2016年の目標

2015年はHBSの合格、アメリカへの留学と人生の大きな転換点となる年だった。2016年もすでに始まってしまったけれど、2015年を振り返って、2016年の目標を立ててみたい。

2015年の振り返り

2015年は2014年にしたことの結果が出た年となった。2014年はMBAの受験のためにTOEFL、GMAT、エッセイにかなりの時間を使ったが、結果として2015年に入ってHBSから合格をもらえ、そして奨学金ももらえることとなった。留学前にはMBA同期や先輩とのイベントがあり、新たな出会いがたくさんあった。留学してからは授業を通じてビジネスをする際に考えるべき視点を増やすことができ、友人や教授との交流を通してネットワーキングが大きく広がった。また、ずっと学びたいと思っていたプログラミングについてもTECH::CAMPで1ヶ月の間学ぶ時間が取れ、理解を深めることができた。

上期には目標としていた「MBAに合格し、かつ奨学金を獲得すること」を達成でき、下期には「友人のネットワークを広げること」もある程度達成することができた。まだできるところはあったと思うが、総合的に見て新たな挑戦をし、自分の幅を広げることができた、良い年であったと思う。

2016年の目標

引き続き、授業を通じて分析力、判断力を上げ、友人との交流を通じてネットワークを広げることに注力したい。それに加えて、今年はチームを組んで、ビジネスを立ち上げるところまで行いたいと思う。3月に応募期限があるNew Venture Competitionに応募して感触を掴み、秋には他のコンテストに応募して何らかの賞を取る、というのが目標だ。

また、妻も夏以降に合流する予定なので、家族ぐるみで付き合えるような友人をより増やせるといいと思う。

卒業後の目標

僕の20代も昨年で終わり、30代という新しい10年が始まっている。20代も挑戦をしていたが、自分にブレーキをかけて足踏みをしていた時期が長かったので、30代は毎年新しい挑戦をする10年にしたいと思っている。

具体的には、志を共にするような仲間と一緒に会社を経営し、テクノロジーを用いて、世界中の人々がより健康で生きられるような社会の実現に貢献するサービスを提供することに挑戦したいと思う。病気は本人だけでなく、家族、友人も含めてつらい思いをするというのは、これまでの人生で実感してきた。人々がそういった苦しみを感じる前に予防する、既に持病を抱えている人が病気を治療・コントロールするのを助ける、ということをしたい。オフィスにスクリーンを配置して、今日は何人の人が僕らのサービスで健康になった、ということを見えるようにして、それを日々仲間たちと喜び合えるような職場を作ることができれば、最高だ。

そのためにも、2016年も日々、挑戦を続けていきたい。

MBA受験 – キャンパスビジット(大学訪問)をしよう

受験する予定の大学を訪れる、いわゆる大学訪問については、応募前に行なった方が良いのかどうかを迷う方もいらっしゃるかと思います。

「志望度が高い学校はした方が良い、訪れることがほぼ必須になる大学については特に」というのが僕のアドバイスです。

大学訪問を行うメリット、デメリット、どの大学で影響がありそうなのか、どのように在校生にコンタクトをとれば良いか、どのような準備をするべきか、について書きます。

大学を訪れることで得られるメリット

  • 自分が暮らすことになる街がどのような環境かを知ることができる
  • 大学、学生の雰囲気が自分にあっているかどうかを感じることができる
  • 訪問した痕跡を残すことで、大学に志望度の高さを伝えることができる

特に3点目のキャンパス訪問については訪問が合否に大きく影響する大学があるために、注意が必要です。

大学を訪れることによるデメリット

旅費と旅行のための時間が主なコストとなります。特にアメリカの西海岸、東海岸、ヨーロッパの大学、と幅広く受ける場合は、移動だけでも数日が必要になるので注意が必要です。

大学訪問が合否に影響する可能性の高い大学

応募書類のフォーマット、在校生やアドミッションからの情報により、大学訪問の影響の度合いを推測することができます。僕が受けた大学については以下です(2015年時点での情報です)。

