タカラレーベンインフラ: 決算・株価・配当金分析

インフラファンドの第一号であるタカラレーベンインフラ投資法人は太陽光発電を中心とした、6%程度の安定した配当が見込める銘柄です。今回はこの投資法人の決算を元に、銘柄の分析を行います。

この記事は安定して高配当を受け取りたいと考えている人にお勧めです。

インフラファンドとは

インフラファンドとは太陽光などの再生可能エネルギーを用いた発電設備に投資を行う投資法人の総称です。

インフラファンドが投資を行う対象となる太陽光発電設備は、固定価格買取制度(FIT)という国の制度に支えられており、20年間の間、固定した価格で電力会社が太陽光発電業者が発電した電気を買い取ってくれます。

そのため価格下落の心配がなく、毎年同じ量の発電ができれば、同じ金額を受け取ることができる仕組みになっています。

また、食料品や電化製品などの消費財と異なり、電気は一般的な国民の誰もがが継続的に使い続けるものですので、需要も安定しています。

インフラファンドはこのような国の制度によって守られていることから、10年以上先まで収益の予想が立っており、安定した配当が予想できる投資先です。例えば、いちごグリーンインフラはかなり先までの配当金の予測を出しています。

いちごグリーンインフラの配当金予定

現在では7銘柄が上場しており、これらのファンドの値動きをまとめた東証インフラファンド指数という指数も2020年4月2日より誕生しました。

東証ファンド指数(日本証券取引所ホームページより)

価格は2020年10月に急騰した後、現在は1,120から1,170までのレンジを推移しています。

市場としてはまだまだ小さく、この指数に連動したETFも2021年3月現在はありません。市場の黎明期と言っても良いかもしれません。

タカラレーベンインフラ投資法人

インフラファンドの中でのタカラレーベンインフラ投資法人(以下、タカラレーベン)の特徴は、安定したキャッシュフローです。

インフラファンドはどのファンドも保証されている最低賃料+実績連動賃料、と実績により収益が変動する仕組みになっています。

その中でもたタカラレーベンインフラは最低賃料の水準が高く、実績連動賃料の部分が小さくなっているため、その分賃料が安定しています

例えば、2020年11月期の決算では、利益分配金のうち、実績分が占める割合は10%以下です。つまり、どんなに発電量が少なくとも、収益の90%が保証されています。

タカラレーベンインフラ10期決算

また、タカラレーベンは7社の中でも、分配金に占める利益の割合が多く、分配金のキャッシュフローに占める割合も60%と低いです。

決算 2019/5 2019/11 2020/5 2020/11
1株あたり利益 ¥3,486 ¥3,067 ¥3,580 ¥3,364
1株あたり減価償却費 ¥4,092 ¥4,099 ¥4,411 ¥4,403
1株あたり利益+減価償却費 ¥7,577 ¥7,166 ¥7,992 ¥7,767
1株あたり支払利息 ¥351 ¥359 ¥485 ¥469
1株あたり簡略化キャッシュフロー ¥7,226 ¥6,807 ¥7,507 ¥7,298
分配金 ¥3,826 ¥3,397 ¥3,870 ¥3,512
分配金/キャッシュフロー 52.9% 49.9% 51.6% 48.1%

太陽光発電は太陽が出ている日照時間により発電量が変わるため、前年同期比で比較する必要がありますが、1株あたりの利益は2020年は2019年と比較しても前年同期比で増加しています。

タカラレーベンの戦略

タカラレーベンは毎年増資を行い、得た資金を元に新しい太陽光発電所を取得し、規模を増加させていくことを戦略にしています。規模としては131MW。市場全体は2019年12月末時点で稼働しているFIT設備は50,620MWですので、タカラレーベンインフラ投資法人のFIT設備におけるシェアはわずか0.26%です。

タカラレーベンインフラ投資法人の規模の推移

タカラレーベンは利益剰余金を配当として出す代わりに、物件購入のための資金にあてており、相対的に増資による株式の希薄化が少なくなっています。

また、既存の太陽光発電所の場所も関東・関西・中部と電力需要が高いエリアに多く展開されています。「出力制限」(発電量が需要と蓄電可能な水準を上回り、電力会社から発電の制限の要請・強制が出されること)が頻繁に行われる九州地方の割合が3%と低いことも好ましいです。

タカラレーベンのポートフォリオ分散

九州は日照条件がよく、太陽光発電所の設置が相次いだことから、日中の発電利用が需要を上回ることが増え、出力制御が年間で30日間行われる水準まで達しています。これは単純計算で収益に約8%のネガティブな要因です。

九州電力の出力制御

九州地方へ物件を集中させる戦略をとり、九州への依存度が高い「かナディアンソーラー」、「いちごグリーン」にとってはこの九州電力の出力制御は収益へのリスクですが、タカラレーベンインフラにとってはそこまで影響がありません。

2021年の分配金見込み

2021年の分配金は7.2%減少の、6,851円というガイダンスが出されています。

これは2021年3月19日の終値の121,200円ベースだと、利回りは5.7%になります

2017 2018 2019 2020 2021
1口あたり分配金 ¥6,607 ¥7,847 ¥7,223 ¥7,382 ¥6,851
うち利益分配金 ¥6,144 ¥7,013 ¥6,561 ¥6,953 ¥6,162
うち利益超過分配金 ¥463 ¥814 ¥662 ¥411 ¥689

ただ、タカラレーベンは伝統的に分配金のガイダンスをかなり控えめに出す傾向があるため、実際は前年比から微減程度になるのではないかと予想されます。

タカラレーベン、配当金のガイダンスと実績の推移

また、1株あたりの減価償却の額は年々増加していっていますので、その減価償却から生じたキャッシュを再投資することでさらに1株あたりの収益を上げられる可能性もあり、分配金は安定的に推移する可能性が高いともいえます。

過去の傾向として5月末と11月末の配当金の基準日の後は配当金の額以上に大きく下落します。

その際に入手すれば利回り6%以上と、より魅力的な水準で入手できるかもしれません。

制度的なリスク

再エネ特措法改正により、2022年4月より、発電設備の廃棄のための費用に対する外部積み立て義務が課されます。これはFITの期間である20年の後半10年間の間の積み立てとなるため、まだ多くのインフラ投資法人で費用として計上されませんが(FIT制度が始まったのが2012年とまだ10年が経過していないため)、将来的には費用の計上となるため、利益の減少要因です。

また、2023年より発電側基本料金制度が始まり、こちらも発電側への負担増となる可能性があります。

まとめ

  • インフラファンドは20年の固定価格買取制度(FIT)にもとづいた太陽光発電を対象とする投資ファンドで、利回り5-7%の安定した配当をもたらしてくれる
  • タカラレーベンインフラ投資法人は現在上場している7銘柄の中でも、最も安定した収益構造を持つインフラファンドであり、分配金の安定度が高い(分配金の中に占める利益剰余金の割合が低い、最低賃料水準が高い、地理的に分散されており出力制限の影響を受けにくい)
  • 安定している分、傾向としてはインフラファンドの中でも利回りが低い傾向がある。しかし、それでも高い利回り水準であり、現在の2021年のガイダンスベースでの利回りは5.7%

インフラファンドにより興味を持たれて、リターンとリスクについて詳しく知りたい方は、過去のこちらの記事をご覧ください。
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2030年、日本の社会、私たちの生活・価値観はどう変わるか

2030年の日本はどのような社会になっており、私たちの生活はどう変わっているでしょうか? 前回の「2030年までに起きる変化と、私たちは何を準備するべきか」の続きとして、日本の政治・社会、私たちの生活・価値観がどう変わるかを考えてみます。

そして、民主主義は敗北を迎えた

2015年に1億2,700万人であった日本の人口は、2030年には1億1,900万人と約800万人減少する見込みです (約▲6%)。

日本の将来人口推計(平成29年度推計) 国立社会保障・人口問題研究所より

日本の総人口は2010年代から減少を続けていますが、2020年代は減少の速度が加速します。人口が減るということは、一人当たりのGDPが伸びなければ、それだけ市場も縮小するということを意味します。

人口構成を見ると、若年層(15歳未満)は1,600万人から1,300万人に減少(▲19%)、生産年齢人口(15-64歳)は7,700万人から6,900万人(▲10%)に減少する一方、65際以上の高齢者は3,400万人から3,700万人(+10%)と増加します。

2030年には、人口の約1/3は、65歳以上の社会です。平日の昼間に街を歩けば高齢者ばかり、というのは珍しくなくなるでしょう。

さらに、国政の行末を決める投票率をみてみます。

衆議院議員総選挙の投票率-総務省ホームページより

衆議院選挙の結果をみてみると、20歳代は35%、30歳代は45%、40歳代は55%、50歳代は65%、60歳代は70%、と60歳代までは年代が上がるほど投票率が上がっていきます。

70歳以上になると、投票に身体的に行けない人が出てくるためか、投票率は60%まで落ちます。

仮に、世代ごとの投票率がほぼ変わらないままで推移すると仮定し、2030年の生産年齢人口の投票率の平均が45%、65歳以上の投票率平均が60%とします。すると、選挙で投票する人の割合で考えると、

  • 生産年齢人口: 6,900万人 x 45% = 3,100万人 (58%)
  • 高齢者: 3,700万人 x 60% = 2,200万人 (42%)

