Free Food at HBS

HBSのキャンパスの寮に暮らしていると、まともな台所が近くになく、食事がSpangler(食堂)で食べるか外食になりがちだ。Spanglerは外に比べれば多少は安く、品質も高いと思うが、毎日だとやはりそれなりの金額になってしまう。

参考までにだが、僕は平日はSpanglerで3食済ませることが多く、朝 $5 (コーヒー、バナナ、パン)で昼はだいたい$9、夜は$11.5程度のことが多い。コーヒーを1日2杯買うことも多く、そうすると追加でさらに$2.5くらいかかることになるので、なんだかんだでSpanglerに1日$28 (約3,100円)くらい食費に使っていることになる。単純計算すると、1ヶ月で$866 (約9万5千円)。これはなかなかバカにならない金額だ。

ちなみに外食で持ち帰りでも意外とこれくらいはする。具体的には、近くのPinocchio (Pizza)で2切れとサラダを頼むと$12以上するし、Fast foodのTasty BurgerでBurgerとサラダを頼んでも$10くらいはする。もちろんBurgerだけであれば$6くらいで食べられると思うが、お腹がすくし、何よりも不健康だ。

そこで出てくるのが、フリーの食事の機会。具体的には、HBSでは以下のような機会がある

  • 授業で用意される昼食(FIELDなどで昼まで連続して作業の時):月1回程度
  • 学校主催のイベント(キャリア等)で用意される昼食: 2ヶ月に1回程度
  • 昼のセクションイベントで用意される昼食: 月2回程度
  • クラブのイベントで用意される夕食(Tech Club):月2回程度
  • 寮(McCulluch)で用意される夕食:月2回程度
  • International Food Festival: 年1回

僕が定期的に利用しているのはセクションで用意される昼食くらいだが、食費を節約しようと思えば、意外と機会はある。そして、それらのイベントに参加してみると、フリーフード目当ての人が意外と多いことにも気づく。こういった光景も、またHBSの一面だ。

HBSの友人

今日は授業が午前中のみで、久方ぶりの楽な1日。授業後にはBGIEのSawyer教授とのグループランチ、Japan Trekの打ち合わせ、仲の良いセクションメイトとのコーヒーチャットをしてきた。今の時期のMBAというのは夏の過ごし方が話題に上がることが多く、自然と会話は夏をどう過ごすか、卒業後に何をしたいかの話になった。卒業後に何をしたいか、を聞かれて僕は下記のように答えた。

「正直に言うと、まだ決めていない。アメリカに残りたいという気持ちは強いけれど、卒業までにこれだというものを見つけることができれば、自分でビジネスを立ち上げることもしたいと思う。ただ、アメリカに残るとしたら、僕はネットワーク、市場の知識の点でも他のHBS生と比較して強みがないから、いきなり起業するのは難しいように思える。おそらくテクノロジーの業界に就職して、グリーンカードが取れるまで数年働く道が有力だと思う。」

そう答えると、彼は少し驚いたように、こう返してきた。

僕の目から見ると、アメリカ人よりも留学生の方が強みがあると思うよ。そもそも、HBSの入学の基準は留学生の方が高いと思うし、留学生の方がより幅広い視野を持ち、かつ違うものを受け入れる受容性が高い。ネットワークについては確かに学部をアメリカで出ているかどうか、こちらで働いていたことがあるかどうかはあるかもしれないけれど、ビジネスに関してはHBSを出ることで殆ど差はなくなると思う。僕の目から見ても、僕の友人の評価を聞いてもAkiはsincereでthoughtfulだと高い評価を得ているし、起業について言えば他のHBS生と比べてもむしろ有利なポジションにいるのではないかな。

こちらに来てから、留学生であることの壁を感じていたので、逆に強みだという解釈は新鮮だった。また、自分の出来なさ(主に英語から来る)に目がいっていたので、セクションメイトに良い印象を与えることができていた、というのは素直に嬉しかった。気づかないうちに、自分で自分をまた枠にはめて、comfortable zoneに入ってしまっていたのかもしれない。