  • HBS (Harvard Business School): 訪問は合否には関係ないと名言されています。応募用紙にも訪問の有無を書く欄もありません。ただ、ケースの授業形式は特殊なので自分に合うかは授業見学はして見ておいた方が良いです。
  • Stanford: おそらくない。訪問の有無を書く欄なし。
  • Wharton: おそらくない。訪問の有無を書く欄なし。ただ、暮らすにあたってはフィラデルフィアでの生活がどのようなものなのかは知っておいた方が良い、というのが同級生からのアドバイスです。
  • Columbia: 訪問した方が良いです。応募用紙でもどのadmissionと会ったか書く欄があるため、admissionの人の名前も覚えること。また、ニューヨーク関連についてのエッセイの質問もあることがあるため、材料を増やすためにも訪問は役立ちます。
  • MIT: 訪問した方が良い。訪問の有無を書く欄があることに加え、どのMITのイベントに参加したか、誰を知っているか、などを書く欄がありました。本気で受かりたいのであれば、訪問時にネットワーキングを行い、MITと繋がりを作った方が良い。
  • LBS: 訪問した方が良い。LBS関係者で会った人を書く欄があることに加え、欧州とアメリカのビジネススクールはかなり雰囲気が異なるため、どちらが自分と合うかを見極める上でも訪問が大事。比較的多くのOB/OG、在校生と会って、ネットワーキングした方が良い。

在校生へアプローチしよう

在校生についてですが、①エッセイカウンセラーに頼む、②公式ブログにメールする、③友人の友人のネットワークを使う、ことで日本人とはアプローチできることが多いと思いますので、学校の正規プログラムに加えて在校生とコンタクトを取ると、学校の雰囲気をつかむのに良いかと思います。

キャンパスビジットの準備と実践

また、キャンパスビジットを行う祭ですが、下記のような準備と実践を行うことが個人的なアドバイスです。

  • 仮説を持って行く。質問例:「私のやりたいことがAで、この大学のMBAプログラムのBがCというようにAに繋がるのではないかと思うのですが、いかがですか?」
  • 具体例を聞く。「DというプログラムがEなのではないかと思い、とても興味があるのですが、具体的にはどのような体験でしたか?」
  • あまり多くの人と同じ時間で一度に会わないようにする。たまに受験生1人に対して6人が同じ時間に集まるなどを聞きますが、そういう場合は一人に突っ込んで質問することが難しくなりますし、在校生の間でもお互いを見合ってしまうことがあります。可能であれば1対1か1対2くらいで違う時間帯に会ってもらった方が効果的です。
  • ホームページで調べられることは調べておく。既に書いてあることを聞いても時間がもったいないです。「1年目の必修授業は何がありますか?」の質問への答えばどの大学でもHPに書いてあります。
  • 在校生ブログを確認しておく。殆どのMBAプログラムには日本人がおり、ブログを個人的、あるいは学校単位で書いている場合が多いです。生活感がわかるため、一通り目を通しておいた方が良いです
  • テストについて聞かない。TOEFLやGMATの点の取り方は参考書やブログを始めとした様々な媒体で書いてあります。在校生に聞いても、ここまで来てテストを聞くのか、という印象を与えるため、やめた方が良いです。

上記のような点を押さえると、キャンパスビジットをした時に得られるものが多くなり、よりエッセイを書く際にも役立つと思います。

次のステップ

エッセイについては「MBA受験 – エッセイ(Essay)の書き方とテクニック」を、全体像については「MBA – 受験から卒業までの流れ」をご覧ください。

WesTrek – アメリカ西海岸へ

WesTrekという西海岸へのテック系企業訪問のトレックへ参加してきた。サンフランシスコ、シリコンバレーの企業6社(Google、Airbnb、Twitter、Quantcast、Omada Health、Clever)を訪問し、その速度と企業文化の強調に大きな刺激を受けた。以下は気付いたことと感じた事。

オフィスでオリジナリティを出すのは当たり前

快適なオフィスは採用活動に加えて、働く人がそのオフィスに居たいと思い、労働時間を伸ばす効果がある。無料の飲み物、コーヒー、スナック、ランチはもはや標準で、クリーニング等も無料にしている企業もある。一人一人のキューブではなく仕切りのない空間で、部屋と部屋の間にブレインストーミングができるような空間があり、オフィス自体の飾り付けを行なっているのも標準で、その上でそれぞれの企業が工夫をしている。例えばAirbnbは会議室まで居間のように変えてしまい、家とオフィスの境目を曖昧にしてしまっている。2000年代後半創業の新しい会社(Airbnb、Omada Health、Clever)ほどよりオリジナリティを出しているのは、おそらくGoogleやTwitterといった会社とオフィス環境で差別化をするためだろう。

