始まって2週間が経過した。1年目の秋学期を乗り切ったので今学期は楽になるかと思いきや、HBSはそんなに甘くないようだ。授業、友人関係、課外活動に時間を使っていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

授業

今学期の科目はBGIE (Business, Government, and International Economy)、LCA (Leadership and Corporate Accountability)、FIN2 (Finance 2)、STRAT (Strategy)、TEM (The Entrepreneurial Manager)、FIELD 3の6科目。特にBGIE、LCA、FIN2は秋学期の科目よりも一段階専門的になった印象で、ケースの量も予習の量も増えている。アカデミックに割く割合を少し減らそうと思っていたところでプレッシャーをかけてくるので、やはりHBSは学生のことをよくわかっているなと思う。

またFIELD 3はチームで起業のシミュレーションをするという授業で、こちらもそれなりに時間が取られる。うちのチームは基本的には学校側で用意してくれている時間をミーティングに使い、それ以外は作業を分担して行う予定だが、こちらもそれなりに時間を使うことになりそうだ。

友人関係

今学期は友人との仲を深める学期にしたいと思っている。先週は金曜に日本人の他のハーバード生と集まり、日曜に友人と4人でCatanというゲームを集まってやり、今週の木曜夜に台湾とアメリカ人の友人と火鍋を食べに行った。少人数で集まってご飯を食べたりやゲームをするのは楽しく、お互いを理解できるため、週1回はこういう機会を自分で作っていきたいと思う。

また、第一回目のEVOLVE(少人数のグループで様々な人生のトピックについて話す会)があって、それぞれがこれまでの人生について話した。一学期の間一緒に過ごしていたセクションメイトのことを、全然分かっていなかったのだなと実感するとともに、彼ら、彼女らがこれまで成し遂げてきたことに驚かされた。普段普通に話している同級生だが、彼ら、彼女らはHBSが選ぶような魅力を持った人であり、もっともっと知って、仲良くなりたいと思った。HBSにおいては、Section、Discussion Group、Club (ABC/AABA)、Competition、FIELD 2、FIELD 3、EVOLVE、Harvard同期の会などは仲良くなる良い機会だと思う。これらの機会を利用して、卒業後もずっと定期的に連絡を取り合うような友人を何人も作れるといいなと思う。

課外活動・キャリア

クラブの活動のピークが来ていることもあり、先週、今週は特に忙しかった。Asia Business Conference(ABC)は2月28日(日)の予定で、そちらに向けて準備を進めている。

また、Japan Trekも準備を進め、1日の月曜日に申し込みを始めた。こちらは驚くべきスピードで予約が来て、目標人数に1日で達して幸先の良いスタートを切ることができた。10セクション全員にきちんとプロモーションをした上、それぞれのセクションに日本人がいたことが、これだけの数が集まった理由だろう。実際に準備が本格化していくのは2月から3月にかけてだと思うので、こちらも参加者に満足してもらうようなものにしたい。

3日にはNew Venture CompetitionのEarly Registrationを済ませた。授業、友人関係、ABCにJapan Trekにボーゲル塾がある中でCompetition応募用紙を書いていたので、結構時間がなかった。最終提出物の締め切りは3月なので、それに向けてプランを詰めていきたい。

やりたいこと、やるべきことは多いが、日々の生活はとても充実している。せっかくのHBS生活。悔いのないように精一杯やりたい。

Healthcare Conference 2016

Healthcare Conferenceに参加してきた。HealthcareはUSでもGDPの17.5%を占める*巨大な産業で、プレイヤーの数も多く、業界の構造も日本と異なるのでなかなか分かりにくい。今回のConferenceではConsumer HealthとDigital Healthのセッションに参加した。以下がTake-aways