彼とはそのまま、将来どのようなことをしたいのかを話した。ヘルスケア、地球環境問題、教育、という彼が関心を持っている分野は僕も関心がある分野で、興味関心が似ている。また、お互いにテクノロジーの力を信じており、どうやってテクノロジーを用いて世の中を良い方向に持っていけるかを考えている点も似ている。10年後の世界はどうなっているだろう。僕らはそんな変化の中、一体どの分野で面白いことをしてやろうか。

仕事でもそうだと思うが、定期的に客観的なフィードバックを与え合え、現在と未来を語りあえるような友人は、とても貴重だ。そういう人と出会えたというだけで、僕にとってはHBSへ来た価値があったと思える。

HBS白熱教室 (Leadership and Corporate Accountability)

あなたはドイツに本社のあるツアー運営会社の、スウェーデン支社の社長である。スウェーデンでは冬になると暖かい土地へ家族で旅行に行くのが人気で、タイは人気の地域の一つだ。2004年の12月26日、あなたがクリスマス休暇を取っている時、タイで津波が起きたというニュースが入ってきた。あなたは休暇の予定をキャンセルし、急いで会社に戻る。会社では従業員が現地担当者に電話をしており、情報を集めている。しかし、カオラック地域に繋がらず、800人のツアー参加者の安否がわからない。従業員は必死になってツアー参加者にコンタクトを取っている。従業員はそれぞれの部署で考えて動いているように見える。自分は何をするべきか? 他のタイの地域も合わせると、4000人を超える自社のツアー参加者がタイにいる。政府も報道機関も十分な情報がない。現地にいる参加者に対してどうするべきか? また、マスコミや政府からの問い合わせも来ている。どう対応するべきか? 数時間後には他のツアー会社との共同運行でさらにタイに向けて、スウェーデンからチャーター便2便が飛ぶ予定だ。他の会社はタイは大丈夫だとして、飛行機を飛ばしたがっている。自社の旅行者にタイは状況がわからないからキャンセルを強くお勧めする、全額返金する、と伝えても8割の旅行者はそれでも行きたいと言っている。キャンセルすると、他のツアー会社の乗客への補填と合わせて数億円の出費となる。このまま飛行機を飛ばすか、キャンセルするか? あなたは社長として、どうするべきか。

LCA (Leadership and Corporate Accountability)は白か黒かが明確でない、グレーゾーンの判断をいかに行うべきか、を扱った科目だ。上はそのうちの一つの事例(実際は19ページ)。学生は与えられた質問に対して、それぞれの意見を持って、クラスに臨む。

僕のLCAのクラスの教授は元HBO社長のHenry McGeeだ。教授が現地にいるスウェーデン旅行者に対してどうするべきかを問いかける。一人の生徒があてられ、意見を述べる。

私はフライトをチャーターして、現地にいるスウェーデン旅行者全員を避難させるべきであると思う。私たちは顧客に対して責任を負っている。タイの状況は不確定で、顧客を一刻も早く避難させるべきだ。

それに対して、教授は、責任の範囲を尋ねる。スウェーデン人の旅行者全員に対して責任を追っているのか、それとも自社ツアーの顧客だけを対象にするのか。意見を述べた生徒は、他社も含めたツアー旅行者に対して責任があり、避難させるべき、と答える。そこで僕は違う意見を持っていたので、手を挙げて、さされ、自分の意見を述べる。

私はその意見に反対だ。私たちはツアー会社であって、顧客が安全な旅行を提供することに対して責任を追っているが、全てのタイにいるスウェーデン人に対して責任があるわけではない。それはスウェーデン政府の責任だ。また、私たちに全てのスウェーデン人の輸送を手配できるだけの財政的な能力もない。私たちは私たちの顧客の帰国を優先し、その他のスウェーデン人に対しては政府や他旅行会社と協働して動いて避難を進めるべきだ。

そこで教授は、まだ状況がはっきりしていないことを述べ、それでも今飛行機を手配するのか、どれくらいの人数の分の手配をするのか、を突っ込んで聞いてくる。私たちが誰に対して、どんな責任を負っているのか、それをどう満たすのか、のディスカッションとなり、顧客、投資家、従業員、社会に対してどんな責任を負っているのか、が黒板に書かれていく。