狭い世界で、評判が最も大事な資産

サンフランシスコ、シリコンバレーではこのエリアの中で人が動くため、知り合いの知り合いで繋がる世界になっている。今回会った人が言うには、本当に狭い世界で、良い噂も悪い噂もすぐに広がる。良い失敗は良いが、悪い失敗で一度失った信頼をコミュニテイの中で取り戻すのは難しい、とのこと。これだけ多くのテクノロジー系企業がある中でそれだけコミュニティが狭いのは面白いと感じた。

西海岸におけるMBAの価値は低い

良いエンジニアが圧倒的に供給不足なので、企業はエンジニアやデータサイエンティストの採用に積極的。一方でMBAについてはあまり価値が置かれていない。半分笑い話で聞いた話では、ある企業はAcquhire(採用が目的の買収)の案件で、あるエンジニアを100万ドルで評価し、MBA卒のビジネスデベロップメントを0ドルで評価したそう。基本的にはプロダクトを開発し、どんどん改善をしていき、プロダクトに語らせる、というのがカルチャーなので、プロダクトの改善に関わらない役割についての価値はそこまで高く評価されない印象だ。

早く成長するか、死か

成長速度が圧倒的に早い。7年で時価総額65 billionまでいったAirbnbや米国トップ5のデータ処理量(Google、FB、国防省に次ぐ)まで成長したQuantcastなど、特に成功している企業は10年経たずに数千人規模のグローバル企業となっている。これは優秀な人材、資金が集まっていることに加え、スピードを重視するカルチャーや常にプレッシャーにさらされていることもあるだろう。小さな企業にとって、GoogleやFBは脅威で、彼らが市場に入ってくると、資金力でサービスが潰される。一方で、買収されるという選択肢もあるので、良いチームでプロダクトを開発していれば、完全に死ぬことはない。

この生態系については起業家としてネットワークの内側に入ってみないと、おそらく本当には分からないと思った。この早さと規模は、確かに世界の中でもユニークだろう。早く自分でプロダクトを開発し、西海岸で勝負できるようになりたいと、強く思った。

海外ビジネススクールでMBAを取得する5つの価値

海外のビジネススクールへ行き、MBAを取得する価値は何でしょうか?

僕なりに整理すると、ビジネスパーソンとしての基盤づくり、人脈・友情、キャリア変更の機会の3つが主な価値で、質の高い時間と学位が付属的な価値かと思います。

ビジネスパーソンとしての基盤づくり(A Good Business Foundation)

経営者として持っておいたほうが良い、ビジネスを構成する各機能についての知識を体系的に身につけられる、というのが一つ目の価値です。

HBSを例に取ると、1年目の必修科目ではビジネスを複数の視点から見れるような科目構成となっています (BGIE, Strategy, Technology and Operations Management (TOM), Marketing, Finance I & II, Financial Reporting and Control (FRC), The Entrepreneurial Manager, Leadership x 2 + FIELD I/II/III)。

具体的には、一学期ではMarketingでいかに価値を創造して獲得するかを学び、TOMでは戦略と整合性の取れたオペレーションを構築し、評価し、改善していくかを学びました。Finance IとFRCでは財務分析、会計分析、投資評価に加え、いかに会計を利用して組織のパフォーマンスを測定し、改善していくか、また資本市場とコーポレートガバナンスについても学びました。これらの科目から導き出された戦略も実行できなければただの絵に描いた餅です。戦略をいかに実行するかについてはLeadershipで学び、それを実践する機会の一つとしてFIELDがありました。

経営者として経営判断をする際に役立つ知識を効率良く身につけることができる、というのが一つ目の価値です。

人脈・友情(Networking/Friendship)

これはHBS一学期まとめ、でも書いていますが、MBAプログラムで最もユニークかつ大きい価値かと思います。世界中から集まった将来のリーダー達と2年間、利害のないフラットな関係で濃密な時間を過ごせるというのは貴重な場です。また、教授陣も世界から集められた非常に優秀な人であり、そういった教授との繋がりも大きな財産となります。

