2016年の目標

2015年はHBSの合格、アメリカへの留学と人生の大きな転換点となる年だった。2016年もすでに始まってしまったけれど、2015年を振り返って、2016年の目標を立ててみたい。

2015年の振り返り

2015年は2014年にしたことの結果が出た年となった。2014年はMBAの受験のためにTOEFL、GMAT、エッセイにかなりの時間を使ったが、結果として2015年に入ってHBSから合格をもらえ、そして奨学金ももらえることとなった。留学前にはMBA同期や先輩とのイベントがあり、新たな出会いがたくさんあった。留学してからは授業を通じてビジネスをする際に考えるべき視点を増やすことができ、友人や教授との交流を通してネットワーキングが大きく広がった。また、ずっと学びたいと思っていたプログラミングについてもTECH::CAMPで1ヶ月の間学ぶ時間が取れ、理解を深めることができた。

上期には目標としていた「MBAに合格し、かつ奨学金を獲得すること」を達成でき、下期には「友人のネットワークを広げること」もある程度達成することができた。まだできるところはあったと思うが、総合的に見て新たな挑戦をし、自分の幅を広げることができた、良い年であったと思う。

2016年の目標

引き続き、授業を通じて分析力、判断力を上げ、友人との交流を通じてネットワークを広げることに注力したい。それに加えて、今年はチームを組んで、ビジネスを立ち上げるところまで行いたいと思う。3月に応募期限があるNew Venture Competitionに応募して感触を掴み、秋には他のコンテストに応募して何らかの賞を取る、というのが目標だ。

また、妻も夏以降に合流する予定なので、家族ぐるみで付き合えるような友人をより増やせるといいと思う。

卒業後の目標

僕の20代も昨年で終わり、30代という新しい10年が始まっている。20代も挑戦をしていたが、自分にブレーキをかけて足踏みをしていた時期が長かったので、30代は毎年新しい挑戦をする10年にしたいと思っている。

具体的には、志を共にするような仲間と一緒に会社を経営し、テクノロジーを用いて、世界中の人々がより健康で生きられるような社会の実現に貢献するサービスを提供することに挑戦したいと思う。病気は本人だけでなく、家族、友人も含めてつらい思いをするというのは、これまでの人生で実感してきた。人々がそういった苦しみを感じる前に予防する、既に持病を抱えている人が病気を治療・コントロールするのを助ける、ということをしたい。オフィスにスクリーンを配置して、今日は何人の人が僕らのサービスで健康になった、ということを見えるようにして、それを日々仲間たちと喜び合えるような職場を作ることができれば、最高だ。

そのためにも、2016年も日々、挑戦を続けていきたい。

MBA受験 – キャンパスビジット(大学訪問)をしよう

受験する予定の大学を訪れる、いわゆる大学訪問については、応募前に行なった方が良いのかどうかを迷う方もいらっしゃるかと思います。

「志望度が高い学校はした方が良い、訪れることがほぼ必須になる大学については特に」というのが僕のアドバイスです。

大学訪問を行うメリット、デメリット、どの大学で影響がありそうなのか、どのように在校生にコンタクトをとれば良いか、どのような準備をするべきか、について書きます。

大学を訪れることで得られるメリット

  • 自分が暮らすことになる街がどのような環境かを知ることができる
  • 大学、学生の雰囲気が自分にあっているかどうかを感じることができる
  • 訪問した痕跡を残すことで、大学に志望度の高さを伝えることができる

特に3点目のキャンパス訪問については訪問が合否に大きく影響する大学があるために、注意が必要です。

大学を訪れることによるデメリット

旅費と旅行のための時間が主なコストとなります。特にアメリカの西海岸、東海岸、ヨーロッパの大学、と幅広く受ける場合は、移動だけでも数日が必要になるので注意が必要です。

大学訪問が合否に影響する可能性の高い大学

応募書類のフォーマット、在校生やアドミッションからの情報により、大学訪問の影響の度合いを推測することができます。僕が受けた大学については以下です(2015年時点での情報です)。