論点が移り、今まさにスウェーデンを飛ぼうとする飛行機を止めるのか、止めないのか、の議論が始まる。一人の生徒が言う。

私は飛ばすべきだと思う。私達は乗客に対してタイの現状が混乱の中にあること、キャンセルで全額返金することを説明して、その上で顧客は行くことを選択している。私たちは説明責任を果たしている。また、他の旅行会社はタイの現状がそこまでひどくはないと思っており、飛行機を飛ばさないという判断は彼らの顧客にも影響を与え、さらに数億円の負担となる。投資家への責任から、この負担はするべきではない

それに対して、他の生徒が反論する。

私は彼の意見に完全に反対だ。飛ばすべきではない。顧客と会社の間には情報の非対称性があり、顧客は今タイの状況がどんな状態かわかっていないので、行きたいと言っている。私たちも今のタイの状態を正確にはわかっていないが、混乱の中にあるというのは容易に想像がつく。そんな状況の中に顧客を送り出すことは、顧客に対しての責任を果たしていない。また、数億円の短期的な負担よりも、ここで飛行機を飛ばして、顧客を危険にさらした時に長期的に信頼を失うことによる損失の方を優先的に考えるべきだ。

他の生徒も加わり、顧客に対する責任、投資家に対する責任、の議論が深まっていく。また、プレスリリースを打つべきか打つべきでないか、という議論も行われ、「政府や他旅行会社に対して行動を促すためにも打つべき」という意見と「まだ連絡が取れない、という程度の情報しか出せないのでもう少し待つべき」という意見が出る。それぞれのアクションのメリットとデメリットが出てきて、社会に対してどのような責任を負っており、どう果たすべきか、という議論が行われる。

また、この混乱の中で、従業員に対してどのようなリーダーシップを取るのが良いか、という議論も行われる。自分が中に入って判断をして方向性を示すべきか、それとも現場に委任して自分は政府や本社と協働することに集中するべきか、の議論。何を優先して行うべきか、それはなぜか、と議論が深まったところで、実際のその時の社長が体験談を語るビデオを見て、当事者がどのような考え方をして、どのような判断をし、どのように行動したのかを知る。

実際の例では、社長はツアー運営会社はマスコミ、政府へ「800人と連絡が取れず、洪水の被害が大きい」ことをプレスリリースし、政府へ逐次情報を提供し、タイへ向かう飛行機2便をキャンセルし、飛行機をチャーターして、4000人強の自社の顧客をすぐに帰国させた。政府が動いて他のスウェーデン人旅行者の帰国を行ったのは、その4日後であった。会社はその年は利益が伸び悩んだが、翌年には回復した。

70分の議論が過ぎ、最後の10分で教授がまとめる。

  • 投資家、顧客、従業員、社会に対してどんな責任を負っているのかを経済的、法的、倫理的な視点から分析する
  • 顧客が状況を把握して判断できるという前提ではなく、顧客よりも自分たちの方が情報を持っているという前提で顧客への責任を考える
  • “No surprises” Policyを取るべき。想定外の事態が起きた時には、規制当局、上司、顧客にはすぐに、何がわかっていて、何が分かっていないのか、を伝える(ただし、法に準ずる)。
  • 政府と問題が発覚する前に協働するべき。彼らに自分たちを信頼させる理由を与える

白黒がはっきりしない問題に対して、唯一の解ははない。しかし、白黒がはっきりしない問題を考え続けることで、より良い判断と行動ができるようになる。LCAではこういったケースを通じて、状況を分析して、アクションプランを立てる考え方を学び、自分自身の判断の軸を養成することが目的になっている。

ビジネスパーソンは経済的な視点から物事を判断しがちだが、実際には法的、倫理的な視点からも考える必要があり、かつステークホルダーを漏らさない必要がある。常に難しい判断が求められるという点で、僕はこの授業がとても好きだ。