となります。つまり、人口だけで見れば65歳以上の高齢者は33%ですが、投票率を見ると40%以上の票を持つことになります

ここまで高齢者の割合が高いと、政治家が「高齢者に対して何か負担を増やすような政策を掲げて高齢者を敵に回すと、選挙で負ける」と考えるのは自然でしょう。

「選挙に勝つこと」が最大目的である政治家からすれば、高齢者層の票をいかに勝ち取るか、が鍵になります。

日本は社会保険が賦課方式(現役世代から高齢者へお金が回る方式)のため、個人が支払った分を将来受け取る、という方式ではありません。そのため、世代間で支払う額と受け取る額のバランスに差が生じます。

日本の場合、現在の高齢者が圧倒的に受け取っている額が大きいのが特徴です。

社会保障を通じた世代別の受益と負担(内閣府)より

高齢者は手厚い社会保険(年金・医療・介護)を享受する一方、現役世代は高齢化に伴う社会保障費の増加を支えるため、負担が増えていっており、現在の現役世代は受領する額よりも支払う額の方が増える予定です

また、現役世代が収入から支払う社会保障費のみならず、日本政府は毎年歳出の約30%を国債の発行により賄っています。これは将来世代からの借り入れなので、「どこかの段階で」将来世代が何らかの形で支払うことになります

つまり、現役世代は、現在の高齢者の社会保障を支えるため、将来自分たちが受け取る以上の支出をしなければならず、かつ将来借金を返さなければならない、という二重苦を負っています。

現役世代から見れば、現在の高齢者に回されている社会保障費を削減し、現役世代に資源配分するのが公平だと考えられます。

しかし、先にも述べたように、高齢者の票が持つ力が大きすぎるため、政党は踏み込んだ改革を行うことはできません。

結果として過去20年間続いているのは、「将来世代の軽視」です

民主主義は「有権者」が現在の政策を決めるシステムであるため、将来世代の利益は軽視されがちです。現在票を持っている人の発言権が強く、票を持つ層の既得権益を削ることはさらに困難です。

政党からすると「破綻するまで、できるだけ今のシステムを維持して、高齢者に満足してもらい投票してもらう」ことが基本の戦略となります。

社会保障に関して大きな改革が過去20年でなされていないのは、各政党が選挙に勝つ上で、合理的な判断を下しているからです。

この先10年で「将来世代のことも考えた政策を」と、資源の再配分を求める政党も出てくるかもしれません。しかし、半分以上の世帯が「生活が苦しい」と感じている以上、負担を増やすような政策が広く支持を得ることは難しく、そうした政党が多くの議席を取り、政策に影響を与えることは困難でしょう。

2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)より

この状況を是正する方法の一つとして、世代別に議員を割り当てる年代別クオーター制などが考えられます。しかし、既存の大政党にとって利益にならないため、法案として成立するのは難しいでしょう。

このように、民主主義は各世代がある程度平等に分布していれば公平な政策が実行されることが期待されますが、日本のように少子高齢化が進み、かつ世代間に大きな投票率の差があると、「現役世代が将来世代を搾取する」という公平性が損なわれた構造になってしまいます

このような環境で変化が可能になるのは、「既存のシステムが維持不可能になった時」です。それは外的な要因(例:日本が何らかの理由で国債発行すると高インフレに陥ってしまう事態や近隣諸国との戦争など)、内的な要因(クーデターや内乱で政権がひっくり返るなど)が考えられます。

既存のシステムが維持可能である限り、日本の社会保障の状況はこの先10年も変わらず、見えている問題を常に先送りし続けるでしょう。

まとめると、いつか、どこかの世代が負担を負わなければなりません。そして、残念ながら民主主義という多数派の意見が尊重される社会のもとで、大票田を持つ既得権益者層の利益を損なう政策の実現可能性は低いです。

私たちは世代間の公平性が保たれない民主主義に生きており、チリチリと鳴り続け、膨らみ続ける爆弾を次の世代に渡すことを続けています

将来に不安を抱えた社会

「所得が伸び続ければ問題ないじゃないか」、と考える人もいるでしょう。

しかし、日本の家庭の所得は、過去20年で成長どころか減少傾向です。

特に、現役世代の中間層は「伸びない所得、増える支出」で生活が苦しくなってきています。

高齢者世帯以外の世帯の平均所得は650万円前後で過去20年推移しています。

2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

2019年時点での所得の平均は552万円、中央値は437万円です。

「2019 年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)より

所得が減少しているのは、複数の要因がありますが、国民負担率(租税負担+社会保障率)が上がり続けていることは大きな要因の一つです。消費税の増税、社会保障保険料の増税などで、国民負担率は10年前の37.2%から42.5%まで増加しました

額面が多少増えたとしても、税金と社会保障率の増加でほとんど相殺されてしまっている状況です。

幸いにも、地価を除き、日本は過去20年でほぼ物価が上がっていないので、多くの中間層が生活はできています。

2019年消費者物価指数(総務省)

しかし、「2030年までに起きる変化と、私たちは何を準備するべきか」で書いたように、この先10年間はAIによる人の労働の代替とアウトソーシングが進むため、中間層の職は減少し、給与にはさらに圧力がかかることが予想されます。

※「2030年までに起きる変化」はこちら。

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加えて、高齢者の割合は増え続け、現役世代は減少するため、国債発行を抑えるためには、国民負担率がさらに上がることになります。

そのため、今後10年は様々な形で、「取りやすいところから取る」の精神から、公的サービスのカットや高所得者層、中間層以上への増税が議論され、負担が増えていくでしょう。

2020年の給与所得控除の改正で負担が増える層の収入レベルが引き下げられたように、今後はどんどん負担が増える収入のラインが下がっていきます

上がらない給与、増える税金・社会保障費を予想しているためか、「老後の生活が心配だ」という不安を80%近くの国民が現在も感じており、40%は「非常に心配だ」と感じています。

前の章で書いたように、現在の政治家が取るべき最適な戦略は「現状維持」により高齢者を怒らせないことのため、この状況は2030年も変わらないか、悪化するでしょう。

「家計の金融行動に関する世論調査」(2019)より

付け加えるならば、高齢世帯は所得だけ見れば低い世帯が多いため、票田として低所得者層は重要です。よって、所得の低い世帯への支援は続くと考えられます。

2030年は、2020年現在と比べ、下記のような層の構成になっているでしょう。最も影響が大きいのは、おそらく現役で働く中間層の人たちです。

  • 高所得者層:不動産や資産運用で収入を上げながら、資産を増やして自己防衛する(海外への移住や子女を海外へ送り財産を移す人が増える)。
  • 中所得者層:所得が上がらず、負担が増え、耐えることを強いられる。
  • 低所得者層:政府から一定の補助を受けて「健康で文化的な最低限度な生活」を送る。政府からのサポートがあるため、そこまで生活は変わらない。

自分軸に沿った幸せの追求

このような未来に、人々はどのように行動するでしょうか。

所得を増やす

本業での収入が上がらないことから、「働ける人は働き続ける」、「副業をして収入を増やす」、「投資をして収入を増やす」の3本柱で、所得を増やす選択肢を取る人が現在より増えるでしょう。

「働ける人は働き続ける」は2020年現在でも続いている傾向であり、特に女性、60代の就業率は上がり続けています。

少子化で保育園に入りやすくなること、全企業に対して65歳までの雇用の義務化が2025年になされた後、おそらくさらに70歳までの雇用の努力義務が課されることで、女性・高齢者の就業率は上がり続けるでしょう。

そして、それに伴い、フルタイムではなく、週3日で働く、または1日の半分だけ働くなどの短時間勤務がより一般的になると考えられます。企業も短時間勤務を活用するような人事体系に少しずつ変わっていくでしょう。

「副業」については今はブームが始まっているように見えますが、一定以上の収入が得られる副業は、スキルと労力が要求されるため、本業のみの人が過半数でしょう。ただ、現在よりは副業を行っている人、ギグワーカーとして複数の企業から仕事を受けて生計を立てる個人事業主は増えると考えられます。

投資については、政府が「自己責任」で国民に資産の積み立てを促す方針が続くこと(NISAやiDeCoなど)、自己防衛の意識がさらに高まることから、裾野がかなり広がっているでしょう。

つまり、中間層については、「みんなが働けるだけ働き」、「自己防衛のために節税効果のあるNISAやiDeCoの投資を行う」ことが標準になっているでしょう。

「国に頼らず自分で何とかする」という国民の危機意識はより強くなっていると考えられます。

支出を減らす

2030年に多くの人が高い確率で注力するのは「いかに支出を減らすか」でしょう。

理由は、支出をコントロールするのが最も自らの努力で行いやすく、取り組みやすいことと、日本的な「倹約は美徳である」という価値観とも合致するためです。

特に、コントロールのききやすい食費、交際費、衣服費などは減らしていく家庭が増えるでしょう。これは、これらの産業の将来があまり明るくないことを示唆します。

「倹約が美徳である」ことから一歩進み、「いかにミニマルに生きられるか」と倹約を生きがいにする人も出てくるでしょう。特に若い世代で、モノを持たず、住む場所にも拘らず、好きなことをやりながら、必要最低限のモノの中で生きる、というミニマリストが増えるかもしれません。

こういった「倹約」「ミニマリスト」の生き方が広がり、YouTubeなどのメディアでスターが出てきていることが想像されます。

価値観の変化

「お金を持つのが幸せ」という価値観から、「繋がりと情熱・愛を注げるものがあることが幸せ」、という価値観に変わっているでしょう。

2030年の日本社会は、中間層に厳しい社会になる可能性が高く、中間層から上に上がることがより難しくなります。

「いくら頑張っても報われない・割に合わない」、「どうせ自分が動いても変わらない」と感じる人たちは、社会の中での価値基準に従うことを拒否するでしょう。

すると、ステータスやお金といった「社会の基準での成功」を追い求めるのではなく、「自分の価値観に沿った幸せ」を追い求める風潮になるのではないかと思います。

社会に希望が持てなくなった時こそ、身近な家族、気の合う友人、価値観があう仲間、と過ごす時間がより大切にされるようになり、繋がりをより大切にする人が増えるでしょう。

また、人々は仕事以外で「情熱・愛を注げるものがあること」を探すでしょう。それは趣味であったり、ボランティア活動であったり、ペットであったり、人により異なる対象です。

「仕事だけが人生でない」という価値観が浸透することで、「人と人との繋がり」や、「情熱・愛を注げるもの」に人は時間を使おうとするでしょう。日本人の仕事に対する価値観や時間の使い方が変化する、といっても良いかもしれません。

未来は、明るいの?