  • HBS (Harvard Business School): 訪問は合否には関係ないと名言されています。応募用紙にも訪問の有無を書く欄もありません。ただ、ケースの授業形式は特殊なので自分に合うかは授業見学はして見ておいた方が良いです。
  • Stanford: おそらくない。訪問の有無を書く欄なし。
  • Wharton: おそらくない。訪問の有無を書く欄なし。ただ、暮らすにあたってはフィラデルフィアでの生活がどのようなものなのかは知っておいた方が良い、というのが同級生からのアドバイスです。
  • Columbia: 訪問した方が良いです。応募用紙でもどのadmissionと会ったか書く欄があるため、admissionの人の名前も覚えること。また、ニューヨーク関連についてのエッセイの質問もあることがあるため、材料を増やすためにも訪問は役立ちます。
  • MIT: 訪問した方が良い。訪問の有無を書く欄があることに加え、どのMITのイベントに参加したか、誰を知っているか、などを書く欄がありました。本気で受かりたいのであれば、訪問時にネットワーキングを行い、MITと繋がりを作った方が良い。
  • LBS: 訪問した方が良い。LBS関係者で会った人を書く欄があることに加え、欧州とアメリカのビジネススクールはかなり雰囲気が異なるため、どちらが自分と合うかを見極める上でも訪問が大事。比較的多くのOB/OG、在校生と会って、ネットワーキングした方が良い。

在校生へアプローチしよう

在校生についてですが、①エッセイカウンセラーに頼む、②公式ブログにメールする、③友人の友人のネットワークを使う、ことで日本人とはアプローチできることが多いと思いますので、学校の正規プログラムに加えて在校生とコンタクトを取ると、学校の雰囲気をつかむのに良いかと思います。

キャンパスビジットの準備と実践

また、キャンパスビジットを行う祭ですが、下記のような準備と実践を行うことが個人的なアドバイスです。

  • 仮説を持って行く。質問例:「私のやりたいことがAで、この大学のMBAプログラムのBがCというようにAに繋がるのではないかと思うのですが、いかがですか?」
  • 具体例を聞く。「DというプログラムがEなのではないかと思い、とても興味があるのですが、具体的にはどのような体験でしたか?」
  • あまり多くの人と同じ時間で一度に会わないようにする。たまに受験生1人に対して6人が同じ時間に集まるなどを聞きますが、そういう場合は一人に突っ込んで質問することが難しくなりますし、在校生の間でもお互いを見合ってしまうことがあります。可能であれば1対1か1対2くらいで違う時間帯に会ってもらった方が効果的です。
  • ホームページで調べられることは調べておく。既に書いてあることを聞いても時間がもったいないです。「1年目の必修授業は何がありますか?」の質問への答えばどの大学でもHPに書いてあります。
  • 在校生ブログを確認しておく。殆どのMBAプログラムには日本人がおり、ブログを個人的、あるいは学校単位で書いている場合が多いです。生活感がわかるため、一通り目を通しておいた方が良いです
  • テストについて聞かない。TOEFLやGMATの点の取り方は参考書やブログを始めとした様々な媒体で書いてあります。在校生に聞いても、ここまで来てテストを聞くのか、という印象を与えるため、やめた方が良いです。

上記のような点を押さえると、キャンパスビジットをした時に得られるものが多くなり、よりエッセイを書く際にも役立つと思います。

次のステップ

エッセイについては「MBA受験 – エッセイ(Essay)の書き方とテクニック」を、全体像については「MBA – 受験から卒業までの流れ」をご覧ください。

モロッコ旅行(観光、グルメ、文化)

モロッコは僕にとって、初めてのアフリカ大陸の国であり、かつ20ヶ国目です。その中でも自然の雄大さと食事の美味しさでは上位に入る国だと感じました。

体験することの価値

特に沙漠の体験は想像以上だった。サハラ沙漠をラクダで移動し、沙漠の砂丘の上に敷物を敷いて朝日が出るのを待ち、朝日が昇るのを見る。言葉で書くと簡単だけど、沙漠を踏みしめた時のやわらかな感触、ラクダの動きに合わせてバランスを保つ行動、満天の星空を眺めながら暗闇を移動する時に感じる興奮、朝日が出るまでの寒さと朝日が出た時の暖かさ、朝日により空がグラデーションのようになる美しさ、朝日が沙漠を照らした時に、沙漠が赤かったことを知った時の驚き、といった感覚や感情の動きは、実際に行ってみないとわからないものだ。

トリップアドバイザーなどのインターネットでいろいろなものを見て知った気にはなるけれど、やはり知るのと体験するのでは次元の違う情報量だとあらためて感じた。サハラ沙漠での宿泊は全身で自然の雄大さを感じることができるためオススメだ。

