春学期前半の振り返り

春学期も既に半分が経過し、MBAの1年目も残すところ1/4となった。全体を通して、慣れとともに少し緩みが出てしまい、挑戦の度合いが秋学期と比べて少なかったなという反省。MBAでどんなことをしているのかを伝えるためにも、①学業、②友人関係/ネットワーキング、③キャリア、④課外活動、の各項目について、簡単に振り返りたい。

学業

今学期の科目は必修の5科目とFIELDという必修の実習授業。LCA (Leadership and Corporate Accountability)というグレーゾーンの判断をする際にどのように考えるべきかという授業やTEM (The Entrepreneurial Manager)というアントレプレナーシップに焦点を当てた授業など個人的に学びたかったものが多く、楽しんでいる。ただ、ケースの形式にある程度慣れてきたことから、あまり準備をしないで臨むケースが少しあったり、授業中の態度も前期に比べるとそこまで必死になって発言をしようとはしなかった。特にTEMはどのタイミングでどういう発言が求められているのかが分かりにくく、発言回数がやや少なめとなった。

結果として、TEMで初の中間評価で”3″(下位20%)の授業評価をもらってしまった。他の必修4科目は”1″であったので、発言の質はよくなってきていると思うのだが、やはり授業に臨む姿勢がやや緩んできたのが理由だろう。

“3”はややショックではあったが、気合を入れるのが必要な時期であったので、良いメッセージとなった。きっと、「お前はそんなに気を抜いて良いような立場でないよ。一つ一つの授業をもっと大切に受けなさい」という厳しくも愛のあるメッセージだ。

発言については①半分の授業で発言することを意識し、準備の段階でTakeawaysを意識する、②議論の流れに乗せる(同意して追加または反論)、③教授が求めている発言を推測する、④授業に貢献する発言をする(現実論と抽象論、ファクトによるサポート、情熱や感情を入れる)、⑤CREC (claim, reason, example, claim)で話す、ことを意識している。ただ、最近はその徹底が足りていなかったので、授業前に見返すなどして、習慣化することが必要そうだ。

友人関係/ネットワーキング

友人関係については、今学期から始まったEVOLVEという5人組のグループに所属して、人生のゴールは何か、HBSで何を成し遂げたいか、友情とは何か、と2週間に1度かなり突っ込んだ会話をしている。このEVOLVEというのは中で話したことは外には話さないというNorm(規範)があるために詳しくは書けないが、この活動を通じて、同級生が自分とあまり変わらない悩みを持っていたり、外からでは見えないようなことを感じていることが良くわかった。HBSでの人間関係は意識しなければ、広く浅くになりがちなので、こういった深めるグループに所属して、ずっと続くような人間関係を築けるのはとても良い。

また、Discussion Group、FIELD 3のメンバーとも定期的に会っている。これらのグループのメンバーとも卒業後に続く友人関係になりそうだ。

また、今学期は日本人とも飲む頻度が増え、週に1度は飲むようにしている。特に2年生は再来月で卒業であるし、HBSのみならず、HLS (Law School)、HKS (Kennedy School)、HPUH(Public Health)に通う人たちの中で5月でボストンを離れる人たちもいるので、ボストンで気軽に会える間に話したいと思っている。ボストンへ派遣されて学びに来ている人たちは各分野での第一線の人達であることが多く、そういった人たちと話をするのは楽しいし、またボストン留学繋がりというのは今後も仕事をしていく上でお互いに良いネットワークになるのではないかなとも思う。

一方で、HBSのセクションメイトと授業外で過ごす時間は今学期は少なくなってしまった。春学期になるとFIELD 2前後の旅行や春学期に行われるスキーやアイスランドトレック、春休みのキューバやマチュピチュトレックへの参加などで濃い人間関係ができて、そこからそれぞれ小さなグループができて、その中でイベントが行われているように思える。僕は後述するAsia Business ConferenceやNew Venture Competitionの参加で時間を使っていたことから、トレックや旅行を通じてグループに入る機会を逃してしまった。選択の結果とはいえ、セクションですごく仲の良い関係を築く機会を逃してしまったのは、やや残念なところではある。特に1年目の秋学期、春学期の始めは人間関係が構築される時期であるので、積極的に旅行や週末のイベントに一緒に参加するべきだ。