土井英司さんの講演

縁があり、エリエス・ブック・コンサルティングの土井英司さんの講演を聞く機会があった。彼の講演が非常に刺激的だったので、共有したい。

  • 売れる本を作るためには、供給を1にすること。強み  x らしさ、で自分にしか書けないものを書く
  • 人は究極的に自分にしか関心がない。相手が無視できない、相手を利することから話す
  • 人が知っていると感じ、感情に刺さるようなタイトル、内容にする
  • さおだけやはなぜ潰れないのか、は「さおだけや」というややマイナスのイメージと「潰れない」というプラスのイメージが同じ文脈にあるため、人は認知的不協和を起こして、手に取りたくなる
  • 「ユダヤ人大富豪の教え」は実はお金に対する考え方の本だが、入り口は入りやすくしている。興味を持たせるため、あえて最後の伝えたいメッセージを前面に出していない
  • 今、何が売れているかをみれば、未来が予測できる
  • 具体的、パーソナルなストーリーを語る
  • 人が何を大事にしているのか、何にお金を使っているのかを理解する
  • 人がなぜあるものを大事にしているのかを知るために、経験することにお金を使う。ファッション、自動車、マンション投資など、やってみてわかることが多い
  • お金を払うということは一定の距離を取りたい時
  • 人の能力は、遺伝要因 x 環境 x Resilience。早く挑戦して、失敗して、立ち直り、学び、次の挑戦をした方が良い
  • 理詰めで行って、最後は自説を持つ
  • 出版は個人のIPO。1冊で伝えられる範囲は限度がある。本を継続的に出すことで、考え方を広めることができる

お金を経験するために投資する、人の関心を理解する、具体的かつパーソナルなストーリーを語る、など過去に出席した中谷彰宏さんのセミナーで学んだ内容と共通するところも多かった。時間とお金を自分に投資して、常に成長し続ける人が自分の成し遂げたいことを成し遂げられる、というのは言うは易しで、いかにそれを仕組み化するかが鍵だと感じた。

日本人起業家との出会い

日本人でアメリカに来て起業した方と食事をして、お話を聞かせてもらった。その方は60代で初めてアメリカに来て、英語もほとんど話せないままいきなり起業した、というナイアガラの滝から飛び降りるようなことをした方なのだが、非常に面白かったので共有したい。

  • 引退を機に、アメリカで勝負しようと思い、渡米。妻も心配してついてきてくれた
  • アメリカ人相手にやりたい、と日本に関わるビジネスでもなく、日本人を雇うわけでもなく、いきなり設備投資をして、アメリカ人を雇って貴金属回収ビジネスをスタート
  • 現地のNPOと組んで、そこで工場で相場より安く働いてくれる人を確保 (生産)
  • 政府と取引をしている会社に飛び込み営業をして、社長と会い、関係を築き、良い商材(貴金属が含まれた基板)の安定供給を確保 (仕入れ)
  • ネット上でB to Bの販売網を築き、単一製品の大量販売が出来るという強みを活かして販売 (販売)

そもそもネットワークがなく、言葉もわからない土地でビジネスを興すガッツもすごいが、戦略とそれを実行する行動力がものすごい。飛び込み営業で契約を取ったり、人をマネージするのは、たとえ言葉が出来ても難しいのに、それを実現している。また、優良な仕入先を確保すること、コストを抑えた生産先を確保することは競争優位につながり、なかなか後から真似しようとしてもできないため、出来上がったビジネスは非常に競争力のあるものになっている。

その後ももう一社立ち上げて、今は家族のために時間を使おうと休んでいるが、今度は東京でもう一度一旗あげようと考えているとのこと。

起業家というのはこういう人のことをいうのだろうなと思わせてくれる人だった。こういう人と出会えるのも、アメリカという土地にいることの楽しさだ。

春学期前半の振り返り

春学期も既に半分が経過し、MBAの1年目も残すところ1/4となった。全体を通して、慣れとともに少し緩みが出てしまい、挑戦の度合いが秋学期と比べて少なかったなという反省。MBAでどんなことをしているのかを伝えるためにも、①学業、②友人関係/ネットワーキング、③キャリア、④課外活動、の各項目について、簡単に振り返りたい。

学業

今学期の科目は必修の5科目とFIELDという必修の実習授業。LCA (Leadership and Corporate Accountability)というグレーゾーンの判断をする際にどのように考えるべきかという授業やTEM (The Entrepreneurial Manager)というアントレプレナーシップに焦点を当てた授業など個人的に学びたかったものが多く、楽しんでいる。ただ、ケースの形式にある程度慣れてきたことから、あまり準備をしないで臨むケースが少しあったり、授業中の態度も前期に比べるとそこまで必死になって発言をしようとはしなかった。特にTEMはどのタイミングでどういう発言が求められているのかが分かりにくく、発言回数がやや少なめとなった。

