分析

はじめての経済:ストーリーでわかる、企業、家計、銀行

中央銀行(日銀やFRB)の金融緩和、政府の大幅な財政支出、と連日ニュースが続きます。しかし、「そもそも経済はどのように回っているのか」は、あまり説明されたことがないのではないでしょうか。

今回は、お金が世界をどう回るのかを、わかりやすい例で説明します。この記事を読むと、経済ニュースを聞いた時の理解度が上がるかもしれません。

企業と家計

小さな100人の村を考えてみましょう。10人はオーナー社長で、お店を運営しており(クリニック、スーパー、飲食など)、それぞれ1つのお店を持っています。残りの90人は従業員です。

それぞれのお店は毎月100万円稼いでおり(材料などは近くの山や川からとってきて無料で、かかる費用は人件費だけとします)、オーナー・従業員はそれぞれ毎月10万円もらって、10万円使うとします。

  • すると、企業が稼ぐお金は 100万円 x 10社 = 1,000万円
  • 社長・従業員がもらうお金(「家計」としましょう)と使うお金は 10万円 x 100人 = 1,000万円

企業が稼いでいるお金と、家計が受け取るお金、家計が使うお金、は等しくなります。お金は企業→家計→企業→家計、とぐるぐる回っていきます。世の中に回っているお金は1,000万円です。みんなその月暮らしですが、平等な村ですね。

この村のGDP (Gross Domestic Product)という経済の指標は、実はこの1,000万円になります。村が生み出した付加価値の合計です。多くの村が、このGDPを上げることが人々の幸せに繋がると考え、この指標を上げることを目指しています。

銀行と企業投資

ここで、村の1人が「僕が兼業で『銀行』をやるよ」、と言い始めました。この「銀行」ではお金を預けることも、お金を借りることもできるようです。また、「銀行」を通じてお金のやり取りをすると、現金を直接やり取りしなくても良いようです。

現金を持ち歩かずにすむのなら、と企業もお金を預け、家計もお金を預けます。企業も家計も全てのお金を銀行に預けました。銀行には企業・家計からの預金合わせて、1,000万円のお金が入っています。

あらゆる決済が銀行口座に紐づいて、銀行役に連絡をするだけですむので、誰も現金を企業や家計に置きません。みんなラクラクで嬉しそうです。

ここで、野心あふれるあるオーナーが牛丼のお店を増やしたいので、「お金を借りたい」と言い始めました。

「牛野屋」としましょう。牛野屋は新しいお店を開くのに、「300万円かかる」と言い、「300万円を1年間借りたい」と言ってきました。

銀行は、「毎月1%の利子を支払ってくれるならいいよ」、と言ったので、牛野屋は300万円を借り、銀行は牛野屋さんの口座のお金を増やしました。牛野屋は建築業者に300万円で仕事を依頼しました。

建築業者は、仕事をし、牛野屋から受け取った300万円を銀行に預けました。

するとどうでしょう。銀行の手元には1,300万円分の預金があります。あれ、不思議ですね。300万円増えています。牛野屋へ貸し出された300万円がまわりまわって、預金になりました

つまり、貸出を行なったことで、銀行は村の中に回るお金の量を増やしたことになります

牛野屋は新しいお店を開店し、隣町から新しく10人を雇用し、月100万円を売り上げるお店になりました。

牛野屋はビジネスがうまくいっていれば元本はまた来年借りればいいやと利子返済以外は従業員に支払うこととし、従業員には毎月9万7000円ずつ渡すことにしました。つまり、97万円は従業員に、毎月3万円分は利子返済に回すことにしました。

銀行役は月10万円の給与に加えて、月3万円の利子をもらい、消費に回しました。これらの従業員もお金を銀行に全てを預けたため、銀行に新しく100万円が預金され、銀行を回るお金は1,300万円 + 100 万円で、1,400万円になりました。

  • 村では、新しく牛丼屋が100万円を売り上げるようになったので、お店の数は11に増え、「企業」の売上は1,100万円です。
  • 110人が働き、平均給与が月10万円ですので、「家計」がもらうお金も、消費するお金も1,100万円です。
  • 村の中の預金額は1,400万円で、借金額は300万円です。

牛野屋の投資により、企業の売上・家計の収入・消費が100万円増えてますね。さらに、借り入れを行なったことで、その分村の中を回るお金も300万円増えてますね。

これが銀行の役割の一つです。銀行は、世の中に回るお金を増やして投資を促し、経済のパイを大きくします

投資ブーム

牛丼屋の成功を見た他の9人のオーナーも我も我もと同じ「300万円を1年間、利子月1%」の条件で借り入れを行い、新しいお店をオープンしました。新しいお店はそれぞれ従業員を10人雇用し、オーナーは売上100万円のうち、銀行に月3万円支払う以外は従業員に回しました。

銀行役の人は大喜びです。なにせ、1人で月10万円の給与に加えて、3,000万円を貸出した利子の1%である30万円が入ってきて、毎月40万円もらえているからです。しかし、銀行役は湯水のようにお金を使って、毎月全部消費します。

  • 村のお店の数は20に増え、隣町からさらに90人が移動してきて、人口も200人に増えました。企業の売上は2,000万円です。
  • 200人が働き、平均給与は月10万円で変わらず、家計がもらうお金も、消費するお金も2,000万円です(ただし、100人の給与は9万7000円、99人の給与は10万円、1人の給与は40万円です)
  • 村の中の預金額は5,000万円で、借金額は3,000万円です。

銀行がせっせと貸出を行なった結果、貸出金額が企業の売上高よりも大きくなりました。

このことからもわかるように、銀行は預金額以上の貸出を行うことができます。なぜなら、銀行は何か現物を右から左へ貸し出しているわけではなく、貸出を通じて、お金を創造しているからです

みんなの景気が良い時には、企業の投資意欲が高く、銀行が貸出を増やし、企業は投資をして、雇用が生まれ、消費が増えて、さらに企業の投資意欲が高まって、と良い循環が回っていきます。

村Aは人口が2倍のが200人、売上も2倍になり、GDPは2倍の2,000万円になりました。村長さんは大喜びです。

ブームの綻び

しかし、良い時はずっとは続きません。突然、村に疫病が蔓延、村長は村の住人に1ヶ月間の外出禁止令を出しました。

ここで大変なのは、ビジネスをしているオーナー達です。村にある10の事業のうち、5つは必要不可欠な事業(クリニック、スーパー、薬局など)なのに対して、残りの5つの事業は必要不可欠でない事業(飲食など)と見なされ、営業できなくなってしまいました。

  • 事業が継続できないオーナーはパニックです。売上が上がらなければ、従業員への給料も支払えませんし、銀行への利子も払えません。
  • 従業員もパニックです。給料が入ってこなければ、生活ができません。
  • 銀行もパニックです。融資をした企業が潰れてしまえば、お金を回収できません。

このような事態になった時に、村としてはどうしたら良いでしょうか? 企業、家計、銀行だけでは解決できません。ここで、「政府」の役割が重要になります。

政府のストーリーは、こちらです。

読み物
はじめての経済:ストーリーでわかる、政府

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