僕は4月、5月は学業とキャリアに主な時間を使う予定なので、セクションメイトとは週1回ディナーをする程度にして、夏休みや来学期にセクションメイトとの仲をもっと深めたいと思う。夏休み以降はアパートに住む予定なので、セクションメイトを家に招待したりして、仲を深めたいと思う。

MBAは全員がお互いを知らない状態から始まる、という人間関係を考える上ではかなり面白い実験だと思うが、その実験から一定のパターンが見えてきた。僕が見る限り、①全体イベントを通じて薄く広い繋がりが築かれていく、②旅行など宿泊を伴う短い期間のイベントや数回のスモールグループディナーで数人と仲が少し深まる、③スポーツの機会やプロジェクトを通じて一定期間お互いに共通の目的に向かって動き、仲がより深まる、④気軽に誘い合ったり、深い話を話すことでさらに仲が深まる、というようなプロセスで進むように見える。このプロセスを意識することで、より効果的に人間関係を広げて、深めていくことができるのではないかと思う。

キャリア

3月に応募したNew Venture Competitionは残念ながら予選落ちとなった。色々なものを同時並行しており、アイデアやビジネスプランの詰めが甘かったのが理由なので、悔しさがあまりないのが悔しい。特に「なぜこのチームなのか」、「どうやって実行するつもりか」という競争優位性と実行可能性の詰めが甘かった。悔しいと感じれるレベルまで、もっとタイムマネジメントを工夫して力を注ぐべきであった。ただし、何が求められているのかを知る上で良い勉強となった。来年こそは勝ち残りたい。

一方、良いニュースとしては、Rock Summer Fellowsという起業を目指す人または小さいベンチャーでインターンをする人向けのプログラムには受かることができた。こちらは夏の間、自分のアイデアに取り組む人を金銭的にサポートしてくれるというプログラム(週$600)。金銭だけではなく、メンタリングを受けることができたり、Rock Centerのネットワークに入ることができる。受かることができたのは今学期の一つの成果であり、4月から夏にかけてこの機会を活かして新しいビジネスの可能性を探り、プロトタイプ作成までいきたい。

課外活動

Asia Business Conferenceを2月28日(日)に運営した。こちらは人数は想定以上となり、RCのSki Tripと重なるなどかなり時期が悪かった条件では、成功の部類に入ったかと思う。一方で感じたのは、一部をやるのはやはり面白くないということ。せっかくやるのであれば、代表となり、運営を自分で回した方が充実感もあり、より楽しいと思う。

5月に行う予定のJapan Trek運営も順調に進んでいる。僕は主にテクノロジー面、集客、トレッカーとのコミュニケーションを担っている。Japan Trekは運営陣含めて120人と近年では最大の人数であり、Harvardの学生に日本を感じ、知ってもらう良い機会となるため、良い体験を提供したいと考えている。また、一緒に運営をしている日本人も優秀かつそれぞれに強みを持っており、それぞれから学ばせてもらっている。特に商社や金融出身者がゴリゴリと交渉して良い条件を引き出す姿はおおー、と思わせられることが多く、営業経験のあるなしがもたらす価値の大きさを実感している。

その他、個人的には運動をすること、英語力を強化すること、が課題なのだがこちらはうまく仕組み化できておらず、忙しくなると止まる、ということが続いている。一方で、HBS生の多くは運動を定期的に行っており、しっかりとした生活を送っている。特にアメリカ社会では定期的に運動をすることがエグゼクティブの当たり前となっているので、その習慣を自分も身につけたい。

Speaker Series – Michael Porter

Michael Porterの特別講演があったので参加をしてきた。内容は”The New Competitive Advantage: Creating Shared Value”という、社会の問題(教育、ヘルスケア、水、職場の労働環境など)に対してビジネスの手法でアプローチしよう、というもの。要約すると、「フィランソロフィー、CSRと企業が社会問題に取り組んできたけれど、それは企業の評判のリスクを減らしたり、高めたりする程度の効果で、本質的に社会問題をスケーラブルに解決することまでは至っていない。満たされていない社会のニーズにビジネスの手法でアプローチし、利益を上げながら、拡大し、そのニーズを解決していくべきだ」というもの。その切り口として、Value ChainやIndustrial Clusterといった彼の理論を用いている。