結果として、TEMで初の中間評価で”3″(下位20%)の授業評価をもらってしまった。他の必修4科目は”1″であったので、発言の質はよくなってきていると思うのだが、やはり授業に臨む姿勢がやや緩んできたのが理由だろう。

“3”はややショックではあったが、気合を入れるのが必要な時期であったので、良いメッセージとなった。きっと、「お前はそんなに気を抜いて良いような立場でないよ。一つ一つの授業をもっと大切に受けなさい」という厳しくも愛のあるメッセージだ。

発言については①半分の授業で発言することを意識し、準備の段階でTakeawaysを意識する、②議論の流れに乗せる(同意して追加または反論)、③教授が求めている発言を推測する、④授業に貢献する発言をする(現実論と抽象論、ファクトによるサポート、情熱や感情を入れる)、⑤CREC (claim, reason, example, claim)で話す、ことを意識している。ただ、最近はその徹底が足りていなかったので、授業前に見返すなどして、習慣化することが必要そうだ。

友人関係/ネットワーキング

友人関係については、今学期から始まったEVOLVEという5人組のグループに所属して、人生のゴールは何か、HBSで何を成し遂げたいか、友情とは何か、と2週間に1度かなり突っ込んだ会話をしている。このEVOLVEというのは中で話したことは外には話さないというNorm(規範)があるために詳しくは書けないが、この活動を通じて、同級生が自分とあまり変わらない悩みを持っていたり、外からでは見えないようなことを感じていることが良くわかった。HBSでの人間関係は意識しなければ、広く浅くになりがちなので、こういった深めるグループに所属して、ずっと続くような人間関係を築けるのはとても良い。

また、Discussion Group、FIELD 3のメンバーとも定期的に会っている。これらのグループのメンバーとも卒業後に続く友人関係になりそうだ。

また、今学期は日本人とも飲む頻度が増え、週に1度は飲むようにしている。特に2年生は再来月で卒業であるし、HBSのみならず、HLS (Law School)、HKS (Kennedy School)、HPUH(Public Health)に通う人たちの中で5月でボストンを離れる人たちもいるので、ボストンで気軽に会える間に話したいと思っている。ボストンへ派遣されて学びに来ている人たちは各分野での第一線の人達であることが多く、そういった人たちと話をするのは楽しいし、またボストン留学繋がりというのは今後も仕事をしていく上でお互いに良いネットワークになるのではないかなとも思う。

一方で、HBSのセクションメイトと授業外で過ごす時間は今学期は少なくなってしまった。春学期になるとFIELD 2前後の旅行や春学期に行われるスキーやアイスランドトレック、春休みのキューバやマチュピチュトレックへの参加などで濃い人間関係ができて、そこからそれぞれ小さなグループができて、その中でイベントが行われているように思える。僕は後述するAsia Business ConferenceやNew Venture Competitionの参加で時間を使っていたことから、トレックや旅行を通じてグループに入る機会を逃してしまった。選択の結果とはいえ、セクションですごく仲の良い関係を築く機会を逃してしまったのは、やや残念なところではある。特に1年目の秋学期、春学期の始めは人間関係が構築される時期であるので、積極的に旅行や週末のイベントに一緒に参加するべきだ。

僕は4月、5月は学業とキャリアに主な時間を使う予定なので、セクションメイトとは週1回ディナーをする程度にして、夏休みや来学期にセクションメイトとの仲をもっと深めたいと思う。夏休み以降はアパートに住む予定なので、セクションメイトを家に招待したりして、仲を深めたいと思う。

MBAは全員がお互いを知らない状態から始まる、という人間関係を考える上ではかなり面白い実験だと思うが、その実験から一定のパターンが見えてきた。僕が見る限り、①全体イベントを通じて薄く広い繋がりが築かれていく、②旅行など宿泊を伴う短い期間のイベントや数回のスモールグループディナーで数人と仲が少し深まる、③スポーツの機会やプロジェクトを通じて一定期間お互いに共通の目的に向かって動き、仲がより深まる、④気軽に誘い合ったり、深い話を話すことでさらに仲が深まる、というようなプロセスで進むように見える。このプロセスを意識することで、より効果的に人間関係を広げて、深めていくことができるのではないかと思う。