  • USのヘルスケアの品質は上がり続けているが、同時にコストも上がり続けており、政府の予算を圧迫している。ヘルスケアの予算が増え続け、軍事、教育、公共施設などその他の予算が影響を受けて減らされている。企業にとってもヘルスケア関係のコストの負担が大きく、競争力を減らす要因になっている。ヘルスケアのコストをいかに抑えるかは政府、企業が直面する共通の大きな課題。
  • 特に糖尿病などの慢性的な病気がコストを増加させている。
  • そのトレンドに乗り、最近出てきているDigital healthの製品については、payerやemployerを対象にして、コストを抑えるものがメイン。ビジネスモデルの典型例は、健康増進のプログラム(coaching、behaviral health、medicationなど)をオンラインで提供して従業員の病気を予防する、または糖尿病などの慢性的な病気の症状を緩和させることでそこから得られた経済的利益のうちの一部を受け取る、というもの。具体例はCast Light HealthOmada HealthTwine Health
  • Consumerへダイレクトに訴求しようとしているのがLyra Health。彼らはmental  healthcareに特化しており、diabetesなどを対象としている他のconsumer facing digital healthと比べるとエッジが効いている。
  • Utilizationを上げるDigital Healthのサービスももう一つのモデルとしてあり、順調に拡大している。例えば、Zoc Docは医者のアポイントメントを仲介するサービスだが、医者の空き時間を埋めるという経済的な価値を生んでおり、そこから収益を得られている。TelemedicineサービスのAmerican Wellも同じく遠隔地の患者を紹介することで医者のUtilizationを上げるという経済的な価値を生んでいる。
  • Retailの巨人であるWalmartもHealthcareに力を入れている。Walmart clinicsというbasic primary careを提供する施設を、特にprimary careへのアクセスが悪い地域を主に展開。同時に、Healthyな食品にHealthyだということを表すマークをつけて、消費者にわかりやすくしている。Payerに働きかけて、Healthyマークの付いた製品へのディスカウントを要求しているとのこと。予想だが、CVSやWalgreenも追随する可能性あり。健康な食品が保険からのディスカウントが効いて不健康な食品よりも安くなる時代が来るかもしれない。
  • Retailもdigitalを顧客との関係を深めるツールとして使っている。例えば、BayerがClaritinの販売訴求のために、hygieneに関するコンテンツマーケティングをしているなど。ただ、まだどこもベストプラクティスを模索している段階のようだ。

こういったカンファレンスに参加することは新しいプレイヤーを知ったり、主要なプレイヤーがどう動いているのかを知るのに役立つ。また、新しいアイデアを思いつく源泉となる。今学期はもっと積極的にスピーカーセッションやカンファレンスへ参加したい。

* CMS.gov

春学期開始とFIELD 3のキックオフ

いよいよ春学期が始まった。今週は金曜日がJob Search Day(就職活動に使って良い日)で授業がないため、学校の課題量としてはかなり楽だ。Job search Dayは来週、再来週も金曜日が割り当てられる予定で、就活をする人にとっては先週から1ヶ月が勝負の1ヶ月。僕はというと、インターンがすでに決まっており、就活をする気もあまりないため、その分の時間をイベントの運営(Asia Business Conference、Japan Trek)、友人との食事、プロジェクトの内容の詰め、に使っている。やることの幅を広げられているのは、良い傾向だ。

今週の大きな出来事として、FIELD 3という起業シミュレーションプログラムが走り始めたことがある。これは、セクション内の5人または6人でチームを組んで、5月初旬までの15週間に、リサーチをし、ビジネスプランを作り、プロトタイプを作って市場でテストし、実際にプロダクトを作り、市場で売るところまでやる、というプログラムだ。チームでのアウトプットが評価される上、良いビジネスを生み出したチームには全生徒の前でプレゼンテーションをする機会が与えられるなどのインセンティブがあるため、真剣な人にとっては真剣勝負だ。

このチーム分けのプロセスが、なかなか興味深い。今週中にチームを組むことが求められるのだが、よーいドンで始まるわけではなく、一定の人は冬休みの間にこのFIELD 3を見越してチームを作っていたようだ。月曜日にFIELD 3の説明がされた後、チームを組む時間が2時間与えられたのだが、その間に半数くらいの人はすでに5人、6人の出来上がったチームを作っていた。ゲームはスタート前から既に始まっていたようだ。