経済的な側面だけ見れば、日本の未来は明るいとは思いません。

将来世代にツケを回すやり方は政治的には合理的でも持続可能ではなく、どこかの時点の世代が対価を支払わなければならなくなります。

高い経済成長率を実現するためには移民の受け入れや教育・現役世代へ資源をより回すなどの決断が求められますが、現在の政治は「今のシステムを出来るだけ長引かせる」ことが合理的な戦略となってしまっているので、大胆な手は打ちません。このまま、小規模な打ち手を打ちながら「やってる感を出す」状態が続くでしょう。

国民は愚かではないので、そんな国の行末に不安を感じ、すでに自己防衛に動いています。2030年になる頃には「国に頼らず自分で何とかする」という自己防衛意識がより強くなっているでしょう。

一方で、社会が成長を止め、中間層の生活水準が穏やかに低下していく中で、人々は既存の価値観を徐々に変化させていくのではないかと思います。具体的には、社会的な価値(収入や社会的なステータスなど)ではなく、「それぞれの価値観に沿った幸せ」と「家族・友人・趣味を通じた繋がり」を追い求めるようになっていくのではないかと考えます。

このような方向にいけば、繋がりを大事にする、一人一人が個々の楽しみを追求しやすい社会になる、いう点で、幸せ感はむしろ上がるのかもしれません。

経済的に豊かになることを追い求めた20世紀から、精神的な幸せを求める21世紀へ。2020年代は、一つの価値観の転換となる時代になるのではないかと予想しています。

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2010年代に起きた、5つの大きな変化・トレンド

投資・ビジネスを考える上で、世界がどう変わっていくかのトレンドを考慮することは重要です。2020年からの10年に何が起きるかを考えるためにも、2020年までの10年で何が変わったか、このトレンドが続くのか、を見ていきましょう。

スマートフォン:全世界が市場に

2010年代の10年間で最も大きな変化は、スマートフォンの普及、と言っても過言ではないかもしれません。

iPhoneの1号機が発売されたのが2007年です。2010年からスマートフォンの販売は急速に上昇し、2014年には12億台を売り上げました。

2015年以降、全世界で毎年15億台前後のスマートフォンが販売されています。

Number of smartphones sold to end users worldwide from 2007 to 2020 (Statista)より

中国、インドのメーカーが廉価版を販売したこともあり、2010年代にスマートフォンは世界中に行き渡りました。

先進国では、PCからスマートフォンへ移行したのに対し、発展途上国ではPCのステップを飛ばしてスマートフォンを使い始めました。

2010年代は世界中の中間層以上のほぼ全員がインターネットへのアクセスを得た、と言っても良いかもしれません。

スマートフォンは電話、カメラ、メール・インターネット、ゲーム等、2000年代ではそれぞれの用途ごとに別々に存在していた機器を全て統合し、人々の手元にもたらしました。

また、オンラインでのモノ・サービスの購入を当たり前にし、人々の購買のパターンが変わりました。

スマートフォンが普及したことによる、いくつかの業界における変化の例は以下です。

  • デジタルカメラ市場の消失(ハイエンドのアナログ・デジタルカメラ以外の需要がスマートフォンに食われました)
  • 新聞・本・雑誌の紙のメディアの衰退とオンラインメディア・ソーシャルネットワークの影響力増大
  • テレビの影響力の減少とオンライン動画メディア(Youtube, Netflixなど)の影響力増大
  • 小売の衰退(オンラインと実店舗の競争により、実店舗の小売の需要がオンラインに食われました)
  • オンラインとオフラインの融合(オンラインで事前に注文し、店舗で当日に受け取る、など)
  • インターネットサービスのPCファーストからスマホファーストへの移行
  • スマートフォンで操作できるIoTが身近になった(アレクサ、スマートセンサーなど)

2010年代に起きたこれらの変化は不可逆です。新型コロナの影響で人々が家にいる時間が伸びたことから、人々の活動におけるオンラインの比重はより増しています。人々がオンラインでの活動を増やすことは、2020年代にも戻ることはないトレンドだと考えられます。

高速通信(4G):文字から動画へ

高速通信(4G)はソフトウェアの進化を支えたインフラです。

10年前は通信速度に大きな制限があったため、インターネットのメディアはデータ量の比較的小さいテキストがベースでした。

人と人とのコミュニケーションも同様で、メールやSMSなど文字と画素の低い写真が主に用いられていました。

高速通信規格である4Gが商業化されたことにより、スマートフォンが扱える通信データの量が爆発的に増加しました。これにより起きた変化のいくつかは下記です。

  • 画像・動画をふんだんに用いたコンテンツがメディアの主となってきた(Instagram, SnapChat, TikTok, etc.)
  • 通信量のかからない、アプリを用いたコミュニケーションが主となった(Whatsup, FB Messenger, LINEなど)
  • 外出先での動画を用いてのコミュニケーションが当たり前になった(Facebook Messenger, Whatsup, Microsoft Teams, Zoom, etc.)
  • スマートフォン向けゲームがよりリッチになった

歴史的にも、通信技術の進化は新たなサービスを生み出すきっかけになってきました。

2020年代で実用化される5Gはさらに高速の通信速度を持つため、動画への流れは続くでしょう。

また、5Gの低遅延の特性は、人と人のみならず、機械と機械の通信でより真価を発揮して、新たなサービスを生むと予想されます。

シェアエコノミー:所有から利用へ

コンピューターの処理能力の向上により、クラウドコンピューティングが普及したこともソフトウェアのビジネスを変えました。

2000年代がFacebookやTwitterなど人と人とがバーチャルに繋がる、ユーザー無料の広告収益モデルのサービスが普及した時代だとすると、2010年代は下記の点で一歩進みました:

  • バーチャルにつながった人の間でモノやサービスを交換する動きが進んだ
  • 一定額を定期的に支払い利用する「サブスクリプション」が主な購入方法となり、所有から利用への移行が進んだ

個人が主に使うサービスのいくつかの例は下記です。

  • 空いている時間・場所を他者にシェアするサービス:Uber (タクシー)、Airbnb (宿泊・観光)
  • 趣味で作ったモノ・使わないモノの交換を促すサービス:Etzy、eBay、メルカリ
  • 所有から利用へ:Spotify (音楽), PS Now/PS Plus (ゲーム)

企業向けにおいても同様で、2000年代はライセンスを購入して個別のPCへインストールするのが主だったのに対し、2010年代はクラウド上にあるサービスを利用する、SaaS (Software as a service)が主なソフトウェアの購入方法となりました。

提供者側の視点からは、サービスは「販売による売り切り」から「アップデートを続けながら売り続けるもの」に変わりました。

Microsoft 365、SalesForce、Adobe (creative cloud)、DropBox,、Boxなど現在使われているソフトウェアの多くがサブスクリプションモデルです。

サブスクリプションモデルへの移行により、より顧客満足度が大事になったことから、機能の定期的なアップデートが行われるようになったと同時に、「カスタマーサクセス」、「カスタマーエンゲージメント」などの顧客満足度の最大化に焦点を置いた新たな役割が生まれました。

加えて、こうしたソフトウェアのサービスでは大量の顧客データが企業に残るため、「データサイエンティスト」などのデータを活用するプロフェッショナル職が新たに生まれました。

より多くの人々が所有よりも共有に慣れ親しんだ結果、この流れは2020年にも続くと考えられます。

独占:国家よりも影響力を持つ企業の誕生

2010年代はGAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)の時代でした。

GAFAMはそれぞれの分野でプラットフォーマーとして独占的な地位を築き、世界中にユーザーを広げてビジネスを展開し、競合を事前に買収して脅威の芽をつむことで、自らのビジネスを守ってきました。

  • Google: 検索(Google)、ブラウザ(Chrome)、アンドロイドOS/Google Play Store
  • Apple: iPhone/iPad /Apple Watch/Mac, iOS, Apple Store
  • Facebook: Facebook, Instagram, Whatsup
  • Amazon: Amazon/Amazon Prime, Amazon Cloud
  • Microsoft: Windows, Office

7月19日時点でのAppleの時価総額は$1.67t (180兆円)と世界10位であるカナダのGDPとほぼ同じです。売上高も$267b (約30兆円)と中規模の国の財政支出以上です。

GAFAMの企業の規模は並の企業では束になっても敵わず、米・中以外のテック系企業はこれらの企業の動き一つで潰されます。

世界で唯一事情が異なるのが、デジタル鎖国を行っている中国です。中国では海外のネットサービスの利用に制限があり、独自のインターネットの生態系があります。

GAFAMに対抗する軸としては中国のBAT (Baidu, Alibaba, Tencent)があり、こちらも中国のグレートファイヤーウォールの中で独占的な地位を築いています