キャリア

3月に応募したNew Venture Competitionは残念ながら予選落ちとなった。色々なものを同時並行しており、アイデアやビジネスプランの詰めが甘かったのが理由なので、悔しさがあまりないのが悔しい。特に「なぜこのチームなのか」、「どうやって実行するつもりか」という競争優位性と実行可能性の詰めが甘かった。悔しいと感じれるレベルまで、もっとタイムマネジメントを工夫して力を注ぐべきであった。ただし、何が求められているのかを知る上で良い勉強となった。来年こそは勝ち残りたい。

一方、良いニュースとしては、Rock Summer Fellowsという起業を目指す人または小さいベンチャーでインターンをする人向けのプログラムには受かることができた。こちらは夏の間、自分のアイデアに取り組む人を金銭的にサポートしてくれるというプログラム(週$600)。金銭だけではなく、メンタリングを受けることができたり、Rock Centerのネットワークに入ることができる。受かることができたのは今学期の一つの成果であり、4月から夏にかけてこの機会を活かして新しいビジネスの可能性を探り、プロトタイプ作成までいきたい。

課外活動

Asia Business Conferenceを2月28日(日)に運営した。こちらは人数は想定以上となり、RCのSki Tripと重なるなどかなり時期が悪かった条件では、成功の部類に入ったかと思う。一方で感じたのは、一部をやるのはやはり面白くないということ。せっかくやるのであれば、代表となり、運営を自分で回した方が充実感もあり、より楽しいと思う。

5月に行う予定のJapan Trek運営も順調に進んでいる。僕は主にテクノロジー面、集客、トレッカーとのコミュニケーションを担っている。Japan Trekは運営陣含めて120人と近年では最大の人数であり、Harvardの学生に日本を感じ、知ってもらう良い機会となるため、良い体験を提供したいと考えている。また、一緒に運営をしている日本人も優秀かつそれぞれに強みを持っており、それぞれから学ばせてもらっている。特に商社や金融出身者がゴリゴリと交渉して良い条件を引き出す姿はおおー、と思わせられることが多く、営業経験のあるなしがもたらす価値の大きさを実感している。

その他、個人的には運動をすること、英語力を強化すること、が課題なのだがこちらはうまく仕組み化できておらず、忙しくなると止まる、ということが続いている。一方で、HBS生の多くは運動を定期的に行っており、しっかりとした生活を送っている。特にアメリカ社会では定期的に運動をすることがエグゼクティブの当たり前となっているので、その習慣を自分も身につけたい。

Speaker Series – Michael Porter

Michael Porterの特別講演があったので参加をしてきた。内容は”The New Competitive Advantage: Creating Shared Value”という、社会の問題(教育、ヘルスケア、水、職場の労働環境など)に対してビジネスの手法でアプローチしよう、というもの。要約すると、「フィランソロフィー、CSRと企業が社会問題に取り組んできたけれど、それは企業の評判のリスクを減らしたり、高めたりする程度の効果で、本質的に社会問題をスケーラブルに解決することまでは至っていない。満たされていない社会のニーズにビジネスの手法でアプローチし、利益を上げながら、拡大し、そのニーズを解決していくべきだ」というもの。その切り口として、Value ChainやIndustrial Clusterといった彼の理論を用いている。

その通りだなと思うと同時に、Michael Porterは研究者として生き残るのがうまいなとも思う。同じ理論を異なり、かつ注目されている分野に当てはめることで、彼の過去の業績を再度表舞台に乗せている。すぐれた戦略家は自身のキャリアについても戦略的ということだろうか。

Spring Break – Canada/Boston

先週一週間はSpring Break。セクションメイトの多くはキューバ、マチュピチュ、インドなど様々な国に9日間フルに旅行していたようで、今週は「Spring Breakをどう過ごした?」が定番の話題だ。僕はというと、妻がアメリカに来る予定だったので、カナダで落ち合って数日過ごし、残りはボストンで過ごすことにした。