月曜日の夜には、セクションでディナーがあったのだが、その時にもチーム分けの話がされており、僕も数チームから誘いがかかった。もう少し考えたかったので、明日話そうと言っていたら、次の朝には声をかけてきたチームは既に5人集めて、チームとなっていた。あまりたくないという意識なのか、皆、チームを組むのが異常に早い。

僕にとってFIELD 3は本気でアイデアを試すというよりは、プロセスを学ぶための授業という位置付けだ。理由としては、①本気のアイデアを試そうとすると、後でIP (Intelectual Property)の問題が生じる、②ビジネススクールの学生5人で始めるのはどんなビジネスでもチームとしてバランスが悪すぎ(専門性が偏りすぎている)、その後ビジネスを形にしようとした時にチームをどうするかの問題が生じる、ことがある。加えて、今は授業外でメディカルスクールの学生とビジネスプランコンテストに向けた準備を進めているので、そちらの方により力を注ぎたいというのもある。そのため、FIELD 3はシミュレーションをする場だと捉えている

結果として、僕は今まであまり話したことがないけれど仲良くなれるかもしれない人と組むことにした。男性4人、女性1人で僕以外は皆アメリカ人のチーム。そのうちの2人とは何度か話したことがあるが、残りの2人とはほとんど話したことがなく、今の時点ではチームがどうなるかは読みにくい。既に仲の良い人と組んだ方がおそらく楽だが、これはシミュレーションの機会なので、チャレンジングな状況の方が自分の力が鍛えられて良いかな、と思った。FIELD 2もなんだかんだで最後にはうまくいったので、FIELD 3もそうなってくれるといいな、と思う。

MBAでの冬学期課外活動について

MBAは学業、ネットワーキング、キャリアに関するものが主ではあるが、課外活動の機会も充実している。冬学期は課外活動にも力を注ぐ予定だ。

今学期に注力する予定のNew Venture Competitionというビジネスプランコンテストについては、チームを組む予定のHarvard Medicalスクールに通うパートナーと今日打ち合わせをして、スケジュールを引いてきた。トントン拍子でお互いのやることが決まり、非常にやりやすい。パートナーがスピード感あるので、それに合わせて自分で結構きついスケジュールを引いてしまった。1/31までにmobile webでinterfaceを作り、2/14までにデータと連動させたものを作る。そこからは締め切りの3/30まではプロダクトのテストと結果の分析を繰り返して商品を改善していくのと、ビジネスプランを詰めていく予定だ。ほぼ同時期に締め切りのMass Challengeにも同じ案で出してみたい。

プロトタイプについては、エンジニアの人ならば数日でできる作業なのだろうが、初めてのエンジニアリングプロジェクトの自分としては、どれくらいの時間がかかるのか読めない。ただ、エンジニアに任せきりにするのではなく、ある程度までは自分でコーディングまでできる人になりたいので、エンジニアの友人に相談しながらも自力でやれるところまで頑張りたい。

2つ目の課外活動はAsia Business Clubの活動であり、2月28日(日)開催予定のAsia Business Conferenceだ。こちらにはCTOとしてWebsiteFacebookEventbriteの作成と運営を担当していると同時にHealthcareについてのパネルディスカッションについても手伝いをしている。このイベントは北米で最大級のアジアに焦点を当てたカンファレンスであり、参加者に来てよかったと感じられるようなイベントにしたいので、頑張りたい。

3つ目の課外活動はボーゲル塾の国際政治分科会。こちらは3月に「捕鯨」をテーマに発表があるので、それに向けて準備を進めていきたい。

4つ目の課外活動は5月22日(日)から29日(日)まで予定しているJapan Trek。こちらは10人を超える日本人同期と運営している。僕はWebsiteFacebookの作成と運営を始めとしたコミュニケーションを担当。100名近いHBS生を日本へ連れて行くイベントであり、皆が日本を楽しんで、来てよかったと心から思ってもらえるものにしたい。

運営側として参加するもの以外でも、iLab(アントレプレナーをサポートする施設)でのセッション、各種カンファレンス、スピーカーセッション、ボストンのロータリーなど、参加を予定しているものが多い。