特に、Alibaba、Tencentはスーパーアプリとも呼ばれる、「全部入り」のアプリを提供しています。

これらの2つの企業は、決済、コミュニケーション、配達サービス、病院の予約、など他の先進国では見られないほど様々なアプリが入ったアプリを提供しており、スマホを持つほぼ全ての中国人は両方、または少なくとも片方のアプリを入れています。

これは便利であると同時に、政府が情報を握っていると言う点でかなり怖いことです。なぜかと言うと、一つの企業が「あなたがいくら銀行に保有し、いくら稼ぎ、どこへ行き、何を買い、誰とコミュニケーションをとり、何を言ったかのデータを全て持つ」ことになるためです。

「一つの企業が、国家よりもあなたについて多くを知る」と言うことになりますし、悪用・またはデータが盗難されればあなたの個人情報が晒されることになります。中国の場合、法律上、BATは国家の要請があれば情報提供を断れませんし、「国家があなたの全てを必要があれば知れる」状態になっています。

先進国では、Facebook、LINEもユーザーあたりの収益性を上げるために、メッセージアプリを軸にして、スーパーアプリの方向性を目指しています。しかし、これは国家との戦いになる可能性があります。

国家は「国家をも上回る資金力と個人の情報を手に入れた企業」の脅威をようやく認識し始めました。

EUにおけるGAFAへの独占禁止法違反での調査や個人情報保護法などはその一貫であり、「巨大すぎる外国企業の活動をどう管理するべきか」は、特に米中を除く(=これらの巨大テック企業を持たない)国家のテーマになりました。

2020年代にもこのテーマは引き継がれ、国家とこれらの巨大企業の摩擦はより大きくなる可能性があるでしょう。

グローバル化:切り分けられた労働

インターネットで世界中が繋がりコミュニケーションのコストが大幅に減少したこと、自由貿易の推進により、過去十年でモノ・サービスは世界の最適地でより開発・設計・生産されるようになりました。

これは企業のサービスにおいても同じです。

例えば、2010年代に、多くの米国企業はサービスのコールセンターをインドやフィリピンなどの賃金が安い国へ「アウトソース」(企業の機能を外に出すこと)しました。また、経理などのバックオフィスの仕事も定型的な仕事(例:伝票処理)はより賃金の安い国へのアウトソーシングが進んでいます。

同時に、「機械に任せた方がコスト・品質的に良い労働は機械にやらせよう」という動きは加速しており、製造現場だけでなく、サービスの現場でも定型的な業務はどんどん自動化ソフトウェアに置き換わっています。

Amazonの先進的な工場では、ピックアップロボットが正確に、素早く荷物を倉庫からピックアップし、段ボールのラインではロボットが荷物を積めています。

国内の例では三井住友銀行はRPA (Robotic Process Automation)で定型的な業務を削減し、人件費の削減につなげました。

2010年代は、「企業内でヒトがやるべき範囲」、「企業内で機械で自動化すべき範囲」、「アウトソースすべき範囲」、という切り分けと機械の自動化・アウトソースの実行がより進みました

企業が定型的な業務をアウトソースしたいと考えたこと、求める人材の水準が上がって就職できない人が増えたこと、企業に左右されず自らの生き方を選択したいと考える人が増えたことにより、「ギグワーカー」とも呼ばれるような、企業に属さず、個人事業主として働く人が増えました。

これらの「アウトソース」、「機械による自動化」のトレンドは中間層の賃金を押し下げることになりました。結果として2010年代は、先進国で中間層が経済成長の恩恵をあまり感じられない10年となりました。

2010年代に世界中の中間層が「強いリーダー」、「変革」、「反グローバル化」を求める動きに繋がったのは偶然ではなく、このような経済的な背景があります。

2020年代は政治的には「成長」よりも「再配分」への揺れ戻しが起きるかもしれません。

しかし、企業のレベルでは「自動化」、「アウトソース」への流れは止められないため(止めると他の企業との競争に負ける)、個人の自己防衛が求められる時代になると考えられます。

まとめ:2010年代の変化・トレンド

  • 伝統的メディアの影響力減少とオンラインメディア(SNS含む)の影響拡大
  • 高速通信規格がもたらしたコンテンツの進化(仮想現実などより大容量のデータ通信が必要となるコンテンツ、機械から機械への通信など)
  • 所有から利用への流れ
  • 国家より巨大化したテック企業と国家との衝突
  • 企業で「グローバルなアウトソーシング」・「自動化」が進み、政治レベルで反グローバル化が起こった

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投資だけでなく、本業にも役立つ、分析まとめ

企業、業界、社会についての分析記事も30を超えました。「投資だけでなく、本業にも役立つ」という嬉しいフィードバックを様々な方からいただけましたので、これまでに書いた記事をまとめてみます。

お好きな記事をどうぞ。これらを読むことで、「そんな見方もあるのか」という発見や、「新しい投資の機会」を見つけることができるかもしれません。

株式投資

米国株投資の先行指標

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投資手法

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米国業界

航空機業界(ボーイング、エアバス)

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原油価格

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米国の社会

マクロ経済

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コロナがヘルスケアに与える影響

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米国のヘルスケア制度の概要

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米国個別株

GAFAM (Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)

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グーグル (Google)

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アマゾン (Amazon)

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フェイスブック (Facebook)

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ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson and Johnson)

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ボーイング (Boeing)

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アリババ (Alibaba)

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日本個別株

ソフトバンクグループ

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三菱商事

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三井住友フィナンシャルグループ

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メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)

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ホテルREIT

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インフラファンド

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日本の社会制度

MMT (現代貨幣理論)

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日本社会

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日本の財政

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国民年金

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企業分析・業界分析の方法

ANAとJALで学ぶ、はじめての業界分析

ANAとJALで学ぶ、はじめての企業分析

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2週間後の日本に起こること – 新型コロナ、景気対策

現在の日本でのコロナ対策、景気対策(金融、財政)をまとめ、今後2週間で起こりそうなことについて書いてみます。

日本のコロナウイルス対策

3月30日現在、厚生労働省の発表資料によると、日本のコロナウイルス感染者数は1,866人です。死亡者は54人。死亡率は約3%です。東京都の感染者が最も多く、436名となっています。一方、死亡者が最も多いのは愛知県で、19名です。

都道府県名 PCR検査陽性者 現在は入院等 退院者 死亡者
東京都 436 395 36 5
大阪府 209 159 48 2
北海道 176 48 121 7
愛知県 167 106 42 19
千葉県 160 140 19 1

厚生労働省の基本方針はこちらです(新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針より)。

人と人との距離を取る

日本では、下記のような要請が行われています。

  • 東京都知事が3密(密閉、密集、密接)を避けることを要請 (3月25日)
  • 東京都知事、大阪府知事が週末の外出を自粛するように要請 (3月25日)
  • 小中高の一斉休校
  • 政府による大規模イベントの自粛要請 (2月20日)

学校の休校以外は基本的には要請であり、守らなくとも罰則はありません。

3月30日の東京都知事の会見では、都民に対して夜間営業の飲食店へ訪れること、不要不急の外出の自粛への要請が行われました。

海外からのウイルスの流入を防ぐ

現在は下記のような措置が取られています。

  • 米国、中国、韓国などへの渡航中止勧告(レベル3)、計40ヶ国 (3月30日時点)
  • 2週間以内にレベル3の国に滞在歴のある外国人の日本への入国を原則拒否
  • 日本人がレベル3の国から帰国する場合、PCR検査を実施し、結果が出るまで待機。陰性だとしても2週間は自宅や宿泊施設での待機、公共交通機関の不使用を要請。強制力はない。

日本人の渡航と帰国については勧告・要請であり、強制力はありません。

ハイリスクの人を守る

コロナの患者を感染症指定医療機関に隔離することで、感染が拡大することを防いでいます。一方、患者数の増大に伴い、都内ではすでに患者数が病床数を超えている状態です。

感染症指定病院(新型コロナウイルス対策ダッシュボードより)

この状態を踏まえ、現在感染症指定医療機関で入院をしている軽症患者に、自宅療養を依頼する可能性が示唆されました。

コロナウイルスを検査し、感染者を特定する

3月30日までのPCR検査の実施人数は約29,000人であり、陽性率は6.4%です。

日本PCR検査数(厚生労働省3月30日発表資料より)

日本ではCTを活用することで、PCR検査をコロナウイルスが疑わしい事例に絞っていることから、韓国などの他国と比べてPCR検査の数は少ないですが、陽性率が高くなっています。

正しい情報を発信する

厚生労働省はほぼ連日ホームページを更新しており、各都道府県のレベルでも情報発信が行われています。

他国と比較した日本の対策

西欧諸国(米国、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア)と比較して、日本の現在の対策は非常にゆるいものとなっています

下記の点が大きな違いです。

  • イベントの開催も外出も、自粛「要請」であり、強制力がない。罰則もない。
  • 入国・出国の制限に強制力がない。海外から帰国した人に自宅隔離することも「要請」であり、罰則もない。
  • 政府が統一的な方針を示さず、各自治体が個別で対応を行なっている。国のリーダーが前に出ていない。

罰則がないことから、一部の人は「要請」に従わず、行動を続けると考えられます。実際、K1グランプリは22日に「さいたまアリーナ」で行われ、6,500人が入場したと報道されています。これが事実であれば、感染を広める大きなリスクです。

また、政府が統一的な方針を示していないことも問題です。政府が自粛「要請」を行なっているレベルで、危機感が国民に伝わっておらず、「自分ごと」として捉えていない可能性が高いです(志村けんさんの死亡が恐らく、最も国民に事態の深刻さを伝えたでしょう)。