カナダはトロントとナイアガラを訪れた。トロントはミニニューヨークという印象。チャイナタウン、リトルイタリーなど各移民が移民街を形成しており、街の中に違う国がいくつもあるような印象だ。また、道も碁盤のように縦横に走っているので、どこにいるのかがわかりやすい。地下鉄もそこそこ便利かつシンプルなので、観光する分には困らなかった。食事についてはセクションメイトが言うには、「カナダにユニークな料理はほとんどないけど、Maple Syrupがある」、らしくカナダ料理らしいカナダ料理は確かに味わえなかった。ただし、移民街で食べた中華や韓国料理が美味しかったので、個人的には満足。また、Maple Syrupはお土産に最適だった。観光についてはトロントではすごく感動するような体験はなかったが、CNタワーの展望台のガラス床から見た地面の遠さが楽しかった。

ナイアガラは定番の滝に加え、ナイアガラ観光コンプレックスで見たシアターが面白かった。シアターは映画館と4D体験ができる別室の2本立てで、別室では雨合羽を着て、水をかぶるような体験をした。これはなかなか新鮮な体験で、おすすめ。アメリカ側に回りはしなかったが、カナダ側からの方が迫力はありそうだった。

ボストンでは妻と一緒に日本人のRC (1年生)、EC (2年生)とそのパートナー達、そしてセクションメイトとご飯やお茶をした。妻はゲストとして授業にも参加したのだが、恒例のスタンディングオベーションでの出迎えや僕がコメントした時の拍手喝采など、セクションの暖かい雰囲気に驚いたと同時に、HBSでの滞在を楽しんだようだ。HBSでの生活の一端を楽しんでもらえたのは、嬉しい。

Spring Breakが終わって気付けば、もう春学期も後半戦。早いもので、MBAの1年目も3/4が終了だ。春学期の前半戦は慣れのため、挑戦の度合いが少なかったので、後半戦はまた気合いを入れ直して自分をストレッチしていきたい。

戦略シミュレーション

今日は戦略シミュレーションの日だった。5人のチーム5組での対抗で、一番利益を多く稼いだチームが勝ち、というシミュレーション。僕のチームは、僕はかなり事前に準備をしていて楽しみにしていたのだが、様々な要因が重なって圧倒的な最下位で、破産するという、ある意味で貴重な経験をした。以下が敗因。

  • チームメイトをBuy-inできなかった。チームメイトのほとんどが事前のシミュレーションの課題をほとんどやっておらず、仕組みを理解していなく、どうすればゲームに勝てるのかの話なのに、現実のマーケティングではこうなるはず、という話でオプションを選ぼうとするので、ゲームの戦略として正しくない選択肢を議論する時間が長かった (-> チームの事前の準備の度合いで他チームと比べて負けていた)
  • その一方で、なぜゲーム上でそうするのかの理由を聞いてもきちんとしたロジックがない。そのロジックがない二人を僕が説得仕切れず、チームでコンセンサスを作って、勝つ戦略への意思決定ができなかった。というか、5人中の3人がロジックのないロジックに賛成した時点で、僕がもう諦めて、どうせシミュレーションだから失敗から学べば良いと、それでいいよ、とした (-> 諦めた)
  • 結果的に最初の2ラウンドでぼろ負けして、1チームが非常に上手くやったため、先手アドバンテージの大きい仕組みのこのシミューレーションではもう勝ち目がなくなった。あとの5ラウンドは消化試合で、もうどうしようにもならず、そのタイミングでロジックのない戦略判断をした2人が諦めて、ケースを読み始めるなどし始めたため、チームとして一体感を保てなくなった。僕もあまりの対応に不機嫌になり、その二人を巻き込もうとしなくなった (-> ポジティブな空気を保とうとするリーダーシップが足りなかった)

結果として、僕は結構楽しみにしていたゲームだったのだが、戦略について学ぶというよりはチームワークについて学ぶシミュレーションとなった。次にもし同じことをしたならば、①チームローンチをきちんと行う(シミュレーションの間は集中する、最低限の予習はしてくる、などのNormを決める)、②質問をして、相手が自分で気づくようにする、③どんな状況でもポジティブに、周りを巻き込みリードする、④戦略を実行するときには選ぶものと捨てるものを極端にする、ことを意識するようにしようと思う。