また、一緒に日々を過ごす中で築かれる友情というのはネットワーク以上に人生にとって価値があると僕は思っています。目標を持ち、一緒に切磋琢磨できる人と出会うのは簡単なことではありませんでしたが、ここではそういった人達と出会う機会が多くあります。

ネットワーク、友人の輪を大きく広げられるというのが二つ目の価値です。

キャリア変更の機会(Career Change Opportunity)

キャリアチェンジをしたい、キャリアアップをしたい、と考える人にとってはMBAで得られる時間と機会が価値になります。普段の仕事が忙しく、自分が本当にやりたいことがわからない。あるいは現在の職から違う職に行くのがキャリア的に難しい。そういった人達にとってはMBA取得はキャリアのリセットの役割を果たします。また、投資銀行やPrivate Equityなど昇進にMBA取得が実質的な条件になっているような業界にとっては、キャリアアップのためにMBAの肩書き自体が価値になります。

多くのMBA生が入学と同時に自分とその後の人生について考え、幾つかの企業を受け、夏のインターンシップを今まで勤めてきた業界と違う業界に挑戦し、自分の可能性を探っています。在学中の起業というのも自分の可能性を試す一つの選択肢です。

リスクがない環境の中で自分の可能性を試せる機会、というのが三つ目の価値です。

質の高い時間

以上の三つが主な価値だと思いますが、質の高い時間(”Quality Time”)を4つ目の価値として考える人もいます。特にコンサルティングや投資銀行など長時間労働を長い間にしてきた人としては、人生の夏休み的に旅行や友人と遊ぶ時間を謳歌することが価値になりますし、今まで時間を割けていなかった子供やパートナーと過ごす時間として使う人もいます。MBAで過ごす時間は基本的に自分で時間割を決めるので、時間の自由度自体が価値になります。

MBAの学位

また、学位自体を5つ目の価値として考える人もいます。米系企業のマネジャー以上のポジションの求人にてMBA PreferredまたはRequiredとなっており、実質的にMBAが必要になっている例も多いです(逆にテック系企業やP&Gのように伝統的に内部昇進の企業ではMBAがあまり評価されない印象です)。

大学院の学位を持っているということも信用を補完する効果があるため(MBAを得ているならば一定レベルのビジネスの知識はあるのだろう、という推定が働く)、それも交渉などの場で役立つかと思います。

以上の5点が主なMBAの価値になるかと思います。加えて、個人的にはこれが最初の海外生活となるため、留学による価値観の広がりや英語によるコミュニケーション能力の向上にも価値を感じています。

MBAの費用対効果

MBAに行くことがコストに見合うか?という話については、僕は「人による」と思います。上記の4点はあくまでも機会があるという話です。その機会を活かしてそれ以上の価値を将来的に出すことができる人もいるでしょうし、自分から動かずに機会を活かすことができなければおそらく日本で2年間働いていた方が良いと思います。

MBAの費用について知りたい方は >> ハーバードMBA留学で実際にかかる費用

また、プログラムを通じて学んだ内容、広がった視野、得られたネットワークは卒業後すぐに役立つというよりは、時が経つにつれて活かせる場が増えていくものだと思いますので、2年間の時間 + 20万ドル近い投資は短期的というよりも長期的な投資かと思います。

「機会を活かして、長期的なリターンを得たい人」にとってはMBAは一つの魅力的なキャリアの選択肢だと思いますし、そうでなければ違う選択肢の方が良いでしょう。

僕個人としては、ここで得られる機会を楽しんでいる方ですので、来て良かったなと思います。価値があるかは主観的なものですので、下記のような他のMBA取得者が書いている記事を見て、比較してみても面白いかと思います。

My Life After Sloan

Chikirinの日記

@Type

Axiom

次のステップ

実際に2年間終えた後にどう考え方が変わったかを知りたい方は、

>> ハーバードビジネススクールMBAの価値

MBAの全体像について知りたい方は

>>海外MBA受験から留学開始までのまとめ

HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)

早いもので、もう今週でHBSのAcademic Termである17週間が終わる。この17週間は濃密で、急激に自分の世界が広がっていく貴重な4ヶ月だった。

授業:

以下の2つを目標として授業を受けていた。

  • リーダーとして正しい判断と行動ができるよう、分析力、決断力、アクション策定能力を磨くこと
  • 自分の価値観、行動の軸を固めること

1学期目は Leadership、Marketing、Technology and Operation Management、Finance、Financial Reporting and Control、FIELDという6科目が必修であった。それぞれの授業からは、その領域において考えるべき論点とそれぞれの論点について考えるプロセスを学べた。

例えばMarketingでは下記のような分析の流れとコンセプトを学んだ。

  • Customer Understanding (Value, DMP, DMU) -> 5C analysis -> STP -> Branding Strategy -> 4P (Product, Price, Place, Promotion) -> Financial/branding impact
    • Product: Product Diffusion Framework 
    • Price: Willingness to Pay, Key success factors (value-based, customized, dynamic, strategic, fair, consistent)
    • Place: Channel’s roles and how to resolve conflicts
    • Promotion: 6M framework (market, mission, message, media, money, measurement), customer’s perception pyramid

僕はProduct ManagerというMarketingに近い仕事をしていたため、上の概念のある程度は知っていたが、包括的にマーケティングのプロセスを見れるほどには知識がなく、また実践に活かせるほど習熟していなかった。今学期では様々な業界のケースを通じて「自分ならどうするか」を考え続けることで、知識をより血肉にすることができた。マーケティングについてより広い視野で、より深く、より速い速度で考えることができるようになったと思う。

自分のリーダーシップのスタイルについては、原理原則を挙げることができるようになった。”Listen well and do not be Judgmental”はそのうちの一つ。来学期にもリーダーシップ関連の科目があるので、引き続き自己認識を深めて、自分なりのリーダーシップの形を作っていきたい。

今学期は予習・復習に力を入れており、平均して約8時間を毎日割いていたため(クラス含む)、学業から得られるものが非常に多かった。特にリーダーシップ (LEAD)からの学びは新鮮であり、毎回の授業が楽しかった。成績は1月中旬に発表されるということでまだ何とも言えないが、全科目で2以上が取れていれば、満足だ。 “HBS1学期まとめ (授業・ネットワーキング・キャリア)” の続きを読む

HBS Round1合格発表

Final (期末試験)も今週さらに2つが終わり、残りは来週にTOM (Technology and Operation Management)とLEAD (Leadership)の2科目を残すのみとなった。これまでの3科目については致命的な失敗はしていないように思えるので、あと2科目もこの調子で乗り切りたい。

今週はHBSのRound 1の合格発表があり、合格者が分かった。同日にHBSの有志で合格者電話会というのがあり、それに参加をした。合格発表がこちらの時間のお昼で、電話をした時間はこちらの時間で午後5時から6時(日本時間の午前7時から8時)。電話を受けた合格者の方はとても嬉しそうで、僕も昨年、先輩に電話をもらって嬉しかったことを思い出した。してもらって嬉しかったことを、する。こうやって、いい伝統が続いていくと良いと思う。

一方で、合格者の中に今年受けていた友人の名前がないことにもショックを受けた。とてもユニークかつスマートな友人であり、僕の感覚としてはHBSにフィットするだろうなという印象があっただけに、非常に残念。きっと同程度に魅力的な大学から合格通知をもらえるだろうから、友人のRound 2での成功を祈りたい。

また、金曜日にはHolidazzleというHBS全体でのパーティがあった。こちらは初めてのタキシードを着ての参加。今学期あまり話せなかったセクションメイトの一人とディナーで長く話せて仲良くなれたり、他のセクションメイトともワイワイやったりと、楽しい時間を過ごせた。大勢でのパーティよりも少人数の方が好きだけれど、セクションメイトとであればこういうパーティも悪くない。今学期ではセクションメイトの名前、出身地、興味くらいは分かり、20名程度とは個人的な話もそれなりにできる程度に仲良くなれた。ベースは作れたと思うので、来学期にはより仲良くなりたい人とそのベースを深めていきたい。

What the “F”? – Section F

MarketingのFinal(期末試験)が金曜日に終わり、ほっと一息。4時間と長いように聞こえる試験だが、ケースの中で論点が非常に多く、4時間でギリギリだった。アメリカ人のセクションメイトの殆ども最後まで残っていたので、ケースが複雑だったのだと思う。あとFinalは4つ。