①ビジネスコンテスト、②クラブ活動、③トレックの企画・運営、④自主勉強会、⑤スピーカーセッションやカンファレンスへの参加、とHBS、ボストンが与えてくれる課外活動の機会は本当に多い。前の学期では学業とセクションでのコミュニケーションが中心だったので、今学期は学業とネットワーキングに加えて、冬学期は課外活動で自分の行動範囲を広げていきたい。

HBSの1学期成績発表

昨日の14日にHBSの1学期の成績が発表になった。HBSでは1年目で「3」(下位10%)を5つ取ると”Hit the screen”と呼ばれ、進級できなくなる可能性があるため、ドキドキしたが、結果は3は一つもなく、一安心。どれくらいやれば「3」を取らないかを知れたのは良かった。

一方で、上位15から20%に与えられる「1」は一科目。HBSの入学者の母集団がいわゆるアイビーリーグや州立トップ校でかなり良い成績を取っていた人達(Average GPAは3.66)であることを考えれば、母語でない言語を使って一科目でも「1」を取れたのは、最高ではないにせよまあ悪くない結果だろう。

最終試験の結果も合わせて返ってきたのだが、こちらは予想より厳しかったな、という印象。見事なまでに成績がばらけている。良かったのがTOM (Technology and Operations Management)とMKT (Marketing)で中間だったのがFIN1 (Finance)。悪かったのがLEAD (Leadership)とFRC (Financial Reporting and Control)。分析をしてみると、以下のようになる。

  • TOM、MKT: 期末試験も定量の要素が強かった。定量分析は得意なので強みで英語での記述の弱さをカバーできた。
  • FIN1: こちらも定量で、そこまで悪い出来ではなかった感触だが結果は中間程度だった。ただ、感覚値でHBSの学生の40%以上がPrivate Equity、Venture Capital、Financial Services Bankingのどれか、または複数のバックグラウンドを持っていてアドバンテージがあることを考えると(前職ベースの統計だと29%だが、Financial service -> 事業会社やヘルスケア、も結構多い)、中間以上を目指すとなかなか競争が激しいのだろう。
  • LEAD: ほぼ100%定性的な記述の試験。特に言葉の使い方の要素が大きくなるため、ReadingとWritingでネイティブでない分のハンデが大きい。論点が多く、いくらでもかけるようなケースで文字数制限まで時間不足で書ききれなかったため、そこで差がついた可能性が高い。
  • FRC: FIN1と同じ理由で母集団がFinanceに強い人達で競争的なこと、大問の一つが定性的な記述でLEADと同じハンデが出たこと、会計処理のところでミスをしたこと、がおそらくの原因。

HBSの期末試験は4時間または4時間半の制限時間でケースを読んで、分析して、自分だったらどうするかを書く、という一本勝負。そのため、いかに早く正確に書けるかで分析にかけられる時間が変わるため、ライティング力を上げられれば、より深く分析し、書くことができる。その形式で、今回は僕にとって初めての英語での試験だったことを考えれば、英語でのライティングに慣れていくこれからは上がる余地しかない。次はどこまでやれるか、楽しみだ。

1月25日から始まる来学期も5科目。挑戦するのは楽しい。

FIELD2 Global Immersionについて

本日で最終成果物を提出し、僕らのFIELD2 (海外コンサルティングプロジェクト)はほぼ終わりとなった。HBSでは今年で5年目のプログラムであり、楽しめたが、洗練されたケースでの教授法と比べるとまだまだ改善の余地があるプログラムだと感じた。

FIELD2の構成

FIELD2は一言で言うと、6人で構成されるチームによる、海外の企業への新商品・新サービスのコンサルティングプロジェクトだ。プロジェクトの内容としては新商品・サービスの企画が主だが、対象となる商品・サービスは新しい下着から金融サービスの企画までと幅広い。どの地域のプロジェクトに関わりたいかは希望できるが、チームと担当する企業については特に選択の余地はなく、10月に発表される。スケジュールとしてはプロジェクトが始まる10月から12月の前半までがボストンでの準備期間、1月の前半の約8日間が現地に赴いてのプロジェクト期間となる。