素材を活かしたモロッコのグルメ

毎日いわゆるモロッコ料理を食べていたが、これがまた素材の味をうまく活かしていて美味しい。前菜としてのハリヤというスープはお腹に優しい味で、トマトやキュウリを使ったモロッコサラダは健康的。メインのタジンという蒸した鍋料理は肉または野菜料理で、スパイスの味と素材の旨味がギュッと詰まっている。小魚の素揚げのような料理があるなど、全体的モロッコ料理は日本人の口に合うのではないかと思う。食後にはオレンジなどの季節のフルーツが出てきて、これがまたみずみずしい。パスティラ(Pastilla)という焼き餅の中に具材が入ったものもお菓子のような感覚で美味しい。僕の妻はタジンとオレンジジュースが気に入ったようで、オレンジジュースを日に何杯も飲んでいた。

モロッコは小規模農家やレストランが多いということ、流通があまり発達していないということで、必然的に地産地消がされるようになっているとガイドの人より聞いた。地元で採れた魚や野菜を素材の味を活かして調理する、というのは昔は当たり前にあったのだろうが、輸入食材やセントラルキッチンで調理された素材を使うのが当たり前のレストランが多いアメリカや日本などの先進国では都市部でそういうレストランを見つけるのは難しい。どちらが健康に良いか、と問われればおそらく前者の方法だろう。様々な点で先進国の方が効率的な仕組みになっているとは思うが、食に関してはどちらが進むべ道なのだろう、とあり方を考えさせられた。

チップのカルチャーについて

フランスの影響下にあったこともあり、モロッコではチップのカルチャーが浸透している。相場についてはいろいろな議論があると思うが、僕らは100 dhs(約$10、または約1,200円)を各都市で3時間程度ガイドしてくれた人に渡し、70 dhsを2時間程度ガイドしてくれた人に渡した。また、7日間ドライブをしてくれたドライバーには計$140 (1日$20)を渡した。これはツアー会社から「だいたいこれくらいをチップとして渡してほしい」、という額であり、現地でモロッコ人と結婚して生活している日本人の方からすると上限レベルの額だ。満足するサービスを提供してくれたので、相場に則った。

チップという慣習は、僕のように日本で育った人からすると、契約外で追加に生じる費用のように感じて、最初は嫌な感じがすると思う。例えば、アメリカの東海岸、ボストンやニューヨークのレストランでは17-8%くらいが標準で、15%くらいが下限、20%が良いサービス、くらいでhbsの友人はチップをつけていると聞く。つまり、メニューに描かれている額にチップが加わり、それに8%弱の税金が加わるので、実際の請求書の額はメニューの額の25%増くらいになる。25%は結構ばかにできない額だ。

アメリカでの生活と今回のモロッコでの体験を通じて、僕はチップは慣習ではなく、政府を介していない税金のようなものだと感じた。チップという制度にもメリットがある。雇用者にとっては被雇用者へ支払う賃金を下げることの正当化と固定費を変動費化するというメリットがある。被雇用者はより良いサービスを提供することでより稼げるチャンスとなり、かつチップは領収書に残らないお金なので、被雇用者にとっても便益がある。チップを払う側は、メニューの額は必ず支払わなければならないが、チップについては「いくら払うかは自分が決める」という決断の自由を持てる。ただし、実質的にはチップは慣習で決まった水準はあるため、額を多少下げることは可能でも「払わない」ことを続ける選択の余地はあまり残されていない(レストランの場合は従業員とのトラブルに遭うリスクがある)。このように、個人の自由と責任を重視するならば、チップという制度にはメリットがある(ただし、チップの額を決める、誰に帰属するのかを把握する、分配する、課税する、という点でより労力が必要となり、社会的にはコスト高)

支払いがほぼ義務付けられていること、そのお金が最低賃金以下で働いている人にいくことを考えると、その意味で、役割的には所得移転の役割を持った税金に近い。

チップは気持ちの分だけ支払えば良い、と言われるが、これは言葉通りの意味ではなく、チップがある社会の暗黙の了解は「チップは気持ちの分だけ『上乗せして』支払えば良い」というのが実態なのではないかと思う。郷に入れば、郷に従えだ。

今回の旅は妻と二人で回ったのだが、リラックスでき、想像以上に楽しいものだった。頭のモードがまだ旅になっているので、月曜日からのFIELD 2のコンサルティングプロジェクトでは、ギアを切り替えていきたい。

スペイン旅行(バルセロナ、アルヘシラス)