Finalの軽い打ち上げで昨日はセクションメイトとSmall dinnerへ行き、その後にセクションでバーへ行き、HBSに戻ってからはセクションメイトの一人の家に4人で集まり、ホットチョコレートを飲みながら様々な話をした。インド出身のセクションメイトが言う。

「インドの貧困層は本当に貧しい。彼らは言葉通り食べるものに困っている。ただ、インドは農業国であり、生産量は国民全員が食べる以上にあり、輸出もしている。問題なのは流通過程が極めて複雑になっており、倉庫の中で穀物が腐るなど、非常に非効率。加えて、インドは貧困層も非常に多いが、中間層の数も多いために、貧困層の問題に目が行きにくい。世界が見ているインドは、インドの中の中間から上でしかない。一方、アフリカはインドと比較すると中間層の数がまだ少ないから、メディアでもアフリカというと貧困層に注目しているように見える」

それに対して、ジンバブエ出身のセクションメイトが言う。

「インドと比較すれば中間層の数が少ないのはそうだと思う。もう一つの違いとしては、貧困層の定義がある。アフリカの貧困層は貧しいが、$1以下の生活を貧困層と定義したとしても、農村部のようなコミュニティで成り立っている社会では15セントで暮らせたりする。また、アフリカでも貧困層をどう引き上げるかは大きなテーマだ。Dictatorを肯定するわけではないが、中国やシンガポールのようなBenevolent dictatorshipは必要なのではないかと時々考える」

そこからBenevolent dictatorshipについての話で盛り上がった。夜も遅くなったので、続きはまた来週、となったが、4人ともこういった会話が非常に刺激的だというところで一致していた。

Section Fというのが僕のセクションなのだが、僕は自分のセクションが非常に好きだ。みんな優しく、知的で、それぞれの魅力に溢れている。「まだ出会って3か月だけれど、このセクションの94名であれば、卒業後にも誰に対しても躊躇なく電話できそうだ」と一人が言っていたけれど、僕も同感。セクションはそれぞれのカラーがあるというけれど、僕は自分に 合うカラーのセクションでラッキーだったな、と思う。

 

Thanksgiving Holidays

Thanksgiving Holidayということで、今週は水、木、金がお休み。休みを利用して木、金とニューヨークへ一泊二日の旅行に行ってきた。目的は①教授に呼んでもらったThanksgivingディナーに参加することと、②MoMAを見学すること、③冬物を購入すること。ニューヨークはMegabusというバス会社を使い、片道それぞれ$35、$45程度で4時間半程度だった。

Thanksgivingディナー

教授の厚意で、International Studentを彼女の家のThanksgiving dinnerへ呼んでくれた。場所はBrooklynの地下鉄Fライン沿い。常に人、車、工事機械が動いているマンハッタンとは異なり、閑静な住宅街で、こんなところに住めたら良いなと思える場所だった。

教授はクラスみんなに呼びかけていたのだが、嬉しいのか嬉しくないのか、結局教授の家に行ったのは僕一人だった。おかげで計10人の参加者のうち、家族 + 親族 + 僕、という状況に。例えるならば、日本のお正月で家族と親族で集まっている時に、一人だけ生徒が混じる感じ。最初はさすがにヒヤヒヤしたが、みんな暖かく迎えてくれたおかげで、楽しい時間を過ごせた。

印象に残ったのは、テーブルでの会話の内容。教授と旦那が弁護士ということもあり、ケースの内容や近年の出来事に対する見方などが会話に出る。子供は高校生や大学を卒業したばかりだったりするのだが、その話を普通に聞いて、自分なりの見方を述べる。こう会話を小さいときからしていれば、世の中の見方がかなり広がるのだろうな、と思う。大きい方の息子はHarvardを卒業したばかりということだが、それも納得。食事の際にもこういったインフォーマルな教育が行われ、上流階級の家庭の子供が良い大学に行くようになり、さらに発展していく。メカニズムの一端を垣間見えたようで興味深かった。

MoMA (Museum of Modern Art)

二日目はMoMAを見学してきた。Modern Artはこれまでよくわからなかったのだが、この美術館を見学して、Modern Artが自分の中で少し言語化されたような気がする。Modern Artというのは、① 世の中をどう違ったように見るか (How do I see the world differently?)、②その見方をどう表現するか (How do I express my view?)、を伝えるためのものなのではないか。