その通りだなと思うと同時に、Michael Porterは研究者として生き残るのがうまいなとも思う。同じ理論を異なり、かつ注目されている分野に当てはめることで、彼の過去の業績を再度表舞台に乗せている。すぐれた戦略家は自身のキャリアについても戦略的ということだろうか。

Spring Break – Canada/Boston

先週一週間はSpring Break。セクションメイトの多くはキューバ、マチュピチュ、インドなど様々な国に9日間フルに旅行していたようで、今週は「Spring Breakをどう過ごした?」が定番の話題だ。僕はというと、妻がアメリカに来る予定だったので、カナダで落ち合って数日過ごし、残りはボストンで過ごすことにした。

カナダはトロントとナイアガラを訪れた。トロントはミニニューヨークという印象。チャイナタウン、リトルイタリーなど各移民が移民街を形成しており、街の中に違う国がいくつもあるような印象だ。また、道も碁盤のように縦横に走っているので、どこにいるのかがわかりやすい。地下鉄もそこそこ便利かつシンプルなので、観光する分には困らなかった。食事についてはセクションメイトが言うには、「カナダにユニークな料理はほとんどないけど、Maple Syrupがある」、らしくカナダ料理らしいカナダ料理は確かに味わえなかった。ただし、移民街で食べた中華や韓国料理が美味しかったので、個人的には満足。また、Maple Syrupはお土産に最適だった。観光についてはトロントではすごく感動するような体験はなかったが、CNタワーの展望台のガラス床から見た地面の遠さが楽しかった。

ナイアガラは定番の滝に加え、ナイアガラ観光コンプレックスで見たシアターが面白かった。シアターは映画館と4D体験ができる別室の2本立てで、別室では雨合羽を着て、水をかぶるような体験をした。これはなかなか新鮮な体験で、おすすめ。アメリカ側に回りはしなかったが、カナダ側からの方が迫力はありそうだった。

ボストンでは妻と一緒に日本人のRC (1年生)、EC (2年生)とそのパートナー達、そしてセクションメイトとご飯やお茶をした。妻はゲストとして授業にも参加したのだが、恒例のスタンディングオベーションでの出迎えや僕がコメントした時の拍手喝采など、セクションの暖かい雰囲気に驚いたと同時に、HBSでの滞在を楽しんだようだ。HBSでの生活の一端を楽しんでもらえたのは、嬉しい。

Spring Breakが終わって気付けば、もう春学期も後半戦。早いもので、MBAの1年目も3/4が終了だ。春学期の前半戦は慣れのため、挑戦の度合いが少なかったので、後半戦はまた気合いを入れ直して自分をストレッチしていきたい。

戦略シミュレーション

今日は戦略シミュレーションの日だった。5人のチーム5組での対抗で、一番利益を多く稼いだチームが勝ち、というシミュレーション。僕のチームは、僕はかなり事前に準備をしていて楽しみにしていたのだが、様々な要因が重なって圧倒的な最下位で、破産するという、ある意味で貴重な経験をした。以下が敗因。

  • チームメイトをBuy-inできなかった。チームメイトのほとんどが事前のシミュレーションの課題をほとんどやっておらず、仕組みを理解していなく、どうすればゲームに勝てるのかの話なのに、現実のマーケティングではこうなるはず、という話でオプションを選ぼうとするので、ゲームの戦略として正しくない選択肢を議論する時間が長かった (-> チームの事前の準備の度合いで他チームと比べて負けていた)
  • その一方で、なぜゲーム上でそうするのかの理由を聞いてもきちんとしたロジックがない。そのロジックがない二人を僕が説得仕切れず、チームでコンセンサスを作って、勝つ戦略への意思決定ができなかった。というか、5人中の3人がロジックのないロジックに賛成した時点で、僕がもう諦めて、どうせシミュレーションだから失敗から学べば良いと、それでいいよ、とした (-> 諦めた)
  • 結果的に最初の2ラウンドでぼろ負けして、1チームが非常に上手くやったため、先手アドバンテージの大きい仕組みのこのシミューレーションではもう勝ち目がなくなった。あとの5ラウンドは消化試合で、もうどうしようにもならず、そのタイミングでロジックのない戦略判断をした2人が諦めて、ケースを読み始めるなどし始めたため、チームとして一体感を保てなくなった。僕もあまりの対応に不機嫌になり、その二人を巻き込もうとしなくなった (-> ポジティブな空気を保とうとするリーダーシップが足りなかった)