ハネムーンという名の旅行に行ってきた。FIELD2というコンサルティングプロジェクトが4日(月)より始まるため、その前にスペインのバルセロナ、アルヘシラスで計3泊し、ジブラルタル海峡をフェリーで越えて、モロッコのタンジェMED、シェフシャウエン、フェズ、メルガザード(サハラ沙漠)、アインベンハッドゥ(世界遺産)、マラケシュ、を6泊7日で回るというなかなか忙しいプラン。どの場所も期待以上でとても楽しい旅になった。

バルセロナ (Barcelona)

ガウディの作品であるサグラダファミリアやグエル公園を見学し、夜はバルでピンチョスやパエリアを食べて飲むという幸せな生活。以下の点で、バルセロナは観光都市として非常に優れていると感じた。

キラーコンテンツであるガウディの遺産:

世界史を学んだ者ならば誰もが知るガウディの作品。街にガウディの作品が調和しており、かつ徒歩でもある程度の数を見て回ることができるほど集中している。絶対的なキラーコンテンツを持っているという点で強い。

本場のスペイン料理:

世界中にスペイン料理の店があるように、スペインの食事もワインも美味しい。加えておつまみをつまみながらお酒を飲み、友人と話して、次のバルに移る、というバル巡りはそれだけで一つのアトラクションだ。しかも今はユーロがドルや円に対して相対的に弱くなっているため、食事が安く感じる。また、コーヒーも美味しい。安くて美味しい本場のスペイン料理はそれだけで魅力的だ。

人の温かさ・陽気さ:

土地柄なのか、店員の人も道行く人もみんな元気だ。海岸沿いを歩くと、砂で様々な形を作り、アートの展示をしてチップを集めている人がいる。街中で歌を歌っている人がいる。お店では片言のスペイン語でも笑いながら聞いてくれ、旅人としても肩の力を抜いて楽しめる。街を歩いているだけで楽しくしてくれる地元の人は、魅力的な街を作る一つの要因だ。

優れた公共交通機関と誘導:

空港から市内まではバスで10ユーロ程度で来れるし、市内の移動では地下鉄が非常に便利。地下鉄は色分けされており、わかりやすく、かつ地下鉄の中では自分がどこにいるのか路線図で示してくれるため、間違ったところで降りる可能性も少ない。またタクシーも比較的つかまりやすく、メーターで走ってくれるため、安心。

バルセロナ自体がコンパクトなこともあり、英語ができるか、または片言のスペイン語が話せれば十分市内を回ることができる。

ホテルの選択肢が広い:

宿泊のオプションが広いのもBarcelonaの特徴。僕らが泊まったホテルは1泊1万2000円程度だったが、非常に快適な部屋だった。

サグラダファミリアは完成にまだ10年かかるようだ。Barcelona自体の体験も非常に良く、完成したら、またこの街に来たいと感じた。

アルヘシラス (Algeciras)

この街はモロッコのTanger MEDに行くまでのフェリーへ乗るために宿泊した。港町で、アラブ系の人が多く、スペインというよりはアラブの国の街に近い雰囲気。夜は暗く、道に人通りも少ないため、やや怖さを感じた。

Tanger MEDまではTrasmediterraneaというフェリー会社を利用。これがモロッコ入国の洗礼になるとは思いもよらなかった。8:00発の予定が、フェリー搭乗までの荷物検査、出国審査がカオスとなり、結局出発したのは9:30以降。荷物検査の機械が一つしかないのに対して、並ぶ人数が多すぎて、捌ききれていない。しかも列に普通にみんな横入りするので、カオス状態。僕らもそれに習って横入りをしたり、他の人が周りに横入りできないようにブロックしたりして、なるべく早く入ろうとしたが、それでも搭乗まで1時間半以上かかった。その間、ずっと荷物と一緒にすし詰めの列の中で並んでいた。

しかしそれで終わらないのが、このフェリー。フェリー搭乗後もカオスは続く。フェリーの中にいる間にモロッコへの入国審査をしてもらわなければならないが、そこにも入国審査官が一人。入国審査は荷物検査よりも時間がかかる。結果、起きるのはまた同じくの大行列。ジブラルタル海峡をのんびりと渡る暇もなく、結果1時間強の船内もほとんど列で並んで過ごすことになった。フェリーから出る時もカオスであったのは言うまでもなし。現地時間の8時半に着く予定が(スペインの方がモロッコよりも1時間早い)、結局着いたのは現地時間で10時半を過ぎており、2時間以上遅れることとなった。

ジブラルタル海峡を渡ることもできたし、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の両方の大陸を目にするのは気持ちの良い体験だった。ただ、スムーズに渡ろうとする方は、ぜひフェリー会社と時期を真剣に選んだ方が良いと思う。