例えば、Cubismは世界を目で見る世界ではなく、抽象化した視点で見ている。表現方法としては平面の図形の組み合わせで立体的なものを表現しており、世の中をこのように見ることもできる、というように提示している。

Productに関わる人としては、この②のところから学べることが多かった。例えば、Gridの組み合わせで立体的に見えるようなものからはUI的な見せ方を学ぶことができたし、光と影の陰影の使い方や敢えて一部分をカットする見せ方からは目立たせたい部分を強調する技法を学ぶことができた。

美術館は創造性を刺激するいい場所だと改めて感じ、四半期に一度は行こうと思った。

UNIQLO

Thanksgivingの翌日はBlack Fridayということで、ほとんどの小売で大幅な値下げが行われる。僕も冬物を調達するためにNYのUNIQLO旗艦店へ行ってきた。

一言で言うと、ものすごい賑わい。店内も銀座店のようなデジタルとアナログを融合させた展示であり、おもちゃ箱のようで飽きない。コンセプトもLife Wareととてもシンプルで、世界のどこでもヒットするような普遍性を持っている。同級生に聞いてもブランド名を知っている人が多く、USでも知名度を得てきており、このまま順調に伸びていきそうな印象を受けた。

UNIQLOのビジネスからは、年月を経てここまで洗練されてきたのだな、という職人芸のような印象を受ける。UNIQLOではフリース、Tシャツ、ジーンズ、ヒートテック、そしてアウターと年ごとに確実に商品のラインナップが魅力的なものになってきている。そして価格の表示方法、プロモーション商品の見せ方など、店舗のオペレーションも着実に改善を積み重ねていっているように見える。

やはり柳井さんはすごい。多くのことを、来年の1ヶ月のUNIQLOでのインターンから学びたい。

アメリカMBAプログラムの比較

アメリカのMBAプログラム(MIT, Wharton, Kellogg, Haas, HBS)を比較してみるとHBSの1年目はかなりはっきりとした特徴を持っているということがあらためて分かる。

学業:ケーススタディと意思決定( “Case Method” / “Decision Making”)

HBSの一年目ではいわゆるレクチャーという形式はほぼない。各学期で6科目中の5つの授業はケース形式やシミュレーションでの授業で、残りの1つはFIELDというチームを組んでのグループディスカッション、コンサルティングプロジェクト、起業プロジェクトといった実践系の授業になる。

ケース形式の総本山ということもあり、このケース形式の教え方の割合は他のUSの大学と比べて圧倒的に高い。学生は1学期で約140本のケースを読んで、”お前なら何をどうするか”と問われ続けるので、意思決定をするための現状の分析力とアクションプランを策定する力がかなり高くなる。また、発言が成績の50%なので、発言の方法や内容にも気を配るようになる。

一方、WhartonやMITなどは科目によりケース、レクチャー、グループワークを組み合わせるなどバランスを取っている印象を持った。また、”Decision Making”のみならず、自分で手を動かしてテクニカルな統計分析ができるようにしたりと、マネジメントとしての視点と現場レベルでのスキルの両方をバランスよく身につけさせようとしている印象。

人脈形成:(Networking – “Section Experience”)

HBSではSectionというクラスのくくりで一年間過ごし、一年目は全ての授業が必修であるために、同じSectionの93-94人とはかなり強い絆が生まれる。ケースの授業では他の生徒の発言を一年間聞き続けるため、Sectionmateの性格や価値観もわかっていく。

イベントも多くがSection単位で行われること、Sectionだけでも90人以上いるためにそこが自分の居場所になる。卒業後に5年毎にReunionがBostonで開かれる時もSectionが単位で、HBSのコミュニティに属する限り、まさしく一生付き合う仲となる。

一方で、他の大学では必修もWaiveができたり、選択必修であったりと、常にクラス全員が教室に集まるわけではない。運動会などでClass等のくくりはあるものの、Classなどに対する帰属感はそこまで強いものではなさそう。グループワークやクラブの機会を活かして、気の合う仲間とグループをいくつか作って、そのグループで仲が深まっている印象だ。