結果として、僕は結構楽しみにしていたゲームだったのだが、戦略について学ぶというよりはチームワークについて学ぶシミュレーションとなった。次にもし同じことをしたならば、①チームローンチをきちんと行う(シミュレーションの間は集中する、最低限の予習はしてくる、などのNormを決める)、②質問をして、相手が自分で気づくようにする、③どんな状況でもポジティブに、周りを巻き込みリードする、④戦略を実行するときには選ぶものと捨てるものを極端にする、ことを意識するようにしようと思う。

Asia Business Conference at HBS

2月28日(日)はAsia Business Conferenceであり、運営側として参加した。1週間前まではチケットの売れ行きが予想を下回っていてやや焦ったが、アメリカもしくは学生の特徴なのか、最後の1週間で売り上げが急激に伸び、売れたチケット数は目標以上となった。CTO (Chief Technology Officer)としては嬉しいことだ。キーノートスピーカーやパネリストからはアジアについて、興味深いインサイトが得られた。

  • 中国のGoldmanのVice ChairmanであるJiming Haからは、マクロ経済から見た中国の今について学べた。中国はGDPに占める投資の割合が高く、投資が自国内の貯蓄よりも大きく上回っている。現在は海外投資家が中国のリスクを意識して資金を引き揚げており、為替は弱くなる方向に動いている。現状は政府が保有しているドルを売って為替を支えているが、本質的な解決策にはなっていない。どこかの段階で資本の移動の規制を行うか、為替をfloatingに切り替えるのではないか。高齢化の加速など、リスク要因が多く、中国へのexposureは減らしたほうが良い、とのこと。
  • YTL Communications CEOであるWing Leeからは今後の通信技術の発展について学べた。5Gの規格が策定されるのが2019年で商業化は2020年目処とのこと。東京オリンピックの時には、5Gを使えるようになっている可能性が高い。通信の高速化、低コスト化もあるが、本命はIoT (Internet of Things)。バッテリーが進化をすれば、あらゆるものが繋がる世界が見えてくる。Smart Home、Smart Cityなど、コンセプトとしては既にあるものだが、5Gがそのコンセプトを普及させるきっかけになるかもしれない。
  • ヘルスケアのパネルからも、面白い示唆が得られた。ヘルスケアのシステムは国や文化により異なり、ローカライズが必要(例えば中国ではヘルスケアシステムに対する信頼性が低く、信頼性に対するニーズが強い)。ローカライズの例で言うと、PillPackというビジネスが急速に伸びている。これはオンラインでの処方箋やRefillができるアメリカでできるモデルだが、日本では規制の問題でできないであろう。また、ヘルスケアのビジネスで医者を巻き込むものは、特に中高年の医者が変化を嫌うのでなかなか浸透の速度が遅い、というのも面白いポイントだった。

また、ConferenceではYTL CommunicationsのWing Leeさん、Globis Capitalの高宮さんやAlpacaの横川さんともゆっくり話すことができた。それぞれの分野で活躍している人と知り合え、刺激をもらえたのが良かった。