Asia Business Conference at HBS

2月28日(日)はAsia Business Conferenceであり、運営側として参加した。1週間前まではチケットの売れ行きが予想を下回っていてやや焦ったが、アメリカもしくは学生の特徴なのか、最後の1週間で売り上げが急激に伸び、売れたチケット数は目標以上となった。CTO (Chief Technology Officer)としては嬉しいことだ。キーノートスピーカーやパネリストからはアジアについて、興味深いインサイトが得られた。

  • 中国のGoldmanのVice ChairmanであるJiming Haからは、マクロ経済から見た中国の今について学べた。中国はGDPに占める投資の割合が高く、投資が自国内の貯蓄よりも大きく上回っている。現在は海外投資家が中国のリスクを意識して資金を引き揚げており、為替は弱くなる方向に動いている。現状は政府が保有しているドルを売って為替を支えているが、本質的な解決策にはなっていない。どこかの段階で資本の移動の規制を行うか、為替をfloatingに切り替えるのではないか。高齢化の加速など、リスク要因が多く、中国へのexposureは減らしたほうが良い、とのこと。
  • YTL Communications CEOであるWing Leeからは今後の通信技術の発展について学べた。5Gの規格が策定されるのが2019年で商業化は2020年目処とのこと。東京オリンピックの時には、5Gを使えるようになっている可能性が高い。通信の高速化、低コスト化もあるが、本命はIoT (Internet of Things)。バッテリーが進化をすれば、あらゆるものが繋がる世界が見えてくる。Smart Home、Smart Cityなど、コンセプトとしては既にあるものだが、5Gがそのコンセプトを普及させるきっかけになるかもしれない。
  • ヘルスケアのパネルからも、面白い示唆が得られた。ヘルスケアのシステムは国や文化により異なり、ローカライズが必要(例えば中国ではヘルスケアシステムに対する信頼性が低く、信頼性に対するニーズが強い)。ローカライズの例で言うと、PillPackというビジネスが急速に伸びている。これはオンラインでの処方箋やRefillができるアメリカでできるモデルだが、日本では規制の問題でできないであろう。また、ヘルスケアのビジネスで医者を巻き込むものは、特に中高年の医者が変化を嫌うのでなかなか浸透の速度が遅い、というのも面白いポイントだった。

また、ConferenceではYTL CommunicationsのWing Leeさん、Globis Capitalの高宮さんやAlpacaの横川さんともゆっくり話すことができた。それぞれの分野で活躍している人と知り合え、刺激をもらえたのが良かった。

全体的には満足だったのだが、運営側としては幾つかの点でもう少しやれたな、と思うことがある。

  • CTOとしてだが、結局ウェブサイトのモバイル対応をしなかった。モバイルの画面のデザインするところからやり直さなければいけなく、単純にそこまで時間を割けなかったからなのだが、その点はずっと引っかかっていた
  • 朝食、昼食を出すことを考慮せず(値付け時点でオペレーションサイドと連携が取れていなかった)、チケットの値付けを安くしすぎたのと、Early Birdの期間を長くしすぎた。Early Bird Student $20、Regular Student $40、Professional Early Bird $40、Professional Regular $60で出したが、Early birdは一ヶ月前までで、StudentのEarly Birdは$30でよかったと思う。また、discount codeの対象でないのに何らかの形でコードを知って使う人たちへの対策を取り切れなかった
  • Facebookではイベントとして作るべきところを、最初に他の人が団体ページとして作っていたために、結局団体ページとイベントページの二つを運用することになった。これは混乱を生むので、イベントページに早い段階で一本化するべきだった
  • もっと動いてもよかった。他の学校からのインプットや協力が必要なときに、基本的にはHBSのCo-chairに依頼する形で進めた。これは指揮命令系統としては正しかったと思うが、”get things done”の精神から言えば、もっと積極的に入っていってよかったかもしれない
  • 時期が悪かった、のはくじ運だから仕方がないが、特にConferenceがあった3連休は1年生のほとんどがスキーや旅行に行っている時期だったので、RCが殆ど参加していなかった。これだけで数十人から数百人のインパクトが出るので、痛い

以上が簡単な反省だが、こういったカンファレンスの運営に関わったのは良い経験となった。

カンファレンスは学びが大きい。来年もTech、Entrepreneurship、Healthcare、Asiaの4つのカンファレンスには参加しようかと思う。