クラブ活動:Career/Club – “Intensive Program”

HBSは月曜日から金曜日まで授業があるのに対して、他の2年制のアメリカMBAプログラムはほとんど月から木曜まで。Thanksgivingがある週もHBSは月、火と3ケースの授業があるのに対して、他の大学は一週間休みのところも多い。

HBSはintensive programであるということを、あらためて感じた。これは得られるものが多い一方、大学のカリキュラムに時間を使う必要がよりある。他の大学に行っている人の方が就職活動、起業準備、クラブなどの学外で自由に時間を使っている印象を持った。

HBSは仕組みの大学

比較を通じて感じたのは、HBSは仕組みの大学だということ。Case Methodで全ての必修基礎科目をこなすことで、Leaderとして幅広い視野を持ちDecision Makingを行うスキルを集中的に鍛えるような仕組みになっている。

また、Section単位で授業やイベント活動を一年間行うことでSectionとして一体感を持ち、誰もがHBSで幅広いバックグラウンドの90人以上と一定以上の深さを持ったNetworkを持ち、かつCommunityに帰属感を持てるような仕組みになっている。まさしく、Leaderを育成するということにFocusしたカリキュラムだ。

一年目の自由度は他の大学に比べると少ないが、二年目は他の大学のように全て選択科目となり、自由度がはるかに増す。学生は一年目と二年目で全く違った体験をすることとなる。幅広い視野とセクションを中心としたHBSネットワークを一年目で得て、二年目に好きなことをする、というのが基本的な流れだ。

どんな人にHBSの仕組みは向いているか

僕はというと、この仕組みに満足している。やはりこのintensiveなプログラムをこなすからこそ得られる自信があるし、90人を超える学生と深い関係を完全に自由な環境で築くのは言語や文化の問題でなかなか厳しいので、この仕組みはありがたい。また、Case MethodでLeaderとしてのDecision making skillを集中的に磨くというのは元々の目的なので、これも僕にとっては非常に価値がある。二年目から自由度が増す、というのは僕にとっては遅くはない。

一方で、この仕組みは一年目から自由に時間を使いたい人やもう少しゆったりと時間を過ごしたい人には向いていないと思う。例えば、何かの分野に特化して一年目から学びたい人、すでに起業のアイデアがあって一年目から起業に時間を使いたい人、にとってはHBSの一年目の仕組み化された自由度が相対的に少ないカリキュラムは辛いだろう。

また、それなりに必修の課題などに追われるので、ゆったり過ごしたい人には向いていない。そういう人にとっては、MITやWhartonのような一学期目から選択の余地が大きく、授業の負担も軽減しようと思えばできるプログラムの方が向いていると思う。

僕自身、HBSに満足しているために多少バイアスがかかっている可能性もあるが、今感じて居る印象は上記のような感じだ。MBAプログラムについては受験生の時に調べていた時はどれも似たものに見えたが、実際に入ってみると大学ごとに仕組みに特徴があるのに気づいた。

①どんな教え方か、②学生がどこで人間関係を築いているか、③どれくらいプログラムがintensiveか、④どの場所にあるか、というのは学校選びの時に見ると良いポイントかと思う。

HBSが本気になってきた

Week12に入り、学生も大学に慣れてきて、リクルーティングやクラブ活動にも時間が割けるようになってきた頃、それに待ったをかけるようにHBSは授業で牙を剥き始めてきた。

今週の月火はFIELD 2のDash!という実践型授業。内容は、あるビジネスに対して、ターゲット顧客にインタビューして、その顧客が抱える課題を見つけ、課題を絞り込み、それに対する解決策を考え、プロトタイプを作り、テストする、というもの。常識的に考えると時間が足りなすぎるので、おそらく相当簡易なものにせざるをえないけれど、それにしてもスケジュールが異常に厳しい。

加えて今週の木、金、そして来週は1日3ケースの日々が続く。ケースもだんだん長くなってきていて、慣れてきて読むのが早くなってきた分を削っていく。一方でクラブの活動も動き出してきて、そのための時間も割かなければいけない。

12月4日が最初の試験であることも含めて、学生を忙しくさせる仕組みとしては、スケジュールを含めてよくできているなと思う。11月、睡眠時間をある程度確保できるように頑張ろう。