全体的には満足だったのだが、運営側としては幾つかの点でもう少しやれたな、と思うことがある。

  • CTOとしてだが、結局ウェブサイトのモバイル対応をしなかった。モバイルの画面のデザインするところからやり直さなければいけなく、単純にそこまで時間を割けなかったからなのだが、その点はずっと引っかかっていた
  • 朝食、昼食を出すことを考慮せず(値付け時点でオペレーションサイドと連携が取れていなかった)、チケットの値付けを安くしすぎたのと、Early Birdの期間を長くしすぎた。Early Bird Student $20、Regular Student $40、Professional Early Bird $40、Professional Regular $60で出したが、Early birdは一ヶ月前までで、StudentのEarly Birdは$30でよかったと思う。また、discount codeの対象でないのに何らかの形でコードを知って使う人たちへの対策を取り切れなかった
  • Facebookではイベントとして作るべきところを、最初に他の人が団体ページとして作っていたために、結局団体ページとイベントページの二つを運用することになった。これは混乱を生むので、イベントページに早い段階で一本化するべきだった
  • もっと動いてもよかった。他の学校からのインプットや協力が必要なときに、基本的にはHBSのCo-chairに依頼する形で進めた。これは指揮命令系統としては正しかったと思うが、”get things done”の精神から言えば、もっと積極的に入っていってよかったかもしれない
  • 時期が悪かった、のはくじ運だから仕方がないが、特にConferenceがあった3連休は1年生のほとんどがスキーや旅行に行っている時期だったので、RCが殆ど参加していなかった。これだけで数十人から数百人のインパクトが出るので、痛い

以上が簡単な反省だが、こういったカンファレンスの運営に関わったのは良い経験となった。

カンファレンスは学びが大きい。来年もTech、Entrepreneurship、Healthcare、Asiaの4つのカンファレンスには参加しようかと思う。

MBA卒業後の選択肢

今の時期のビジネススクールは、夏の過ごし方が定番の話題だ。すでに夏のインターンシップを獲得した人は落ち着いており、まだの人は獲得しようと若干の緊張感が漂っている。僕はというと夏は1ヶ月間は東京で、1ヶ月間はニューヨークで過ごすことが決まりそうで、まだ最後の1ヶ月間の過ごし方は決まっていないものの、やや落ち着いてきている。

最近は卒業後の進路を色々と考えている。アメリカに残って起業、アメリカで就職、日本へ帰って起業、日本で就職の4つがメインシナリオ。他の国での起業や就職も選択肢としてはあるが、他の国ではアメリカや日本であればある地域の知識や人的ネットワークが使いにくいので、強みを活かすという点ではやはりアメリカか日本が良いのだろうと考えている。

アメリカで起業をする主なメリットは、市場が大きく、最先端のビジネスが始まる場所でもあり、世界でのビジネスの展開を考えたときには最適な場所である点。またカルチャーとしてもこちらの方が自分はのびのびできるのと、異文化の中での挑戦ということで成長の余地が大きい。一方のデメリットはビザの問題。OPTという制度で卒業後に数ヶ月は残る事ができたとしても、E-1ビザという起業家ビザを取るためには$1m以上が必要。グリーンカードがない限りはその後もビザの問題が常につきまとう。加えて、アメリカ人との競争になるので、強みが活かしにくいし、チームを集めるのは大変な環境。言葉や文化を含めて様々なチャレンジを抱えながらの挑戦となる。

アメリカで就職するメリットはH1-Bが取れればビザの面をクリア出来ることと、自分がアメリカでやっていくだけの能力とネットワークを磨けること。数年間働いて、アメリカでグリーンカードを取得するというオプションもある。デメリットはグリーンカード取得までは時間がかかることと自分でビジネスを始めるという選択肢がやや遠のくこと。

日本で起業をするメリットは、日本に関する知識、日米のネットワークをフルに活かせること。言葉や文化の壁がない分、チームを組むのもアメリカよりはやりやすいだろう。一方で、一度日本に帰ると、アメリカや海外へまた出るのが難しくなるというのがデメリット。また、市場も縮小傾向にあるというのも懸念材料。

日本での就職についてのメリットは日本に関する知識と日米のネットワークを活かせること。一方で、他の選択肢に比べるとチャレンジの度合いやワクワク感で劣る。

今日、ニューヨークに住む中国人の実業家と話した時には、こんなアドバイスをもらった。「君は絶対にアメリカに残るべきだ。そのためにも、使えるものは全て使うべきだ。日本、アメリカにあるネットワーク、これまでに身につけてきた知識やしてきた経験、日本人であること、は全て資産であり、全てを最大限に使ってニッチを探せ。アメリカ人とまともに戦っても勝てない。まず小さいところで成功しろ。そうすれば、次に繋がる」