もちろん西欧の方が感染者数も死亡者数も多いためにより真剣になっているというのもありますが、外出禁止の国に住んでおり、日々増えていく死亡者数を毎日見ている身としては、日本の現状がかなり危うく見えます。

景気・金融政策

日本はまだコロナウイルスによる経済的損失への財政対策については、議論を重ねている段階です。

日本ではまだコロナウイルスによる経済的損失が一部の産業に限定されていることから(主に旅行、インバウンド関連:運輸、宿泊、観光、百貨店、など)、景気対策の議論の進捗は他国に比べて遅れています。

一方、金融政策については、日銀は下記のような決定を行いました。

  • 社債とコマーシャルペーパー(手形)の買い入れ枠を新たに2兆円設定
  • 融資用として、ゼロ金利で金融機関へ貸出
  • ETF購入を年間6兆円から12兆円に倍増

社債や手形の買い入れ枠を増やすこと、ゼロ金利での貸出を金融機関に行うことは資金不足で倒産してしまう企業が出ることを防ぐことを目的としています。

ETF購入は「期末に株式価格が大幅に下落し、銀行などの自己資本が減り、自己資本比率の規制に引っかかり、融資を減らしてしまう」という事態を避けようとしたのと、「株価が落ちて、資産が減ったと感じる人が消費を減らす」影響を考慮したためだと考えられます。

中央銀行で満期のない株式やREITを購入しているのは日銀くらいで、かなり特殊です。

今後、2週間で起こり得ること

このまま感染者が増え続ければ、どこかの段階で、政府が「非常事態宣言」を行い、外出「規制」を行う可能性が高いです。

外出「規制」が行われると、不要不急な用途の外出先のビジネスに大きな影響が及びます。

また、海外から帰国する人についても隔離「要請」ではなく、守らなければ罰則が生じる規制になる可能性が高いと考えられます。

金融政策はすでに中央銀行は量的緩和状態で買えるモノは買い、金利はゼロと、ほぼ限界に近いことをしているので、焦点は財政政策です。財政政策は数度にわたる景気対策として、GDPの10%を超える規模(50兆円を超える規模)が議論され、議会で可決される可能性があります。

日本は世界で有数の長寿国であり、人口の25%以上が65歳以上の超高齢社会でもあります。つまり、新型コロナウイルスで重症化しやすい、ハイリスクな人が多い国です。感染が広まり始めると、死亡率が高くなることが予想されます。

そのためには、日本政府が正しく危険性を伝え、国民に「自分がかからないから良いではなく、他の人にうつさないようにする」意識を徹底させる必要があります。連日のように政府がコロナウイルス対策の進捗を語り、連日のように新たな規制が課されることが予想されます。

他国の例として、オーストラリアのコロナウイルスへの対応はこちら

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株価の暴落はこのまま続くのか。経済指標のまとめ

本日の日経225は5%下落し、20,000円の大台を割りました。米国株も先物で5%下落しています。

リーマンショック以来の10年に1度の相場の荒れ方ですので、一度、現在の市場、関連する指標をまとめ、今後のポイントについても書いてみます。

こちらの記事で説明した先行指標をみていきます。

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EPS・PER・BPS(日本株)

日経平均PERの推移 投資の森より

2020年3月9日時点での日経平均225のEPS(Earnings per Share: 一株あたり利益)は1,630円。株価は19,700円です。EPSは12.1と過去3年の平均を割り込んでいます。

過去3年の最低PERは2018年末の10.7です。仮に、EPSの悪化を市場が織り込んで、PERがここまで落ち込むとすると

1,630円 x 10.7 = 17,600円

が株価となります。参考までに、日経225のEPSは下落傾向です。

日経平均一株あたり利益 2019年

次に、BPS(Book value per Share: 一株あたり純資産)を見てみます。

日経平均PBR 日経平均比較チャートより

2010年からの20年間をみてみると、BPS は2012年に0.89と最低をつけましたが、ほとんどの期間で1.0を上回っています。

BPS (Book value per share: 1株あたり純資産)は21,000円ですので、19,500円の株価はすでにBPSは93%で、7%下回っています

BPSからみると、日本株は売られ過ぎ、の水準に入ってきていると言えます。

17,600円まで落ちるとすると、BPSから見て、84%と16%下回ることになります。

BPSが過去20年最低の0.89まで落ちると仮定すると、

21,000円 x 0.89 = 18,690円

が株価となります。日経新聞によれば、日銀の平均取得単価は3月6日時点で19,443円とのことですので、中央銀行が含み損を抱える、という事態になります。

EPS・PER(米国株)

S&P500は$3,300から急激に10%下落し、$3,000を切りました。しかし、それでも昨年の10月時点の価格まで下落した程度です。5年前の$2,000からすると+50%であり、いぜんとして年率10%程度の成長と、歴史的な平均の8%よりは高い水準です。

S&P500の価格推移(Googleより)

過去2年の上昇はEPSの上昇ではなく、PERの上昇、つまり将来にわたって成長が続くだろうという楽観によりもたらされました。

元々、コロナを発端とする株価下落が始まる前から、S&P500のPERは18.7と過去20年でみても高すぎの水準でした。

S&P500の予想PERの推移

今回のコロナの1件で、下記のように、EPSの修正が入った後でも、PERはまだ高い水準にあります。EPSが2019年並となり、PERの修正が行われた時の株価は下記となります。

PERがさらにもう一段切り下がり、13.0程度まで下がれば、S&P500は$2,100となり、現状の$3,000から30%下落することになります。仮にリーマンショック並の事態となり、EPSが変わらないままPERが10.0まで落ちることがあれば、$1,760です。

米国金利

株価の急落を受けて、FRBは2020年3月3日に0.5%の利下げを行いました。短期金融市場への資金供給も行なっているため、金融緩和は継続中です。

Federal Reserve Bank Interest Rate (Trading Economics.comより)

10年満期の米国債の金利は急降下し、3月9日現在では0.5%で推移しています。

FRBの現在の金利よりも低いということは、市場はすでに今年利下げが行われて、さらにその低い利率が長期化することを織り込んでいるということです

10 Year Treasury Rate (Macrotrendsより)

さらに異例なのは、30年ものの国債の利率ですら1.56%と低い利率になっています。過去20年間で最低です。

通常、国債は期間が長ければ長いほどリスクが大きくなるため利率が高くなりますし、国債の利率はインフレ率にも影響されます。1.5%というのは、市場は今後30年でほとんどインフレが起こらないと仮定している数字であり、30年満期で1.5%は歴史上初です。

30 Year Treasury Rate(Macrotrendsより)

この債券の利率の低さをみる限り、債券市場はすでにパニックになっており、景気後退を織り込んでいると言っても過言ではないでしょう。

モノの動き

世界のモノの動き(輸出・輸入)を表す指標として、バルチック海運指数を見てみます。

Baltic Dry Index (Bloombergより)

こちらは2/7に$415をつけた後に、$617と上昇してきています。毎年2月から3月にかけては上昇しているのは主に季節性のためです。

現状の数字をみる限り、$617は3月としては過去5年の中で低い水準ですが、劇的に低いわけではありません。つまり、世界の貿易は動いていると考えられます。

原油相場

原油価格は1日で30%近く下落し、$30まで急落しました。

Crude Oil Price (WTI) Marketisnsiderより

$30というのは、2016年につけた$33をも下回り、過去10年で最も安い水準です。

OPECとロシアの間で減産の合意ができず、原油の供給過剰になるリスク、コロナウイルスの欧州、米国への広がりで原油の需要が減少するリスクの両方が意識されたことがきっかけです。

2016年の時にも減産の協調がうまくいかなかったことがきっかけで原油価格が$33まで急落し、その後にロシア・OPECが国債減産に合意して$50まで戻した経緯があります。

$30割れというのは、原油価格を前提に予算を組んでいる産油国(産油国の多くは国営の石油会社を持っており、原油収入をあてにして国家予算を組んでいます)の予算割れの水準となります。

この水準はロシア、OPEC諸国にとっても望ましい水準ではなく、何かしらの対策が早急にうたれると考えられます。

同じコモディティの銅の価格も下落していますが、石油ほどの下落ではありません。銅は電線、住宅、自動車など様々な用途に用いられるため、銅の価格が世界経済のバロメーターになっていると言われます。

Copper Price (Macrotrendsより)

銅の価格をみる限り、市場は生産やインフラ投資が大幅に減速するとは見ていないようです。

米国・住宅関係データ

米国の新規住宅着工件数は12月データ分までは右肩上がりです。今年に入ってからのデータはまだですが、少なくとも2019年12月までの米国経済の状況は好調です

米国住宅着工件数(macrotrendsより)

今後の論点

コロナウイルスを発端とする生産、物流への影響が株価に織り込まれ、過度な将来への楽観が現実的な水準に落ちてきている、というのが僕の相場の見方です。

今後の論点としては、

  • FRBをはじめとする各国の金融政策
  • 米国、日本、欧州の財政政策
  • OPECとロシアが再びの会合を開き、減産で合意できるか
  • コロナウイルスを原因とする消費への影響がどの程度広く、長く続くか
  • レバノンのデフォルトからの次のレバノン探しの影響(低格付け国債価格の下落。低格付け国債を保有している金融機関の損失)
  • 特にコロナ関連の影響の大きい旅行・空運・小売・飲食業界でのクレジットリスクと貸出を行なっている金融機関への影響
  • シェールガス業者などエネルギー関連業者のクレジットリスク(原油安が続くと、倒産します)。そして、倒産が波及するCLO (Collaterized Loan Origination – ローン担保証券)の暴落リスク。
  • 中国のクレジットリスク(すでにHNAグループが実質国有化されましたが、第二のHNAグループが出る可能性があります)