アプローチ方法は「デザインシンキング」と呼ばれる、ユーザーを中心とした開発プロセスを学んで、実践することになる。具体的には、 ①顧客を観察、インタビューして理解する、②問題点を定義する、③問題の解決策のアイデアを出す、④プロトタイプを作成する、⑤テストする、のプロセスを高速で繰り返すプロセスを行った。

僕はアフリカ大陸に行ったことがなかったため、モロッコを希望し、希望通りのモロッコでのプロジェクトとなった。チームは元軍人のアメリカ人、元コンサルタントのアメリカ人、元事業会社の戦略担当のカナダ人、元コンサルタントのタイ人、元エンジニアの中国人、と僕というバッググラウンドも国籍も異なるメンバーだ。担当する企業は金融機関、となった。

FIELD2からの学び

幸いにもメンバーに恵まれ、チームメンバーからの学びが非常に多かった。元コンサルタントのアメリカ人、タイ人はモロッコでのプロジェクトが始まるとすぐにアウトプットの骨組みをパワーポイントで3時間程度で仕上げてくれ、それを元にデータを埋めていけばアウトプットができるようにしてくれた。プレゼンの流れも綺麗で、骨子を作り上げる早さには驚かされた。また、元事業会社の戦略担当のカナダ人は時間へのこだわりが強く、常にいつまでに何をどこまで決めるべきか、をはっきりさせてくれ、ミーティングはいつも密度が濃く、かつ非常に効率的だった。3人とも仕事のスピードが早く、そのスピード感には驚かされると同時に、学びが多かった。

元軍人のアメリカ人はプロトタイプを作る時に強みを発揮した。最終的にはアプリケーションのアイデアを作り上げたのだが、彼はデザインに優れ、かなり出来の良いペーパープロトタイプを2時間程度で作ってくれた。そのおかげでプロトタイプのテストをかなり短時間で行うことができた。元エンジニアの中国人もひるまずインタビューを積極的に行ってくれ、インタビューの量を増やすことができた。

僕は商品企画の経験があったこともあって、インタビューの質問作成、実行やアイデアのブラッシュアップで主に貢献した。より精度の高い情報を得ること、提案の質を上げること、で貢献できたと思う。

彼らと一緒に働くことで、①アウトプット志向の働き方、②こちらでの議論のスピード感、を学ぶことができた。メンバーとして貢献はできたが、この速度での進め方の中で議論をリードするのは英語だとまだ辛い。また同じメンバーで働くことがあれば、もっとリードしようと思う。これは次学期での課題。

FIELD2のプログラム自体からの学びもあった。「デザインシンキング」は元々商品企画だったこともあり、すでに実践した経験はあったが、ほぼ1週間という短期間でここまでサイクルを回したことはなく、このスピード感で行うことができると実感できたことが大きな学びとなった。また、モロッコの市場や国についても少しは知識を持つことができ、それ自体が僕の世界観を少し広げてくれた。モロッコはフランスの影響力が強い中東文化圏のアフリカ大陸の国、と様々な要素を含んだ国であり、その文化が混じり合った姿を知れたのは良かった。

最後に、コミュニケーションの課題もまた見えてきた。1対1であればそれなりにコミュニケーションを円滑に取れるが、アメリカ人のグループでの会話となると、途端に会話が難しくなってしまう。グループで共通して盛り上げる会話となると一般的な話題であったり、面白い体験を振る必要があるが、アメリカ人に「ウケる」ような引き出しが少ない。結果として、会話にうまく入れず、会話への参加が引き気味になってしまう。常に前向きで、積極的に会話に入って、盛り上げられるようになるためにはまだまだ訓練が必要だ。それが明確になったという点で、良い学びとなった。