今回ビジネスプランコンテストに出そうと思っているアイデアをぶつけたときには、筋は悪くなさそうだというフィードバックをもらった。今学期と夏は、自分の可能性を見極める良い機会。挑戦を続けたい。

4連休を終えて

先週は金曜に授業がなく、月曜も祝日だったために、久方ぶりの4連休。とはいえ時間が経つのは早いもので、週末もあっという間に終わってしまった。

4連休はようやくまとまった時間が取れたので、友人と会ったりカンファレンスの準備を進めたりすることに加え、ケースの予習を15時間、Tech::CampでSwiftの勉強を15時間使った。Tech::Campは1月から始まり、2か月コースで3月6日までなのだが、授業や生活に追われてあまりできておらず、ようやく半分まできたところ。カリキュラムを終わらせるだけでもあと50時間はかかりそうだ。応用のオリジナルアプリ開発(数十時間必要)まで行いたいため、すでに延長することが見えているが、あと20日の間に週末を利用してカリキュラムの範囲はできるだけ頑張りたい。

Tech::Campへの時間の投資もそうだが、限られた時間というリソースをどこまで何に使うべきかは悩みどころ。僕自身がプロダクトマネジメントのバックグラウンドなので、ファイナンスやアカウンティングなど他のビジネス分野の学習に時間を注いでビジネスパーソンとしての基礎体力を磨いたほうが良いという考えもあるし、一方でそれでは差別化できないので、エンジニアリング力を上げることでよりプロダクトマネジメントの専門性を高めた方が良いとも思う。

これまでに少しでもやってきたのは、SQLを用いたデータベース操作、エクセルを用いた統計分析、Html/Cssでのウェブサイト構築、Ruby/Railsでの簡易アプリ作成。今はSwiftを使ってアプリを作ろうとしている。

これらの知識はまだまだ浅いので深めなければならないことに加え、アプリを作るためには、①サーバー側の知識(Amazon Web Server設定等)、②データベース構築・運用、③コーディング(Web (Html, css, Ruby/Rails) or iOS(swift) )、は少なくとも学ぶ必要がある。加えて、夏の仕事の関係で、データ分析についてももう少し深める必要がある(統計分析、R)。

今は比較的時間には恵まれた環境にありながらも、授業にかけなければならない時間が多い上、友人関係、イベント運営、ビジネスコンテスト、エンジニアリング力の強化、と優先順位をつけないと回らない。次は春休みが3月13日から一週間あるので、それまでの一ヶ月間は嵐のように過ぎ去るのだろうと思う。

歴史、教育に関する友人からの学び

HBSでは友人からの学びが多い、というのは何回か書いているトピックだが、今週も友人から新しい事を学んだ週であった。特にBGIE (Business, Government, International Economy)が始まった今学期は、経済、政治、文化、歴史、教育について話すことも自然となり、それぞれの国の学生との会話を楽しんでいる。

例えば、ドイツからの留学生の友人とは歴史について話した。僕が、「ドイツでは第二次世界大戦、特にナチス政権についてどう教えているのか。ナチス政権が生まれる土壌となったのは第一次世界大戦後のイギリス、フランスからの多額の損害賠償の重荷と世界恐慌の影響から経済が悪化し、社会的な不安が高まったことが背景にあると思っている。ナチスが生まれる土壌作りとしてイギリス、フランスにも戦争を引き起こした原因があるというように学校では教えているのか?」と聞くと、

「その分析は正しく、実際に第一次世界大戦の反省から第二次世界大戦後にはイギリスもフランスも損害賠償をドイツに課してはいない。ただ、教育に関してはドイツではナチスについては基本的には100%自国が悪かったと教えている。おそらく責任転嫁の余地を残さないため」