クレジットリスクに重点を置いているのは、世界経済が過去10年、国は国債、企業は社債、家計も住宅購入のための借り入れを増やしており、経済全体が債務に頼って成長を続けてきているためです。

特に財務基盤の弱い企業の社債、家計の住宅ローンは膨らみ続けている爆弾です。

爆弾が爆発した時にはリーマンショック級になる可能性があるため、特に注意をしてみる必要があると考えています。

一方、クレジットリスクが顕在化しない場合、中央銀行のさらなる金融緩和と各国の財政対策により、資産バブルが生じる可能性があります。こちらのシナリオの場合は株価の急反発になると予想されますので、その予兆にも注目です。

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2020年2月の株式取引まとめと相場の考察

大波乱の相場が続いています。今週1週間で日本株は23,388円から21,142円まで9.7%下落。S&P500は月曜から水曜まで$3,337から$2,978まで10.7%下落しています。

今回は自分が経験する初めての大きな下落のため、自分用のメモとして相場の考察をしていきたいと思います。

日本株

相場の流れ

日経225の価格推移日経225はコロナの報道が出た1月最終週に大きく下落しましたが、2月初旬にはすぐに元に戻りました。

この時点では、相場はコロナの影響は中国の局地的なものに止まると見ており、サプライチェーンや消費に与える影響を軽視していました。

その後、日本では2019年第4四半期の実質GDP速報により、GDP成長率がかなり弱く(年率換算でマイナス6.3%)、消費税増税が個人消費を冷やしたことが明らかになり、株価は一気に下落しました。

2月の最終週にはコロナがサプライチェーンに与える影響がより明らかになったことに加え(アップルの業績下方修正など)、コロナも韓国、日本での感染者が増え、イタリアやブラジルでも感染者が増加していることから、全世界的なパンデミックのリスクが高まりました。

結果とし、全世界の株価は大きく調整しました。日本株は1月につけた24,000円から10%以上下落したことになります。

PER・EPS

21,000円の水準でも日経225のPER(株価収益率)はまだ13.5と、過去3年の平均からさほど離れているわけではありません。むしろ、過去3年の平均程度の水準です。

日経225 PER推移(投資の森より)

日経225の一株あたりの利益は現在、1600円程度と予想されています。

まだ日経225に含まれる各社は明確な2020年の業績予想を出してはいませんが、2020年は増税による国内市場の縮小、コロナによるサプライチェーンやインバウンドへの影響、などを考慮すると一株あたり利益は減少することが予想されます。

仮に景気後退への不安が広がり、PERが2018年後半の12程度まで落ちて(▲15%)、今年の一株あたり利益が10%落ちると仮定したシナリオの場合、理論的な株価は

1,600円/株 X 90% (利益の下落) X 12 (PER)= 17,280 円

となります。現在の水準から、さらに20%落ちて2016年くらいの株価になるイメージです。

現実的にはその水準まで落ちる前に政府が財政、金融政策を総動員して景気を維持しようとする可能性が高いですし、日銀とGPIFが買い支えるのでそこまでは落ちないと思います。

ただし、コロナウイルスがパンデミックとなり、かつアメリカでサンダースが大統領に選ばれて、株式市場が悲観的になった場合には、十分あり得る水準かと思います。

一つの想定として、現状から20%落ちるリスクは念頭に入れると良いかもしれません。

投資判断と学び

GDPの速報が出た後に、今年の日本経済はかなり悪くなりそうだと予想し、日経225、三井住友、ソフトバンクグループを売却して利確しました。コロナ関連でここまで調整が入るのは予想外でしたが、結果的にこの判断は正解で、これらの銘柄については十分な利確ができました。

「船が沈みそうになったら飛び降りる」ことで、結果的にうまく利確ができ、功を奏しました。

一方で、太陽光設備に投資する、インフラファンドであるタカラレーベンインフラ法人を火曜日に少し買い増ししたのは悪手でした。

タカラレーベンインフラ投資法人は、

  • インフラファンドは収益と配当が安定していること
  • 現在の株価での配当水準は約6%と過去と比較しても適正水準であること
  • 4月の指数化で流動性が増すこと
  • 5月が配当が確定する月であり、配当月に向けて上昇する傾向があること
  • 米国・日本の金利が下がれば利回りのスプレッド上昇で株価も上昇する傾向があること
  • ESG(環境・社会・ガバナンス)のトレンドに乗って需要が増える可能性が高いこと

から5月に向けて上げていくだろうと想定して購入しましたが、結果的には購入のタイミングが最悪でした。

120,000円で少量購入しましたが、全体の下げに引っ張られる形で、そこから5%程度下げています。

タカラレーベン インフラ株価推移

「リスク回避での売りが強い相場では、たとえディフェンシブな株でも結局下げからは逃れられない」ということを学べました。個別株を分析して銘柄を選定するのは大事ですが、「全体の相場の地合いがリスク回避になっている時には個別株の事情関係なく下がる」というのは良い学びでした。

今回の買うタイミングでは、焦って購入する必要はなかったはずです。反発するだろうから今のうちに賭けよう、という短期的、投機的な姿勢で投資をするのではなく、市場心理を見極めて、ファンダメンタルズを見て、十分に割安なタイミングで購入できるまで待つべきでした。焦って投資をして良いことはない、という失敗例です。

ロシア株も売却しました。こちらは原油相場の行方が怪しくなってきたことと、全体の相場がさらに落ちる可能性の方が高いと考え(特にアメリカでコロナが広まる事による米国企業の業績への悪影響が懸念されるため)利確しました。

こちらも利益は出ていますが、利確が遅すぎ、結局140円で手放すことにしました。160円で売る機会を逃したことが悔しいです。10%落ちたら売却、などと自分なりのルールを決めて、ルールに沿って売買をするべきでした

ロシア株(1324)

米国株

PER・EPS

S&P 500 PER

S&P500の予想PERは先週まで19.0と歴史的にもかなり高い水準にありました。

19.0というのは過去5年平均の16.7、過去10年平均の14.9より大幅に高く、2002年以来の高い水準です。特に 生活必需品、公共インフラ産業のPERが歴史的高値になっており、投資家がディフェンシブになっていることを示していました。

また、2020年の予想EPS(一株あたり利益)も2019年から7%増加する、というかなり楽観的な予想がされていました。

アナリストの一株あたり利益予想の推移

つまり、アメリカのS&P500の急上昇は、一株あたり利益の7%成長という楽観的な見通しと、それに伴う成長期待からのPERの高まりの二つの要素によってもたらされていました。

$3,300 (暴落前のS&P500の)= $176(一株あたり利益) x PER 19倍

ですね。

ゴールドマンサックスが2月27日に出したレポートによると、2020年の米国企業の一株あたり利益成長は0になる可能性がある、とのことです。つまり、一株あたり利益が2019年のS&P500企業のEPSの伸びは実はわずか0.6%ですし、2020年は中国の経済成長の減速、コロナによる消費の冷え込み、の影響を考慮すると十分あり得る数字です。

今週の株価の10%下落は、EPSの下落を反映した、始まりにすぎないかもしれません。

米国企業の株価は高い成長期待によるPERの伸びに支えられているので、もし市場参加者が米国企業の1株あたり利益成長率が鈍り、そのために成長期待(PER)が過去10年平均の15まで落ちるとすると、

$163(1株あたり利益 ) x PER 15倍  = 2,450

つまり、市場心理が悪化すれば、さらに20%、S&P500が落ちて、$2,450まで落ちることも十分ありえます。今週の10%と合わせて30%の下落。実際、2019年の株価は期待の上昇で30%とかなり急激にあげたため、期待が剥がれて、歴史的な株価上昇の軌道に戻る、といっても良いかもしれません。

S&P500 Price

投資判断と学び

米国株は売却はせず、火曜日に下落した後に、良い機会だとFacebookとAlibabaを少し購入しました。こちらも落ちるナイフを掴みにいった結果、見事に刺さって現在は5%くらいずつ含み損が出ています。唯一の救いは少額での試し買いであったため、傷が浅いことです。

FacebookもAlibabaも、コロナウイルスへの不安から人々が自宅にいるようになると、使用頻度が上がり、ビジネスとしては伸びるはずです。特にFacebookはインターネット上だけのサービスであるので、サプライチェーンへの影響も関係ありません。

どちらの株も、PERは市場での競争力と成長性の観点から見ると、適正だと考えています。

それにも関わらずFacebookが落ちた理由は、シンプルに相場の需給で売りが圧倒的に優先であったためでしょう。

日本株と同じ学びですが、「株価は個別の企業の業績よりも、全体の市場心理に影響される」ということです。特に今回のように市場が不確実性を感じてパニックになっている場合は、落ちるナイフを掴むと怪我をする可能性が高いと感じました。

オーストラリア株

オーストラリア株では、もともと持っていたポジションがあまりよくないことに加え(現金比率を減らすため、やや高値と感じながらも株を購入していました)、利確・損切りのタイミングを逸して、損失を広げてしまいました。

「損切りルールを守る」ことは基本だとは思いますが、実践してみてその難しさを感じました。損を確定するのは利確よりも抵抗がありますし、やっぱりやってみないと難しいです。良い経験、学びとなりました。

また、オーストラリア株は景気敏感株が多くを占める市場で、僕の知識が足りていないまま景気敏感株に投資をしていたので、結果的に日米株よりも大きなダメージを受けることになってしまいました。

やはり自分が詳しいと自信の持てない個別株に投資は避けたほうが良い、ということをあらためて学べました。

まとめ

  • 日本株、米国株共に10%落ちた現在もまだ高値圏にあり、市場心理の悪化が続いて成長への期待が剥がれれば、あと20%は落ちる可能性がある
  • 個別株のファンダメンタルズは大事だが、それ以上に市場心理が重要。全体が売り一色であれば、業績と関係なく下がる
  • 急激な値下がりが起きたときに保有株をどうするかの想定ができておらず、タイミングを逃した。何を新しく買うかだけでなく、保有株をどうするか、も考えておき、利確・損きりルールを設定しておくべきだった
  • 個別株へ投資をするときには、まず売り方を覚えること。売りのタイミングがリターンを決める

なぜFacebookなのか、はGAFA+Microsoftの分析をどうぞ。

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ソフトバンクグループ(9984)の株価はどうして20%も上がったのか?