FIELD2の改善余地

一方、このプログラムはもっと良くできるな、と感じることもいくつかあった。一つ目は、プロジェクトの期待値についてだ。8日間の滞在期間のうち、2日間はほぼ丸1日の参加必須の行事が入っており、残りの6日間についても3回ほど必須で参加しなければならないセッションがある。そのため、実質的な活動期間はほぼ5日。もちろん残された時間で質の高いアウトプットを出そうとはしたが、短い期間がさらに短くなっているために、できることは限られる。この構成では、HBSがアウトプットを期待していないのではないかと思ってしまう。また、HBSからクライアントに対して、あくまでも学生の学びが主である、というコミュニケーションがされていることも学生の高いアウトプットを出そうというやる気をやや下げている。これらの理由から、どのチームも集中はしていたが、朝9時から夕方6時くらいまで働いて切り上げているチームが多かった。おそらくクライアントに学生がこき使われないような配慮がされているのだと思うが、インテンシブな時間を過ごすからこそ得られる学びや友人関係もあるため、クライアントに対して最高のアウトプットを出そう、というモチベーションをもう少し与えるような構成にしても良いと感じた。

二つ目はHBSがコンサルタントにする待遇のような、あまりに至れり尽くせりの状況を用意していることだ。期間中、学生にはドライバーと通訳がつき、調査をサポートしてくれる。食事もホテルにてほぼ朝、晩と提供される。参加が要求されるイベントも事前にかなりの調整がされており、ホテルから場所への往復バスが手配されるなど、なるべく学生が費やす労力が少ないようになっている。これは楽だが、現地へのimmersionという観点からすると、現地の生活に入り込む機会がなく、やや物足りない。しかもプロジェクトの日程自体が前述のようにかなり短いので、あまり都市を回る余裕もない。誰かが迷う、怪我をするなどのリスクを軽減する、リスクマネジメントの観点も分かるが、小さい子供ではないのだから、もう少し公共交通機関を使わせるなど現地に入り込ませた方が良いかと感じた。

FIELD2の感想

全体を通じて、FIELD 2に意味があるかどうか、といえば間違いなくある。ケース形式では他のメンバーと一緒に長期間ともに働くことがなく、知識はあるが実践できない、という状況になりがちだ。FIELDでは特にリーダーシップで学んだことを実践することによって、学びを深めることができた。例えば、フィードバックの習慣やチームでの規範を定めることは明確にチームとして動くパフォーマンスを上げることを実感できた。チームで求める期待値が異なる時に、どういう緊張が発生するか、ということも実感した。学びを実践して身につけていくための機会、という点でFIELDは良い補完となっていると思う。

気づけばあと2週間後の1月25日からは春学期が始まる。春学期ではFIELD3という起業プロジェクトがあるため、今からそれが楽しみでもある。

2016年の目標

2015年はHBSの合格、アメリカへの留学と人生の大きな転換点となる年だった。2016年もすでに始まってしまったけれど、2015年を振り返って、2016年の目標を立ててみたい。

2015年の振り返り

2015年は2014年にしたことの結果が出た年となった。2014年はMBAの受験のためにTOEFL、GMAT、エッセイにかなりの時間を使ったが、結果として2015年に入ってHBSから合格をもらえ、そして奨学金ももらえることとなった。留学前にはMBA同期や先輩とのイベントがあり、新たな出会いがたくさんあった。留学してからは授業を通じてビジネスをする際に考えるべき視点を増やすことができ、友人や教授との交流を通してネットワーキングが大きく広がった。また、ずっと学びたいと思っていたプログラミングについてもTECH::CAMPで1ヶ月の間学ぶ時間が取れ、理解を深めることができた。

上期には目標としていた「MBAに合格し、かつ奨学金を獲得すること」を達成でき、下期には「友人のネットワークを広げること」もある程度達成することができた。まだできるところはあったと思うが、総合的に見て新たな挑戦をし、自分の幅を広げることができた、良い年であったと思う。

2016年の目標

引き続き、授業を通じて分析力、判断力を上げ、友人との交流を通じてネットワークを広げることに注力したい。それに加えて、今年はチームを組んで、ビジネスを立ち上げるところまで行いたいと思う。3月に応募期限があるNew Venture Competitionに応募して感触を掴み、秋には他のコンテストに応募して何らかの賞を取る、というのが目標だ。

また、妻も夏以降に合流する予定なので、家族ぐるみで付き合えるような友人をより増やせるといいと思う。

卒業後の目標

僕の20代も昨年で終わり、30代という新しい10年が始まっている。20代も挑戦をしていたが、自分にブレーキをかけて足踏みをしていた時期が長かったので、30代は毎年新しい挑戦をする10年にしたいと思っている。