と返ってくる。その他にも第二次世界大戦後の戦後処理(ドイツが4分割された)、その後の統合の過程、1989年以降の経済的、政治的な統合(通貨統合、西から東ドイツへの投資、現在にも続く経済格差)、メルケル首相についての評価、などを話した。どの話も面白かったのだが、メルケル首相は「女性であること、東ドイツ出身であること」を全く利用していない、というのが意外で面白かった。アメリカではクリントンが女性であること、ビルクリントンの旦那であることをうまく利用して選挙を戦っているのとは対照的だ。

また、同じく別のアメリカ人のクラスメイトとは家庭での教育について話した。話して印象的だったのは、その育てられ方。

  • 親族も含めて役員のため、小さい頃から家の中が取締役会のようだった
  • 今日の予定は、と聞くと1日のスケジュールからどうしてそれが必要なのかを説明してくれて、何をしているのかの透明性がとてもあった
  • 質問や意見をするとそれにきちんと答えてくれ、小さい頃から一人の大人として扱ってくれた
  • 継がせようという姿勢はなく、好きに何でもやらせてもらえた
  • 母親を通じて情報を得て、私にとって大事なイベントがある日には父親が必ず一緒にいてくれた

こういった小さい頃から経営者としての視点を育ませるような育て方は非常に効果的だなと感じた。アメリカでは良い家系の子女が良い教育を受けて、家族のネットワークを使ってさらに大きなことを成し遂げていく、という方程式が一定レベル以上の層には広まっているように見える。HBSには一定数以上財閥や大企業社長の息子や娘がいるため、在学中に彼ら・彼女らがどんな教育を受けてきたのか、知りたいところだ。

議論、議論、議論

ハーバードには様々な分野からその国や分野を代表する人が集まっており、そういう人たちと議論したり、話をしたりすることほど楽しいことはない。昨日は、①日本人元経営者の方と日本での経営環境(規制、投資家、経営手法など)について議論し、②官僚の人と経済政策について議論し、③同じ寮の台湾人と歴史や文化について話をした。夕方18時半から始まり、気がついたら午前3時。こういう会話は、楽しすぎて時間を忘れる。

僕が感じたことを、簡単にまとめると

  • どのVCと組むかが重要。利益を早めに出させようとするVCと組むと、長期的な視点で見れなくなる。長期的な視点をもち、スケールするのに十分なネットワークも持ったVCと組めた方が良い
  • CFOは最初はCEOと兼任しても良いが、CEOはビジョンや人を、CFOは現実とキャッシュを見る必要があるため、両方を同時にやるのは難しい。資金調達にはかなり時間がかかるので、早めに分けた方が良い
  • インターネットの分野はグローバルに展開しないと、規制された産業でない限り最終的にはグローバルプレイヤーに押しつぶされる(e.g. Facebook、Amazon)。日本だけでやってある程度まで拡大しても、グローバルプレーヤーが豊富な資金力で一気に投資をしてくると、勝てない
  • 日本は現場は優秀だが、意思決定のプロセスに問題がある。特に政治ではよく分からない力学が働いて、合理的ではない手段が選択される
  • 日本の衰退、経済危機は所与のものとして動いた方が良い。今は日銀が国債を引き受けているので、理論的にはお金を刷り続けることはできるが、どこかのタイミングで為替が暴落し、輸入価格が高騰し(特にエネルギー)、インフレーションによって円の価値が大きく落ちる。その頃には高度成長期のような人口ボーナスはなく、むしろ人口オーナスの状態。かつ、中国や韓国も強力な競争相手であるので、高度成長期のように輸出メインで経済を大きく成長させるのも難しい。
  • ただし、経済危機はここ3年ではなく、10年などのスパンでリスクが高くなると予想。所得収支が大きくプラスであること、米国債を大量に保有していること、からいきなり対外債務を支払えなくなる事態にはならないだろう。
  • 台湾の視点からすると、日本への視点はmixed。占領時に乱暴された人を親族に持つ人にとっては嫌いな国であるし、一方、教育、衛生、交通など社会のインフラを整備してくれた国であるという認識もある。日本のポップカルチャーも浸透しており、全体的に見れば若者からの好感度は高い
  • 歴史の話は東アジアで国を超えて、本当に仲良くなろうと思うと避けては通れない。それは中国と台湾でも同じ。お互いに感情的にならないという前提で話をして、お互いがお互いの視点を理解することで、本当の意味で信頼できる仲になれる。
  • 歴史の話を中韓台日で話す機会は多くない。仲がかなり深まらない限りそれを避けようとするため、あえてそこまで踏み込むことで、一段違う信頼関係を築くことができる。