ソフトバンクグループの株価はこの1週間で急騰し、20%以上も上がりました。どうしてでしょうか?

今回の記事は、株価の急上昇の背景と本日発表の決算について説明します。

今回は下記の記事のアップデートになります。ご覧になられていない方は、先に下のリンク先記事を読んでいただくと今回の記事をより面白く読めると思います。 [st-card myclass=”” id=1406 label=”日本株” pc_height=”” name=”” bgcolor=”” color=”” fontawesome=”” readmore=”on”]

エリオット・マネジメントの株式取得

エリオット・マネジメントはアクティビストと呼ばれる、投資会社です。

エリオットは、投資対象の株を一定割合購入し、株主として経営陣に株主価値向上の施策を打つようにせまることで、リターンを得ていく手法を得意としています。

今回も、ソフトバンクグループに対して、自社株買い、社外取締役の受け入れ、ビジョンファンドの透明性の向上、の3つの施策を提案しました。社外取締役の受け入れ、自社株買い・配当の増額、特定事業の売却提案、などはアクティビストファンドがよく行う提案です。

ソフトバンクグループについては「アリババ株の保有益の方がソフトバンクグループの時価総額よりも高く、単純にアリババ株を全て売却させて全て自社株買いをさせれば儲かる状態にある」ために狙われました。

ソフトバンクグループの株はエリオットによる圧力により孫さんが自社株買いなど株主利益になる短期的な施策を打つのではないか、と予想して上昇しました。

また、エリオットの存在が、孫さんがビジョンファンドで暴走しないような楔になるのではないか、という予想が働いたことも影響していると考えられます。

柳井さんがソフトバンクの社外取締役を辞められたことで孫さんに一定の歯止めをかける人が少なくなっていたので、エリオットの存在はバランスを取るという意味で、ソフトバンクグループの株主にとっては利益が大きいかと捉えています。

スプリント・Tモバイルの合併の承認

前回の記事にも書きましたが、スプリント自体はキャッシュを奪っていくお荷物事業であり、ソフトバンクグループにとっては資産というよりも負債でした。

スプリント・Tモバイルの合併は連邦レベルの許可は得ていましたが、州が訴訟を起こしたことにより、ストップがかかっていました。 2年近い争いの後、2020年2月11日に、地裁で合併の承認を得たとの報道がありました。

これにより、合併が成立する可能性が上がり、ソフトバンクグループからお荷物が外れる、ということを好感して、株価はさらに10%近く上昇しました。

しかしながら、この株価上昇はやや勇み足のような気がします。

第一に、まだ州が上訴をする可能性があるため、上訴されればさらに合併の承認までの期間が長くなりますし、また合併が成立しない可能性も出てきます

第二に、合併承認の条件として、3年間の値上げ禁止、農村部でのネットワーク網の整備、通信網の開放、といった様々な条件をつけられています。ソフトバンクグループは合併後は新会社の株式を保有するため、こちらの価値がどうなるのかも?です。

ソフトバンクグループの第3四半期決算について

ソフトバンクグループおなじみ、いつもの株主価値のグラフです。

ソフトバンク2019Q2
ソフトバンク2019Q3決算

9月末から株主価値は5兆円増えた、といっていますが、そのうちの80%の約4兆円がアリババの含み益です。孫さんが情熱の97%を注いでいるというビジョンファンドの価値上昇は0.1兆円で、残りのほとんどは州レベルでの合併承認の報道によるスプリントの株価上昇です。

つまり、ソフトバンクグループの大半はアリババの含み益の会社であり、株主価値はアリババの株価に左右される、ことは何も変わっていません。  

また、ビジョンファンドで累計損益が$3.0bn (3250億円)前四半期と比べて増えた、と言っていますが、ややミスリーディングです。

ソフトバンクのビジョンファンドのスキーム上、10兆円の投資元本のうち、4兆円分には年利7%の固定支払いを行う契約になっています。つまり、年間2,800億円、四半期ごとでは700億円の外部投資家への支払いが必要になります。ソフトバンクグループの視点から見る時には、この支払い分は割り引いて考える必要があります。

また、ソフトバンクグループの出資分は3兆円であり、外部投資家への固定支払いを行なった後、確定した利益を3兆円出した他の外部投資家と折半することになります。

つまり、累計損益が$4.3b (4,600億円)あるといっても、それがソフトバンクグループにそのまま入るわけではないことに注意が必要です。

ビジョンファンド 2019Q3

ソフトバンクグループの株価上昇要因

  • エリオットがゴリゴリに株主還元を迫り、孫さんにアリババ株を売却させ、自社株買いさせることに成功する
  • スプリント・Tモバイルの合併成立(州が上訴しない)
  • アリババ株の上昇

ソフトバンクグループのリスク

ビジョンファンドの次のリスクは、ソフトバンクが$10b (1兆1000億円)の価値がある、と言い$1.5bn (1,600億円)を注ぎ込んだOYO(オヨ、ホテルチェーン)です。

OYOはホテルに、「OYOのチェーンになれば、賃料保証をするよ」と言ってOYOグループに引き込み、フランチャイズ化します。そして、フランチャイズの規模を活かして、宿を探しているお客さんに、OYOのリーズナブルで安心なホテルを提供する、というビジネスモデルです。インド版の東横インやスーパーホテルと言うとわかりやすいかもしれません。

ホテルのフランチャイズ自体は昔からビジネスモデルですが、OYOの場合はテクノロジーを駆使してダイナミックプライシング(価格を空室率などに応じて変動させること)を用いて売上の最大化と空室率の最小化を実現している、ということをウリにしてソフトバンクグループから多額の投資を勝ち取りました。

得た多額の資金を元に、フランチャイズを急拡大させ、同時に赤字も急拡大しています。主な収益源は予約時にフランチャイズの加盟店から受け取る「手数料」です。

この「賃料保証」、「手数料」が結構曲者で、実際にはOYOはなんだかんだ理由をつけて賃料保証を支払っていなかったり、手数料をかなり多めにとっていたりする模様です。実際、インドで訴訟を起こされていたり、中国でもビジネスが行き詰まったりと、インド・中国でリストラを行なっている状態です(Nikkei Asia Reviewなど)。

OYO自体はキャッシュフローが赤字なので、どこかで追加の資金が必要になります。

WeWorkと同じくソフトバンクグループが救済に入るのか、もしくは外部投資家を入れるのか(その場合、いったいいくらの時価総額になり、どれだけ損失が出るのか)はわかりませんが、再びの数千億円レベルの減益に繋がる可能性はあります。

また、ARMのビジネスは今期も前年比で微増程度です。価値ある企業だとは思いますが、2.7兆円の企業価値があるのかは、、、です(詳しくは以前の分析記事をご覧ください)。

アーム第3四半期決算

まとめ

  • ソフトバンクグループの株価上昇の第一の理由は、アクティビストのエリオット・マネジメントが株式を取得したことで、経営陣へのプレッシャーが強まり、より株主還元を行うようになると株主が感じたから
  • 第二の理由は、スプリント・Tモバイルの合併が成立する可能性が高まり、お荷物事業であるスプリントをソフトバンクから切り離せる可能性が上がったから。
  • 大きなリスクの一つ目はスプリント・Tモバイルの地裁判決に対して、州が上訴する可能性が残っている。上訴した場合、合併成立までまた時間がかかり、株価下落要因となる。
  • また、ソフトバンクのビジョンファンドは第二のWeWorkリスクを抱えている。1兆円の時価総額を割り振っているOYOはトラブルが続いている。OYOはキャッシュフロー赤字であることから資金が近いうちに必要となり、現在の企業価値を正当化できなくなった場合、WeWorkと同じく減損となる
  • ARMの企業価値2.7兆円も売上高、利益の成長を見る限り、正当化できるかが疑問であり、割り引いて考える必要がある
  • 良くも悪くも、ソフトバンクグループの株価は、アリババ株の保有益で決まり、アリババ次第

ソフトバンクグループについての詳しい企業価値分析はこちら
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日本株のビジネス・株式の分析の一覧はこちらです。 [st-mybutton url=”https://akihbs.com/category/japan-stocks/” title=”日本株の記事一覧へ” rel=”” fontawesome=”” target=”_blank” color=”#fff” bgcolor=”#e53935″ bgcolor_top=”#f44336″ bordercolor=”#e57373″ borderwidth=”1″ borderradius=”5″ fontsize=”bold” fontweight=”bold” width=”” fontawesome_after=”fa-angle-right” shadow=”#c62828″ ref=”on”]

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高値づかみを防ぐための、株式投資に役立つ先行指標まとめ

いざ投資を始めようとした時に、「いつ投資をするか」、は迷いますよね。「高値づかみをする可能性を減らしたい」、という場合に、「今の価格が割高なのかどうか」を判断するのに役立つ指標を7つ紹介します。