具体的には、志を共にするような仲間と一緒に会社を経営し、テクノロジーを用いて、世界中の人々がより健康で生きられるような社会の実現に貢献するサービスを提供することに挑戦したいと思う。病気は本人だけでなく、家族、友人も含めてつらい思いをするというのは、これまでの人生で実感してきた。人々がそういった苦しみを感じる前に予防する、既に持病を抱えている人が病気を治療・コントロールするのを助ける、ということをしたい。オフィスにスクリーンを配置して、今日は何人の人が僕らのサービスで健康になった、ということを見えるようにして、それを日々仲間たちと喜び合えるような職場を作ることができれば、最高だ。

そのためにも、2016年も日々、挑戦を続けていきたい。

WesTrek – アメリカ西海岸へ

WesTrekという西海岸へのテック系企業訪問のトレックへ参加してきた。サンフランシスコ、シリコンバレーの企業6社(Google、Airbnb、Twitter、Quantcast、Omada Health、Clever)を訪問し、その速度と企業文化の強調に大きな刺激を受けた。以下は気付いたことと感じた事。

オフィスでオリジナリティを出すのは当たり前

快適なオフィスは採用活動に加えて、働く人がそのオフィスに居たいと思い、労働時間を伸ばす効果がある。無料の飲み物、コーヒー、スナック、ランチはもはや標準で、クリーニング等も無料にしている企業もある。一人一人のキューブではなく仕切りのない空間で、部屋と部屋の間にブレインストーミングができるような空間があり、オフィス自体の飾り付けを行なっているのも標準で、その上でそれぞれの企業が工夫をしている。例えばAirbnbは会議室まで居間のように変えてしまい、家とオフィスの境目を曖昧にしてしまっている。2000年代後半創業の新しい会社(Airbnb、Omada Health、Clever)ほどよりオリジナリティを出しているのは、おそらくGoogleやTwitterといった会社とオフィス環境で差別化をするためだろう。

狭い世界で、評判が最も大事な資産

サンフランシスコ、シリコンバレーではこのエリアの中で人が動くため、知り合いの知り合いで繋がる世界になっている。今回会った人が言うには、本当に狭い世界で、良い噂も悪い噂もすぐに広がる。良い失敗は良いが、悪い失敗で一度失った信頼をコミュニテイの中で取り戻すのは難しい、とのこと。これだけ多くのテクノロジー系企業がある中でそれだけコミュニティが狭いのは面白いと感じた。

西海岸におけるMBAの価値は低い

良いエンジニアが圧倒的に供給不足なので、企業はエンジニアやデータサイエンティストの採用に積極的。一方でMBAについてはあまり価値が置かれていない。半分笑い話で聞いた話では、ある企業はAcquhire(採用が目的の買収)の案件で、あるエンジニアを100万ドルで評価し、MBA卒のビジネスデベロップメントを0ドルで評価したそう。基本的にはプロダクトを開発し、どんどん改善をしていき、プロダクトに語らせる、というのがカルチャーなので、プロダクトの改善に関わらない役割についての価値はそこまで高く評価されない印象だ。

早く成長するか、死か

成長速度が圧倒的に早い。7年で時価総額65 billionまでいったAirbnbや米国トップ5のデータ処理量(Google、FB、国防省に次ぐ)まで成長したQuantcastなど、特に成功している企業は10年経たずに数千人規模のグローバル企業となっている。これは優秀な人材、資金が集まっていることに加え、スピードを重視するカルチャーや常にプレッシャーにさらされていることもあるだろう。小さな企業にとって、GoogleやFBは脅威で、彼らが市場に入ってくると、資金力でサービスが潰される。一方で、買収されるという選択肢もあるので、良いチームでプロダクトを開発していれば、完全に死ぬことはない。

この生態系については起業家としてネットワークの内側に入ってみないと、おそらく本当には分からないと思った。この早さと規模は、確かに世界の中でもユニークだろう。早く自分でプロダクトを開発し、西海岸で勝負できるようになりたいと、強く思った。

HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)

早いもので、もう今週でHBSのAcademic Termである17週間が終わる。この17週間は濃密で、急激に自分の世界が広がっていく貴重な4ヶ月だった。

授業:

以下の2つを目標として授業を受けていた。

  • リーダーとして正しい判断と行動ができるよう、分析力、決断力、アクション策定能力を磨くこと
  • 自分の価値観、行動の軸を固めること

1学期目は Leadership、Marketing、Technology and Operation Management、Finance、Financial Reporting and Control、FIELDという6科目が必修であった。それぞれの授業からは、その領域において考えるべき論点とそれぞれの論点について考えるプロセスを学べた。

例えばMarketingでは下記のような分析の流れとコンセプトを学んだ。

  • Customer Understanding (Value, DMP, DMU) -> 5C analysis -> STP -> Branding Strategy -> 4P (Product, Price, Place, Promotion) -> Financial/branding impact
    • Product: Product Diffusion Framework 
    • Price: Willingness to Pay, Key success factors (value-based, customized, dynamic, strategic, fair, consistent)
    • Place: Channel’s roles and how to resolve conflicts
    • Promotion: 6M framework (market, mission, message, media, money, measurement), customer’s perception pyramid

僕はProduct ManagerというMarketingに近い仕事をしていたため、上の概念のある程度は知っていたが、包括的にマーケティングのプロセスを見れるほどには知識がなく、また実践に活かせるほど習熟していなかった。今学期では様々な業界のケースを通じて「自分ならどうするか」を考え続けることで、知識をより血肉にすることができた。マーケティングについてより広い視野で、より深く、より速い速度で考えることができるようになったと思う。

自分のリーダーシップのスタイルについては、原理原則を挙げることができるようになった。”Listen well and do not be Judgmental”はそのうちの一つ。来学期にもリーダーシップ関連の科目があるので、引き続き自己認識を深めて、自分なりのリーダーシップの形を作っていきたい。

今学期は予習・復習に力を入れており、平均して約8時間を毎日割いていたため(クラス含む)、学業から得られるものが非常に多かった。特にリーダーシップ (LEAD)からの学びは新鮮であり、毎回の授業が楽しかった。成績は1月中旬に発表されるということでまだ何とも言えないが、全科目で2以上が取れていれば、満足だ。 “HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)” の続きを読む

HBS Round1合格発表

Final (期末試験)も今週さらに2つが終わり、残りは来週にTOM (Technology and Operation Management)とLEAD (Leadership)の2科目を残すのみとなった。これまでの3科目については致命的な失敗はしていないように思えるので、あと2科目もこの調子で乗り切りたい。

今週はHBSのRound 1の合格発表があり、合格者が分かった。同日にHBSの有志で合格者電話会というのがあり、それに参加をした。合格発表がこちらの時間のお昼で、電話をした時間はこちらの時間で午後5時から6時(日本時間の午前7時から8時)。電話を受けた合格者の方はとても嬉しそうで、僕も昨年、先輩に電話をもらって嬉しかったことを思い出した。してもらって嬉しかったことを、する。こうやって、いい伝統が続いていくと良いと思う。

一方で、合格者の中に今年受けていた友人の名前がないことにもショックを受けた。とてもユニークかつスマートな友人であり、僕の感覚としてはHBSにフィットするだろうなという印象があっただけに、非常に残念。きっと同程度に魅力的な大学から合格通知をもらえるだろうから、友人のRound 2での成功を祈りたい。

また、金曜日にはHolidazzleというHBS全体でのパーティがあった。こちらは初めてのタキシードを着ての参加。今学期あまり話せなかったセクションメイトの一人とディナーで長く話せて仲良くなれたり、他のセクションメイトともワイワイやったりと、楽しい時間を過ごせた。大勢でのパーティよりも少人数の方が好きだけれど、セクションメイトとであればこういうパーティも悪くない。今学期ではセクションメイトの名前、出身地、興味くらいは分かり、20名程度とは個人的な話もそれなりにできる程度に仲良くなれた。ベースは作れたと思うので、来学期にはより仲良くなりたい人とそのベースを深めていきたい。