ビジネス、政策、文化、とこういう話ができるHBSという場所が、僕はとても好きだ。HBS生という立場だからこそ会える人がいるので、この機会に様々な人と出会い、自分の幅を広げたい。

HBS1年生春学期

新学期が始まって2週間が経過した。1年目の秋学期を乗り切ったので今学期は楽になるかと思いきや、HBSはそんなに甘くないようだ。授業、友人関係、課外活動に時間を使っていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

授業

今学期の科目はBGIE (Business, Government, and International Economy)、LCA (Leadership and Corporate Accountability)、FIN2 (Finance 2)、STRAT (Strategy)、TEM (The Entrepreneurial Manager)、FIELD 3の6科目。特にBGIE、LCA、FIN2は秋学期の科目よりも一段階専門的になった印象で、ケースの量も予習の量も増えている。アカデミックに割く割合を少し減らそうと思っていたところでプレッシャーをかけてくるので、やはりHBSは学生のことをよくわかっているなと思う。

またFIELD 3はチームで起業のシミュレーションをするという授業で、こちらもそれなりに時間が取られる。うちのチームは基本的には学校側で用意してくれている時間をミーティングに使い、それ以外は作業を分担して行う予定だが、こちらもそれなりに時間を使うことになりそうだ。

友人関係

今学期は友人との仲を深める学期にしたいと思っている。先週は金曜に日本人の他のハーバード生と集まり、日曜に友人と4人でCatanというゲームを集まってやり、今週の木曜夜に台湾とアメリカ人の友人と火鍋を食べに行った。少人数で集まってご飯を食べたりやゲームをするのは楽しく、お互いを理解できるため、週1回はこういう機会を自分で作っていきたいと思う。

また、第一回目のEVOLVE(少人数のグループで様々な人生のトピックについて話す会)があって、それぞれがこれまでの人生について話した。一学期の間一緒に過ごしていたセクションメイトのことを、全然分かっていなかったのだなと実感するとともに、彼ら、彼女らがこれまで成し遂げてきたことに驚かされた。普段普通に話している同級生だが、彼ら、彼女らはHBSが選ぶような魅力を持った人であり、もっともっと知って、仲良くなりたいと思った。HBSにおいては、Section、Discussion Group、Club (ABC/AABA)、Competition、FIELD 2、FIELD 3、EVOLVE、Harvard同期の会などは仲良くなる良い機会だと思う。これらの機会を利用して、卒業後もずっと定期的に連絡を取り合うような友人を何人も作れるといいなと思う。

課外活動・キャリア

クラブの活動のピークが来ていることもあり、先週、今週は特に忙しかった。Asia Business Conference(ABC)は2月28日(日)の予定で、そちらに向けて準備を進めている。

また、Japan Trekも準備を進め、1日の月曜日に申し込みを始めた。こちらは驚くべきスピードで予約が来て、目標人数に1日で達して幸先の良いスタートを切ることができた。10セクション全員にきちんとプロモーションをした上、それぞれのセクションに日本人がいたことが、これだけの数が集まった理由だろう。実際に準備が本格化していくのは2月から3月にかけてだと思うので、こちらも参加者に満足してもらうようなものにしたい。

3日にはNew Venture CompetitionのEarly Registrationを済ませた。授業、友人関係、ABCにJapan Trekにボーゲル塾がある中でCompetition応募用紙を書いていたので、結構時間がなかった。最終提出物の締め切りは3月なので、それに向けてプランを詰めていきたい。

やりたいこと、やるべきことは多いが、日々の生活はとても充実している。せっかくのHBS生活。悔いのないように精一杯やりたい。