基本となる指標

1、2. PER・EPS(日本株)

日経平均の価格は、EPS(Earnings per Share: 一株あたり利益) × PER (株価収益率:Price to Earnings Ratio: 株価を一株あたり利益で割った値)で表されます。

日経平均とPERの推移(投資の森より)

日経平均のPER(株価➗一株あたり利益)は現在14.51と、過去5年の平均程度まで上がってきています。直近2年間の安値である2018年12月に19,327円をつけた時のPERは10.8でした。また、2019年8月に20,618円まで落ちた時のPERは11.64でした。

実は、一株あたり利益は2019年は減少傾向です。米中の関税の応酬で、設備投資に関する企業の利益が特に落ちました。

2019年の日経平均一株あたり利益(株式マーケットデータより)

今の日本の株価をPERとEPSの観点から見ると、EPSは下落傾向である一方、全世界的な金融緩和と米中の貿易摩擦が緩和されるという期待から、PERが上昇し、株価の上昇に繋がっています

1. 2. EPS・PER(米国株)

米国株はほぼ一貫して上昇を続け、特に2019年は30%近い上昇をしました。

S&P500の株価の推移(Googleより)

米国株(S&P500)の予想PERの推移です。

S&P500の予想PERの推移(FACTSETより)

米国の予想PERはほぼ一貫して上昇を続け、2018年の冬に一度調整が入りましたが、その後も順調して伸びてきました。、現在は18.7と2017年に急落した水準まで上がってきています。

過去5年間の平均予想PERが16.7で、10年間の平均予想PERは約15.0ですので、現在は過去10年間の平均よりも予想PERが24%程度高いことになります。

米国のS&P500の企業のEPSは2014年から2016年までは停滞し、2017年からは大きく成長しています。2018年にEPSが大きく伸びているのはトランプ大統領が行なった連邦法人税を35%から21%へ減税した影響が大きいです。

S&P500のEPSの推移(FACTSETより)

一方、2019年のEPSは2018年と比較して、微増が予想されています(1%程度)。

つまり、この2つのチャートからは、2019年の株価の上昇の1%は実際のビジネスにもとづくEPSの上昇から、残りの27%以上は将来の成長期待に基づいての株価上昇ということがわかります。

2020年、2021年のEPS成長はアナリストによる予想ですが、過去の実績や現在のコロナウイルスによる中国経済への影響をみる限り、やや楽観的なように見えます。

株価が将来の成長期待を元に上がっている時には、実際のビジネスの成果であるEPSが伸びていない場合、期待が剥げ落ちた時の下落が大きくなる可能性があるため、注意が必要です。

景気の先行指標

3. ラッセル2000

米国の小型株2,000銘柄(米国の時価総額上位3,000銘柄のうち、下位2,000銘柄の時価総額加重平均型指数)です。

ラッセル2000の推移(Googleより)

小型株の方が景気の影響を受けやすいため、大型株の集合であるS&P500よりも先に株価が動きやすい、というのが先行指標としてラッセル2000が注目される理由です。

現状はコロナウイルスの広がりから少し落ちてまだ戻ってはいませんが、高値圏で推移しています

4. バルチック海運指数 (Baltic Dry Index)

バルチック海運指数は世界の不定期船の輸送レートを指数化したものです。不定期船のレートは、ざっくり言えば燃料となる原油価格と、船の輸送の需給によって決まります。

わかりやすく言えば、貿易でモノがどれくらい活発に流れているか、に関連のある指数です。

バルチック海運指数の推移(Trading Economicsより)

バルチック海運指数は昨年末から急落しており、過去5年で最低レベルまで落ち込んでいます。つまり、それだけモノの移動が滞っている=世界経済の状態があまりよくない、ことを示唆します。

5. 石油価格 (WTI Crude Oil Price)

輸送のみならず、様々な製品の原材料にも使われる石油価格も世界の経済状況を反映する先行指標の一つです。

石油価格の推移(WTI)

石油価格はコロナウイルスが中国の生産活動を低下させるという懸念から下落を続け、現在$50近くまで下落しています。

6. 米国新規住宅着工件数

住宅には様々な産業が関わってくるため、米国の新規住宅着工件数も重要な先行指数です。一般的に、景気がよくなればなるほど家を建てたいという人が増えると、住宅着工件数も増えます。

米国新規住宅着工件数の推移 (Trading Economicsより)

直近の2019年12月は年160万戸のペースと予想を大幅に上回る数字でした

7. 米国中古住宅販売

米国では住宅を資産と考え、住宅価格の値上がりは消費の活性化と関連があり(懐が緩くなる)、中古住宅販売の件数・価格も経済の好調さを表す一つの指標です。

米国中古住宅販売推移 (Bloombergより)

直近では中古住宅販売は在庫不足にも関わらず好調で、住宅購入の需要の力強さを表しています

まとめ

  • EPS(一株あたり利益)はビジネスの実態を、PER (株価収益率)は将来への期待を表し、株価を構成する二つの基本となる指標
  • 日本株のPERは歴史的には平均程度、米国株のPERは歴史的には高値の水準にある。
  • 米国の2019年のEPSは微増であり、2019年の株価の値上がりのほとんどはPERの上昇による
  • 株価の先行指標として、米国の小型株指数であるラッセル2000、バルチック海運指数、石油価格、新規住宅着工件数、米国中古住宅販売がある。どれもS&P500など大型株の株価に先行して動く指数だと考えられている。
  • バルチック海運指数、石油価格は歴史的な安値にあり、モノの流れと投資が滞っていることを示唆する
  • ラッセル2000の推移、新規住宅着工件数、米国中古住宅販売は上昇基調にあり、米国経済が依然として好調であることを示唆する

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三菱商事(8058):前年度割れ決算が続く高配当株の株価分析

三菱商事が第3四半期の決算を発表しました。今回の記事では三菱商事の最新の決算を元に、通期の利益目標が達成できそうかを見ていきます。

また、今回は下記の記事のアップデートになります。もしご覧になられていない方は、先に下のリンク先記事を読んでいただくと今回の記事をより面白く読めると思います。
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事業系

一言で言うと、全般的に苦しい決算です。事業系、市況系ともに前年比を割っている事業が多く、12事業部中、9事業部で前年比マイナスです。特に自動車は三菱自動車のビジネスが苦しいことで下がっています。

大幅な増益の産業インフラは前年度に千代田化工建設を救済した際の一過性の損失がなくなった、と言うだけで、事業そのものが劇的によくなったわけではありません。同じく、食品産業も前年度の海外損失が今年はないので見かけは増益に見えていますが、巡行利益はむしろ前年比マイナスになっています。

複合都市のビジネスは順調に成長していますが、利益の水準としては全体の8%と小さいため、全体のマイナスをうち消せるわけではありません。

前回の第二四半期の決済の時に、目標利益を6,000億円から5,200億円へ下方修正しましたが、あと1四半期を残して進捗率は72%。

事業系はほとんど伸びていませんし、市況系ではかなりコモディティの価格が下落しているため、市況系がさらに減益となる可能性が高いです。つまり、通期での目標達成は事業売却をするなどして利益を出しに行かないと厳しい状況です。

市況系

市況系ビジネスの巡行利益(一時的な変動要素を除いた利益)を見ていきます。金属資源、天然ガス、産業インフラ、の3つの事業部が三菱商事を支える資源ビジネスです。

事業部 事業内容 2018年第3四半期
巡行利益
2019年第3四半期
巡行利益
前年同期比
金属資源 石炭、銅 1,568 1,097 ▲471
天然ガス LNG事業 ▲147 ▲12 +135
産業インフラ プラント 158 51 ▲107
合計   1,579 1,136 ▲443

金属資源ビジネス

三菱商事のオーストラリアの原料炭ビジネスは市況系の半分の利益を占めます。そして、原料炭ビジネスは石炭の価格に影響されます。しかし、上図のように、2019年に入り原料炭の価格は下落傾向にあり、これが金属資源ビジネスの減益に繋がっています。

また、金属資源の第二の柱である、銅の価格も1月以降に中国の景気不安から急激に下落しています。

LME銅価格推移

三菱商事はチリ、ペルーに銅の権益を持っているため、銅価格の下落は収益に大きく影響を与えます(特にスポットの取引が多い場合)。

三菱商事 金属資源グループ

全体の利益の約30%を稼ぐ金属資源の見通しが第4四半期は暗いため、目標達成はかなり厳しいと言えます。

天然ガス

石油の価格推移(WTI)

天然ガスのスポット価格は石油価格に一定程度連動します。ご覧の通り、石油価格は1バレル$60から$51.3まで下落しています。固定費は変わらないため、長期にわたって一定価格で買い取る契約になっていない場合、15%売上が落ちると、利益はそれ以上に落ちる可能性があります。

産業インフラ

産業インフラの利益が前年比で改善されたのは千代田化工建設救済の時に生じた損失が2018年にあったためと、千代田化工建設の案件お進捗が予想以上に良く、一過性の利益計上に繋がったからです。

まとめ

  • 三菱商事の第3四半期は結構ボロボロ。事業系は10事業中7事業部が減益。
  • 市況系もオーストラリアの原料炭(石炭)、チリ・ペルーの銅、液体ガス(LNG)の価格下落により、利益が前年度より落ちている
  • 2019年の利益目標5,200億円の進捗率は72%。事業系では巡行利益が伸び悩んでおり、かつ純利益の30%を占める市況系の利益が3月末まではコモディティの価格下落による影響を受けるため、通期達成は難しいと予想される

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